『第59回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 前検日編

配信日:11月22日

 ビッグ戦線も大詰め、今年も残すところGIはあとひとつ。北九州メディアドーム・小倉競輪を舞台に第59回朝日新聞社杯「競輪祭(GI)」が、23日に4日間シリーズの幕を開ける。GI3連続優勝を狙う渡邉一成が残念ながら欠場となったが、競輪祭で3年続けてワンツーを飾っている平原康多、武田豊樹ら、現在の輪界をリードしている108人が小倉に集まった。「KEIRINグランプリ2017(GP)」の出場権をかけた戦いも最終章。ヒートアップする賞金争いは競輪祭のもうひとつのハイライトで、初日から目が離せない。22日の前検日は、選手各々が今年のGIラストバトルに備えて入念な調整を行った。
 本場では開催中の毎日、「総額100万円つかみ取り抽選会」(100万円がなくなり次第終了)、参加選手の朝練習の風景を地元選手と「どりあんず」が実況解説する「トップアスリート・ウォッチング」、競輪専門紙「コンドル」による全レース解説会、「ミッドナイト競輪in小倉コーナーで予想会」、グルメ屋台「肉フェスin競輪祭」などが行われます。また、23日の初日には、「競輪祭オリジナルお菓子」を先着1500名様にプレゼント、「ダンディ坂野&ヒロシ」によるジョイントお笑いライブ、「どりあんず」と児玉碧衣選手のユニークな時間、「宇宙戦隊キュウレンジャーショー」なども予定されています。小倉競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

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桑原大志選手
桑原大志選手
 桑原大志(写真)は、賞金ランクで9位。初のグランプリ出場に向けて、正念場を迎えている。
 「(賞金でのグランプリ争いから)圏外になると思っていたけど、あれよあれよとここまで。人生で最後だと思うので、緊張感を楽しみたいですね。前回の防府(FI224着)の最終日に、自転車のあたりが出たかな。今回が楽しみですね。ここまでは、スピード稽古とケアをしっかりやってきました。やれることはやってきたつもりです」
 桑原に前を任されたのは太田竜馬。今年のオールスターからGIに参戦すると、寛仁親王牌でも2勝をマークした。初日から重要な役を担いながら、3度目の大舞台でどんな走りを見せるか。
 「(桑原に任されて)責任重大ですね。最近は1着も多いし、いい状態だと思います。ここまでは合宿をしないで、いつも通りやってきました。疲れも残っていません。(2度のGIでは好走しているが)力を出せたら、そこまでいけるという形として(結果が)残っていますね」
 「穴を空けますよ」と、笑顔で話し始めたのは伊勢崎彰大。地元の千葉記念は優出を逃したが、その後のFI連続優出。いいリズムで当所を迎えた。
 「千葉が終わってからはふぬけたけど。気持ちを切り替えて、ここに向けてやってきました。前回(久留米FI237着)は疲労感があったけど、疲れも抜いてきましたよ。ワクワク感があります。相手は強いけど、付け入る隙はあると思います」

