『第64回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 初日編

配信日:11月23日

 22年、グランプリをかけた最後の戦い。北九州メディアドーム・小倉競輪場で「第64回朝日新聞社杯・競輪祭(GI)」が、11月22日に始まった。初日の一次予選1では、S級S班のなかから守澤太志、平原康多、郡司浩平の3人が1着発進。また、脇本雄太が3着に敗れて3連単で58万円を超える配当が飛び出した。アメジスト、トパーズに分かれた「ガールズグランプリ2022トライアルレース」の予選1では、柳原真緒、児玉碧衣、太田りゆ、佐藤水菜が1着で8ポイントを獲得した。11月23日の2日目は、残りの一次予選1と一次予選2が行われ、「ガールズグランプリ2022トライアルレース」では予選2で熱戦が繰り広げられる。
 開催中の毎日、競輪専門紙「コンドル」による全レース予想会、SPEEDチャンネル競輪専門解説者の予想会、スペシャルゲストによるトークショーや予想会、お笑いステージなどの「ステージイベントin競輪祭」などが予定されています。23日の2日目はオートレーサーの佐藤摩弥選手のトークショーも行われます。小倉競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

第64回朝日新聞社杯競輪祭開会式
第64回朝日新聞社杯競輪祭開会式
前年度優勝の吉田拓矢選手より経済産業大臣賞の返還
前年度優勝の吉田拓矢選手より経済産業大臣賞の返還
敢闘宣言をする園田匠選手と児玉碧衣選手
敢闘宣言をする園田匠選手と児玉碧衣選手
スペシャルゲスト華原朋美さん『I'm proud』熱唱
スペシャルゲスト華原朋美さん『I'm proud』熱唱

<1R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 赤板1コーナーで松井宏佑が、押さえて出て先行態勢を取る。前受けの山田諒が3番手に収まり、吉田有希は5番手で後方の山崎賢人を警戒しながら車間を空けてタイミングを取る。吉田は打鐘手前から仕掛けて主導権を奪取するが、吉田ラインを追いかけた山崎が襲い掛かる。最終ホームでの守澤太志(写真)のけん制を乗り越えて、山崎が出切る。山下一輝は付け切れず、山崎、小倉竜二で出切り、バックで守澤が切り替える。守澤がスイッチした勢いで、そのまま追い込んで突き抜けた。
 「(1レースは)ここ何年も走っていないので、アップとか調整できて良かった。山崎君を後方に置きたかったけど、ああいう風に付いてこられるとキツいですね。(吉田は初連係だったが)しっかり組み立ててくれて上手だなって。山崎君はああいう展開が得意で、行かれてしまって、難しい判断でした。(山崎が)仕掛けてくる影が見えて、踏ませてもらった。調子がいいとは言えないが、流れが良くて吉田君が行ってくれた。1着を取らないと申し訳ないなと」
 山崎の強烈な踏み出しに付け切った小倉竜二が、最後にわずかに山崎を交わした。
 「(山崎は)吉田君が行った上を8割で出切るのは、余裕があるんでしょうね。(以前に)ウィナーズカップで連係した時はちぎれたと思うが、今日(初日)は付いていけた感じがした。脚をためて、抜けると思ったけど、ギリギリでした。感覚はわからずに、フワフワしたまま5周してあっという間でした」

