『第65回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 3日目編

配信日:11月24日

 グランプリをかけたラストバトル。北九州メディアドーム・小倉競輪場を舞台にナイターで開催されている「第65回朝日新聞社杯・競輪祭(GI)」、「第1回競輪祭女子王座戦(GI)」が、11月23日に3日目が行われた。女子王座戦の決勝は、佐藤水菜のまくりを追い込んだ梅川風子が優勝。今年新設されたガールズケイリン3つ目のGIで梅川が初制覇。優勝賞金490万円(副賞含む)を獲得して、年末に行われる地元、立川の「ガールズグランプリ2023(GP)」の出場権も手に入れた。また、残りの一次予選2では、新田祐大、眞杉匠、松浦悠士、深谷知広が1着でダイヤモンドレースに進んだ。11月24日のシリーズ4日目には、一次予選2走の合計ポイントの上位選手による「ダイヤモンドレース」がメインに行われる。激戦必至の二次予選A、Bも見逃せない。
 開催中の毎日、競輪専門紙「コンドル」による全レース予想会、SPEEDチャンネル競輪専門解説者の予想会、デンジャラス恐竜パーク、巨大迷路、ボルダリング、自転車競技紹介ブース、グルメ屋台の大集合などが予定されています。また、24日の4日目には、「どりあんず」の爆笑ライブ、元プロ野球選手の松田宣浩さんのトークショー、「安部賢一」のトークショーなども行われます。小倉競輪場では、様々なイベントでみなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<3R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 赤板2コーナー過ぎに5番手の小松崎大地、7番手の犬伏湧也が仕掛ける。合わされた犬伏が一瞬、遅れて、北日本コンビが主導権を奪う。坂井洋(写真)は俊敏に3番手にスイッチして、簗田一輝が4番手。吉澤純平は坂井との連結を外す。最終ホームを通過して、中団で浮いた犬伏のスピードが鈍り不発。先行策に出た小松崎の掛かりが良く、3番手で脚をためた坂井は2センターから追い込んで突き抜けた。
 「(犬伏が)引いた時点で合わせて出ていこうと思ってたけど。見たらすごいスピードで来たんでヤバいと思った。そしたら(小松崎で)犬伏君じゃなかった。(小松崎が先行して)正直、(別線が)来られるスピードじゃなかったんで、しっかりと脚をためながらと。来たとしても、出てい行ける余裕をもっていました。大森(慶一)さんに警戒されてたんで、コーナーに入ってから(踏んで)行こうと思ってました。(一次予選1の)前走よりも感触は良かった」
 最終ホーム手前で坂井の1車に割り込まれた簗田一輝は、結果的に坂井に流れ込んで2着に入った。
 「車番もなかったので、後ろだと犬伏君に突っ張られて終わりだなと。僕が前を取って、後ろの方でゴチャついてた。小松崎さんが来た時に、大森さんにピッタリ付いていくか迷った。車間を空けてからと思ったら、坂井さんに入られたんでもったいなかった。(最終)2コーナーからバックでもう1回行ける脚があれば、鈴木(裕)さんと決まってたんでしょうけど。脚をためていくのでいっぱいでした」

<4R>

北井佑季選手
北井佑季選手
 北井佑季(写真)に併せ込んでから仕掛けた黒沢征治が、赤板1センターで主導権を握る。黒沢がペースを上げると、岩谷拓磨は飛び付けず、空いた4番手に北井が入り打鐘を通過する。岩谷が6番手、寺崎浩平が8番手でレースは流れる。後方の寺崎を警戒してタイミングを取った北井は、最終1センターからまくり上げる。合わせて番手まくりの宿口陽一を、あっさりとのみ込んだ北井が寺崎の強襲も退けた。
 「(初手は)前中団か、後ろ中団でと。フタをされるところがどこまでかなって思ったけど、前が岩谷選手ですし、あそこくらいまでかなって。(黒沢が)切りに行ったところを行こうと思ったけど、空いていたので入った。あとは駆け具合を見ながらでしたね。昨日(一次予選1)が内に包まれて力を出し切れなかったので、今日は半周の2角まくりでしたが力を出せて良かった。(小倉は)風を気にしなくていいし、軽いバンクなので好きですね」
 渡部幸訓は北井のまくりに続いて2着。一次予選1の郡司浩平に続いて、神奈川勢とのワンツーでポイントを加算した。
 「初日のあとにセッティングをいじったけど、まだまだ足りないなって。北井君が仕上がっていて、口が空いたけど、なんとか食らいついた感じです。北井君が強いっていうのもあるけど、自分もまだなにかできたかなって思います」