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成田和也選手
成田和也選手
 成田和也(写真)は4年ぶりの競輪祭。さらに、今シリーズの成績次第では、獲得賞金でグランプリ返り咲きが狙える位置にいる。
 「自分がこの(賞金ランク上位の)位置にいることは想像できなかったですね。GIに出れるかどうかっていう一年だったし、実際に競輪祭も久しぶりですしね。でも、勝ち上がらないことにはどうにもならない。まずは初日をしっかりと。精いっぱい、頑張ります」
 新山響平は、昨年の当大会でGIを初優出。一年でひと回り成長した姿を、また小倉の地で披露する。
 「去年の競輪祭はプレッシャーもなくて、ただ走っているだけでした。でも、今回は結果もそうですけど、もっと魅せる競走もしていきたい。早くいき過ぎるのもダメだし、消極的なのもダメ。そこは考えないと。後ろが成田さんだし、自分が勝ち上がれるレースをすれば、成田さんも勝ち上がれると思う」
 東口善朋は前回の大垣記念を4217着など順調。初日をポイントに上げながらシリーズを見据える。
 「調子は悪くないし、楽しみですね。しっかり初日を走れるように。(タイトル奪取の可能性が)ないわけじゃないし、その時がくれば準備はしているつもりです。ここまでは、特別に変わったことはしていません。普通の流れで調整してきました」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 吉田拓矢(写真)は高松宮記念杯を優出するなど、着実にエリート街道を突き進む。しかしながら、現状に満足することなく、さらなる高みを目指す。
 「まだまだ力が足りないです。もっと強くなりたいって思いが強いですね。武田(豊樹)さんから、いろいろなお話を聞いて、マンネリ化しないようにやっています。武田さんの背中は、まだ遠いですね。(優出を逃した10月)平塚記念、(11月)大垣記念は疲れがありましたけど、ケアはしてきました。小倉は好きですし、出し惜しみしないように」
 松浦悠士は、9月青森記念を優出すると、11月防府記念も2637着。グレードレースでも奮闘を見せるなど、持ち前の安定感が戻ってきた。
 「今は、競走形態を意識していません。ああしよう、こうしようじゃなくて。自分らしく、自分ができることを頑張ろうと。もともと感性で走るタイプですし、読みは読みで持っていて、あとはレースの流れで。この後に地元(広島)記念があるし、ここでしっかりレースができないと獲れない」
 稲毛健太は防府記念の準決勝を逃げて優出。随所で好走を披露している。
 「防府は、長い距離を踏もうと思っていて。案外いけましたね。でも、ここまでレースが詰まっていて練習はそんなにできなかったです。直前も(和歌山で)開催がやっていて、バンクも入ってないので、走ってみてですね。松浦君をうまく使えばチャンスはありそう」

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池田良選手
池田良選手
 目標不在のここでも迷わず「自分でやります」と、話す池田良(写真)。10月別府FIでは3日間、自分でレースを組み立てるなど動きがよかっただけに、前回久留米で落車した影響が気がかりだ。
 「体は大丈夫。練習の感じだと、そこまでダメージはないのかなと思う。まずは走ってみてですけどね。10月奈良からフレームを換えてよくなった。新車がはまった感じですね」
 ギックリ腰で1カ月欠場した大塚健一郎は11月の地元FIで復帰した。結果は216着。優勝こそ逃したが、走りを見るかぎり大きな影響はなさそうだった。
 「とりあえず1本無事に走れたんで。まだまだ修正するところはあるけど、その前がその前なんで多くを望んだらね。今回も1個、1個頑張ります。まずは初日ですね」
 最近は好調を口にし続けている近藤龍徳は、今回も好調をアピールする。
 「前回から悪くなかったので。まくりが出せるようになったし、距離が伸びました。光岡(義洋)さんや(吉田)敏洋さんと練習をやってて、それ(まくりを出すよう)を提案された。練習ではやってるんだけど、それがボチボチ出るようになった。やっぱり底上げしていかないとダメなんで」

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坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
 オールスターの落車もあったが、寛仁親王牌で3連対するなど、坂本亮馬(写真)はその後も好調を維持していた。しかし、前回の大垣記念で腰を痛めたようで、ここは空いている山本伸一に前を任せることにした。
 「大垣の2日目にギックリ腰になって、3日目からはあんまりいい感じで走れなかった。腰を痛めるのは10年ぶりぐらいですね。なので動く人がいるなら付けたい。山本さんには去年8月の久留米FIでも行ってもらってるし、お世話になったことがあります」
 河端朋之にとっては寛仁親王牌以来の実戦となるが、レース勘の不安はなさそう。
 「いつもそういう形で入ってるし、練習はできてる。あとはそれをいかに出すかが、最近の課題なんで。力さえ出し切れれば勝てると思ってます。だから久しぶりのレースもあまり気にならない。出し切れるかが勝負だし、あとは気持ち次第ですね」
 和田真久留は11月防府で記念初優勝、続く大垣のブロックセブンで快勝と9月青森記念の落車から復帰するや快進撃を続けている。
 「練習はできたんで不安はないですね。(青森の落車で鎖骨を骨折して、状態は)まだ半分ぐらいですね。でも走るたびによくはなってる。ラインで4コーナーを(先頭で)回って来られるようにしたい」

