『第63回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 4日目編

配信日:11月22日

 グランプリをかけた最後の戦い。北九州メディアドーム・小倉競輪場で開催されている「第63回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、11月21日に4日目が行われ、シリーズも後半に突入した。メインの「ダイヤモンドレース」では、ライン3番手のホームの園田匠がシャープに伸びて1着。正念場の準決に弾みをつけた。また、二次予選ではAに出走した北津留翼が逃げ切って、ホームバンクのファンの声援に応えた。11月22日の5日目には、今年最後のGIのファイナルのキップを巡り、準決で見ごたえのバトルが繰り広げられる。
 開催中、小倉競輪場では、場内のお客様が5000人を超えた場合は入場制限をさせていただきます。北九州市の施設、イベントに関する基本方針をふまえた感染症拡大防止へのご協力をお願いします。また、「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

ダイヤモンドレース レース経過

 号砲で宿口陽一、古性優作が飛び出すが、宿口が誘導員の後ろを占めた。したがって吉田拓矢-宿口の関東勢が正攻法。これに単騎の古性、浅井康太が続く。5番手に取鳥雄吾-山田庸平-園田匠の西日本勢が入り、単騎の新田祐大、和田真久留が8、9番手。
 赤板前の2センターから取鳥が踏み上げる。赤板で取鳥が吉田に並びかけると吉田は突っ張ったが、取鳥も譲らず吉田は2コーナーで車を下げた。打鐘は取鳥-山田-園田の西日本勢に古性が続き、その後ろはイン吉田、アウト新田で併走となり、以下は宿口、浅井、和田で通過。吉田が車を下げなかったため新田は最終ホームでスパート。新田が前団に迫ると、最終2コーナーから山田が番手から自力に転じる。合わされた新田は3コーナーで失速し、園田、古性が山田に続く。直線は前3車の争いに絞られたが、園田が鋭く伸びて1着。園田に続いた古性が2着で、山田はやや末脚を欠いて3着。





<6R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 赤板1コーナーで3車の福島ラインがじわりと出て、柴崎淳が4番手、中川誠一郎が6番手に続いて、前受けの松井宏佑が後方まで下げる。先行態勢を取っていた高橋晋也は、松井が巻き返した打鐘の3コーナーから合わせて踏み上げる。松井は不発。中団の柴崎が最終2コーナー手前で外に持ち出すが車は出ず、村上博幸がインを進出する。番手で絶好の渡邉一成(写真)は、3コーナーから踏み上げて1着も反省の弁で振り返る。
 「(高橋が)駆け出すまでは、踏み出しに集中していました。松井君が踏んでいるのが見えましたけど、(高橋)晋也君の掛かりが良かった。その気持ちを無駄にしないようにしないといけなかった。けど、自分の技術不足でバックを踏んでしまって、村上さんに入られてしまいました。1着ですけど本当に反省しかない」
 柴崎の余力を確かめて最終2コーナーで内に進路を取った村上博幸は、山崎芳仁を内からさばいて2着に追い込んだ。
 「昨日(3日目)の落車は左半身の打撲と軽い擦過傷でしたね。フレームが潰れてしまったのが痛いですね。練習で使っていた新車に換えたんですけど違和感しかなかった。柴崎君が一番スピードがつくところでいってくれましたけど、行けないと判断した時にもう踏むしかなかった。4番手にスイッチしようと思ったら内が空いた」

<7R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 赤板2コーナーで先頭に立った野原雅也は、すかさず反撃に出た岩本俊介を突っ張って駆ける。村上義弘が遅れて、3番手に入った阿部力也、竹内智彦の追走で岩本は最終ホーム過ぎに後退。6番手の野田源一が2コーナーからまくると、稲川翔(写真)は3コーナー過ぎから早めに追い込んで1着。
 「後ろを確認して村上さんじゃないのはわかったが、(野原)雅也がしんどそうだった。村上さんにもチャンスがあるように、1着を取れるように踏んだ。自分だけになったのは、判断が悪かったんだと思う。(一次予選2を自分でやって)状態を確認できた。それをふまえたレースをしていかないと。押し切れて1着はホッとしたというか、そこは明日(準決)につながる」
 岩本が合わされ、阿部力也は竹内のアシストもあって稲川後位に入る。野田に乗った小倉竜二が切り込むと、阿部は直線で内を踏んで2着。
 「(岩本が)いいスピードだったけど、野原君が強かった。先に降りようと思ったら、タイミングがずれて竹内さんに入れてもらう形になった。入れてもらったし、仕掛けられれば良かった。けど、稲川さんの後ろで仕掛けられずに、内しかないって感じでした。今日(4日目)は恵まれました。自分は何もしていないけど、余裕はあったし脚は悪くない」

