決勝戦 レース経過 |
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スタートでけん制が入ったが、単騎の渡邉一成が誘導員を追うと、そこに中部コンビも続く。周回は前から渡邉―竹内雄作―浅井康太―平原康多―武田豊樹―池田憲昭―村上義弘―村上博幸―稲川翔の並び。 青板バックから動いた村上義に並びかけられた竹内は4コーナーで車を下げると、赤板ホームでは8番手。1センターから叩きに行ったが、村上義も2コーナーから合わせて踏み上げ竹内を出させない。先行争いに敗れた竹内は最終ホームで外を後退。竹内に口が空いた浅井との中団争いから稲川をすくった平原は3番手に切り込む。稲川と接触した浅井がバランスを崩したのも影響したのか、稲川に割り込まれてしまった武田だったが、1センターから稲川が内をすくい返したことで再度、平原とドッキング。外に浮いた形から平原が2コーナーから仕掛けると、この動きにピタリと続く。バックの直線、しかもイエローライン付近を仕掛けた平原を村上博は止められず、2センターから後続を千切った関東コンビで優勝争いは一騎打ちに。ゴール寸前で平原をとらえた武田が6月高松宮記念杯に次ぐ、今年2度目のG1制覇を飾った。2センターで村上博のあおりを受けた池田だったが、離れながらも関東コンビを追って3着をキープした。
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![]() 石井秀治選手 |
最終日のオープニングレースを飾ったのは石井秀治(写真)だ。打鐘から果敢に飛び出すと、別線に付け入る隙を与えない逃走劇でラインを上位独占に導いた。 「骨折してからきつかったけど、豊橋(G3)からレベルが戻っているのは分かっていたんで。あとは展開が向けばと思っていた。今日は普通に力を出し切って結果も出た。次からは大丈夫だと思います」 成清貴之が懸命に続いて2着をキープ。9着が3日間続いていたが、好展開を生かして連にからんだ。 「秀治が本当に強かった。かかってました。まくりは出ないし、やっぱり先行選手だと思います」 |
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![]() 岩津裕介選手 |
佐藤友和が後ろ攻めから押さえたところを、松岡健介が打鐘から勢い良くカマして主導権。松岡が懸命に逃げるなか、SS班の岩津裕介(写真)は車間を切って援護していくと、最後は直線で追い込んで1着。シリーズ最終日にようやく白星を手にした。 「松岡君が良いタイミングで行ってくれました。2車なのに思い切って。ようやく最終日に展開が向きましたね。今回、体調としては良くもなく悪くもなくだったけど、G1になるとみんな強いので」 林雄一は佐藤の3番手から、直線中のコースを鋭く伸びて2着に入る。 「前が頑張ってくれたおかげです。今日はアップから感じが良かったので。バックも流れる感じがした。最近は流れ込みのレースが多かったけど、最終日に何とか少しだけ、自分らしいレースができました」 |
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![]() 柴崎淳選手 |
赤板の2コーナー手前でハナに立った藤木裕が、筒井裕哉を連れて流すことなく吹かして打鐘を通過。前受けから3番手に飛び付いた柴崎淳(写真)は、別線の気配を感じながら最終2コーナーからアタック。番手まくりの筒井との踏み合いを制して白星を飾った。 「(打鐘で)けっこう脚にはきてましたね。そこからはあんまり詰めすぎずにと思ってた。もう(藤木が)タレてきてたから(筒井が番手から)出ていくと思ったけど。吉本(卓仁)さんが来たんで、あれ以上待ったらかぶってしまうと思ったんで行きました。昨日(3日目)までは新車を使っていたんですけど、今日は戻した。感覚が悪いから換えたわけではないんですよ。今日乗ったのは軽いけど、あんまり流れる感じはなかった。脚の状態は悪くないですよ」 「よかった~」と、流れ込んだ北野武史が、胸をなで下ろし笑みを浮かべる。 「打鐘で僕は1車くらい(柴崎と)空いてしまった。あれで脚にきましたね。(柴崎)淳は冷静でした。7番(筒井)も出るのか、出ないのかっていう感じだったんで、そこを落ち着いて行ってくれた。自分は(ワンツーで)サイコーです(笑)」 |
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![]() 川村晃司選手 |
小埜正義が打鐘から先行態勢に入るが、木暮安由が内に斬り込んで最終ホーム手前で南関勢を分断する。そこを川村晃司(写真)が一気にカマして最終主導権。最後まで力強く踏み切り、連勝でシリーズを締めくくった。 「木暮君の動きもあって展開に恵まれました。(小埜に)うまく隠れて仕掛けられました。いい感じで車が進んでくれたし、ラインで決まると思いました。今回は初日、2日目と9着が続いて残念でしたけど、3日目、4日目で何とか立て直せたと思います。次につながる走りはできました」 坂口晃輔がきっちり2着に流れ込み、中近コンビで連を独占した。 「スタートの位置を失敗して、川村さんに迷惑をかけるところでした。連れていってもらっただけですね。川村さんがかかっていたし、強かったです。今回の成績で点数が上がると思うけど、かみ合わないところもあったので、脚を戻して修正していきたいですね」 |
