『第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 最終日編

配信日:11月24日

 グランプリをかけた最後のGI。北九州メディアドーム・小倉競輪場で開催された「第62回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、23日に最終日が行われた。S級S班の3人を含めて、ロングランシリーズを勝ち抜いた9選手による決勝で主導権を握ったのは松井宏祐。番手の郡司浩平が自力に転じて、平原康多らの強襲を退けてV。念願のGI初制覇で優勝賞金3450万円(副賞含む)を手にして、年末の地元、平塚競輪場で行われるグランプリをタイトルホルダーとして出場を決めた。また、今シリーズで賞金争いもピリオド。「KEIRINグランプリ2020(GP)」に出場する9選手が決定した。

決勝レース出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 号砲で新田祐大、古性優作、平原康多の3人が飛び出す。結局、最内枠の新田がスタート争いを制して前を取り、2番手になった平原は鈴木庸之を迎え入れて、鈴木-平原-諸橋愛の関東ラインが2、3、4番手。古性-稲川翔の大阪コンビが5、6番手で、松井宏佑-郡司浩平-和田健太郎の南関ラインが後ろ攻めで隊列が落ち着く。
 青板過ぎから松井が徐々に前との車間を空けはじめる。鈴木も後続を警戒して新田との車間を空けると、先に古性が動いて赤板の1コーナーで新田を押さえて先頭に立つ。そこを松井が一気に叩いて2コーナーで先行態勢に。しかし、南関ライン3番手の和田は離れてしまい、古性が3番手を奪取する。後方になった鈴木は打鐘から追い上げて古性の横まで行くが、最終2コーナー手前から郡司が番手まくりで応戦。同時に、鈴木の後ろから平原も自力に転じてまくり出す。徐々に平原が郡司に迫って4コーナーを回ったが、郡司のスピードは鈍ることなく、そのまま平原を振り切って初タイトルをゲットした。2着に平原が入り、直線で激しくやり合った古性と諸橋に代わって外を伸びた稲川が3着でゴールした。

<6R>

坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
 中団の鈴木竜士が清水裕友をけん制しながら上がると、単騎の椎木尾拓哉が内を進出して九州コンビに切り替える。松川高大がそのままペースを上げて逃げる。清水は一本棒の7番手。清水、鈴木のまくりに松川との車間を空けた坂本健太郎(写真)が、詰めながらまくり気味に追い込んだ。
 「清水君が先行なら鈴木君は番手だろうと思ってたんですけど。清水君が押さえそびれた感じですかね。(自分たちは)2車だし仕事をしたらしゃくられるっていうのがあったんで、それよりもタテに踏んだ方がと。(1着で)ひと安心です」
 鈴木マークからコースを縫って追い込んだ阿部力也は3着。
 「(鈴木)竜士が頑張ってくれた。内が空いてたけど、ちょっと待ちすぎた。欲を言えば2着までいきたかった」

<8R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 赤板過ぎに松谷秀幸が切って出るが、山田英明の動きに合わせて野原雅也も踏み込む。山田を突っ張るように野原が主導権を握り、山田は畑段嵐士との併走。後方でじっと脚を溜めていた渡邉一成(写真)は、最終1センターから仕掛ける。山田もまくりを打つが、渡邉がスピードの違いでのみ込んで1着。
 「ジャン前がめちゃくちゃキツかった。(打鐘の)4コーナーで踏み込んだけど、野原君が踏み込んだから(待った)。展開的には自分の先行をみんな待つ形ではあった。でも、(結果的に仕掛けを)待って良かった」
 一瞬、踏み出しで遅れた和田圭だったが、しっかりと2着をキープした。
 「(打鐘の)4コーナーのところで(渡邉)一成さんは行くかと思ったけど。とにかく強かった。(準決の新田祐大との連係を含めて)自分も脚を上げれば活躍できるのがわかった」

<9R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板過ぎに先頭に立った取鳥雄吾は打鐘過ぎからハイピッチで飛ばす。前受けから下げて8番手になった深谷知広(写真)は打鐘前から巻き返すと、口が空いていた5番手でひと呼吸。単騎まくりの山田庸平、バックから合わせて出た岩津裕介で踏み合う上をラストの直線でごぼう抜きにすると、師匠の金子貴志とワンツーを決めた。
 「本当にうれしいですね。形はどうあれ2人で決めたかった。着もそうですけど昨日(準決)がああいうレースになってしまったので、何でもいいから思い切り行きたかった」
 金子貴志がぴったりと続いて、師弟コンビでワンツーが決まった。
 「深谷が落ち着いていましたね、ジャンで行ってしまうかと思いましたけど。バックからの加速がすごかったですね。あれを差せていたら自力で戦っていますよ(苦笑)」

