『第63回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 2日目編

配信日:11月20日

 グランプリをかけた最後の戦い。北九州メディアドーム・小倉競輪場で開催されている「第63回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、2日目が行われた。一次予選1と2走目の一次予選2で熱戦が展開され、2日目を終えた時点では新田祐大がただひとり連勝を飾った。また、「ガールズグランプリ2021トライアルレース」の予選2でも見ごたえのバトルが展開された。「アメジスト」、「トパーズ」の決勝進出の7人が出そろった。11月20日の3日目に残りの一次予選2、また「ガールズグランプリ2021トライアルレース」では2つの決勝が行われる。そしていよいよ「ガールズグランプリ2021」に出場する7人が決定する。
 開催中、小倉競輪場では、場内のお客様が5000人を超えた場合は入場制限をさせていただきます。北九州市の施設、イベントに関する基本方針をふまえた感染症拡大防止へのご協力をお願いします。また、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 山口拳矢、森田優弥の順番で出て野口裕史の主導権かに思われたが、野口は赤板2コーナー手前でインに切り込んで詰まる。結果的に森田の主導権で打鐘を通過する。3番手の外併走から仕掛けた野口は不発で、山口は永澤剛とからむ。もつれを冷静に見極めた北津留翼(写真)が、最終1センターから踏み上げる。スピードの違いであっさり前団を仕留めた北津留が、地元で白星スタートを切った。
 「前を取って(仕掛けて)行けるタイミングがあったら行こうと。野口選手の先行だと思っていたので、そこは考えと違いましたね。自転車は流れたけど、前検日にサドルを下げてのが気になったので、下げた分との間くらいにしたいです。すごい声援をいただいて力になりました。脚は変わらずに普通です」
 北津留の加速力に置いていかれた橋本強だったが、吸い込まれるように2車身差で2着をキープした。
 「野口さんがいるので、他のラインの動きがあって、3番手争いになるんじゃないかっていうのはドンピシャでした。(北津留)翼が踏んだりやめたりしてタイミングが合わなかったので、半ち切れでしたね。ち切れてから我慢できたけど、きっちり付いていきたい」

<2R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板1コーナーで藤井侑吾が勢い良く出て、前受けの深谷知広(写真)が4番手に入る。6番手に山田英明、渡邉一成が8番手でレースは流れる。前団との車間を空けた深谷は、藤井のペースを見極めて打鐘の3コーナーから仕掛ける。最終ホームで叩いた深谷が主導権を奪う。離れ気味の諸橋愛がなんとか付け切り続く。深谷ラインを追って3番手から追い込む山田英明を深谷が振り切った。
 「想定外の場所になりましたけど、そこで落ち着くことなく自分の距離で仕掛けられたのは良かった。相手が同じタイミングで踏み出したのはわかりました。でも、しっかりと踏み切れた。まだ完ぺきじゃないですけど、後ろを確認しながら余裕をもって踏めました。最後は抜かれたかなって思いましたので、押し切れているのでいいと思います」
 最終ホームで俊敏な立ち回りを見せた山田英明が、3番手から伸びて2着。
 「あのスピードで追い上げるのは厳しいと思った。位置は悪くなりましたけど、あそこで勝負かなって。深谷君は絶対に仕掛けると思ったし、行かなければ追い上げてもと。でも、(深谷は)やっぱりさすがでしたね、強いなって。自分が一番脚を使っていなかった。なかなかチャンスはないと思うので1着を取りたかったですけど」

<3R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 稲垣裕之が3番手をキープして、黒沢征治が先行策に出る。松井宏佑を後方に置いて、中川誠一郎が5番手でタイミングを取る。最終1コーナーから中川がロングまくりを放つ。バックで前団をとらえて、続いた小倉竜二が松井をブロックする。空いた中川と小倉の間を守澤太志(写真)が鮮やかに突き抜けた。
 「黒沢君も掛かっていたし、先まくりの中川さんの上を(松井が)行こうとしていたんでピリピリしてました。自分に余裕というより(松井の)あの外は絶対に踏めない。小倉さんがブロックしたんで、すかさず内に行った。今日(1走目)ちょっとセッティングを変えて乗ったんですけど、まだ改善点がある」
 逃げる黒沢の掛かりも悪くなかったが、中川誠一郎が持ち前の力でねじ伏せて前団をのみ込んだ。
 「(5番手から)あそこで行かないと松井君が来ると思ったので、とりあえず(最終1コーナーで)行きました。(感触は)まずまずかなと。(練習での環境の変化もあり)不安はかなりありましたけど。なんとか走り切れたので、ちょっとは解消はしました」