<2R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 岩本俊介、嘉永泰斗の順番で切ったところを、赤板2コーナー過ぎの眞杉匠(写真)が踏み込む。嘉永の抵抗もなく眞杉が楽に主導権を握り、佐藤慎太郎まで出る。嘉永は3番手で粘るが、佐々木雄一がキメて確保する。叩きに出た原田研太朗だったが、最終ホーム過ぎに力尽きる。眞杉がリズム良く駆けて、4番手に久米良が入る。原田にかぶった嘉永は仕掛けられず、山田庸平は2コーナー過ぎに自力に転じてまくるが、眞杉の掛かりがいい。直線に入り番手から追い込む佐藤だが、なかなか詰まらない。眞杉がラインを上位独占に導く先行で押し切った。
 「みんな脚を使ってから出られた。今日(初日)は指定練習から良かったので、その感じでいけました。(原田が)来たのがわかったので、いっぱいでしたけど押し切れて良かったです。今日は1回も後ろを確認する余裕はなかったんですけど、後ろは(佐藤)慎太郎さんだったので。(ラインの)3人で決まって良かったです。前々回の取手くらいまでは良くなかったんですけど、(前回は)優勝してこられた」
 1周半を駆けた眞杉を4分の3車身詰めて流れ込んだ佐藤慎太郎は、上がりタイムを確認しながら眞杉を称える。
 「(初手の位置取りから)理想的というか、主導権が取れるなって感じでしたね。眞杉君のペースだったので、あとは原田君が来るか来ないかだったんですけど、来たので振ったんですけど必要なかったですね。(眞杉は)上がり11秒4ですからね。自分が弱かったというより眞杉君が強かった。落車のダメージというよりは、練習の上積みがないのが痛いですね。レースを通じてなにか得るものがあれば」

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山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 打鐘手前で阿部拓真が勢い良く飛び出して、そのまま駆ける。3番手を渡邉雄太がキープして、清水裕友は一本棒の5番手。吉澤純平が後方に置かれて最終ホームを通過する。渡邉は2コーナー手前からまくりを打つ。番手で渡邉をけん制した山崎芳仁(写真)は、止め切れず合わせて番手まくり。一度は渡邉に出られた山崎だったが、3コーナーで盛り返して勝ち切った
 「(阿部は)意外とすんなり先行できたんで、3番手から来なければいい勝負ができるかなっていうのがあった。けど、(渡邉)雄太君が来たんで張りながらだった。そしたら半車くらい出られた。それでもう踏んでいくしかないと。最近は自力も出ているんで、体調面は大丈夫です。(感じとしては)前回と同じくらいですかね」
 絶好の3番手を確保した渡邉雄太は、5番手の同期、清水に注意を払い先に仕掛ける。結果、山崎には合わされたが、2着で上々のスタートを切った。
 「8割くらい先行かなと思ってたんですけど、(先頭に立ってから)ペースに入れたら阿部さんが来たんで入れた。そこからは清水より先に行かないと、行かれるっていうのがあった。(山崎に)合わされました。乗り越えたと思ったんですけど、(山崎が)強かったです。自分も(調子は)悪くないと思います」

<4R>

平原康多選手
平原康多選手
 赤板1コーナーで犬伏湧也を押さえて、高橋晋也が先頭に立つ。福島コンビに続いた平原康多(写真)が3番手に入り、前受けの犬伏は8番手まで下げて打鐘を迎える。犬伏が3コーナーから仕掛けて、高橋もペースも上げて逃げる。それでも犬伏がスピードの違いで高橋をとらえる。柏野智典は付け切れない。平原は冷静に犬伏にスイッチして、余裕をもって直線半ばで抜け出した。
 「この歳で特別競輪で(87期の)3人で並ぶのはワクワクして、いい思い出になった。和田(健太郎)さんとは久々の連係だったけど、心強かったですね。(犬伏の仕掛けに反応したところは)すんなりいけるカマシのスピードではなく、まくっている感じで飛び付いて死ぬ気で踏んでいった。(座骨神経痛は)左足がしびれてストレッチもできなかったけど、8割、9割伸ばせるようになって可動域も広がった。最終日に向けていい状態になるように調整していきたい。(今回は)新車を煮詰めてやってきた。そのままいこうと思います」
 3番手の五十嵐力は8着も、87期のワンツーで車単は1番人気。和田健太郎が、平原の立ち回りに危なげなく反応した。
 「(犬伏の後ろに入った平原の動きは)映像で見るよりも、平原の動きがいい。ちょっとした選手だと、遅れて入られますからね。平原君に離れずに付いていけたし、悪くない。前の選手と後ろの選手の頑張りに尽きる」

