『第59回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 初日編

配信日:11月23日

 ビッグ戦線も大詰め、今年も残すところGIはあとひとつ。北九州メディアドーム・小倉競輪を舞台に第59回朝日新聞社杯「競輪祭(GI)」が、23日に開幕した。一次予選から迫力のスピードバトルが展開され、波乱の9レースでは3連単で100万円を超える配当が飛び出した。メインの特選3個レースからは、中川誠一郎をはじめ地元九州勢4人が2日目の「ダイヤモンドレース」に進出を果たした。24日の2日目には初日特選を勝ち上がった9選手によって、「ダイヤモンドレース」がメインに行われる。V戦線を占う意味でも見逃せない。
 本場では開催中の毎日、「総額100万円つかみ取り抽選会」(100万円がなくなり次第終了)、参加選手の朝練習の風景を地元選手と「どりあんず」が実況解説する「トップアスリート・ウォッチング」、競輪専門紙「コンドル」による全レース解説会、「ミッドナイト競輪in小倉コーナーで予想会」、グルメ屋台「肉フェスin競輪祭」などが行われます。また、24日の2日目には、車券、オリジナルクオカードなどが当たるスクラッチカードを先着1000人に配布、「どりあんず&ウエスP」のジョイントお笑いライブ、「健太康太」のライブなども予定されています。小倉競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

開会式にベストナインが登場
開会式にベストナインが登場
敢闘宣言をする北津留翼選手
敢闘宣言をする北津留翼選手
競輪祭25年連続出場の神山雄一郎選手
競輪祭25年連続出場の神山雄一郎選手
どりあんずと児玉碧衣選手のユニークな時間
どりあんずと児玉碧衣選手のユニークな時間
ダンディ坂野&ヒロシ ジョイントお笑いライブ
ダンディ坂野&ヒロシ ジョイントお笑いライブ
長田真友子ライブ
長田真友子ライブ

<1R>

三宅達也選手
三宅達也選手
 前受けを強いられた太田竜馬は、6番手に下げての立て直しを余儀なくされる。飯野祐太が押さえた上を横山尚則が叩いて主導権。伊勢崎彰大が追い上げて桑原大志とからむと、太田が最終ホームから反撃に出る。桑原は伊勢崎をさばいて太田に続くが、今度は成清貴之が大きくブロック。太田ラインの3番手を固めた三宅達也(写真)は、瞬時の判断で成清をすくって太田のまくりを追う。太田は逃げる横山の横でいっぱいで、三宅が外を突き抜けた。
 「ジャン過ぎにちぎれた瞬間に(ラインに)迷惑を掛けた。(グランプリ出場を獲得賞金で争っている桑原を)なるべく邪魔だけはしたくなかった。ただ成清さんと(桑原が)からんでいたんでダメだと思って、自分は入っていった。いい判断だったと思います。(桑原さんが4着で勝ち上がって)それがなによりです。自分はガツガツせずにボチボチです」
 最終1センターで桑原を大きく外にもっていった成清貴之は、結果的に三宅に続いて2着。
 「(桑原に)引っかかった。もっとスッといきたかったけど…。太田君の仕掛けがもう少し遅かったら、自分で(まくって)行っちゃおうと思ってた。(太田の番手は)流れのなかでした」
 逃げる横山と太田の間を直線で伸びた芦澤辰弘は、ケレン味のない横山の仕掛けを絶賛する。
 「横山君の頑張りに尽きる。真っ向の力勝負で自分の力を出して、レースをつくってくれた。気持ちも強かった。僕はもうちょっと…、ですね。いっぱい、いっぱいだった。最後は伸び切れなかった」

