『第49回競輪祭朝日新聞社杯争奪競輪王決定戦(GI)レポート』 最終日編
配信日:1月27日
1月24日から幕を開けた第49回競輪祭は、本日27日をもって4日間の全日程を終了した。今年も競輪界をリードする2強・小嶋敬二、山崎芳仁が順当に決勝へ進出。注目はこの両者の直接対決だが、井上昌己―加倉正義や武井大介の抵抗はいかに。優勝賞金2,690万円とグランプリの切符を手にしたのは果たして。
決勝戦・レース経過
スタートの号砲と同時に飛び出したのは加倉正義。2コーナーで誘導員に追い付き正攻法を主張したが、2周目に武井大介を迎え入れた。これで前団の並びは武井―兵藤一也、井上昌己―加倉に香川雄介が加勢。小嶋敬二―山口幸二、山崎芳仁―佐藤慎太郎が後ろに控えて初手の並びが落ち着いた。
赤板で山崎が動く。小嶋のヨコでぴったりと止まりけん制。その後、打鐘をめがけて一気にスパートした。前受けの武井は山崎の番手でイン粘りを敢行する。先頭に立った山崎は最終ホームで先行態勢に入るが、山崎ラインの動きに続いた小嶋がさらにカマして主導権を奪う。この動きに反応したのは井上。俊敏に切り替えて中部コンビを追走する。小嶋は流さず踏んで後続を一本棒にして逃げ込みを図る。番手の山口もきっちりインを閉めて追走していたが、終2センターで井上がまくり追い込みを仕掛ける。山口のけん制で出脚はやや鈍ったが、直線でもう一伸びして加速。そのままの勢いでゴール線を駆け抜け、二度目のG1優勝を達成した。2着には小嶋が粘る。3着には香川。
表彰式
胴上げ
ゴール
<1R>
中川誠一郎選手
1レースは園田匠が積極果敢に主導権を奪う。佐藤悦夫が番手に飛び付く展開となったが、
中川誠一郎(写真)
がこれを堪えて番手まくりを敢行。シリーズ最終日にしてようやく1着をとった。
「ある程度粘られると思った。園田君があれだけ行ってくれたからには大塚さんとワンツーを決めなければと。何とか凌げたけど脚は一杯でした。今日は園田君のおかげ。今回は直前に風邪を引いてしまって、体調があまり良くなかった。次はしっかり立て直して流れを取り戻したい」
<3R>
飯野祐太選手
3レースは永井清史がカマして主導権を奪うが、番手の一丸安貴が離れる展開に。援軍を失った永井は成す術なく、追った飯野祐太―山田敦也で北ワンツーとなる。
飯野祐太(写真)
は嬉しいG1初勝利。
「今日は番手の山田さんのおかげ。後ろ攻めがよかったけど、(スタートでけん制したため)周回で皆脚を使っているから一度突っ張って正解でした。赤板で永井さんに当てられて、誘導にぶつかりそうになってビックリしたけど1着がとれてよかった」
山田敦也
はバックでからまれたが、飯野の番手をしっかりと守った。
「スタートでけん制が入ったけど、幸田さんが1周以上追ってくれたんで、自分は半周だけだったから助かりました。バックでもつれたけど、思いきって踏んだら車輪が飯野に差さったから追走できました」
<5R>
山内卓也選手
5レースは矢口啓一郎と市田佳寿浩でやり合うところを、
山内卓也(写真)
がひとまくりし2連勝でシリーズを締め括った。
「矢口が上がっていったときに市田さんが一緒に上がって警戒していたし、小橋も粘るだろうから展開がもつれると思った。展開が向いたけど今日はキツかったですよ」
<6R>
佐藤友和選手
6レースはジャン過ぎ4コーナーから
佐藤友和(写真)
が先行し後続を振り切って快勝。番手の競り合いは飯嶋則之が高谷雅彦を下して2着に流れ込んだ。
「ラインで上位を決めたかった。初手は中団が良かったですけどね。誰かが押えたところを駆けて、ペースを上げれば内の高谷さんも(飯嶋を)飛ばしやすくなるから。(石橋)慎太郎の昨日のカマシが凄かったでしょう。だから、慎太郎に押さえさせる展開を作りたかった」
<7R>
7レースは新田祐大の先行に乗り、
牧剛央
がシリーズ2勝目を挙げた。