<5R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 赤板過ぎに四国勢を突っ張った山崎賢人は、眞杉匠(写真)ライン、単騎の飯野祐太まで受けて、4番手で追い上げた山口拳矢と重なる。山崎が内に閉じ込められて、眞杉がマイペースに持ち込む。最終ホームを通過しても、後ろを引きつけていた眞杉は、徐々にペースを上げていく。中団の決着もつかず、原田研太朗のまくり追い込みも一息。眞杉が連勝のゴールを駆け抜けた。
 「先行で1着、1着でダイヤモンドレースにいけるのは自信になりますね。中団で併走していたのはわかったので、うまくペースに入れて走れたと思います。徐々に上げていく感じだった。ちょっとサドルまわりのセッティングをいじったら、昨日(一次予選1)よりも良くなったので、このままいきます」
 ピタリと眞杉に付けた内藤秀久は、ゴール前で飯野に迫られるも2着は確保した。
 「(2日目が休みで)ちょっと休み過ぎましたね。スイッチが入ってないというか。自分の持ち味はコースを突っ込むことだと思う。(眞杉のレースは)もう抜群でした。ビックリするくらいのレース内容だった。自分はマーク選手なので2着が、1着くらいの気持ちで臨んでいる」

<6R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 前受けの深谷知広(写真)が、中団から動いた北津留翼の上昇を阻んで赤板過ぎに突っ張る。そこを冷静に仕掛けた町田太我が、2コーナー手前で先頭に立ちレースを支配する。北津留は7番手で打鐘を迎える。町田は緩急をつけながら駆ける。深谷は空けた車間をなかなか詰めず、最終2コーナー過ぎにまくった北津留は中団まで。車間を詰める勢いで直線で前団に襲い掛った深谷がゴール寸前でとらえた。
 「(中団から切りに来た北津留は)絶対に出させないつもりでした。(そのあと先行態勢の町田が)上に上がってたんで、内側を踏んでいた。(最終)バックから(仕掛けて)行きたかったけど、(それもあって)行けなった。前が掛かり過ぎていたんで、感じはあんまり良くない。なんとか届いた感じです」
 北津留を突っ張ってから深谷が緩めたタイミングで、町田太我が押さえて出て逃げる。中団の深谷、後方の北津留を翻ろうしてペースを握った町田が2着に粘り込んだ
 「昨日(2日目)、松浦(悠士)大先生にあの駆け方でいけって教わったんで、いけたと思います。2(着)っすよね、やった方です。昨日(一次予選1)で刺激が入った」

<7R>

野田源一選手
野田源一選手
 赤板1センターで勢い良く飛び出した野口裕史が主導権。前団に構えた森田優弥は、単騎の野田源一(写真)まで受けて4番手に入る。7番手に置かれた嘉永泰斗が仕掛けると、打鐘4コーナーで前の神山拓弥に接触して落車。最終2コーナーから3番手の野田と、4番手の森田でまくり合戦。森田をコーナーで合わせ切った野田が、先頭で直線へ。平原康多の追い込みを、野田が僅差で振り切った。
 「(初手は)野口君の位置にもよるけど、嘉永君も、森田君も野口君を出させるんじゃないかと。あそこの3番手は勝負しないと厳しいかなって。森田君が詰める勢いでのみ込まれた終わりなので、その前に行った。思ったより出なかったけど、必死だったし少しずつスピードに乗り始めました」
 森田のまくりが合わされて、付けた平原康多は、ギリギリまで森田の余力を確かめて外を追い込んだ。
 「森田のセンスに任せていました。嘉永が落車しているのがわからなかったので、森田が上を行かれるかなって思った。(自転車が)イマイチだったので修正をしたい。昨日(一次予選1)よりも今日の方が感じは良かったけど、セッティングはいじります」

<8R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 岩本俊介、浅井康太が切って、周回の隊列通り順番が来た新田祐大(写真)が、そこを押さえて先行態勢を取る。諸橋愛はすんなりと続くが、内を盛り返した岩本、伊藤颯馬、ラインの志村太賀で3番手がもつれて最終周回。伊藤がさらに踏み上げて、新田もペースアップ。後方の浅井がバックからまくるがあおりで膨れる。ラインの両者でのゴール勝負は、諸橋を振り切った新田が逃げ切りで1着。
 「流れのなかでっていう感じで、勝負どころは誘導退避のところから、浅井さんが僕待ちの感じだなって思ったのでチャンスを逃さないようにって考えていました。諸橋さんはヨコが強いイメージを周りはもっていたと思うので、内さえ空けなければ仕事をしてくれると思っていた。伊藤君が外にいたので、そこだけ警戒していければ決まるかなって思っていました。スピードに乗り切らなくて、踏み込んで踏み込んでだったので苦しかったですね」
 二次予選進出に上位着順でのポイントが必要だった諸橋愛が2着。
 「(新田に)本当に全部やってもらった状況ですね。もうイメージが悪すぎた。調子が悪いのかなっていうか、悪いイメージしかなかった。とりあえず払しょくできて良かったです」