<8R>

佐々木悠葵選手
佐々木悠葵選手
 前受けの関東勢は、赤板過ぎにまずは吉田敏洋を突っ張り、眞杉匠は誰も出させる気配がない。町田太我は7番手。5番手の三谷竜生が打鐘過ぎから仕掛ける。三谷のさらに上を叩きに出た町田は、最終1センターでいっぱい。眞杉が主導権をキープして、三谷は番手の佐々木悠葵(写真)を押し込むが、佐々木がしのいて眞杉に続く。最後は吉田のまくりも退けて、関東コンビが上位を独占。佐々木が眞杉を交わしてGI初勝利を飾った。
 「(番手だったので)すごい緊張しました。(三谷とからんだところは)どうかなって感じがあったんですけど、(ラインの)3番手がいないので受ける形になりました。(GI初勝利は)もう眞杉君のおかげです。セッティングもやっとちゃんと出てきた感じです」
 細切れの4分戦で2車のラインながらも、眞杉匠は前受けから3つのラインすべてをシャットアウト。抜群のレース内容で2着に粘り込んだ。
 「昨日(3日目)突っ張り切れなかったんで、今日こそと思ってました。もう残り1周からは前しか見てなかったです。昨日のレースと比べて、反省点をしっかりと修正できているかなと。ハンドルとサドルを微調整して走ってみて、それでワンツーだったんでいいかなと。初日の感じだとどうなっちゃうんだろうと思ったけど、今日の感じだと大丈夫です」

<9R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 打鐘で松浦悠士が渡邉雄太を押さえて出る。小松崎大地(写真)はちゅうちょすることなくその上を踏み上げると、松浦は小松崎ラインを出させて3番手をキープする。小松崎の先行で最終回。好位を確保した松浦が絶好かに思われたが、逃げる小松崎がスピードに乗せて風を切る。番手の和田圭が大きく車間を空けて、松浦はタイミングを逸する。直線を迎えてもリードを保っていた小松崎が逃げ切った。
 「結局、松浦君がつくったレースの流れに乗れて、しっかり仕掛けられて、いい結果が出たうれしい。あの展開、あのペースで踏めているし、悪くないない。(準決も)精いっぱい、力を出し切れるように頑張ります」
 シリーズ2度目のタッグとなった和田圭は、小松崎との大きく空けた車間を直線で懸命に詰めて2着。一次予選でかなわなかったワンツーを決めた。
 「松浦君ももうワンテンポ(小松崎の仕掛けが)遅かったら、突っ張っていたと思うんで、行けてなかったかなと。ただ、今度は(車間を)切りすぎてダメでした。先輩が先行をしているので、自分もやることをやらないとっていうのがありました」

<10R>

新山響平選手
新山響平選手
 先頭に立った森田優弥が、大きな波をつくってレースを支配する。4番手に郡司浩平、新山響平(写真)は7番手に置かれて打鐘を迎える。新山が反撃できないままレースは流れて、郡司が最終2コーナーからまくりを打つ。郡司は鈴木竜士のけん制もあって、思うように進まない。それでも郡司が抜け出すが、さらに外をまくった新山がゴール寸前でとらえた。
 「1つ目のミスは赤板で引き切って、森田君にペースを上げられて反応が遅れました。そのあとのジャンの4コーナーではカマすタイミングで郡司さんに合わされるんじゃないかって、消極的になっちゃいました。後ろの2人に勝負権のないようなレースをしてしまって、仕事をしてくれる2人だったのに申し訳ないです。(まくりは最終)3コーナーを上った時にマズいなと思って、内を空けないように締め気味に踏んだら最後は伸びました」
 中団を手に入れた郡司浩平ではあったものの、逃げる森田、後方の新山を気にかけるあまり、まくりにいつものキレが見られなかった。
 「(7番手にいた新山が)いつ来るかいつ来るか警戒しながら、森田君のペースにはまっちゃいました。(まくりは)道中、余裕がなかったので出なかった。僕がすんなり(最終)バックでまくり切れていたら、内藤(秀久)さんも連れていけたかなと。あとは体だったり、気持ちのもっていき方だったり、そういうところだと思います」