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坂井洋選手
坂井洋選手
 誘導を残した坂井洋(写真)が赤板前に下げ始めて、松浦悠士は3番手から先に切って出る。そこを和田真久留、坂本貴史と出て、松浦が5番手でペースは落ち着く。打鐘4コーナーから坂本が徐々に上げて駆けるが、最終ホーム手前で松浦もスパート。後方の坂井は2コーナーからまくる。松浦がまくり切るが、坂井が2センター付近で荒井崇博に並ぶ。直線で松浦に迫りゴール寸前で坂井が突き抜けて、19年のデビューから通算100勝目を挙げた。
 「(通算100勝は)忘れていました、気にしていなかったんで。眞杉(匠)がプレッシャーをかけるから緊張しました。車番が悪かったので前からでした。(赤板で)ちょっと油断してしまって、松浦さんが一気に来てしまった。そこは反省ですね。(最終)2コーナーから行こうと思っていたんですけど、先に行かれてしまったので追走していって、そこから全開でいきました。松浦さんのスピードも良かったんですけど、1着まで行けているので調子はいいですね」
 反応は悪くなかった松浦悠士は、ロングまくりで2着。白星スタートこそならなかったものの、手ごたえをつかんでいるようで、こう口を開く。
 「(和田が)緩めれば突っ張ってとも思ったんですけど、しっかり踏んでいったので5番手まで引き切ってって感じでした。それで坂井君が行く前にと。デキもかなり良かったと思うんですけど、それ以上に坂井君が強かったですね。もうこれは(別線に)いかれないだろうと思ったんですけど。今回、体の使い方を変えているので、それがどういう風に影響するかですね」

<6R>

新山響平選手
新山響平選手
 石原颯は新山響平(写真)にフタをして、併せ込んだまま赤板を通過する。1センターから踏んだ石原が、古性優作を押さえて先行策。すかさず叩きに出た新山だったが、石原の突っ張りに外に浮く。空いた3番手に降りかけた新山だったが、古性が内を盛り返すと最終ホームから再度発進。新山が石原をとらえるが、佐藤友和は連結を外す。新山後位は切り替えた岩津裕介と巻き返した阿部将大で併走。その後ろで古性が、様子をうかがう。3コーナー過ぎに岩津が阿部をさばいて、古性も追い込むが、新山が押し切った。
 「(周回中は)一番後ろか、後ろ中団が良かった。そこは作戦通りでした。(石原に)フタをされるのも想定していたんで、(石原ラインに)付いていってしっかりと叩こうと。そしたら(打鐘の)3コーナーの上りでスピードが合ってしまった。古性さんのところが空いていたんで、そこをと思ったけど。このままだとしゃくり返されるんで、そこで踏み込みました。ゴールまでもったのは計算外でした。後ろが付きにくいヘタクソなレースだった。もうちょっとうまいレースをしたい。正直、走る前までの気持ちの高ぶりは、いつもみたいになかった。久しぶりの競走だったからか、(2走目以降は)もうちょっとテンションを上げていきたい」
 積極策に出た石原を目標に、岩津裕介がソツのない立ち回りで2着。結果的にロングまくりで1人で出切った新山に、切り替え流れ込んだ。
 「(石原が新山を)1回合わせたんで、一息つけるかと思った。そしたらまたすぐに(新山が)来た。新山君がいい反応だったんで、僕たちはキツかった。古性君も見えたんで、まくりごろになるかなっていうのもありました。(今回が落車明けで)今年は3回骨折しているんで、脚的にはしんどいなっていうのがある。なんとか落ち着いて走れました」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 打鐘手前で主導権を握った町田太我との息を合わず、園田匠は遅れ気味で飛び付いた金子幸央をさばいて最終周回。抜かりなく好位を確保していた郡司浩平(写真)は、3番手で別線との間合いを計り、2コーナーからまくり上げる。逃げる町田をとらえた郡司が1着。
 「金子君と踏み合いになって、ジャンで脚を削った。けど、その中で行こうって気持ちを出せたのは、明日(2日目)以降につながる。出切るのは簡単ではなかったけど、出切ったあとは最後まで踏み直すことができた。シューズは微調整が必要なので、万全で臨めるようにしたい」
 交わすことはできなかった成田和也だが、郡司マークを外すことなく2着に入った。 
 「(郡司は)赤板から結構、踏んでいたのでどうかと思ったが、やっぱり強かった。さすがだなって。(自分は)郡司君が下がってきた時と(3コーナーの)園田君のところを対応できた。(直線は)詰まってはいかなかった。(脚は)変わらずですね。いい刺激が入りました」

