『第63回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 3日目編

配信日:11月21日

北九州メディアドーム・小倉競輪場で開催されている「第63回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、3日目を迎えた。一次予選2が行われ、宿口陽一、山田庸平、浅井康太が2連勝して23ポイントで勝ち上がった。また、「ガールズグランプリ2021トライアルレース」は、「アメジスト」、「トパーズ」の決勝で児玉碧衣、小林優香の地元勢が優勝を飾った。これで12月28日に静岡競輪場で行われる「ガールズグランプリ2021」に出場する7人が決定した。
 開催中、小倉競輪場では、場内のお客様が5000人を超えた場合は入場制限をさせていただきます。北九州市の施設、イベントに関する基本方針をふまえた感染症拡大防止へのご協力をお願いします。また、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

11R ガールズGPトライアルB(アメジスト) レース経過

 互いに見合って横並びのスタートから永禮美瑠が出て行く。永禮、大久保花梨、小林莉子、柳原真緒、高橋梨香、尾方真生、児玉碧衣で隊列はまとまって周回を重ねる。赤板を過ぎて永禮、柳原が徐々に前との車間を切っていく中、誘導退避の打鐘手前で尾方がまず1車上げて仕掛けのタイミングを窺う。3コーナーで尾方が踏み出すと、合わせて柳原もダッシュ、永禮も踏み上げて一気にペースが上がる。腹をくくって先行勝負に出た永禮に尾方が迫った最終2コーナーで2番手にいた大久保がまくりで応戦。初手の並び通り尾方に続いてきた児玉はバック手前からスパートし、永禮、大久保、尾方で3車併走の外をバックで難なく乗り越えて先頭に。尾方、児玉を行かせてホームでその後位に切り替えていた柳原が児玉を追う。そのまま直線に入り、懸命に詰め寄る柳原を退けて児玉が優勝を飾った。終始、柳原の後ろにいた高橋が2人に引き離されながらも3着に流れ込んだ。

12R ガールズGPトライアルA(トパーズ) レース経過

 号砲で石井寛子、奥井迪が出る。石井寛が前に奥井を入れて、奥井、石井寛、小林優香、南円佳、梅川風子、石井貴子、高木真備で周回。赤板で石井貴が単独で上げてくる。石井貴が奥井の前に入ったところで打鐘を迎えて誘導は退避。石井貴を先頭に最終ホーム手前まで来ると、奥井がダッシュ。奥井の先頭に代わり、石井寛が追走。石井貴が3番手に飛び付き、奥井、石井寛を追わなかった小林は4番手で態勢を整える。石井貴がいっぱいになって前に遅れだした1センターで小林が発進。バックで前の2人に追い付いた小林はそのままの勢いでのみ込みにかかって、抵抗する奥井を直線半ばでねじ伏せた。奥井の仕掛けに合わせて最後方から踏み出した高木が小林後位に追い上げる格好で続いていたが、追撃を許さなかった小林がV。

<1R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 前受けの眞杉匠が上昇した中川誠一郎を阻んで先行態勢を取る。3番手を三谷竜生をキープして、深谷知広はいったん5番手に入り打鐘の2センターからスパートする。近畿勢のあおりもあって、佐々木雄一は付け切れない。車間が空いた番手で、眞杉が深谷を追いかける。逃げる深谷との距離を詰めた眞杉の外を伸びた鈴木竜士(写真)が、わずかに交わして1着。
 「もうジャンからヒィーヒィーでしたけど、全部気持ちでカバーしました。いまは人の後ろで頑張りたいって気持ちでいるので。流れはいいですね。1着が取れたのは素直にうれしいですし、自信になります」
 深谷に主導権を奪われた眞杉匠だったが、スピードを上げて番手に飛び付く冷静な立ち回り。後続との間合いを計り、車間を詰めて追い込んだ。
 「初日の感じが良くなかったので、今日(2走目)はいつも通りの競走をしようと思っていました。1回(打鐘の)バックでモニターを見てペースに入れた。突っ張ろうと思っていたんですけど、気づいた時には(深谷が)横まで来ていましたね。相当、掛かっていました。詰めていくつもりでしたけど。初日はセッティングが全然、出ていなくて、昨日(2日目)ずっといじっていて今日は良かった。でも、もう少し煮詰めていきたい」