<2R>

新山響平選手
新山響平選手
 後ろ攻めの新山響平は、合わせて踏んだ山田久徳を赤板で押さえてレースを支配する。前受けから引いた阿竹智史を追い上げさせて、山田ともつれるレース展開をメイク。そのまま絶妙なペースで駆けると、最後は成田和也が直線で追い込んだ。
 「新山君がうまく駆けて、いい展開にしてくれました。結構、踏んでいたのでバックでどうかと思ったけど、そんなにタレてもこなかったですね。強かったです。力があるんじゃないんですか。まずは、(新山と)一緒に勝ち上がれてよかった」
 勝瀬卓也はライン3番手の仕事をきっちりと遂行する。最後は直線で成田に迫るも、交わせず2着。
 「新山も、成田もしっかりしているし。中団も取り合いになっていたので、内だけは締めて。(状態は)なんとなくはいいんですけどね。だまし、だましでやっていることがあるので、もうちょっとしっかりしたいです」
 新山響平(写真)は直線で失速して3着。しかしながら、後続を翻弄する巧みな先行策でラインを上位独占に導いた。
 「すんなり後ろを取れたのがよかったです。後ろから押さえて(駆けるの)が基本ですから。落ち着いて駆けられました。最後は踏みたかったけど、脚が残っていなかったです。でも、最近はGIの初日をクリアしていなかったので、勝ち上がれてよかった。(後ろに成田がいて)ピリッと気持ちが入りました。ワンツースリーも決まったし、脚も悪くないです」

<3R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 突っ張り気味に踏む吉田拓矢を、稲毛健太が強引に叩いて赤板過ぎに先頭に立つ。南修二、山田幸司まで出切って、中団に中四国勢が追い上げる。吉田は一本棒の7番手。小気味よく駆ける稲毛の番手の南は、冷静に松浦悠士のまくりを最終3コーナーでブロック。そのあおりを受けた吉田のスピードも鈍り、南が稲毛を残してきっちり追い込んだ。
 「稲毛君が強かった。(吉田のまくりは)見えていたんで、2人(松浦と吉田)がいっぺんに浮いたらいいなって思った。(車輪が)掛かってたら、また違ってましたけど」
 「2周から行く予定だった。駆けたらなんとかなるかなと」と、吉田を相手に先行の腹を固めていた稲毛健太(写真)が、内容の濃い走りで2着に粘りラインを上位独占に導いた。
 「(吉田はもっとあっさり)引くかと思ったんですけど。あれでまくられたらしょうがないんで。少しは吉田君に脚を使わせることができたかなと。自分は中2日なんで間もなかった。それが逆によかった。(二次予選も)自分の持ち味を出せるように」

<4R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 後ろ攻めの吉田敏洋(写真)が赤板ホームで前に出ると、前受けから下げた早坂秀悟は井上昌己をドカして打鐘前から踏み上げる。番手の山崎芳仁は井上にキメられて続けず、キメた井上も早坂に離れてしまう。番手に入った吉田は山崎の追い上げを凌ぐと、粘る早坂を直線でとらえた。
 「落ち着いて対応できましたね。早坂は俺が単独になってるのわかってたから、タヌキ先行しやがった。早く駆けんかと思ってました。早坂の外に差し込めば(追い上げてきた)山崎も放り込めないと思ったし、うまく対応できた。中部が今回8人だけで少ないから、一人でも多く勝ち上がって次のステージへと思ってたから(近藤龍徳と)2人で勝ち上がれてよかった」
 吉田マークの近藤龍徳も井上をさばいて吉田を早坂後位に迎え入れるなど好ガードが光った。
 「(吉田)敏洋さんは切って突っ張るから番手をドカしてと言ってたし、言ってた通りになったんですげえなと思った。これ聞いたことあるぞって。敏洋さんの読みどおりってことですね。僕はなにもしてないけど、2着に食い下がれたのはよかった」
 番手に吉田が入るピンチもうまいペースで乗り切った早坂秀悟が3着に粘った。
 「あれ(打鐘前に井上を飛ばす)は作戦だった。あれを1個引くだけで、(仕掛けが)ツーテンポ遅れる。そうなると山崎さんは付きづらいので。結果、自分だけになってしまって申し訳ない。(吉田に入られてからは)番手まくりを打たれないように。ただそれだけでした」