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園田匠選手
園田匠選手
 いよいよ地元GIを迎えた園田匠(写真)だが、自然体を強調。今年後半戦に入って落車が続いているが、地元のここは気持ちで乗り切る。
 「(気合は)そうでもないですね。FIだろうが競輪祭だろうが、やるべきことに専念して。今は持ち味を立て直すことに集中してる。最近は納得できるレースができてないし、相手がどうより、まずはそこ。前回は1着を取れなかったけど、新車の感じがよかったし、感覚的に久々に手ごたえがあった。それがドームと合うかはわからないけど、キッカケはつかめたんで」
 山田英明も立て直しに必死だ。オールスターの落車で完全に歯車が狂ってしまっているだけに、そろそろ流れを変えたい。
 「やるしかないっすね。防府記念のあとは、もう1回見直してきた。特別なことはやってないけど、気持ちの切り替えとかしっかりやって。いろいろ考えたけど、そこが良いかなと思った。僕は気持ちで走るタイプなのに、気持ちでフタしてた気がするんで。今回はとにかく気持ちで負けないように。そこを信じて走りたい」
 力を付けた野原雅也の先行力が、九州コンビの前に立ちはだかる。
 「まだまだです。(力が付いた)実感はない。FIとか記念でも予選スタートだし緊張する。点数が上がってきても自信とか強くなっている感じがない。終わってみたら勝ててるという感じです。GIも最近になって出られるようになったんで」

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木暮安由選手
木暮安由選手
 熊本記念in久留米の初日に落車した木暮安由(写真)だが、その後のFI戦はしっかりと連続優出。大きな影響はなさそうだ。
 「久留米の落車でフレームが壊れたんで、前のを引っ張り出してきた。悪くはないですね。怪我は軽いと思ってたら、横突起(骨折)でした。でも今はだいぶいいですね。状態はいいと思うし、好調をキープしてる。それに高速バンクは好きなんで」
 椎木尾拓哉は直前は川崎FI、久留米FIで連続して決勝2着と好調を維持。寛仁親王牌に続き、GI連続優出も十分に狙えそうだ。
 「(寛仁親王牌の決勝は)なにもできなかったんで。でも自信にはなりました。勝ち上がれるとは思ってなかったし、いい経験になった。今回も一戦一戦頑張らないとダメなんで。とにかく頑張るだけですね」

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坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
 平塚記念の決勝で落車した坂口晃輔(写真)だが、続く平FIでは完全優勝。ここも竹内雄作を目標に鋭いキメ脚を発揮する。
 「平塚の落車は打鐘前だったのでそんなにダメージはなかった。平のあとは風邪をひいて3日ぐらい休んだけど、そのあとは普通に練習できました。初日は竹内君にしっかりと。ドームなんで、軽量級の僕でも走りやすいと思う」
 竹内雄作は「最近、不甲斐ないレースが続いている」と、気持ちを入れ直す。渡部哲男も続いてラインは3車。豪快な仕掛けでモヤモヤを吹き飛ばすか。
 近藤隆司は昨年の競輪祭で決勝に進出している。
 「調子は変わらずですね。いい状態では来れたと思う。落車もなく普通に来れたことにホッとしてます。去年は奇跡の決勝でしたけど、1回乗れたことでまた可能性はあると思えるし、それだけでゾクゾクする。また味わいたいですね。ドームも好きなんで楽しみです」

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三谷竜生選手
三谷竜生選手
 三谷竜生(写真)は平塚、大垣と記念で連続優出。7月福井記念での肋骨骨折から復帰して場所ごとに調子を戻している印象だ。
 「戻ってきてますね。体調も問題ないし、走るたびによくはなってきてますね。今回もしっかり頑張ります。ドームもイメージは悪くないと思う」
 稲川翔の援護も三谷にとっては心強いかぎりだ。
 「僕はできることをやるだけ。(三谷)竜生もこれから年末(グランプリ)に向けて頑張っていきたい時期だろうから、僕もそれに便乗できるように」
 岡村潤は前回、伊東で開催された3日制エボリューションでは657着と振るわなかった。
 「エボリューションは全然ダメでした。自分のスピードのなさを痛感した。開催中から早くこっちの自転車に乗りたいってことばかり考えてました。状態は悪くないです」