<11R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 深谷知広は誘導を残したまま下げて、北津留翼(写真)が先頭に立ってペースを握る。単騎の山田久徳が4番手に切り替えて、平原康多は5番手。打鐘から徐々にペースを上げた北津留が駆けて、後続は一本棒で最終周回を迎える。バック手前からまくった平原を山田英明がけん制する。直線に入っても北津留は踏ん張って、4車横一線のゴール勝負を制した。
 「(先頭に立って)誘導が残っていたので、スピードをもらいながらいって、腹をくくる展開になりました。残り1周でキツかったけど、声援もあったし、前のレース(9R)で小松崎さんが逃げ切っていて、後ろはヒデさん(山田英)なので、残してくれると。(橋本)強さんまで付いてくれたんでラインのおかげです」
 北津留をとらえ切れずも、平原康多はソツない組み立てからまくりを打って2着に入った。
 「切りたかったが、誘導を残していたので、すごいピッチになって深谷もいけなかったんだと思う。駆けているのが、(北津留)翼で、番手が(山田)英明なので、厳しいのはわかっていた。けど、後ろに2人付いてもらって、行かないと、格好もつかないので意地でいった。(違うシューズを使った)初日でシューズの感覚がズレて、ぺダリング、体の使い方を修正して日に日に良くなってきている」

<12R>

園田匠選手
園田匠選手
 前受けの吉田拓矢も突っ張り気味に踏むが、取鳥雄吾が出て山田庸平、園田匠(写真)の九州勢が続く。吉田は単騎の古性優作まで受けて5番手まで下げる。しかしながら、ワンテンポ遅れてきた新田祐大は入れず、吉田と新田の併走で打鐘。新田は外併走から最終ホーム手前で仕掛ける。逃げる取鳥の番手の山田は、新田を張りながら2コーナーから自力に転じる。山田が合わせ切り、園田、古性で直線へ。園田が外の古性に踏み勝って、ホームバンクでのダイヤモンドレースを制した。
 「取鳥君がジャンで叩いた時に流さなかったんで、そのおかで主導権が取れた。(山田との)ワンツーが良かったんですけど、お客さんの声援も暖かくて、そのおかげで勝てました。(3日目が1日休みで)自分は走っていた方がいいんですけど、(一次予選の)1、2走の内容が良くなくて、(3日目に)セッティングの見直しとかをやりました。それで今日(4日目)のセッティングで勝てているんでいいと思います」
 追い込み勝負でハンドル投げに持ち込んだ古性優作だったが2着。単騎でも仕掛けるスタイルだけに、納得の競走ではなかったようだ。
 「(4番手に入って最終)ホームで自分の間合いをつくって、あとは仕掛けようと思った。そしたらそのタイミングで新田さんが来たんでかぶってしまった。いい感じで間合いをつくれたんで、外に(仕掛けて)行きたかったんですけど。近畿の選手として、レースで外を踏みたかった。でも、めちゃくちゃ掛かってました。感触的には2走目の方が良かったかもしれないけど、今日で刺激が入りました。前回よりは全然いい。あとは(自転車との)一体感がもう少しかなと」
 取鳥が主導権。山田庸平は、さすがのセンスで新田との間合いを計り番手まくりを敢行した。
 「(取鳥は)気持ちがすごい伝わってきた。誰も出さないような気迫が伝わってきました。1回タイミングを取って、それでも(別線に)行かれそうだったら前に踏もうと。昨日(3日目)に続いて、(感触は)良かったと思います」