『第54回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 初日編

配信日:11月29日
 いよいよ今日から「第54回 朝日新聞社杯競輪祭(G1)」が開幕した。今年最後のG1で、大詰めを迎えた賞金争いなど注目ポイントの多い今大会。1次予選では九州勢が大活躍、地元の園田匠も2着で2次予選進出を決めた。メーンの特選では深谷知広らが落車するアクシデントもあったが、神山拓弥、長塚智広に藤木裕が快勝。明日の「ダイヤモンドレース」に勝ち上がった。
 明日は吉本お笑いステージin競輪祭と題して2700によるライブ(5R、10R発売中)をはじめ、日本名輪会によるトークショー&写真撮影会(6R発売中)、健太康太のライブ(3R、7R発売中)などのイベントが4Fステージにおいて予定されています。明日もぜひ小倉競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。

敢闘宣言をする園田 匠 選手
敢闘宣言をする園田 匠 選手
175R SHOGO ライブ&トークショー
175R SHOGO ライブ&トークショー
<1R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 オープニングレースを制したのは荒井崇博(写真)。前受けから中団を奪うと、まくって快勝。「誘導のペースが上がってたので、もう少し遅ければ突っ張った。上手く中団に入れたし、ワンツーじゃないけどよかったでしょ」と余裕の表情でレースを振り返った。
 2着には番手まくりの中村一将を追走した有賀高士が食い込んだ。
 「作戦はなかったけど、ヒラメキでと言ってたのでヒラメキなら(番手から)行くしかないかなと思ってた。直線に入ってから踏んだけど、外を来られたからね。今日は恵まれた。明日も恵まれるようにね」

<2R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 ホームから早めの巻き返しを見せた中川誠一郎(写真)が上がり11秒2の好ラップで押し切った。
 「あんなに売れるとは思わなかったので緊張しました(苦笑)。コーナーに入りそうだったけど、緩んでたので行けるかなと思った。今日はガチガチだったけど、出切れば決まると思ってたので」
 合志正臣が続いて熊本ワンツーが決まった。
 「3番(鈴木裕)がベタ流しだったし、誠一郎は待ったら無理だと思ったんでしょうね。余裕もあったんだと思います。今日は誠一郎が強かったです」

<3R>
野田源一選手
野田源一選手
 打鐘過ぎから新田祐大、稲垣裕之で激しいモガキ合いに。この展開を待っていたのは単騎の野田源一(写真)。バックから仕掛けると鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「絶好の展開でしたね。1、2Rで(九州勢が活躍し)変なプレッシャーがあったけど、良い感じでスピードに乗ったと思った。でもまさか押し切れるとは。いいスタートが切れました」
 野田の仕掛けに続く形になった海老根恵太が2着に。
 「自分で行くか迷ったけど、野田君が良いタイミングで行ってくれたので助かりました。スピードもよかったですね。僕は追った感じスカスカするので、ギアを上げるかも」

<4R>
柴崎俊光選手
柴崎俊光選手
 4レースは伏兵の柴崎俊光(写真)が1着になり大波乱に。レースは内をすくって先行した飯野祐太の番手に柴崎が入り、絶好の展開を生かした。
 「今日は完全に展開一つです。外を気にして駆けようと思ったら、内から飯野君がどこから来たのって感じになって。ジャンで中団に菅原さんが入ったんで最悪だと思ったけど、恵まれましたね。今回からぶっつけ本番のフレームなんですけど、感じは悪くないんで大丈夫みたい」
 飯野祐太も粘りを発揮し2着に入る。
 「初手で後ろになるのは予想してなかったけど、落ち着いて行けば何とかなるかなと。内が空いたんで思い切って行ったけど、柴崎君が後ろに入ったのは分からなかった」

