『第65回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 2日目編

配信日11月23日

 グランプリをかけたラストバトル。北九州メディアドーム・小倉競輪場を舞台にナイターで開催されている「第65回朝日新聞社杯・競輪祭(GI)」、「第1回競輪祭女子王座戦(GI)」は、11月22日に2日目が行われた。残りの一次予選1と2走目の一次予選2が行われた。一次予選1では地元の北津留翼の逃げ切り勝ちに場内が沸き、脇本雄太は一次予選2を圧巻の走りで連勝を遂げた。また、ガールズケイリンでは、準決の2個レースで激しい戦いが繰り広げられ、佐藤水菜、梅川風子が連勝で優出を果たした。シリーズ3日目の11月23日には、一次予選2で勝ち上がりが争われ、新設された女子王座戦は早くも決勝が行われる。第1回の女王に輝くのは果たして…。さらに決勝が終わると年末の「ガールズグランプリ2023(GP)」7人のメンバーも決定される。
 開催中の毎日、競輪専門紙「コンドル」による全レース予想会、SPEEDチャンネル競輪専門解説者の予想会、デンジャラス恐竜パーク、巨大迷路、ボルダリング、自転車競技紹介ブース、グルメ屋台の大集合などが予定されています。また、23日の3日目には、「ゆうちゃみ」のトークショー、オートレーサー森且行選手のトークショー、先着40人様限定での占いコーナーなども行われます。小倉競輪場では、様々なイベントでみなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<3R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 菅田壱道が誘導を残して引いて、吉田有希にフタをした北津留翼(写真)が赤板1センターでゆっくりと先頭に立つ。北津留がペースをつくり、4番手に単騎の稲川翔。5番手に菅田が入る。誘導との距離を保った北津留が、態勢を整える。山口拳矢は一本棒の9番手で打鐘を迎える。主導権の北津留は、最終ホームを目がけてフルアクセル。北津留の掛かりに別線は動けず、2コーナーまくりの山口も進まない。直線で番手の小倉竜二がじわじわと詰めるが、ホームバンクで北津留が逃げ切った。
 「(小倉のバンクは)自分が1月に走った時より重そうだなと。(初日を見ていると)逃げた選手がキツそうだったので、今日(一次予選1)の先行もかけの部分がありました。いつもフタをされて失敗しているので、フタをしました。今日は展開が良かったので、そのおかげですね。ラインが3車だったのも大きい。声援もすごく多くて緊張しながら走りました。調整も練習もしてきたんで、(状態は)悪くいないと思います」
 前々回の寬仁親王牌、前回の静岡FIと2場所続けて落車に見舞われた小倉竜二だったが、北津留後位をキープして2着。
 「誘導が残っていたんで、(北津留は)それをうまく使って追いかけてくれた。(北津留は)ずっと掛かっていて、ゴール前の踏み直しもすごかった。(自分は落車明けだったので)昨日(初日)の1日の休みが大きくて、昨日より上向きです。1日の休みが大きかった」

<4R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 眞杉匠(写真)に併せ込んでから、押さえて先頭に立った取鳥雄吾をすかさず伊藤颯馬が切って出る。眞杉も素早い反応を見せて、打鐘4コーナーで主導権を奪って駆ける。中本匠栄のけん制を乗り越えて松谷秀幸が続き、岡村潤も伊藤にからまれながらも追走。6番手の取鳥が2コーナーからまくるが、眞杉のスピードの乗りがいい。3番手の岡村はいっぱい。直線で3番手以下は離れて、松谷とのマッチレースを眞杉が制した。
 「全員が脚を使っている流れで、仕掛けられて良かった。(フレームは)良かったころの感じに近いと思うが、まだいじるところはあるかなって。いままでは重かったけど、スカスカする感じがあった。昨日(初日)、走らず、一昨日、前泊と3日間(自転車に)乗っていないわりには良かった」
 打鐘2センターで別線に振られた松谷秀幸だったが、遅れることなく、眞杉と直線勝負に持ち込んだ。
 「叩けるか不安もあったんですけど、強かった。中本がもってくるところをあたらないように避けてですね。気持ちが先行でうれしかったです。前回(落車で)フレームが壊れて、昔のフレームでの不安もあったが眞杉のカマシに付いていけているので、そこは問題ないかと」