<8R>

杉森輝大選手
杉森輝大選手
 3連単で58万円超の配当が飛び出した。スローペースのまま脇本雄太は7番手。赤板2コーナー過ぎに脇本が踏み込むと、前で誘導との車間を空けていた長島大介もスパート。3番手にいた伊藤颯馬に張られて、脇本のスピードが鈍る。長島の先行で最終周回。脇本は5番手に下げて小松崎大地と併走になる。再度踏み込んだ脇本に合わせて、伊藤もまくる。さらに杉森輝大(写真)が番手発進。別線の追撃を振り切った杉森が大金星を挙げた。
 「(長島が)攻めてくれた結果ですね。(最終)ホームで脇本君が来ているのが見えて、伊藤君も真後ろから来ていたので、タテに踏むしかなかったですね。長島君の頑張りをムダにはできないと思った。いいスタートが切れたので気持ちを切らさず頑張りたい」
 伊藤颯馬の俊敏な立ち回りが、ジャイアントキリングを起こした。3番手で脇本をけん制すると、今度は合わせてまくりを打って2着。
 「流れ次第だったんですけど。ジャンのところは出るつもりで踏んだ。けど、脇本さんの出が悪かったので、位置を確保する感じになりました。(最終)バックで仕掛け切れれば良かった。自力を出せてはいないんですけど、悪くはないと思います」

<9R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 柳原真緒(写真)は、2番手で當銘直美と併走のまま打鐘を通過する。しかしながら、外の當銘が遅れて、最終ホームでは逃げる奥井迪の後位、2番手を単独でキープ。2コーナーまくりで奥井を仕留めた柳原が、人気に応えた。
 「1番車だったので、(奥井の)番手に誰も入れないようにと。(併走は)誰か来ると思ったが、引かなくていいと判断しました。尾方(真生)さんが仕掛けて来ると思ったので、警戒しながらで踏みごたえが悪かった。脚の状態を見たくて、早めに仕掛けたくて、思ったところで行きました。出だしは悪くて、伸びも悪かったけど踏み切れた。ゴール線までしっかり踏めたのは良かった」
 柳原が2番手単独の時に尾方真生は、4番手のポジショニング。最終4コーナーから外に持ち出すも2着が精いっぱい。
 「(スタートは)前の方に行ったけど、スタートが遅いので失敗した。奥井さんは前に行くと思ったけど、(柳原)真緒さんより前にいたかった。今日(初日)はアップの時に脚の感じが良かった。それで自信をもって走ったけど、レース内容は失敗でした。(最終)3コーナーで行けたらと思ったけど、飛んだらどうしようて消極的になった。アップの調子はすごい良かったし、お腹に力も入ったので、明日(2日目)に向けてしっかりとケアをしたい」