<5R>
 金子貴志がスピードの違いを見せ付けた。レースは前受けから引いて7番手になると、ホームから一気の巻き返し。逃げた松岡貴久をバックで抜き去ると、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「レース中は木暮君しか見てなかった。ずっと内にいたし、仕掛けてからはとりあえず木暮君のところを乗り越えないとと思ってました。前回(京王閣)は疲れが溜まってたんで休んだけど、少し緩め過ぎた感じがあったんで直前に一回刺激を入れてきたんで感じは悪くなかった」
 木暮安由が金子の番手に俊敏にスイッチし、2着を確保した。
 「今日は流れに応じていく作戦でした。身体も動いているんで悪くないと思います」
 松岡貴久はまくられたものの、3着で一次予選を突破した。
 「金子さんのスピードが全然違ったし、まくられましたね。でも、押さえ先行で3着なら上出来ですよ」

<6R>
香川雄介選手
香川雄介選手
 岩本俊介と吉本卓仁で叩き合いに。望月永悟のけん制をしのいだ園田匠が吉本に追いつくと、最後はライン3番手から中を割った香川雄介(写真)が突き抜けた。
 「(10月名古屋の最終日に失格、11月高松では落落欠着で)久々に完走できてよかったです。離れても園田は追いかけるだろうと思って信頼してました。落車が続いたけど、練習はできてたのであとは結果を出すだけと思ってた。最後は外を踏もうと思ったけど、園田はスライスする癖があるので中に行った」
 久々の1着こそならなかったが、園田匠は競輪祭初の2次予選進出にホッとした表情を浮かべる。
 「レース前、合志(正臣)さんに『4着まででいいんだから、しっかりついて行け』と言われて気分的に楽になった。今までの競輪祭だったら2コーナーでコケてただろうし、これで流れが変わりそうですね。これでやっと2次予選ですね。1着は最後までとっておきます」
 激しいモガキ合いを制した吉本卓仁は3着に粘った。
 「全然進まん…。合わされて終わったと思いました。最後はギアで何とか行けましたね。展開はあれしか考えてなかったけど、キツかったです」

<7R>
桑原大志選手
桑原大志選手
 このレースでもライン3番手の選手が1着だった。最終ホームから三宅達也が叩いて出ると、このライン3番手の桑原大志(写真)が僅差の1着争いを制した。
 「(中団の)矢口が勢いをつけてきたらマズい。タイミングをズラせれば、あとは伸さんが何とかしてくれると思った。僕はサラ脚で、伸さんは前を残そうとしてましたからね。勝ち上がれてよかった。前2人のおかげです」
 出切ったときにはラインで決まったかに見えたが、結果的には5着までが横一線の勝負。2着の三宅伸は「ワンツースリーかと思ったけどね。達也はかかりが良かったけど最後にタレた。(外が見えたので)慌てて踏んだ」と胸をなでおろす。
 神山雄一郎は「よかった。もう危なかったです」。4着で何とか2次予選に滑り込んだ。

<8R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 脇本雄太(写真)が別線を完封して逃げ切り。逆転でのグランプリ出場へ、望みをつないだ。
 「後ろは分からなかった。南(修二)さんのことだから、すぐにしごいて終わり。打鐘過ぎには決着がついてると思った。僕は最低限のことができたのでよかった。前回の別府とかは風で重かったので、今回は軽く感じました」
 脇本後位に飛びついた松田優一が南に競り勝ち3着に。「たまたまです。がむしゃらに踏んだだけで、そんなつもりじゃなかった」とレースを振り返る。
 これで展開が向いたのは朝倉佳弘。松田に続くと2着に食い込んだ。
 「松田君はいつもいいレースをしてくれるから。もう少し自分が早く踏めれば尾崎(剛)さんまで連れ込めたけど、そこは申し訳ない。今日は同期のおかげですね」

