『第48回競輪祭朝日新聞社杯争奪競輪王決定戦(GI)レポート』 3日目編
 
配信日:1月27日


 北九州メディアドームで開催中の第48回競輪祭は大詰めの3日目を迎えた。今日は準決勝3個レースをメーンに決勝へ勝ち進む9つの椅子を争いました。これで激戦を勝ち抜いた9名がそろい、明日の決勝戦で今年最初のGI覇者が決まります。
  本日10レース発売中に地元で引退式をされた吉岡稔真氏が明日はトークバトルに登場。お相手は伊藤克信氏です。そして日本名輪会写真撮影会など、イベントが目白押しですが、最大の注目は何といっても決勝戦。ぜひメディアドームにご来場ください。

 

<2R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   敗者戦は2レースを逃げ切って今シリーズ初勝利を挙げた吉田敏洋(写真)から。
  「今回は調整失敗ですね。締め切り5分前でも体がフワフワしてしまって、レースでの反応も遅い。だから今日逃げ切ったと言ってもね。体調が悪いわけじゃないので、調整ミスが悔しいです」


<3R>
梶應弘樹選手
梶應弘樹選手
   3レースは内から巧みにコースを突いた梶応弘樹(写真)が2着に食い込む。
  「紫原(政文)君が入るのを待ったけど、外に意識があったみたいだったから待ちきれず先に内に行かせてもらった。当たらずに突っ込むつもりが、危なくてスピードを殺して入ったからね。それでも行けると思ったけど海田(和裕)が強かった。初日、2日目とうっ憤が溜まってたので、明日も連にからんで帰ります」


<4R>
成田和也選手
成田和也選手
   4レースは内に詰まる苦しい展開をしのいだ成田和也(写真)がゴール前で空いたインコースを突き抜けた。
  「これから人の後ろを回る機会も増えるだろうし、内に詰まって何も出来ずじゃなく1着になったのは大きいですね。脚は溜まってたし、初日の反省を生かせました」


<8R>
吉川誠選手
吉川誠選手
 

 8レースは吉川誠(写真)が小嶋敬二、石丸寛之らを相手に逃げ切り。番手の高木隆弘に「あれでいいよ」と褒められる会心のレースに。「嬉しい。高木さんにはいつも迷惑を掛けっぱなしだし、何より小嶋さんを相手に逃げ切れたのが一番嬉しい。良い緊張感があったし、南関でワンツースリーまで決まって最高です」と笑顔が絶えない。



<9R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 

 9レースは佐藤友和(写真)が昨日敗戦したうっ憤をまくりで晴らす。
  「マニュアル通りなら俺の先行だけど、それだと考えやすいでしょ。ホームから沢田(義和)さんが駆けたし、まくりに構えました。敗者戦だし、まくりも出しとかないと、いざという時に出ないから」



<10R>
三ツ石康洋選手
三ツ石康洋選手大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
   10レースからはいよいよ準決勝が始まった。このレースは北日本勢と茨栃コンビの激突に注目が集まったが、逃げる金成和幸が武田豊樹を自ら外に持ち上げ失格に、これで武田も不発に終わる。このモツれをバックから三ツ石康洋(写真)が豪快にまくり切り、3連単で25万円を超す高配当を叩き出す。
  「昨日は残り2日間を9着9着で終えた場合の賞金を計算してたくらいなのに(笑)。珍しく今日はレース前に勝てるイメージを想像しながらアップしてました。踏み出しですぐに前が見えたので、これはイケルと思いましたよ。バックでこれって特別競輪だよな? って思ったけど、とにかく嬉しいです」
  2着には金成の逃げに乗った伏見俊昭が入る。
  「金成が頑張ってくれました。後ろがどうなってるのかも分からないし、とにかく必死でしたよ。三ツ石のスピードも違いすぎて合わせられなかった」
  九州勢から唯一の決勝進出となった大塚健一郎(写真)の動きは機敏だった。
  「一昨年の寬仁親王牌で決勝に乗った時のフレームに戻して不安がなくなった。今日は流れを見ながらのレースだったけど、まず脚がある神山さんの内をすくって慌てさせてから、北日本勢を追う。最後もあそこ(佐藤慎太郎の内)しかなかった。吉岡(稔真)さんの引退式の前に決勝に乗れて格好が付きましたね」
  一方、寸前で決勝進出を逃した佐藤慎太郎はガックリ。
  「勿体ない。(決勝に)乗れましたね。振らずに踏めば良いんだけど、コースを確保したいって気持ちもあるし。ちょっとした判断ミスですね」
  三ツ石マークの小倉竜二にもチャンスはあった。
  「踏み出しでキツかったし、2コーナーからの山おろしで完全に切れた。付いていかなアカンのに、調子も悪いですね」
  金成の思わぬ抵抗にあった武田豊樹は、「あそこまでされるとは…。危なかったし、残念です」と話すのが精一杯。