<5R>

香川雄介選手
香川雄介選手
 山本伸一が切った上を打鐘過ぎに和田真久留が叩くと、そこを一気に河端朋之がカマして出る。踏み出しで口が空きながらもなんとか続いた香川雄介(写真)は、立て直して3番手から直線勝負に出た和田の追撃を振り切って好展開をモノにした。
 「出脚がすごくて口が空いてしまったけど、なんとかついていけて良かった。離れてたら恥ずかしいからね。あのスピードでは誰も来れないだろうし、ゴール前勝負になると思った。前回は叩いてしまったけど調子は悪くないので」
 河端に叩かれながらも態勢を立て直した和田真久留が2着に伸びた。
 「(初手で)あの並びは想定していなかった。自分が打鐘で出て河端さんを8番手にって思ったけど、ホームで気づいたらもう来てて。踏み上げたけど遅かったですね。上のレースだったら他のラインもついて来てて(自分は)押し込まれて終わってますからね。そこは反省点ですね。出させるつもりはなかったのに悔しい」
 逃げた河端朋之はゴール前で末を欠いたが、3着で二次予選進出を決めた。
 「もうあのタイミングしかなかったので。しっかり仕掛けられました。末が甘いのはいつものことですけど、香川さんが(ホームで和田を)締め込んだのがわかって。もう一車いればまた違ったと思うけど2人で勝ち上がれて良かった」
 4着には和田を追走した渡邉晴智が入線した。
 「(和田)真久留が頑張ってくれました。自分もついていけたし悪くない。江守(昇)君もいたからあの仕掛けができたと思うしラインのおかげです」

<6R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 海老根恵太が病気で当日欠場し、8車立てで争われた。レースは中団の坂本貴史がしきりに野原雅也をけん制すると、前受けの山田英明は誘導を降ろして踏み上げる。しかし、野原が打鐘で巻き返し、最終ホームで強引に主導権を奪った。番手の村上博幸(写真)は、車間を空けて別線の反撃に備えると、直線で追い込んでアタマ。
 「後ろを見た時には(3番手に)ヒデ(山田英明)がいて。ピタッと付いていたら(山田に)来られるし、あれ以上バックを踏んでも来られるので。自分の感覚で空けていました。このレースでやってきたことが出せたかな。余裕もあったし、余裕があれば自分の仕事もできますね。あとは、余裕がなくなってきた時にどうするか」
 佐藤慎太郎は3コーナーから踏み上げた坂本には付いていかず。最終2センターからインに進路を取ると、直線入り口でコースをこじ開けて2着に入る。
 「坂本は脚を使っていないから、もうワンチャンスあると思ったけど。(不発に終わったのは)前が掛かっていたしね。俺はあのコースしかなかった。最後は、(村上)博幸のところか、ヒデのところか迷いました。調子はあまりよくないかな。アタマまでいくと思った。でも、よく凌いだ」
 野原に叩かれた山田英明は、西岡正一をさばいて3番手を奪取。2センターから踏み上げるも、佐藤に内から張られて3着まで。
 「自分のできることをしっかりやろうと思って、走っていました。(誘導を降ろしてからは)このペースでいって。出られたら、スピードがあったところで勝負しようと。引いてもよかったんですけど、それでは自分じゃないなと。園田(匠)さんも付いてくれているし、前々にいかないとダメなので。仕掛けが早い、遅いはべつとして。しっかり仕掛けるところで仕掛けられたのはよかったです。あとは、緩んだところで仕掛けられればもっといい。本当に悔いが残らないように、気持ちで走ります」

<7R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 青板の2コーナーから早めに上昇した渡邉雄太が中井俊亮にフタをすると、中井は下げて渡邉は前団との車間を大きく空けてけん制する。渡邉、中井で互いに仕掛けどころを探り、渡邉が赤板の1センターから踏み込んで先行策に出る。前受けの木暮安由(写真)は、一瞬遅れた武井大介のポジション、3番手に飛び付いて好位を奪取。最終バック手前からまくって、中村浩士のブロックを乗り越え白星で好スタートを切った。
 「2周前くらいから2人(渡邉、中井)でけん制していた。(先行の)腹をくくろうかと思ったけど、自分では距離が長かった。それで誘導をフル活用しました。3番手が口が空いてたんで、けん制したら取れた。そのあとは結構、緩んだんで(まくって)行ったら、自転車が伸びた。いい組み立てだったし、(中村のブロックが)キツかったけど、自分のスピードも良かった」
 木暮マークの神山雄一郎は、外に張った中村を内から弾いて2着。
 「木暮がしっかり位置を取ってくれたんで、あとはどこから行くかでした。あのタイミングと(中村)浩士のブロックで自分は外に持ち出せなかった。内に行くしかなかった。それでも、なんとかですね」