<9R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 9レースは桐山敬太郎が同期の山崎芳仁を突っ張って先行。展開がゴチャ付いたところを、川村晃司(写真)がまくって勝利した。
 「もっと早く仕掛けられたけど、8番(山口貴弘)の動きが気になって見てしまった。とにかく、山崎君より先に仕掛けなければダメだと思ってました。前がやり合ってくれてたんで、行けるなと思いました。感じは前回から良くなってます」
 桐山敬太郎はまくられたものの、粘り強さを発揮して2着に踏み止まった。
 「あの展開だと川村さんもカマしにくい感じだったし、ジャンの4コーナーで腹を括って逃げようと思った。軽いドームの分、掛かりは良かったですね。今回は柴田竜史君にフレームを借りて、ギアも上げてみたんだけど感じは良いですね」

<10R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 先行態勢に入った村上義弘を小嶋敬二が叩く。そこを単騎の芦澤大輔がまくると、上手くこの動きに乗った神山拓弥(写真)が超細切れ戦を制した。
 「あそこで(打鐘で芦澤と3番手を)やり合ってもしょうがないなと思った。モガキ合いになってたし、行こうと思ったら芦澤さんとタイミングが合ったので。結果、栃木で決まってよかった」
 飯嶋則之は「拓弥に任せてたし、落ち着いてました。ワンツーが決まってよかった」と言葉こそ少ないが、ダイヤモンドレースに駒を進めてニッコリ。
 まくった芦澤大輔は3着に踏みとどまった。
 「神山が自重して(3番手に)入れてくれたのがよかった。単騎で動いたからには自分の力を出し切らないとと思ってました。強い人がモガき合ってたし、出もよかったと思います」
 当日にギアを4.42に上げた小嶋敬二は「後ろにいても仕方ないし、出切れれば何とかなると思った。出切れたから、まあまあですね。ギアは明日も」と2次予選から仕切りなおす。

<11R>
平原康多選手
平原康多選手
 前受けの渡邉一成が深谷知広を突っ張ると、打鐘過ぎ4コーナーで深谷が落車。これに井上昌己も乗り上げる。3番手で立て直した平原康多がバックまくりで前団を飲み込むと、最後は長塚智広が直線鋭く突き抜けた。
 「落車を避けてよく伸びました。平原君もすかさず行ってくれたしさすがですね」
 渡邉の逃げに乗った成田和也が2着に。
 「一成はかかってたし、強かった。止まりそうだったけど、平原も力がありますね。僕の状態は問題ないと思う」
 まくった平原康多(写真)は3着。
 「キツかった。同じようなメンバーだし、前橋(オールスター)の落車が頭をよぎったけど、上手くよけられた。復帰して2場所の走りを上手く生かせてますね。今日は一成と力勝負ができてよかった」
 突っ張った渡邉一成は「落車が気になって、平原さんに合わせるのがワンテンポ遅れた。でも踏み応えはいいと思う」
 まくり不発の松岡健介は「余裕はあったし、仕掛けどころやなと思ったところでの落車だったので。明日からです」と気持ちを切り替えた。

<12R>
藤木裕選手
藤木裕選手
 村上博幸を背に藤木裕(写真)が果敢に先行。武田豊樹、浅井康太らSS班を押さえて逃げ切った。番手の村上の落車で表情こそ硬いが、納得のレース内容だっただろう。
 「博幸さんにはいつも練習で『武田さんならここで来る』とか教えてもらってるし、今日はそれを出せたと思います。でも後ろに博幸さんがいたから相手の仕掛けも遅かったんだと思う。逃げ切れたのは嬉しいし、明日からもそれをつなげられるように頑張ります」
 3番手の武田豊樹が仕掛けるタイミングを失うと、浅井康太が6番手から空いたインコースを鋭く抜ける。4コーナーでからんだ村上が落車し、審議対象になったが判定はセーフ。
 「武田さんに中団に入られて後ろになったし、最終的に内を行くしかなかった。感触は悪くないです」
 浅井に続くように内に進路をとった後閑信一が落車を避けて3着入線する。
 「落車をよけたって感じのレースでした。走ったら直すべき点が見つかったので、そこを修正したい」
 敗れた武田豊樹は「(浅井の気配がして)内を締めてた。なかなか完璧なレースは難しいですね」とレースを振り返ると、早くも2次予選へ視線を移した。
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