<2R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 主導権を握った野口裕史は、赤板2コーナー手前から寺崎浩平が襲い掛かるとペースを上げる。寺崎は3番手の山田英明の再三のけん制で、最終2コーナーで力尽きる。後方で脚をためていた宿口陽一(写真)がまくり、山田も懸命に合わせるが宿口のスピードが断然。4コーナーで逃げる野口をとらえた宿口が一次予選を連勝。
 「車番が悪かったので、ちゃんと切ってから山田さんを出させてからでしたね。それがはまった。野口さんと寺崎君が思った以上にやり合ってくれた。あとは仕掛けどころを逃さないように山田さんとのまくり勝負で踏み勝てて良かった。(連勝は)素直にうれしいですね」
 武藤龍生が流れ込んで埼玉ワンツー。汗をぬぐい、同県の先輩をたたえる。
 「前が(宿口)陽一で信頼しかなかった。すべてお任せです。後ろから見ていて余裕がありそうだったので、自分が離れなければいけるかなと。連日、森田(優弥)、陽一さん(と一緒)だったので、同県で良かったなと。今年最後のGIなので1走1走、全力で頑張りたい」

<3R>

新山響平選手
新山響平選手
 黒沢征治が叩いて主導権。新山響平は3番手に引いて、黒沢ラインを追うのをやめた浅井康太は一本棒の7番手。後方に置かれた浅井は、最終ホーム手前から踏み上げて前団に襲い掛かる。3番手から新山が合わせて出ると、浅井は冷静な判断で北日本勢に付け直して直線でシャープに追い込んだ。
 「(赤板の)ホームでちょっと見てしまった感じです。しっかりと中団を取り切って、黒沢君に付いていって、新山君の横で勝負するという自在の走りをすれば良かった。けど、(黒沢が)合わされたかなというペースで踏んでいったんで、浮いたらダメだし、無駄脚を使うよりはと思って引いた。太田(竜馬)君がすんなり中団で厳しいかと思ったけど、太田君の動きを見て早めに仕掛けようと思った。新山君の動きを見てまくりにいって、新山君がいいスピードでまくったので切り替えてもう1回、直線勝負の形をとりました」
 先行争いも十分に考えられたメンバー構成だったが、新山響平(写真)は3番手からのまくりで2着。
 「(黒沢を出させてから)1回緩んだので後ろを確認したら、浅井さんの影が見えて焦って踏んだ感じですね。タイミングを取れていなくて、本当は(最終)2コーナーから行ければ良かったんですけど。なんとかギリギリ前に出られて良かった。浅井さんの自力がすごかったですね」

<4R>

金子幸央選手
金子幸央選手
 赤板手前で佐々木悠葵に押し込まれた岩本俊介は、7番手に下げて立て直す。岩本が2コーナー手前から仕掛けて、佐々木も合わせる。2人の踏み合いになったが、金子幸央(写真)は連結を外す。主導権を握った佐々木に岩本、守澤太志が続く。最終ホーム過ぎに反撃に出た山口拳矢だったが、守澤のけん制で落車。佐々木の番手から岩本が出て、金子は3番手で車間を空ける。間合いを取った金子は、4コーナーから踏み込んで突き抜けた。
 「(佐々木との連係を外したのは)僕の追走技術の甘さだったり、弱い部分ですね。佐々木君に付いていかないといけないけど、口が空いてしまった。反省してます。佐々木君が前で頑張っていたんで、どうにか車間を空けてと思ってたんですけど。佐々木君もキツそうだった。後ろが来るんじゃないかと焦ってしまった。脚にはある程度、余裕がありました。(2走して)GIはすごくレベルが高いなって感じる。でも、今日(3日目)1着を取れたので自信になります」
 単騎の福島武士は終始、関東勢をマーク。金子に流れ込んで2着でポイントを加算して二次予選Bに進出した。
 「(最終)ホームでバックを踏んでキツかった。あとは金子君が後ろを確認していたので、早く行ってくれって思ってました。(補充以外でのGIは)初めてです。補充とは違う緊張感がありますね。動きが全然、FIと違うので、そこをちゃんと対処していきたい」