<4R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 赤板の1コーナーで先頭に立った新山響平は、近畿勢を受けると続いた山田庸平(写真)ラインも出させて5番手まで下げる。寺崎浩平が駆けて、一本棒で最終ホームを迎える。3番手の山田は別線の仕掛けを待つことなく、2コーナー手前からまくる。稲川翔のけん制を乗り越えた山田が、直線で抜け出して2着以下をちぎってゴールした。
 「すんなりと3番手を取れて、そこから早めに仕掛けいこうと。思い描いていた通りにできた。(稲川のけん制が)来るのはわかっていたので、タイミングを取りながらいきました。共同通信社杯からフレームを換えて、そこから1回落車をしたけど修正に出して使っている。踏み出しは良くないけど、後半の伸びがいい。その特性を生かせました」
 山田マークの柏野智典は、最終3コーナーでインを突くが詰まって出られない。まくり追い込んだ新山響平が2着に入った。
 「ヨコが強くないので、脚を使って位置を取ろうと考えていた、欲をいえば、(山田)庸平さんのところから欲しかったですね。(山田が)あそこで仕掛けていなかったら、僕が踏み込んでと思っていた。付いていったあとは、雑になって外に浮いた感じだった。それで後ろが付きづらかったのかなと」

<5R>

古性優作選手
古性優作選手
 誘導との距離を取っていた町田太我が、赤板で山崎芳仁を突っ張って前受けからそのまま先行態勢に入る。3番手を古性優作(写真)がキープして、単騎の鈴木裕は打鐘の2センターで内から1車押し上げて5番手。古性は最終2コーナーからまくると、阿竹智史も大きく外に振る。阿竹を内に押し込めるようにしのいだ古性が、直線で逃げる町田をとらえた。
 「(仕掛けたのは最終)1センター、2コーナーですかね。阿竹さんのブロックでちょっとバランスを崩してしまって失速しましたけど、最後にもう一度冷静に踏めた。(前回の)四日市の感じだったらダメだったと思う。(町田が)突っ張らなくても、思っていた展開はありましたし、展開が一番良くなっただけで、ああならなくても自信はありました。近藤(龍徳)君まで決められれば良かったんですけどね」
 町田の逃げを利した阿竹に踏み勝った村上義弘が流れ込んで、近畿ラインのワンツー。
 「もうなにからなにまで古性君がやってくれたので、なんとか追走して2着をキープできて良かった。町田君がかなりハイピッチで古性君はスンナリといってもキツかったと思いますし、強引に行ってくれた。阿竹君がいいタイミングでブロックして、内に気配を感じて締めにいった。なんとかしのげて良かったです」

<6R>

園田匠選手
園田匠選手
 打鐘手前で根田空史が主導権を握るが、7番手の松浦悠士も素早く反応する。反撃に出た松浦は、いったん3番手の長島大介の外まで進出。外併走から最終ホームでまくりを打つ。松谷秀幸がイエローラインを超えてブロック。空いた内を踏んだ園田匠(写真)が、逃げる根田の番手に入り早めに追い込んだ。
 「松浦君が全部やってくれたおかげです。引いたらすぐに行くっていう感じだったのでダッシュに集中していた。(松谷の)1回目のブロックでも((松浦は)乗り越えると思っていたけど、2回目で前輪が掛かってしまったのでいくしかないと。行ったら松浦君がが後ろにいるのはわかってたんで、早めに抜きにいこうと。(4日目のダイヤモンドレース進出は)気にせずに一戦、一戦、戦ってるんで、余裕はない。どこでも一戦、一戦、上向くように頑張るだけです」
 猛ブロックの松谷は押し上げで失格。松浦悠士は、なんとかこらえて園田後位に付け直して流れ込んだ。
 「自信をもって仕掛けようと思ってた。いい時はスイッチしてそのまままくれている。そのイメージで行ったけど、松谷さんの厳しいブロックがあった。それで園田さんが内にいったのが見えたので、早めに踏んでくれと。行き切れなかったけど、(ラインでの)ワンツーが決まったんで良かった。状態はすごく良かったんで修正点はない。ブロックとかあおりを受けても体のバランスが崩れたりとか(ダメージは)なかったので、しっかりと(3日目の1日を)休んで備えたい」

