『第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 5日目編

配信日:11月23日

 グランプリをかけた最後のGI。北九州メディアドーム・小倉競輪場で開催されている「第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、22日に佳境の5日目を迎えた。ファイナルのキップをかけて争われた準決では、郡司浩平、鈴木庸之、新田祐大が1着で決勝に進んだ。いよいよシリーズも大詰め、第62回の競輪王が23日に決まる。
 今シリーズは新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から、すでに申し込み抽選が行われ、その結果、入場証をお持ちの方のみの入場となります。入場証をお持ちでない方は、小倉競輪場1Fの場外車券をご利用ください。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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守澤太志選手
守澤太志選手
 8番手の取鳥雄吾を警戒して、高橋晋也が5番手で前団との距離を取る。赤板2コーナーで先頭に立った畑段嵐士は、腹を固めて打鐘の2センターからペース上げて駆ける。高橋が車間を詰めながら踏み込んで前団に襲い掛かる。最終2コーナーで高橋が出切って、守澤太志(写真)がきっちりと続く。3番手の大槻寛徳は鈴木裕にからまれる。ロングまくりの高橋を守澤が交わして北日本ワンツー。
 「あんな展開になるとは思ってなかった。でも、(高橋)晋也はスピードに乗せるのが上手ですからね。あとは全部止めるつもりでいたけど、晋也が掛かってた」
 高橋晋也は冷静な仕掛けで、持ち前のスピードを生かした。
 「一瞬、焦ったけど、自分のなかで座った時に(逃げる畑段を)乗り越えられるなと。もうちょっと早めに仕掛ければ良かったけど、強い気持ちでいけたのは、守澤さんのおかげです」

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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 正攻法に構えた菅田壱道が、別線の動きをけん制しながら赤板過ぎに誘導を降ろして先頭に立つ。中団の野原雅也が叩きに出ると、菅田も合わせて踏み上げる。佐藤慎太郎(写真)が椎木尾拓哉をさばいて菅田が野原の後位に収まる。後方から巻き返しを狙った島川将貴はあおりを受けて後退。最終2センターから踏み込んだ菅田を佐藤がゴール前でとらえた。
 「(菅田)壱道が頑張ってくれましたね。ラインで決まったし、俺が1着なので100点でしょう(笑)。自分のやるべきことをやるしかないので。コントロールできないことを気にしても仕方ない。ここまで積み重ねてきた延長線上に(グランプリが)あると思っている。ジタバタしても仕方ないので、目の前の一戦に集中します」

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和田真久留選手
和田真久留選手
 清水裕友、吉田拓矢、山崎芳仁の順で切って打鐘を迎えると、前受けから後方まで下げた和田真久留(写真)が、すかさず反撃に出る。ライン2車で山崎を叩いた和田が快調に飛ばし、岡村潤の援護を受けて力強く押し切った。
 「連日、うまくいかなかったし、岡村さんにはいつも迷惑を掛けているので、ゴール前勝負がしたかった。とりあえず詰まったところで行けた。すっきりしたレースができていなかったが、今日(5日目)は出し切った。状態はだいぶいいし、持ち味を出せて良かった」
 内に詰まっていた吉田拓矢は、最終4コーナーで外に持ち出して2着に強襲した。
 「清水さんばかり見ていたのでダメでした。2着まで届いたのはたまたまだけど、1着までいくと思ったくらいでした。内容はいいレースではないけど、今日(5日目)が状態は一番良かった。小倉は相性もいいし、3着、2着ときたので、最終日は1着を取りたい」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 赤板2コーナーで深谷知広を押さえて先頭に立った新山響平ラインに、東口善朋が切り替える。7番手の郡司浩平(写真)は、5番手まで追い上げて深谷をキメて最終ホームを通過する。一呼吸入れた郡司は、1センター過ぎから仕掛ける。逃げる新山の掛かりもいいが、郡司が4コーナーでとらえてシリーズ3勝目を挙げた。
 「S級S班としてGIの決勝に乗るのが使命だと思うけど、やっぱり乗れたら乗れたでうれしいです。2日目(2走目)は2着ですけど、不甲斐ないレースで悔いが残った。ただ、今日(5日目)はしっかり自力を出して勝てたので自信になりました。それ(和田健太郎とのワンツー)が一番ですね。僕も(グランプリ出場が)決まったわけではないけど、和田さんと決勝に乗れば(2人とも)チャンスが広がる。それが一番うれしい」
 諸橋愛のけん制もあったが、和田健太郎は郡司に流れ込んだ。
 「連日、前の自力選手のおかげです。郡司があの仕掛けをしてくれたんで、離れられないっていう気持ちでした。(グランプリ出場の)重圧を感じてないっていったらウソになるけど、そこまでの立ち位置ではない。まずは自分のレースをって思ってました」
 逃げた新山の番手の諸橋愛は、新山の頑張りを称え、郡司の強さに舌を巻く。
 「新山が強すぎたけど、郡司はその上を行くんだから…。自分が仕事をできれば良かったけど、ラスト1周がキツかった。東口が後ろにいるのもわかってたんで、あんまりもっていくとしゃくられるっていうのもありました。仕上がりは普通だけど、感覚がすごくいいというか、(周りが)見えている」