<8R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 青板前の4コーナーから動いた近藤隆司に対し、前受けの竹内雄作は誘導を残して車を下げる。近藤は赤板ホームから誘導を下ろすと、竹内は7番手で動けず。しびれを切らせた渡部哲男に内をすくわれると、まくり不発の7着に敗れた。勝ったのは菊地圭尚(写真)。最終2コーナーまくりの佐藤友和を内藤秀久がブロックして空いた内に切り込むと、そのまま近藤も内から交わして抜け出した。
 「まぐれです。(竹内)雄作も近藤も同じようなタイプだから、ああいう感じになると思ってた。どっちが前だろうと中団から。仕掛けるタイミングはあったけど、気持ちが弱くて、そこからセコく行かせてもらいました。内が空いたけど、近藤のところは空いたかどうか判断しない状態で入った。失格になんないでよかった。紙一重ですね、最近」
 まくった佐藤友和はブロックを耐えて外を伸び、2着に食い込んだ。
 「とりあえずスタートを取ってから考えよう。そしたら竹内が上がってきたので迎え入れて、あとは様子見ですね。単騎、単騎が前に2人いて難しかったけど、そのなかでしっかり外をまくれたので。それは調子のいい証拠かな」
 近藤の逃げを利した和田健太郎が3着に入ったが、近藤と一緒に勝ち上がれなかったことを悔やんだ。
 「気合が違いましたね、近藤の。なんとか4着までに残したかったけど、俺の脚のないのと、技術不足ですね。なんとかしてやりたかったです。今日は近藤と後ろを固めてくれた内藤のおかげ。近藤に僕が自力で返せることはないけど、返せるタイミングでしっかり返したい」

<9R>

小埜正義選手
小埜正義選手
 小埜正義(写真)が強豪を打ち破って大金星を挙げた。小埜、菅田壱道の順で前に出る。続いた三谷竜生は赤板の2コーナーから踏み上げたが、菅田に突っ張られてモガき合いに。軍配は三谷に上がるも、大槻寛徳が稲川翔をさばいて近畿ラインを分断。すると、小埜が空いたインを進出して懸命に逃げる三谷を追いかける。空いた車間を徐々に縮めると、追いつきざまに逆転。3連単は117万で、GIの最高払い戻し金額を叩き出した。
 「作戦以外の展開になったら、臨機応変になんでもやるって決めていたので。でも、まさか勝てるとは。今年はもう1着を取れないんじゃないかって思っていたので。(ゴール後)思わず声が出ちゃいましたね。どんな形であれ1着を取れてうれしい」
 番手の岡村潤が1センターで連結を外すと、林雄一が小埜の番手に内から追い上げてドッキングに成功。そのまま続いて2着に入った。
 「外はもう間に合わないと思って、内に行きました。本当は先行するって作戦でしたけどね。(小埜が)菅田君だけは突っ張ると思っていたけど、後ろになって厳しいかなって。なんとか勝ち上がれました。最近は4日間で1日しか頑張れていないから、もう一回頑張りたい」
 援軍を失った三谷竜生だが、3着に踏みとどまって一次予選を通過。検車場に引き揚げて来ると、「突っ張られたので失敗です」とレース内容を反省した。

<10R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 山岸佳太が、赤板の1センターで郡司浩平を押さえて主導権を握る。正攻法に構えた深谷知広は、8番手に下げて打鐘を通過。しかし、最終ホームから反撃に出ると、抜群のスピードで前団に迫る。番手から踏んだ武田豊樹を力でねじ伏せた。これにきっちり続いた浅井康太は、直線で中を割ってきた松谷秀幸を締め込むと、ゴール寸前で交わして1着。
 「深谷がいいレースをしてくれました。抜群のタイミングでいってくれましたね。すごいスピードだったし、抜けないかなと思いました。武田さんの番手まくりの上を深谷がいったので。あとは3コーナーで飛び付いてくるかなと。抜けたのと、ワンツーを決めたことは、今後につながると思う。深谷はワールドカップを走って、自信があるんじゃないんですか」
 交わされた深谷知広(写真)だったが、その圧倒的なパワーに周囲からため息がもれた。
 「前の様子を見ながら。(武田の番手まくりも想定していたが)なるべく考えないように、自分のタイミングで(仕掛けた)。前よりもスピードが上がっているし、自信を持っていけています。まだ、良くなると思うし、もうちょっと修正します。時差ボケも解消しました」
 4番手を確保した郡司浩平だったが、別線にかぶって仕掛けられない。すると、松谷秀幸は最終2センターから空いたインを突く。浅井に締め込まれながらも、3着でダイヤモンドレースにコマを進めた。
 「外はいっぱいいたので無理だなと。(インを進出するのは)好きではないですけど、しょうがなく。イチかバチかでした。よく届いたなと思います。(競輪祭は)いつも(出場)権利は持っているんですけど、怪我とかで欠場が多くて。状態は悪くないですね」