<7R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 先行態勢を取った渡邉雄太のペースを判断して、打鐘の3コーナーから新田祐大(写真)が叩きに出る。さすがのダッシュ力で主導権を奪った新田が駆けて、木暮安由の追走。3番手の渡邉は動けず、中団で山田久徳と香川雄介がからむ。新田は直線でもうひと踏ん張りして、逃げ切りで連勝のゴール。
 「スタートは取れた位置からでした。予想よりも仕掛けた時にスピードが上がっていた。木暮さんはわかったけど、その後ろはわからなかった。自分の仕事をして、あとは後ろに任せて走ったのが、あの結果につながった。今日(2日目)みたいな早い展開で主導権っていうのを今シーズンはやってきた。昨日よりも、今日のようなレースをやってきていた。自分の中で気持ちを前向きにしてレースを組み立てられている」
 中割りの岡村潤はゴール前で落車。新田マークの木暮安由が2着に入った。
 「(新田の)踏み出しが強烈で追走でいっぱいだった。駆け出しはここでいくのかと不意を突かれた。周りを確認する余裕はありました。(最終)4コーナーで新田君が振ったので、岡村さんが突っ込んできたのもわかった」

<8R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 単騎の櫻井正孝だけが誘導を追いかけて、2番手の山本伸一が車間を大きく切る。赤板2コーナー手前から踏んだ皿屋豊が打鐘の2センターで先頭に立つが、その上を取鳥雄吾(写真)がカマす。小川勇介が懸命に取鳥のダッシュに食らいついて、3番手は飛び付いた皿屋と平原康多の併走。取鳥は直線に入ってもスピードが鈍ることなく、平原の猛追を振り切った。
 「(打鐘の)3コーナーでいこうとしたけど、落ち着いて緩んだところを目いっぱい行った。デキすぎで怖いですね。やっと自分の思うようにモガけるようになった。小倉はすごい(相性が)いいですね。大好きです」
 最終バック手前で併走する皿屋をキメた平原康多は、直線勝負で2着。
 「(初日と違うシューズにして)感触はいいと思う。考えているレースにはならなかったけど、臨機応変に対応しました。取鳥君が強いはもちろんだけど、皿屋君との併走で、キメるまでに仕掛けるタイミングが狂った。もっとタイミングを取れていたら、(最終)2コーナーでいけていたんじゃないかな。感触はいいと思うけど、スタートけん制もあって、みんなが苦しかったと思う」

<9R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 4番手の尾方真生が後続を警戒しながら、打鐘の2センターからスパートする。尾方が最終1コーナーで主導権を握ると、後ろは2、3番手までが併走になり隊列が短くなる。じっくりとためた柳原真緒(写真)は、2コーナーからまくり一気。スピードの違いで尾方をとらえた。
 「尾方さんよりも前で戦いたいっていうのもあったんですけど。太田さん、尾方さんがスタートを出たので、レース展開が早くなるかと思って後ろに構えました。車間を切らないとまくり切れないかなっていうのがあったんで、車間を切って冷静に走れました。踏み出した感じからまくり切れると思いました。昨日(初日)の疲れがちょっとあったけど、調子もしっかりと上げられた。明日はもっと良くなるかなと」
 尾方真生は連日の先行策。柳原にのみ込まれたが、あとの5人を退けて2着に残った。
 「(周回中の)あの位置なら自分で仕掛けるしかないかなと。(自分の感じは)初日と変わらずに普通だと思います。ちょっと(柳原が)強かった。1人にいかれたけど、あとは冷静に最後の4コーナーから踏むだけだと。そこはしっかりと踏めました」