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浅井康太選手
浅井康太選手
 深谷知広は競技のためにポーランド、イギリスとワールドカップの1、2戦に参戦して、およそ2週間の海外遠征。時差ボケで狂ったフィーリングを戻しながら、3年ぶりのグランプリ出場に意欲を燃やす。
 「いままでは(海外遠征に)行っても1週間以内だったんで、(今回は)時差ボケがキツいですね。ただ、GIなんでいつも通りしっかりには変わりない。いつも優勝を目指しているし、優勝したいと思っている。あとまずはグランプリに出ることですね」
 昨年はグレードで7度の優勝を誇った浅井康太(写真)だが、今年はいまだ優勝はゼロ。しかしながら、賞金ランクは今年のタイトルホルダー4人に次いで5位。ハイレベルなパフォーマンスを発揮して、グランプリ出場に当確ランプを灯している。
 「練習の感じはかなりいいと思います。自分のフィーリングもいいし、イメージ通り体も動いている。(前回の)防府よりは仕上がっているんで、それ以上のことはできると思う」
 8月の小田原記念を逃げ切りで制した山岸佳太は、初めての競輪祭で特選スタート。挑戦者の立場をアピールする。
 「特選で緊張はするけど、自分はチャレンジャーなんでしっかりやることをうやります。GIは寛仁親王牌で乗っているので、それがいい経験になると思います。(状態は)悪くないので、あとは(雰囲気に)のまれないようにしたい」

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村上義弘選手
村上義弘選手
 グランプリチャンピオンジャージをまとい年明けからここまでを戦い抜いた村上義弘(写真)は、ラストGIに思いを込める。
 「ここ数年は競輪祭を走る時点でグランプリが決まっているか、当確の圏内にいた。今年はグランプリを目指すには優勝しかないし、そういう意味では気持ち的に気楽な部分と、グランプリに対する思いもあるんで自然と出てくる緊張感がある。その両方ですね。武田(豊樹)さんも大怪我をされて頑張っているし。ジョッキーの(武)豊さんも。みんななにかしらを抱えながら、それを胸のなかに隠して、レースでは自分の持てる最大限を発揮している。僕もそれはどの場面でも変わらない。一戦、一戦向き合いながら、結果につながっていけばいいと思います」
 小松崎大地は10月に奈良FIで完全Vを飾ると続く熊本記念in久留米、大垣記念を連続優出。安定感が出てきた。
 「長い距離を踏むことを捨てたわけじゃない。ただ、そればっかりだと競輪じゃないんで。最近は競輪ができているかなっていうのがある。でも、毎回成功のレースじゃないし、失敗の方が多い。ずっと計画的にトレーニングができているのが、形(成績)になっている。自信をもってレースに臨めている」
 諸橋愛は賞金ランク8位。初めてのグランプリ出場に手の届く位置でラストGIを迎える。
 「自分のなかではいつも通りですね。(グランプリ出場を)気にしてはない。ただ、周りの意識がそれに向けられているんで、自分もそこに向けられる。緊張しないタイプなんで、あとはやるべきことをやるだけ。その準備はしっかりできている」

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古性優作選手
古性優作選手
 10月の熊本記念in久留米で今年2度目の記念制覇を遂げた古性優作(写真)は、GI獲りを宣言して自ら鼓舞する。
 「みんなもGIに向けて調整していると思いますけど、自分もその気持ち(優勝)をしっかり持ちたい。いいレースをすれば、結果もついてくると思う。体的にもかなり良くなってきているんで、気持ちの面も大きいですね。(GI制覇って)そういう風に言っていかないとっていうのがある。しっかりと獲る気持ちでやりたい」
 新田祐大は、競技の海外遠征を経て渡邉一成とワンツーを決めた寛仁親王牌以来の実戦。
 「寛仁親王牌が終わって練習したあとにワールドカップがあったので、そのワールドカップに向けて調整した。ワールドカップが終わって1週間くらいしかなかったんで、そのままの勢いでここに来た感じです。(中川)誠一郎さんとはいまのところ2回、大きいところで連係しているし、いいレースをすればしっかりワンツーが決められるイメージです」
 中川誠一郎は、北日本地区でひとりになった新田との連係を選択。連係実績もあるだけに、不安要素は小さい。
 「最近は少し空いたので久しぶりにしっかりした練習ができたので、まずまずの状態かなっていう感じです。今年は2回骨折してまともに走ってないイメージが強い。やっと地元記念くらいからいい時の動きが戻ってきていると思うんで、しっかり頑張ります」