<5R>

寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 野口裕史も赤板を目がけて敢然と踏み込むが、前受けの町田太我が突っ張る。町田が主導権を死守して、中団は平原康多が確保。外に浮いた野口が力尽き、最終ホーム付近から後退する。後方で脚をためた寺崎浩平(写真)は、1センターからまくり上げる。2コーナーの加速で、村上博幸は付いていけない。逃げる町田との車間を詰める勢いで山田英明も踏むが、寺崎が一気にまくり切った。
 「初手の位置だけ決めて、平原さん(ライン)の後ろからっていう感じで考えていました。あとは町田君と野口さんで先行争いになるかだったので、緩んだところから行こうと決めていました。どこかで緩むとは思っていたので、(最終)ホームから仕掛けていった。けど、正直、あまり良くない感じでした。セッティングがしっくりきていない感じがしたので、もう少し修正したい」
 町田が突っ張り先行で流れをつくり、山田英明がそれに応えようと寺崎に合わせて番手まくり。寺崎には屈したが、ラインの大塚健一郎を連れて2着に入った。
 「野口君がやり合ってくると思っていたので、そこは気持ちの勝負かなって。主導権を取るのは野口君か町田君だと思っていた。だったら前がいいかなって思って取りました。相手がやめなかったので苦しくなりましたけど、相手が怯めば町田君のペースだったと思う。あれだけモガい合っていたので、(寺崎の)スピードも違いました。少し自転車がかみ合っていない感じがするので、修正できれば」

<6R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 赤板1コーナーで森田優弥を押さえた北井佑季は、太田海也との踏み合いを避けて、打鐘手前で太田が主導権を握る。3番手に森田がすかさず追い上げて北井との取り合いになる。3番手以降が併走になり、太田のペースで最終周回へ。9番手の野田源一のまくりは前が遠い。番手の荒井崇博(写真)にとっては、願ってもない流れでしっかりとチャンスをモノにした。
 「(1日の休みがあったけど)べつにいつも通りです。(太田を)抜けているんで、(脚の感じは)いいんじゃないかと。(太田の)ハコは2回目ですかね、強かったです。(自分は)いつも1走目がわからないので、明日(2走目)以降に期待したい。(体調を崩して)練習をあまりやらなかったのが、(コンディション的には)逆にいいかもしれませんね」
 2日目からの出番となった太田海也は、重圧を跳ねのけて別線に反撃の隙を与えずラインでワンツー。
 「(1日の休みがあったけど)相手の選手もわかっているので、気持ちも休まらなかった。プレッシャーのかかった1日の休みでした。ただ、今日(一次予選1)は日本のトップクラスの自力選手と戦って、思うようなレース運びができた。自信につながるレースができました。ためらいなく行こうと思ってたら、北井さんがすんなり出させてくれた。長い距離を速いピッチでいったんで、そんなに上りは良くないと思う。残りの30メールくらいからもっと力を発揮できれば、1着が取れたかなと」

<7R>

新山響平選手
新山響平選手
 太田竜馬を突っ張った新山響平(写真)が空けたインを、長島大介が進出して前に出る。しかしながら、新山は赤板2コーナー過ぎから再度踏んで先行策。追い上げた山田久徳を制して、長島が3番手をキープ。山田は5番手に戻り最終ホームを通過する。新山が落ち着いてペースアップして、別線はクギづけ。直線も踏ん張った新山が逃げ切りで1着。デビュー通算200勝のメモリアルを飾った。
 「ジャン前は危なかったけど、なんとかしのげた。和田(健太郎)さんが前を取ってくれたのが大きいですね。普段は上に上がることはないので、(内は)来られないが、今日(一次予選2)は浮足立っていた。色気じゃないけど、逃げ切りたくて高いところからいきたかった。そこは反省して、次に生かしたい。(前回の)玉野の前検日からセッティングを変えて昨日まで走っていたけど、(今日は)その前の形に変えた。サドルが低かったので上げて調整をします。体の使い方も悪くて、そこの修正をしたい。脚にきてしまっていたのでいつものフォームではなかった。200勝できたけど、もっとすごい人がたくさんいる。300勝を区切りとして目指しているので、そこまで頑張ります」
 新山マークの和田健太郎は、別線との間合いを計り追い込んだが半車身差の2着。
 「9割9分、前かどうかで変わるので、(スタートの)そこを集中していた。(打鐘で内を)新山が気づいていなかったけど、認識してからは踏んでくれた。長島君も3番手が欲しかったのかなと。出切ってからは新山君の持ち味なのかなって。目標に恵まれすぎている。(一次予選1の新田も新山も)どっちもグランプリがかかっている選手。僕がドキドキした。緊張感のあるレースでした。駆けているのが新山君ですし、いまの力だとすんなり番手でも抜くのはね」