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![]() 中川誠一郎選手 |
山田久徳が後ろ攻めから押していき、打鐘前で先頭に出て主導権を握る。中団がもつれたが、桐山敬太郎が3番手好位を取り、藤田竜矢が5番手をキープ。北津留翼は7番手に置かれる展開に。山田が懸命に逃げるなか、桐山、藤田がそれぞれバックまくり。最後の直線は大混戦となり、各車ゴールに殺到したが、8番手から中川誠一郎(写真)が大外を急襲。閃光のごとく駆け抜けた。 「展開は良くなかったけど、北津留君はいつも頑張ってくれるんで慌てずについてました。作戦もなかったし、全て任せてました。自力でない分、楽だったので最後届きましたね」 藤田の後ろから後閑信一も鋭く伸びて2着に入る。 「前がかかってたし、桐山君の外を藤田君が行ってくれたので。桐山君も強いし、藤田も強いよ。僕は色々と試していったら日に日に感じが良くなっていきました。後半の2日間は踏み切れてたし、伸びも良かった」 桐山敬太郎は4コーナーを先頭で立ち上がるも、外を行かれて3着。 「何も見えてないところから外をきたね。後閑さんに抜かれると思ったら、その外を黄色いのがすごい勢いできた。中川さんが強すぎるよ。(前半)2日間は迷いがあったけど、後半2日間で良くなりました」 |
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![]() 神山雄一郎選手 |
後ろ攻めの佐川翔吾が上昇して中団の郡司浩平の横で止まると、郡司は7番手まで車を下げた。佐川は後ろを気にしながら仕掛ける機会をうかがっていたが、前受けの小川勇介が腹をくくり、誘導を切って2コーナーから早めに先行態勢に入る。すると、佐川も車間を詰める勢いでスパートし、最終ホームで小川を叩いて主導権を奪い返した。しかし、柴崎俊光が中団に下りたため、小川を捨てて井上昌己が番手に入る。そこを、佐川の動きを目標に追ってきた郡司が一気のまくり。郡司は猛スピードで前団を抜き去ると、最後はS班の神山雄一郎(写真)が鋭く追い込んだ。 「いやー、郡司君が本当に強かった。頑張ってくれましたね。(以前付けたときよりも)格段に強くなってる。もしかしたら俺が弱くなったのかもしれないけど(笑)。ワンツーで良かったです」 強敵たちとの力比べを制した郡司浩平。今シリーズは3連対と結果を残し、自信を深めた。 「今日は本当にキツかった。とにかく出切ることを第一に考えて、思い切り仕掛けました。以前より力が付いて、やりたいレースができるようになってきたし競走が楽しいです。G1だと二次予選が壁になってるんで、次はそこをクリアできるように頑張っていきたい」 |
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![]() 鈴木謙太郎選手 |
後方にいる脇本雄太を警戒した原田研太朗が、赤板の1センターでインを大きく空けると鈴木謙太郎(写真)がそこをスルスルと抜けて主導権を奪取。茨城コンビに松岡貴久が続き、原田が5番手、脇本は7番手の一本棒で最終ホームを通過。牛山貴広が2コーナーからまくった松岡を阻んで、そのあおりで原田、脇本も一息。強襲した南修二を8分の1輪抑えた鈴木が、鮮やかに逃げ切った。 「内に行ってどうしようとは考えてなかった。とりあえず内に行って、併走になったらそれでもいいと思っていた。俺が点数を持ってないし、みんな見てなかったからたまたまですよ。でも、脇本相手によかったです。初日は自転車と体のバランスが良くなくて、ペダリングがつかめてなかった。2日目からその感じがつかめてきたんで調子は良くなってきた」 目標の脇本が不発になると、南修二は最終3コーナーからインを進出。前団にとりつくと、直線の入り口で今度は進路を外に取って鋭く追い込み2着。 「コースは見えてましたね。だけど、(最後は)空いてなかったんでああなりました」 |
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![]() 海老根恵太選手 |
和田真久留が赤板過ぎから先行。後続の出方をうかがいながらピッチを上げる。番手絶好となった海老根恵太(写真)が直線で鋭く追い込み、シリーズ2勝目をゲットした。 「和田君が頑張ってくれたおかげです。深谷(知広)が4番手にいるのは分かってました。あれだけ行ってくれたので、1着を取らないといけないと思った。今回は二次予選がもったいなかったですね。突っ込む技術と勇気があれば勝ち上がれていたと思います」 人気の深谷知広は中団確保からまくり追い込んで2着。これを追った地元の園田匠が3着に入った。 「深谷君が後手を踏まずに、頑張ってくれました。最後はコースを間違えただけ。セッティングも出たし、最終日の感じが一番良かった。落車せずに走り切れてホッとしています」 |
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![]() 志智俊夫選手 |