<10R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 赤板1コーナーで7番手の坂口楓華がジワリと上昇を始めて、児玉碧衣(写真)は打鐘で6番手になる。3番手にいた山原さくらが4コーナー手前から仕掛けて、坂口と踏み合いになる。山原は合わせ切って主導権も、そこを児玉がまくりで襲い掛かる。児玉があっさりととらえて、追い込む鈴木美教を半車輪、振り切った。
 「(山原)さくらさんを一番警戒していた、2車前にいる形だったので、さくらさん次第で、自分がどう動くかでした。そのあとは(坂口)楓華が行って踏み合いになったので、自分のタイミングで行く形になった。けど、ちょっとキツいところで行ったのが反省点です。あれだとミスにつながるので、(2走目以降は)仕掛けるポイントをもうちょっと考えないといけない。前回の小田原みたいに、お腹を意識して踏むことができた。完ぺきじゃないけど、徐々に良くなっていると思います」
 周回中から児玉後位にいた鈴木美教は、最終3コーナーでの上りにも遅れることなくゴール勝負を演じた。
 「決勝に乗るためには、初日からすごい大事だった。展開に恵まれて2着にいけました。(前にいた児玉が)どこから踏むのか、踏み出しにしっかりと集中して離れないように。(最終)3角で3車併走になった時に上った。ギリギリで事故があってもいけないですし。最後に追い込めなかったので、まだまだですね。状態は変わらずにいいです」

<11R>

太田りゆ選手
太田りゆ選手
 打鐘2センターで隊列が短くなったところを、最後方にいた梅川風子がカマす。梅川が山口真未を叩いて主導権を奪う。3番手の小林優香、4番手の太田りゆ(写真)の2人が、ほぼ同時に最終2コーナー手前から仕掛ける。まくり合戦は外の太田に軍配。後続をちぎって太田が快勝。
 「包まれた状態で梅川風子選手が行った時はドキドキしたけど。焦らずに自分の行けるところから行けたのは良かった。小林優香選手と仕掛けるタイミングが一緒でヤバいと思った。そこは全開で踏んだ。(上がり11秒5ですが)タイムが出ている感じはなくて、1着を目指して全力でやった。(状態は)すごくいいわけでも悪いわけでもなく、普通の状態だと思います。気をつけることはこの1着で浮かれること。喜ぶのはここで最後にして、ガールズグランプリをつかむことが目的なので、気を引き締めていきたい」
 小林優香は、太田のまくりにかぶることなく踏んで2着。
 「メンバーを見て、早めの展開になるのは予想していた。前の方の位置も想定内です。ワンテンポ早く行けば、また違ったのかなって。いい車間だったし、詰める勢いで行こうと。そのテンポで行けば、1着を取れたかも。2着スタートだし、体調は問題ない。ここに向けて練習をしてきて、メンタルもケアもしてきた」

<12R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 周回中は4番手にいた佐藤水菜(写真)は、最後方から動いた高橋朋恵を送り出して5番手でタイミングを取る。前との車間を空けた佐藤は、石井寛子の追い上げを確認するように、最終ホーム手前で踏み込む。抜群のダッシュでスピードに乗せた佐藤が、まくり一気。付ける石井を振り切って、世界の脚を披露した。
 「1周が400メートルもあるので、落ち着いて走れました。悪くないかなっていうのが1つと、ゴール前もしっかりと踏み直すことができたので状態は仕上がっているのかなと。1戦走ってみて、不安は消えました。(2日目以降も)とにかく1着を目指して頑張ります」
 打鐘3コーナー過ぎに動き出した石井寛子は、佐藤に外に振られて一瞬、ヒヤリとさせられたが、佐藤のダッシュに食い下がる。さすがのテクニックで佐藤を追いかけて、2着に流れ込み2日目につなげた。
 「ナショナルチームのメンバーと戦えるので、いつもと違う戦法をって思ってました。ナショナルチームの必勝法を探しているところです。佐藤選手のスピードを体感してみたかった。いつも一緒に練習する男子選手みたいな感じでした。男子選手を抜けるようにならないと、佐藤選手には勝てないのかなと。(自分の感じは)バッチリでした」