<8R>

古性優作選手
古性優作選手
 茨城コンビが出ると、古性優作(写真)は抜かりなく追い上げて3番手に入る。橋本壮史が先行態勢を取り、5番手が中野慎詞と松本秀之介で併走になり打鐘。最終ホームを迎えても松本と中野の決着はつかず、3番手の古性は後ろの仕掛けを待つことなく2コーナー手前からまくる。合わせて踏んだ杉森輝大をとらえた古性が1着。
 「先輩方に乗り方のアドバイスをもらって修正してみたけど、あとでもう1回、ダイジェストを見てみたい。自分のタイミングで行ったけど、間合いが取れなくて踏み出しがモコモコしてしまった。昨日(一次予選1)よりはマシだと思うが、劇的ではないです。初日よりも体は楽だったと思う」
 内に包まれていた中野慎詞は、最終2センターで松本を張りながら追い込んで2着に届いた。
 「橋本さんとはモガき合いになると思っていたので、そこは冷静にと思っていた。古性さんが来れば引いて、松本君と併走だなって。古性さんがまくっていったらゴール前勝負かなって思っていたんですけど、なかなか併走から抜け出せなかった。いまの技術だとどうしようもないんですけど、負けずにいけたのは良かったと思います。レースの流れは読めていますし、状態的にもいいと思うので自信をもって戦っていきたい」

<9R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 雨谷一樹ラインに続いて、踏み込んだ松井宏佑(写真)だったが、内から谷口遼平が仕掛けて出て脚を使わされながらの主導権。松井が打鐘3コーナーで先頭に立ってラインが出切るも、清水裕友が反撃に出る。松井が懸命に合わせて、番手の佐藤慎太郎がブロック。逃げる松井の後ろで佐藤と清水がもつれる。最終4コーナーで清水をさばいた佐藤の追い込みを、松井が振り切った。
 「踏まされながら出たし、(谷口に)結構、抵抗されたんで、出てからはいっぱいだった。(清水裕友は)ここで来るだろうなっていうところで来た。あとはここを合わせられればと。今日(一次予選2)は自分の力を出し切るレースができて良かったです」
 最終1センターで清水を外に張った佐藤慎太郎は、一度は清水に前に出られるもコーナーを利してソツなくさばいた。
 「(松井は谷口の)動きがあって惑わされた感じがあったけど、主導権を取りたいっていう気持ちがあっていいレースだった。(仕掛けてきた清水を)横に振ったけど、自分のイメージと違った。そこは収穫がありました。(3日目が休みで)ラッキーですね。2日連続で走って1日休みがあるのは、老人にとってはデカいですね(笑)」

<10R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 6番手の小原佑太が、8番手の脇本雄太(写真)を警戒しながら仕掛けるタイミングをうかがって打鐘を迎える。3コーナーで脇本が踏み込むが、小原が合わせて叩きに出る。最終ホーム手前から脇本もスパート。阿部力也が連結を外して、出切った小原を松本貴治が追う。佐々木悠葵もまくるが、脇本が乗り越えて前団に迫る。2センターで小原に並んだ脇本が、そのままスピードの違いで押し切った。
 「(初手の)位置にこだわりはなかったけど、意外な並びでした。小原君は僕しか見てこないだろうと。そこでこだわっても仕方ないので。1回フェイントを入れたけど、そこはひっかからずに、ジャン3コーナーくらいで全力で踏んで合わされたのでそこからはまくりに構えた。迷いがあるなかでのまくりでしたね。修正するところはあります。(状態は)1走目と変わりはない」
 単騎の伊藤旭は、最終1コーナーでインから脇本にスイッチ。うまい立ち回りで2着に流れ込んだ。
 「小原さんが仕掛ける時に付いていこうと思ったが、脇本さんが坂口(晃輔)さんを離し気味になったところを(脇本の後ろに)いこうと。脇本さんの後ろを取り切ったら、2着はあると思った。脇本さんがバケモノすぎます。自分で位置を取って力を出そうと思っていたんで良かった。明日(3日目)の休みでケアして残り3走を頑張ります。最後の伸びがないので、ローラーや指定練習に乗って良くしていきたい」