稲垣裕之が中団でフタをすると、早坂秀悟は6番手まで車を下げる。赤板を通過し、早坂が反撃に出ると稲垣も合わせて踏み込み、両者でもがき合いに。2人の力比べは稲垣が最終ホームとバックを取って稲垣に軍配。一方、中団の菅原晃もまくり出たが伸びは今ひとつ。最後は志智俊夫(写真)が菅原に止めを刺すと、直線で追い込んで勝利。シリーズ3連勝で締めくくった。 「早坂君を相手にどう戦うかだったけど、稲垣君の気迫がすごかったですね。僕がもっとしっかりしてれば残せたんだろうけど。でも、3連勝できて自信になりました。次、(稲垣と)一緒のときはしっかり走ります」 菅原の後ろから、合志正臣がしぶとく伸びて2着に入る。 「早めからスピードが上がったんでキツかったですね。早坂君が(中団から)引いた時点でああなるかと。でも、2着に入れたのは大きい。今日は晃のおかげです」 菅原晃はまくり出るも、最後は志智に止められ8着に終わる。 「初手で前を取って中団狙いだったけど。(林巨人の後ろに)飛び付いて脚が一杯だった。稲垣さんが強かったですね」 稲垣裕之は5着に沈んだが、最終レースの結果をもって初のグランプリ出場が決定した。 「最後は勝ち上がりで戦いたかったけど、二次予選で失敗して…。(最終日は)こういうレースしかできなかったけど、初日に失敗して、自分がやるべき仕事を考え直せた。(グランプリ出場が決まり)ずっと目標にしていたことですし、うれしいです。でも、みんなに助けてもらって(グランプリに)乗れたので。その思いを持ち続けていきたい」 |
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![]() 吉田敏洋選手 |
赤板から上昇を開始した天田裕輝が、中団に構えた吉田敏洋にフタをしたのち、打鐘から先行態勢に入る。しかし、間髪入れずに吉田が巻き返すと、芦澤大輔の厳しいけん制を乗り越えて、抵抗する天田を叩き切った。今度は新田祐大がまくって反撃を試みたが吉田の掛かりが良く、車の進みは今ひとつ。車間を空けて吉田を援護していた金子貴志が、前をかばいながら抜け出し、絶好の展開をモノにした。 「(吉田)敏洋がすごく強かったですね。敏洋の得意な展開だったし、スピードも良かったので安心して付いてました。敏洋が勝手に全部やってくれましたよ(笑)」 吉田敏洋(写真)は2日目から3日連続で逃げて2着。今年は落車の怪我に泣かされたが、今シリーズで好感触をつかんだ。 「(この結果は)自分でもビックリですね。昨日、今日とまぐれとはいえ(中川)誠一郎や新田相手に結果を出せたので。自信にさせてもらいます。良い状態にあることはわかったので、年末年始ケガに気をつけて、地元のダービーを迎えられるように頑張ります」 V候補の一角だった新田祐大だが、終わってみれば今シリーズの勝ち星は初日のみ。最終日もまくり不発に終わる。 「今日も良いタイミングでいけたんですけど…。ダメでしたね。年末は“いつも通り”の調子で走れるように、調整していきたいです」 |
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![]() 平原康多選手 ![]() 村上義弘選手 |
今年最後のG1決勝。年末のグランプリの出場9名も決まる大一番を制したのは武田豊樹。レースは後ろ攻めにこだわった村上義弘が青板バックから上昇すると、初手で2番手にいた竹内雄作が8番手まで引いて反撃態勢を整える。そして、赤板周回の1センターからカマしていくが、村上義もこれに合わせてスパート。村上義が竹内を封じて主導権を握った。一方、平原康多は下りてきた浅井康太ともつれて村上博幸の後ろに収まったが、1センターで稲川翔にすくわれる。一瞬外に浮く形となった平原だったが、2コーナーから強引にまくり発進。猛スピードで近畿勢に迫ると、村上博のけん制を乗り越えてまくり切った。そして、直線は武田豊樹との一騎打ちとなり、最後の最後で武田が交わして2度目の競輪王に輝いた。 「平原君はもちろん、村上(義弘)君がすごかったですね。赤板で彼(村上義)が仕掛けたときは、後ろにいる僕もきつかった。平原君もきつかったと思う。脚は残ってなかったし、(最後は)平原君の優勝かなって思って、『2着には入らないと』と一生懸命踏んだんですけど、思ったより伸びました」 平原康多(写真)にとって決して楽な展開ではなかったが、それでも力で別線をねじ伏せ、武田とのワンツー決着に導いた。 「(打鐘2センターで)浅井(康太)に下りられて、かなり脚力をロスしました。そのあとも(稲川に)しゃくられたりで…。タイミングも無理矢理だったし、本当にキツかったです」 「先行勝負」で魅せた村上義弘(写真)は竹内こそ封じたものの、最後は関東勢のまくりに屈した。 「力を出し切ろうと思っていたし、流れで(先行に)なった。(関東勢が)強かったです。博幸と(稲川)翔にチャンスを作ってあげられず残念」 竹内雄作は村上義の気迫に押され、主導権を握れず9着に敗れる。 「(後ろから攻めたかったが)勝負だしそれは仕方ない。まだまだ組み立てなど甘いですね。もっと自分主体にレースが動くようにしないと。もっと練習して出直します」 |
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