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鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 赤板過ぎに先頭に立った長島大介が徐々にピッチを上げて主導権を握る。番手の平原康多は、車間を空けて後続をけん制しながら待ち構える。松浦悠士が浅井康太にすくわれそうになりながらも最終2コーナーからまくり出ると、気配を察知した平原がバック前から自力に転じる。松浦を張りながら平原を追いかけた鈴木庸之(写真)がゴール前で逆転した。
 「前2人のおかげですね。うれしいしありがたい。道中はしゃくられないように内を締めながら。松浦が来たから張って内もこられないようにと。平原さんが伸びていったから、自分も付いていけた。最後に差せたのはオマケみたいなもの。平原さんの方が車間空けたりまくったりって脚を使っていた」
 番手まくりの平原康多が2着に入り、関東ワンツーが決まった。
 「長島がすごくいいペースで駆けてくれて。後ろも仕掛けにくかったと思います。4番手は松浦か浅井のどちらかだと思ったので、それにどう対応するかでしたね。もうワンテンポ待てる感じじゃなかったので踏みました」
 3位入線の松浦が失格したことで松井宏佑が3着に繰り上がり、GI初優出を果たした。
 「特別の決勝に初めて乗れましたけど、内容が全然ダメ。今まであそこまで大きなスタートけん制が入ることがなくて…。誘導員に追いついたのが残り3周切ってて脚が整わなくて苦しかった。ゴールまでガムシャラに踏みましたけど、自分だけになってしまって申しわけないです」

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新田祐大選手
新田祐大選手
 赤板過ぎに切った古性優作を岩本俊介が、打鐘の3コーナーで叩いて逃げる。6番手から山田英明、3番手を確保した古性がまくりを放つが、8番手に構えていた新田祐大(写真)が、大外を異次元のスピードで駆け抜けた。
 「受ける立場として前で勝負しようと。(道中は)勝負するまでが難しいスピードだった。気持ちよく踏むことができる自分の出番がきてからガムシャラに踏んだ。道中は後ろから見ていて、前の選手の苦しさが伝わる自転車の動きが見えたので、そこを乗り越えようと。脚の感じが最高にいい。明日(決勝)はさらに良くなるように調整したい」
 稲川翔は、山田のまくりを止めてから前の古性を交わして2着。
 「(古性とは)日ごろからこういう舞台を想定して練習していて、いつもの練習でしていることがこういう舞台で出せてうれしい。全面的に信頼していた。(古性)優作の動きを見て自分がどうすればいいか、2人で決勝に乗りたい気持ちがかみ合った。(GIの)準決勝は全員が勝負しにくるし、1ミリも隙のない状態で挑んだ」
 3着の古性優作は、位置を取ってから仕掛ける自身の身上としているレースで魅せた。
 「1回レースを動かしてからでした。新田さんは仕掛けが早いし、ヒデさん(山田)も早い。自分が先に仕掛ければチャンスあると。(後ろを)見る余裕はなく、自分のタイミングでした。岩本さんの掛かりは良かったが、自転車は進みました。(新田は)見えていなかったし無我夢中でした」