<11R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 打鐘手前から梅川風子(写真)は、5番手で前との車間を空けてタイミングを取る。詰めながら梅川が2センターから前団に襲い掛かる。最終ホーム手前で太田りゆを叩いた梅川の先行策。太田は2番手に飛び付いて、梅川に続いた吉川美穂と併走。その後ろから久米詩が、まくるも2番手まで。6番手の尾崎睦がまくり追い込みで強襲するも、梅川が押し切って逃げ切り勝ち。
 「(体調は)悪いけど、前検日よりも回復してきていると思う。日に日にですね。太田選手が前とは考えていなかったけど、その時の組み立てをジャン前に考えた。車間を切って勢いをつけて出たけど、スッと出られずに出切るのに時間が掛かって流すのに時間も掛った。まくられるとしたら太田選手だなと思っていた。太田選手が飛び付きだったので、そこはペースだった」
 隊列が短くなったところを尾崎睦は、6番手からのまくり追い込み。梅川に逃げ切りを許したが、直線での伸びは目を引いた。
 「気持ちで走ろうと思っていたので、体のことは考えずに気持ちを入れて走りました。後ろから梅川さんがカマすと思って、前がみんなナショナルチームですごいダッシュでした。あの位置だったので、緩んだところをイチかバチか、思い切っていけました。自力で勝ち上がれたので、そこが自分のなかで一番うれしい」
 飛び付いた太田との併走、さらには外からまくった久米との併走もしのいだ吉川美穂は梅川に食らいついて3着。
 「初手は一番後ろになって、(梅川)風子さんの仕掛けと同時に前に行くしかないと思ったけど、運良く風子さんが来てくれた。そこに付くしかないと思った。展開がめまぐるしく、キツい位置にいたが風子さんの番手を守れてあわよくば、差してと思った。けど、接触もあって車が伸びなかった。3着で決勝に乗れてホッとしている」

<12R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 周回中は最後方にいた石井寛子が5番手に追い上げて、佐藤水菜(写真)は打鐘で6番手のポジション。3番手で大きく車間を空けた坂口楓華が、最終ホーム手前から抜群のタイミングで踏み込む。2番手の吉岡詩織が2コーナーでまくり、佐藤も後方から外をまくり上げる。3コーナーで吉岡の外を坂口がまくり切ったが、さらに外を踏んだ佐藤が直線半ばでとらえて連勝のゴール。
 「ノープランで走りました。スタート出て5番手ぐらいだったので自分的にはすごくうれしかったんですけど、結局押さえられてしまって6番手まで下げることになった。それであとは自分のタイミングが来たと。(坂口に警戒されて)そこは予想通りだったので、そこにはあまり気にしすぎず、とにかく自分のことだけ考えて走りました。感覚悪いっていうか、疲れてるなってくらいあまり進みが悪かった。明日(決勝)はもうやれることをやるしかないなという風に思います」
 3番手からのまくりで佐藤を苦しめた坂口楓華は、自身の成長を感じながら6月のパールカップに次ぐ2度目のGI優出。
 「理想はサトミナさん(佐藤)が後方にいて、自分がちゃんと前にいるというレースができたら自分にチャンスが回ってくると思ってた。その通りになったんで、あとは落ち着いて頑張りました。(3番手からの仕掛けは)早すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。自分の直感で行ってしまった。でも、体が動いているから調子はいいと思います。(優出は)やっぱり年々成長するという目標で頑張っているので、去年よりも強くはなっていると思う。しっかり自信をもって走りたいです」
 周回中から坂口の後ろに照準を絞った柳原真緒は、坂口を抜けずの3着。課題は残したものの、ラストチャンスの決勝のキップをつかんだ。
 「(周回中は坂口の後ろの)取りたい位置をしっかり取れたので、そこからは昨日(予選)と同じようにと考えていました。坂口さんがすごくいいタイミングで行ってくれた。昨日(初日)より脚の感じは良かったんですけど、坂口さんの後ろで車間が切れてなかったので抜けない展開になってしまった。昨日1本走ってしっかり体に刺激が入ったんで、それが良かったんだと思います」