<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 岩本俊介を制した高橋晋也が、ハイペースで駆ける。3車の北日本勢に東口善朋まで続いて、吉田拓矢(写真)は5番手。外に浮いた岩本は最終ホームで力尽きる。2コーナーから吉田がまくって出ると、菅田壱道も番手発進。が、吉田のスピードが良く、菅田をのみ込んでシリーズ初白星を挙げた。
 「先行選手としての勝負ができなかった。(中団飛び付きの)あそこはなんとかしのげました。南関と北日本でやり合って(菅田)壱道さんもキツかったんだと思う。昨日(5日目)が踏んだ感じが良かった。どんどん良くなっている感じで、最初からこういう感覚で入れれば。調整がヘタだった」
 菅田壱道は、吉田を合わせ切れず2着。
 「(高橋)晋也は2周フルモガキだし、1回緩めれば良かった。(番手から早めに)出なきゃいけなかったけど、俺もキツかった。あんだけみんなが脚を使っているなかでヨシタク(吉田)は強かった」

<11R>

新山響平選手
新山響平選手
 赤板過ぎに先頭に立った新山響平(写真)は、別線の巻き返しを確認した打鐘過ぎ2センターからペースアップ。和田真久留の最終2コーナーまくりをけん制してゴール前迫って来た佐藤慎太郎を末良く振り切った。
 「(赤板過ぎに)意外に稲垣(裕之)さんに踏まれましたけど、前に出て(和田)真久留さんが来たのが見えてしっかり踏みました。中団に入ったのがわかったのでペースに入れて回しながら慎太郎さんのヨコまで来たら踏み直そうと。(佐藤慎を)全面的に信頼しているので。今日(最終日)は3.93のギアを初めて使ったけど感触が良かった」
 和田のまくりを止めてゴール前迫った佐藤慎太郎だったが逆転はならず。
 「(新山)響平も強かったけど、抜くタイミングを計っているときに真久留が来て止めたらタイミングがずれて(新山に)差し込んだ。響平の後ろはなんか苦しいね。ワンツースリーだったから良かったけどさ。差せなかった」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 中団5番手から先に切った古性優作を松井宏佑が打鐘前2コーナーで一気に叩く。3番手に古性が飛び付き、鈴木庸之の巻き返しは3番手の外でいっぱいになるが、郡司浩平(写真)は最終2コーナーから迷わず番手まくり。鈴木を捨ててまくり上げてきた平原康多の追撃を振り切ってGI初優勝を飾った。
 「すごいうれしいですし、ホッともしましたし、引き締まる気持ちもあって複雑な感じですね。(松井が)どこから行くのかピリピリしていましたけど、あいつのペースで踏み上げていって出切ってからは安心していました。ヨコに振るのかタテに踏むのか迷いもありましたけど2コーナーで立ち上げていけたのが良かったのかなって。正直、後ろに誰がいるのかわからなかったですけど、和田(健太郎)さんがいると信じて踏みました」
 最終2コーナーから自力に転じた平原康多も、ゴール前で郡司に詰め寄ったが、郡司には2分の1輪及ばなかった。
 「古性に先に切られてしまって厳しくなりましたよね。チャンスだったんですけど、もういっぱいでした。ずっと外併走で苦しかった。古性を越えて、郡司まで見えたけどいっぱいだった。でも、今の力を全て出し切れたと思うので悔いはないです。本当に郡司が強かったんで」

次回のグレードレースは12月3日~6日の日程で、別府競輪場にて別府競輪場開設70周年記念オランダ王国友好杯が開催されます。
S級S班からは、松浦悠士、中川誠一郎の2名、その他にも浅井康太、岩本俊介、古性優作 、諸橋愛、菅田壱道ら各地区の実力者が揃っています。
11月24日時点の出場予定選手データを分析した別府競輪場開設70周年記念オランダ王国友好杯の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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