<5R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 稲川翔が打鐘手前で切って出た上を中部勢が出て、竹内雄作の先行策。6番手の吉田拓矢(写真)は、車間を詰めながら最終バック手前からまくる。柴崎淳も2センターから踏み込む。が、外の吉田が伸び切って1着。
 「打鐘で稲川さんを出させて6番手でキツいと思ったが、自転車が進んでくれて1着を取れた。とりあえず1回出させて、北津留(翼)さんより先に仕掛けていけたので良かった。踏み込んだのは(最終)2コーナーで詰める勢いでした。自転車がいいのか、道中も楽だった。新車がいいし、今年のなかでも上位に入る状態です」
 竹内の先行を利した柴崎淳は、後続を引きつけて踏み込むも2着。吉田には踏み負けた。
 「僕は前回、(竹内)雄作は今回落車していて本調子ではないライン。車番も悪くて、前からがベストだと思って、前を取れて結果、正解なのかな。雄作もタレてきたし、音もしたので踏んだ。本調子ではないけど、競輪祭は昨年出ることができなかったし、今年は出ようと走るからには強い気持ちで来た」

<6R>

森田優弥選手
森田優弥選手
 藤井侑吾が主導権を握って、3番手に森田優弥(写真)、4番手が和田真久留と単騎の2人が続く。一度、5番手まで押し上げた清水裕友が打鐘の4コーナーから仕掛ける。しかしながら、森田に合わされて不発。抜群のスピードでまくり切った森田が後続をちぎって快勝。
 「先行ラインがそこ(中近勢)だと思ったので、リスクはありますけどそこにいようと。踏み出しは思い切っていって、三谷(将太)さんにやられないようにと。気持ちの面でも、脚の面でもすごくいいと思います」
 三谷のけん制もあって、森田に遅れた和田真久留は、ブロックを乗り越えて2着に入った。
 「初手は近畿の後ろが良かったんですけど、森田君も車番的にそこが良かったみたいでその後ろからという形になりました。要所、要所での判断が遅れて、迷ってしまって無駄脚を使ってしまいました。基本的に自分で仕掛けようと思ったんですけど。森田君も反応できるのかなって感じでしたし。初日より1日休んで重い感じがしました」

<7R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 スタートけん制が大きく響いて隊列が整ってすぐに赤板を迎える。先行態勢の菊池岳仁を小川真太郎が打鐘の2センターで叩いて駆ける。中四国ラインに神山拓弥が切り替えて、野原雅也のまくりは柏野智典(写真)の横まで。柏野が野原をけん制して追い込んだ。
 「(後ろに神山が入ったのは)わかってました。だから、(野原を)あんまり大きくもっていくと、神山君が入ってくるかと。(スタートけん制で)みんなキツかったと思うけど、そのなかで僕らも脚を使っているようで、(あまり)使わないで先頭に立てた。昨日(1走目)は連係を外したんですけど、ちぎれたというより自分の判断ミスだった。今日(3日目)はラインでしっかりと走りたいっていうのがありました。自転車と体は問題ないです」
 菊池が叩かれて、神山拓弥は中四国勢後位にスイッチする。直線では狭いコースを踏んで2着。
 「菊池君は気持ちも入ってましたし、これからの選手ですから。いろんな舞台を経験していけば、もっと強くなると思います。菊池君も(小川に)行かれてるなかで突っ張ってたんで、迎えれてもキツいかなと。(3番手に切り替えるのは)シビアな判断でしたけど。柏野さんの後ろに入ってからは余裕はありましたけど、外は…。柏野さんも動いていたんで、もう(踏むコースは)中かなと」