<10R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 6番手の吉岡詩織が打鐘の3コーナーから仕掛ける。中嶋里美が続くが、合わせて踏んだ児玉碧衣(写真)が、2番手を奪取する。その後もスピードを殺すことなく、スムーズに最終2コーナーからまくってひとり旅。力の違いを見せた。
 「吉岡詩織さんが駆けるだろうと思って踏み出したら、それに合わせて番手を取る感じで駆けようと。(最終)ホームで踏んだり、やめたりを繰り返して余力が残っていなかった。まくりにいった時に脚にきていたのが反省ですね。昨日(初日)と比べて重たい感じがする。疲れが取れてくれば、もっとタイムも出るかな。今日は長めにケアをしたい」
 周回中に児玉後位にいた小林莉子だったが、最終ホームで児玉を追い切れない。それでも冷静な立ち回りで、大久保花梨との併走から2着に伸びた。
 「初日が5着だったんで今日は(決勝進出するには)2着以内なので、一番いい位置を狙おうと。児玉さんが踏んでいって付いていって、3車併走のなで危なかった。一瞬の隙を突いて、位置を取り直しました。児玉さんの力が抜けすぎていて、自分がいいか、悪いか、わからない。すごくいいわけではないが、徐々に良くなっている」

<11R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 打鐘を過ぎても動きは見られず、5番手にいた高木真備を警戒しながら、3番手の梅川風子(写真)が4コーナーから踏み出す。果敢に風を切った梅川は追走した石井貴子、まくる高木を完封しての逃げ切り勝ち。
 「(初手の位置は)どこからでも考えていたけど、やりやすい位置だった。自分の感覚とタイムがかなり差がある。小倉バンク特有かなっていうのもあるんで、その辺も考えて(決勝を)走りたい。今日(2日目)の方が感覚は良かった。自分の練習してきたことをレースで出すっていうのが、最低限の目標だった。それができたことは良かった」
 最終2コーナーからまくった高木真備は、好スピードで梅川に迫るも、梅川の踏み直しに2着が精いっぱい。
 「昨日(初日)と同じ感覚で、(周りが)行かないなら行く準備をしていた。(そしたら梅川が)行ったのでまくりに構えました。ちょっとキレがなかった。明日、ひとつ修正できるところがあると思っているので、そこにかけて臨みたい。チェーンまわりですね」

<12R>

奥井迪選手
奥井迪選手
 4番手でタイミングをうかがっていた小林優香が、打鐘の4コーナーからダッシュを利かせて踏み込む。2番手で車間を取っていた奥井迪(写真)も、合わせて出る。しかしながら、小林がスピードの違いで先頭に立ち駆ける。奥井は狭いコースを怯むことなく踏んで、小林の番手に飛び付く。2番手で石井寛子と併走になった奥井は、最終3コーナーで小林が空けたインをまくって勝負駆けで勝ち星を挙げた。
 「車間を詰める勢いで(最終)ホームで行こうと思ってたんですけど、一瞬ちゅうちょして(小林)優香さんに行かれた。焦ってしまった。そこしか行けなかったので、しっかりと(小林の)番手に飛び付こうと思った。(そのあとは)意外と余裕があって、自分でもそこはビックリしてます。一瞬、空いたところを行けたので、落ち着いて走れているのかなと。内に行ってからも自転車の流れもすごく良かった。脚の感じは悪くないのかと」
 先行の腹を固めていた小林優香は、積極策でレースを支配したが、インを空けたことが大きく響いた。
 「今日(2日目)はしっかりと先行しようって決めていたので、プラン通りいったと思います。踏み出しも良かった。けど、踏み上がり切るところで、内からすくわれてしまった。その点は反省もあります。昨日がまくりで、今日は先行して、脚の感触を確かめて1、2着でこられている。(決勝は)しっかりと修正して1着を取りたい」