<11R>
新田康仁選手
新田康仁選手山田裕仁選手
山田裕仁選手
 

 11レースは前受けの九州勢が打鐘前先行の平原康多の番手でイン粘り。これを単騎の新田康仁(写真)が上がり10秒9の好ラップで一気にまくり切った。
  「イン粘りなんて予想もしてないし、単騎で何の作戦も立ててなかった。ホームで追い上げてやろうかな? とも思ったけど、脚を溜めて正解でしたね。いつでも行ける態勢にしてたし、タイミングも良かった。去年は3日目で帰郷だったけど、今年こそはと仕上げて来てたので良い結果が出て良かった」
  新田のまくりに山田裕仁、浜口高彰の岐阜コンビが続いて、ともに一昨年の高松宮記念杯以来となるGI優出を決める。2着に入った山田裕仁(写真)は、「荒井(崇博)が粘れば平原のペースになるから、どうかな? と思ったけど流れが向いてますね。自分で行こうと思ったら、ちょうど新田が行ったので、それに付いて行った。勝ち上がれる時はこんなもんですよ」と淡々とレースを振り返る。
  3着の浜口高彰も久々の優出に笑顔が絶えない。
  「二人とも(GIの決勝は)久しぶりだからね。山田はホームではいつでも行ける態勢だったし、落ち着いてましたね」
  平原康多は新田の切れの前に成す術なし。
  「余裕はあったけど出切られたし、タイムが10秒9では…。まあ、やることはやったので仕方ないです」



<12R>
手島慶介選手
手島慶介選手有坂直樹選手
有坂直樹選手
 

 最終12レースでは山崎芳仁と村上義弘の意地がぶつかりあったが、軍配はカマした山崎に。続いた有坂直樹と北日本ワンツーかに、三番手から手島慶介(写真)が鋭く伸びる。
  「今回はあまり調子も良くなかったし、村上君にもからまれたからあんなに伸びるとは思わなかった。作戦は東北勢に全部任せてたし、心中する覚悟でいました」
  2着の有坂直樹(写真)は手島の強さに脱帽する。
  「引いてすぐ行く作戦だったから、作戦どおり。それにしても山崎はすげぇカマしだったなあ。あれには誰も飛び付けないでしょ。差してワンツーくらいの感じだったのに、手島が来たから。脚あるなあ。強いよ」
  豪快なカマシで3着に粘った山崎芳仁も和歌山記念とは別人の動き。
  「フレームを元に戻して、流れるから良いですね。今日は村上さんと二分戦だけど、突っ張るつもりはなかった。たとえ手島さんが切り替えても八番手からカマす。元々カマシは自信があるし、あとは村上さんの抵抗がどれだけあるかでした。決勝に乗れたし、体調も悪くないです」
  4着で惜しくも優出を逃した三宅伸は、「内に詰まりたくなかったので、山崎のカマシに乗って突っ込む作戦だった。チャンスはあったけど、村上君にからまれたから。それにしても前の三人は強い。バイク? いや台風だったね」と、優出した3人の強さに苦笑い。
  逃げた村上義弘も山崎のカマシに屈した。
  「今日はがっぷり先行勝負するつもりだった。それでギアを上げたけど、結果裏目に出ましたね。叩かれて引いても仕方ないし、前々にとは思ったけど、最低でも有坂さんのところで合わせたかった。力のなさがはがゆいけど、そのうち出せると思います」

 

吉岡稔真選手引退セレモニー

  10R終了後に吉岡稔真氏の引退セレモニーがバンク内で行われました。まず吉岡氏の偉業を紹介するビデオが放映され、その後、数々の記録を残してきた吉岡氏を称える表彰式がとり行われました。


  記念品と花束、日本競輪選手会からの感謝状が贈呈されると、「地元のファンの皆様、長い間ありがとうございました。報告が遅くなりましたけど、17年間、この小倉で生まれて頑張ってきて、小倉のファンの方に応援していただいて、自分もここまで頑張ってこれました。これからも、次の人生で頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。ありがとうございました」と場内に詰め掛けたファンに吉岡氏が涙ながらに挨拶しました。


  その後、バンクを一周。声援に手を振りながら応え、ファンとの別れを惜しみました。

胴上げ 集合
   

 

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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