<8R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 橋本強との息が合わず石原颯が、ひとりで福島勢を叩いて先行策に出る。番手に高橋晋也がはまるも、4番手の郡司浩平が最終ホームから仕掛ける。郡司が2コーナーで出切るが、後方からまくった山田庸平(写真)のスピードがいい。山田がゴール前で郡司をとらえた。
 「(仕掛けたのは最終)1コーナー、1センターくらいですね。3番手が空いていたのでなんとかなるかなって。踏み出しは半信半疑でしたけど、バックを踏まずに外を踏んで力勝負ができた。昨日(1走目)も今日(3日目)も後半が伸びてくれているのでいい感じですね」
 郡司浩平は、最終ホームからのロングまくりで二次予選Aに進んだ。
 「ジャンで石原君が1人でいった。高橋君が追いつく前に仕掛けたかったですね。(渡邉)一成さんがタテに踏むのが嫌だった。1走目は力を出せず大敗したので。今日はしっかりと仕掛けようと。2着で人気には応えられなかったですけど、勝ち上がることを前提に」

<11R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 1番車の児玉碧衣(写真)だったが、周回中は最後方にポジショニング。慌てることなく6番手の尾方真生の仕掛けに続く。尾方と2番手から出た大久保花梨で踏み合いになると、児玉は2コーナーからまくって、3車併走のさらに外を力の違いでのみ込んでV。記録を更新を続ける連勝を28まで伸ばして、完全Vでシリーズを締めた。
 「柳原さんか、(尾方)真生が仕掛けるっていうのを頭に入れていて、その2人が自分の前にいた。それで2人がやり合うのを見て、隙を見て動ことうと決めていた。3日間、(上がりタイム)11秒台っていうのは自信になった。連勝はかなり意識をしていて、次の武雄を3連勝して、グランプリを勝って4連覇での400勝がハッキリとした目標。それをかなえるために、頑張ります」
 勝負どころでかぶった柳原真緒は、最終1センターで児玉後位を追走する。直線で追い込んで半車輪まで詰め寄ったところがゴールだった。
 「(周回中は)尾方さんよりも前にいたかった。後ろは見ないように合わせて出たかったけど、立ちこぎして進まなかったですね。自力を出し切れなかった部分があります。普段、差しをしない分が出たのかな。踏まずに車間を切って詰める勢いでいきたかった。(児玉)碧衣さんが強かったです」

<12R>

小林優香選手
小林優香選手
 東京五輪にも出場して、ナショナルチームの活動でガールズケイリンの出場機会が少なかった小林優香(写真)は、獲得賞金でのグランプリ出場の望みはない。ここで勝つしかなかった小林が、4番手からのまくりで逃げる奥井迪をとらえて優勝。一昨年以来、4回目のグランプリ出場を決めた。
 「とくに今回のメンバーは自力型が多かったので、立ち遅れないようにということで中団(3番手)の位置が取れたのは作戦通りです。前と車間をたもちながら、(打鐘の4コーナーで仕掛けた)奥井さんのスピードを一気にもらいながら行けたのが勝因だと思います。今日は落ち着いてレースに臨んでましたし、周りの動きがしっかりと見えたなかでいい走りができたんじゃないかと。後ろに(高木)真備だったり、(梅川)風子さんがいたのもわかったんですけど、最後までスピードを落とすことなく踏めました。地元ですし、優勝を決めたいっていう思いで臨んでたんでゴールまでしっかりと踏み切ろうと。今年は競技の日程がないので、しっかりグランプリに向けて仕上げたいのと、グランプリのチケットが取れたのはうれしいです。2021年、1つの大きなイベント(東京五輪)が終わって、悔しいままで2021年を終えるのは本当に嫌でした。このチャンスをモノにして2021年のグランプリを勝って、2021年が本当に良かったって締めくくれるように。まずは出場権をもらったので、しっかりグランプリに向けて頑張りたいです」
 打鐘の4コーナーで7番手から仕掛けた高木真備は、小林のまくりにスイッチして追いかける。追い込み勝負で逆転を狙ったが、小林を脅かすまでには至らなかった。
 「後ろになっていまいましけど、前も仕掛けていくと思った。そこは冷静に周りを見られていたと思います。(小林)優香さんを追いかける感じになって、最後に追い込めたら良かったんですけど強かったです。(グランプリまで)あと1ヵ月あるのでしっかりと練習して、リベンジできるように頑張ります」