<9R>

成田和也選手
成田和也選手
 赤板を過ぎて吉田有希と太田海也の踏み合い。内の吉田が突っ張るも、2コーナー過ぎに強引に太田が出る。山田庸平は追い切れず5番手に降りて打鐘を迎える。7番手でタイミングを取った郡司浩平は、3コーナーでスパート。最終ホーム手前で太田を叩いた郡司が、先行策に出る。太田は3番手の内で粘って、永澤剛と併走。番手で流れが向いた成田和也(写真)が、ゴール前で郡司を差し切った。
 「もう前が郡司君ですし、後ろが永澤なんで信頼して走りました。吉田君が前だったので、突っ張るのか、引くのかと思ってたら、郡司君がすかさず踏んだんで先行だなって。あそこを叩いて先行できるのはすごいですね。郡司君が先行なんで、(別線が)後ろから来たらなんとかしなきゃって。でも、掛かってたんで、誰も来なかった。ラインのおかげですね」
 構えることなく主導権取りに出た郡司浩平は、ラインでの上位独占をメイクして2着。
 「(関東勢が)スタートを取りにいったんで、吉田は突っ張るのか、踏みながら出させるのかと。(山田)庸平さんとかが内に降りてきて、付いていって詰まるより、立て直して一発仕掛けようって頭に切り替えた。太田が掛かり切る前に出られたし、残り1周なんでガムシャラでした。正直、最後はいっぱい、いっぱいでした。でも、(4日目のダイヤモンドレースの権利が)かかっていたので、脚がちぎれるくらいの感じでもと思って最後は走りました」

<10R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 渡邉雄太を赤板2コーナーで押さえた渡邉一成が主導権。しかしながら、前受けを強いられた取鳥雄吾は、7番手に下げて打鐘から反撃に出る。ペースを上げて抵抗する渡邉一を、取鳥が最終1コーナーで叩き切る。中国勢の3車が出切り、渡邉一後位の菅田壱道が別線をけん制して、まくった渡邉雄のスピードが鈍る。後続との間合いを取って、逃げる取鳥との車間を空けた松浦悠士(写真)が、余裕をもって差し切った。
 「(前受けで)ヤバいと思ったが、選手紹介の時の(取鳥)雄吾のダッシュがいままでよりも強くて成長しているなって。ジャンのところで行ってくれて出てくれた。掛かりも良かったし、ヤス(久保田泰弘)も3番手にいたので、あとは(別線が)来たら止めるだけだなって。(状態は)変わらずにいいと思う」
 7番手からの巻き返しになった取鳥雄吾だったが、ラインの久保田まで引き込んで別線をシャットアウトした。
 「(周回中は)前以外でと思っていたのでキツかったです。突っ張りというよりは、一撃で決まるようにと。(渡邉)一成さんが前に切りにいっているところからしっかりとって。めちゃくちゃキツかったです。昨日(一次予選1)の1走で芯が入った。ラインでワンツースリーは最高です」

<12R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 佐藤水菜がスタートを出て、5番車の柳原真緒までは車番通りの隊列で赤板を迎える。7番手から踏み込んだ吉川美穂が打鐘の3コーナーで先頭に立ち、2番手になった佐藤は車間を空けて様子をうかがう。腹を固めた吉川が、そのまま駆けて最終周回へ。車間を詰めて勢いをつけた佐藤が、2コーナーまくりで吉川をとらえる。梅川風子(写真)が続いて、7番手の太田りゆが大外をまくって出る。太田のまくりは3番手までで、直線は佐藤と梅川の勝負。ゴール前で佐藤を交わした梅川が優勝。3連勝の完全Vでデビュー通算200勝の区切りを達成してGI初制覇、さらに地元、立川でのグランプリチケットまで手に入れた。
 「(優勝は)うれしいですけど、本当にキツい3日間でした。号砲が鳴る直前までは(作戦を)決めかねていて、佐藤選手の動きを見てからになりました。(ナショナルチームの)ライバルであり、仲間でもあるけど、彼女は一枚抜けた存在ですね。(佐藤のまくりに)付いている時には、私の方が必死でした。車間も切れずに余裕もなかった。(今シリーズはコンディションが良くなかったので)万全で迎えられなかったのは悔しい。ただ、連日、応援していただいて、自分だけじゃないので頑張ろうって思えました。(19年の)前回の立川でのグランプリは落車してしまったので、そのリベンジを果たしたい」
 先行策の吉川を射程圏に入れて2番手からまくった佐藤水菜が2着で2冠奪取とはならなかった。
 「みんなスタートは取らないと思っていた。昨日(2日目)のレースが本当にしんどくて、坂口(楓華)さんに昨日みたいなレースをさせないように強気なレースをしようと決めていた。吉川(美穂)さんの動きは私的にうれしかったです。2車なら突っ張ろうと思ったけど、1車だったので行けるタイミングで行こうと思っていた。だけど、太田さんが予想以上に早い仕掛けだったので、自分のスピードは良くなかった。こういうレースもできるっていうのは、自分にとって自信になりました」
 梅川の後ろで坂口と併走になった柳原真緒は、最終バックで遅れたものの3コーナーから再度、内にもぐり込む。前の2人には及ばずも直線ではじわじわと伸びた。
 「佐藤さんは後方だと思ったけど、スタートは意外だった。けん制し合って内が空くと思ったので、最後に追い込もうと思っていました。脚があれば良かったけど…。(グランプリ出場には)獲るしかない状況で、あの位置で戦えたことは良かった。けど、獲らないとグランプリはなかったので悔しいことは悔しいです。今年の前半は攻める姿勢でレースができたけど、後半に崩してからは立て直せなかった。また来年から賞金争いが始まるし、そこに向けて頑張っていきたい」