<11R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 前で構えた北津留翼に併せ込んだ平原康多が赤板の1センターで誘導を降ろして押さえ込むが、北津留は内から盛り返して突っ張る。北津留は、単騎の山中秀将に続いて中近ライン3車を受けて5番手。脇本雄太の主導権で平原は7番手に置かれた。敢然と逃げる脇本の番手で車間を空けた村上義弘が、山中のまくりを阻む。が、さらにその上を北津留が襲い掛かる。直線で追い込んだ村上が、大外から迫る九州コンビを退けて1着もその顔つきは険しい。
 「脇本が前で金子(貴志)も付いてくれた。自分はなんとか番手の仕事をと思ったけど。結果、脇本も残せなかったし、金子も連れ込めなかった。山中君はレースがうまいし、みんな隙のない選手ばかりだったんで流れのなかで判断した。(脇本の番手から)踏み出した時、自分の脚も残ってなくて、最後はいっぱいだった」
 北津留に乗った松岡貴久が、大外をシャープに伸びて2着に届いた。
 「(北津留)翼が頑張ってくれて、自分は付いていっただけ。欲を言えばもうちょっと伸びが欲しい。翼が一瞬怯んだぶん、ワンツーまでいけなかった。ただ、今回来ている人のなかで、一番強いのは翼ですからね(笑)」
 平原をあっと言わせる突っ張りで中団をキープした北津留翼(写真)は、単騎で4番手からまくった山中を追いかけて外を踏んだ。
 「あそこは引く予定だったんですけど、誘導を残してたんで下げられなかった。(平原が)誘導を切ってたら、自分は下げていた。そしたら(突っ張れるように)内が空いた。そこからは山中君が行ってくれたんで、僕も(展開が)良くなっていった。2センターであおりがあってバックを入れたけど、あきらめないでもう1回いった。GIは脚のある人が突っ込んでくるんで恐ろしいですね」

<12R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 石井秀治の当日欠場で8車立てとなったこのレース。一人になった根田空史の後ろに栃茨コンビが続くが、中団から先に動いた古性優作に飛び付かれ、根田の番手を明け渡してしまう。ホームから新田祐大が巻き返すと、合わせて古性も番手まくり。バックでは合わされたかに見えた新田が力で古性をのみ込むと、続いた中川誠一郎(写真)が直線で鋭く伸びた。
 「新田は余裕がありそうにも見えるし、もし膨らんだときは自分でもと思ったけど、そこから踏み直して行ったのでさすがだなと。余裕はそんなになかったけど、なんとか。気持ちですかね。付き直してからはちょっとでも踏んで荒井(崇博)さんまでと思ったので、決まってよかった。(状態は)なんとか戦えるかなって感じです」
 古性に合わされながらも外々を粘り強く踏んだ新田祐大が2着に入線した。
 「いっぱい、いっぱいでした。キツかった。イマイチうまいレースができなかった。なんとか力で乗り切った感じです。根田がいいスピードで伸びて行ったし、古性や稲垣さんのうまい動きもあった。そこだけ乗り切れればゴール勝負と思ってたので、(ラインで決まって)なんとか結果よしって感じ。悪くはないと思う。いい緊張感のなかで走れて、1着は取れなかったけど、まずまずのスタートを切れたので」
 荒井崇博が前の2人にきっちり食い下がって3着。2日目の「ダイヤモンドレース」進出も決まり、笑顔でレースを振り返る。
 「俺も前を見る余裕はあったのでよかった。(中川)誠一郎が2センターで馬鹿みたいに自転車が出たから、あそこで口が空いた。でも恵まれた。ラッキー」
 いい形に持ち込んだかに見えた近畿勢。4着の稲垣裕之は新田の強さに舌を巻いた。
 「古性がいいレースをしてくれた。でも新田が強かったですね。3コーナー入り口で合ったと思ったけど、あそこの判断が難しかった。僕も新田の出脚を鈍らすようにはしたけど、それでも新田が強かったです」
 新田に力負けした古性優作は「来る前に踏んだつもりだけど、来てたんですね。見えなかった。(セッティングを)微調整します。いじります」。クールダウンを終えると、すぐさま自転車整備にとりかかった。