≪2日目≫

<1R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 昨年は競輪祭3度目の決勝進出を果たした北津留翼(写真)は、ホームバンクの当所との相性もいい。前回の四日市記念では3勝をマークして、状態面での心配もなさそうだ。
 「(今年は)順調だった。上がり下がりなくやっています。(前々回の)福井から新車に換えたけど、自転車もいいと思います。地元なんで出せる実力を精いっぱい出して頑張ります。(初日は休みで)1日あるんでゆっくりレースの展開とかを見て、勉強します」
 浅井康太は前回の地元、四日市記念を4112着。決勝は目標の橋本優己が不発も、守澤太志とゴール勝負を演じた。
 「(今年は)勝負して落車になったところもあるけど、しっかりとトレーニングにも、競輪にも向き合えているかなと。(前々回の)寬仁親王牌の2日目以降、自分のなかでは感触は良かった。(四日市記念も勝ち上がりを含めて)周りの援護もあって、決勝は2着だった。そのなかでレースはしっかりと見られているかなと思います」

<2R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 寬仁親王牌には出られなかった深谷知広(写真)は、8月のオールスター以来のGI。今年ラストのGIに照準を合わせて、まずは持ち前のパワーをフルに発揮したい。
 「(今年の)前半は自分のなかでは手ごたえがあった。夏以降は失速している感じもあって、1年間を通してはある程度、ここを目標にやってきた。やれることをやって計画通りにはできたんで、1年の成果を確認して走りたい。直前は防府競輪場でお世話になって、清水(裕友)や松浦(悠士)と練習ができた。トップ選手を肌で感じることができて、気持ち的にも体的にもいいと思います」
 ナショナルチームでも活動している寺崎浩平は、8月のオールスターでGI初優出。競技、競輪ともに成長を感じた年でもあった。
 「今年は自分のなかでは納得のいく結果が出ている。今年最後のGIでもうちょっといい結果を出せるように。状態としては問題ないかなと。(直前も)練習をしてきているんで疲労はあります。(初日の)1日を休んでと思ってます」

<3R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 前回の防府記念が1241着の野原雅也(写真)は、成績もまとめて好感触を得た。今年はいまひとつ振るわなかったGI戦線だけに、最後に巻き返したい。
 「(前回は)ここ数カ月で一番思った通りに動けていた。自転車の進みも良かったです。自転車を換えたり、そのセッティングだったりがすごく良くなったきた。練習も変わらずやってきているので、その成果が出てきたのかなと思います」
 前々回の寬仁親王牌Vでグランドスラムを達成した新田祐大は、前回の京王閣記念は7464着と精彩を欠いた。
 「(今年は)5月まで調子が悪くなかったんで、賞金ランクで(グランプリ出場が)狙えるかなと。そしたら5月の落車で狙えない位置まで落ちてしまった。それで目標としていたグランプリをいったんはあきらめてしまった。(来年の)日本選手権の特選シードを取るっていう目標にしたら、結果グランドスラムができた。思い描いてないことで、目まぐるしい1年だった。寬仁親王牌は初日が終わってから、気管支炎ではないけど、咳き込む形で、京王閣はそれでダメでした。そのあとは肩鎖関節の手術もした。この大会で5走できるので、その5走でつかんで帰りたい」

<4R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 昨年の競輪祭でタイトルホルダーの仲間入りを果たした吉田拓矢(写真)は、獲得賞金でのグランプリ出場はかなり厳しい。狙うは連覇だろう。
 「(S級S班の今年は)あっという間だった。(前回の防府記念が)感触が良くなかったんで、自転車とかいろいろ見直してきました。平原(康多)さんのところにいって、アドバイスをもらってきました。それで防府よりはいい状態だと思います。GI決勝で常連になりたいんで、そこを頑張っていきたい」
 山口拳矢は、前回の地元、大垣FIを211着。兄の聖矢(115期・A1)とそろって兄弟優勝とリズムに乗っている。
 「(前回は父、山口幸二さんのタイトルがついた)ヤマコウカップだったので、これでヤマコウカップは終わった方がいいって(笑)。(兄弟優勝で)これ以上はないですから。そのあとは(中4日で)あんまりやりすぎずにケア中心にやってきた。(小倉は)スピードが出やすいんで、焦らずに自分のタイミングで行けたらチャンスがあるかなと」