「新田(祐大)君がよくあれだけ行ってくれたね。中団がもつれていたけど、新田(康仁)君と菊地(圭尚)君は強いからいつ飛んでくるのかと、冷や冷やしていました。脚は一杯だったけど、中団がもつれたこともあって展開に恵まれました」
新田康仁
は二次予選と同様に中団にこだわり不発に終わる。
「終始踏み遅れていたんで踏むタイミングを逃してしまった。早めに前を斬って(菊地を)行かせるか、(新田祐が)ホームで前が流していたから行けば良かったかな」
菊地圭尚
は新田康仁を退かして仕掛けたものの、車が思うように伸びなかった。
「結構脚にきていて外に浮きかけたけど、車が前に出たから思い切り踏んだが、最後が伸びなかった」
<8R>
岡部芳幸選手
8レースは北津留翼と渡辺一成のスプリント対決となる。最終ホームからの踏み出し勝負は渡辺一成に軍配が上がり、ピッタリと追走した
岡部芳幸(写真)
がゴール寸前で交わした。
「今日は自分は何もしていないし、一成がここしかない所で踏んでくれたおかげ。今回は高谷(雅彦)の頑張りで自分にスイッチが入りましたね。それと、ドームってことで室内なりの走りがあるってことに気が付いた。そういう意味で勉強になる開催だったよ」
<9R>
手島慶介選手
9レースは平原康多が渡部哲男を強引に突っ張って先行。この頑張りに応えるかのように
手島慶介(写真)
が村上博幸、紫原政文のまくりをキッチリ止めて1着となる。
「平原が頑張ってくれたから、俺も脚が一杯になってしまった。最後は9番(村本大輔)にシャクられたしキツかったね」
<10R>
武田豊樹選手
10レースは
武田豊樹(写真)
が後閑信一の援護を盾に堂々の逃げ切り勝ち。
「たまにはまくりに回ってみたいけどね。準決で負けたけど負け戦でしっかり勝つことも大切ですから」
荒井崇博
はまくり上げたが、後閑のブロックで万事休す。
「(ホームで中団に)押し込んで入ってやろうと思ったけど、前に流されたから入れなかった。踏み出しで行ったと思ったんだけどね。後閑さんがイエローラインまでもってきたら終わって(9着)いたね」
<11R>
小嶋敬二選手
香川雄介選手
加倉正義選手
大一番の決勝戦(11レース)は、山崎芳仁が前を押さえると武井大介がイン粘り。するとすかさず小嶋敬二がカマして主導権を奪い山口幸二とマッチレースかと思われたが、三番手にスイッチした
井上昌己
がまくって突き抜けた。
「花月園オールスターのときは勢いで獲った感じだったけど、今回は自分の展開を作って勝てました。前回(花月園AS)は優勝した実感がなかったけど、今回は(実感が)ありますね」
GPに続き
小嶋敬二(写真)
は2着惜敗。
「山崎は慎太郎が粘られないように結構踏んでいたから、出切るまでにかなり脚を使った。1コーナーからバックで脚が一杯になってしまい、もう(山口)幸二さんに勝ってくれって感じだった。山崎が三番手を取り合う展開だったら流せたけど、すんなり引いたんで流せなかった。もっと山崎が早めに押さえてくれば入れ替わりがあって面白くなったかも。また2着、もったいないことをしました」
3着は
香川雄介(写真)
。香川は中位をキープすると、決勝戦は外を鋭く伸びた。
「レース前、作戦は全く考えていなかった。号砲でラインの二番目くらいにいればいいかなと。前の加倉さんがピッタリと(井上に)付いていれば最後に自分にもチャンスがあったかも。バックで山崎とスピードが合ってしまったから、もう外を一か八か行くしかなかった。少しは外を踏めるところを見せられたと思う」
加倉正義(写真)
は中割りを狙ったが。
「小嶋さんと山口さんの間しか考えていなかった。小嶋さんも少し内を空けていたから、思い切って突っ込んでいれば3着はあったかも」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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