『第59回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 3日目編

配信日:11月25日

 ビッグ戦線も大詰め、今年も残すところGIはあとひとつ。北九州メディアドーム・小倉競輪場で開催されている第59回朝日新聞社杯「競輪祭(GI)」は、25日に3日目を迎えた。シリーズも後半に突入してメインの準決の3個レースは、迫力のスピードバトルが展開された。ホームバンクの北津留翼がまくりで勝って、09年以来、競輪祭ファイナルのキップを手にした。26日の最終日には熾烈なシリーズを勝ち抜いた9選手によって決勝が行われ、第59代の競輪王が決まる。
 本場では最終日も、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。先着2000人に競輪祭オリジナルマフラータオルをプレゼント。「三四郎」によるお笑いライブ、「スタジオMJ」のダンスステージ、「総額100万円つかみ取り抽選会」(100万円がなくなり次第終了)、参加選手の朝練習の風景を地元選手と「どりあんず」が実況解説する「トップアスリート・ウォッチング」、競輪専門紙「コンドル」による全レース解説会、「ミッドナイト競輪in小倉コーナーで予想会」、グルメ屋台「肉フェスin競輪祭」などが予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

オートレーサー荒尾聡選手&吉川麻季選手トークショー
オートレーサー荒尾聡選手&吉川麻季選手トークショー
仮面ライダービルド ショー
仮面ライダービルド ショー
元SGボートレーサー鎌田義氏 爆笑トークショー
元SGボートレーサー鎌田義氏 爆笑トークショー
1Fアリーナでは様々なイベントが開催中
1Fアリーナでは様々なイベントが開催中

<1R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 赤板の2コーナーで押さえて出た山賀雅仁が外に膨れると、そのあおりで山賀ライン3番手の武井大介が落車。坂本貴史、伏見俊昭が乗り上げる。打鐘で6車になったレースの主導権は山賀が握る。3番手をキープした山田久徳(写真)は、最終2コーナー手前からのまくりで楽に前団をとらえて1着。
 「(坂本)貴史がコケたのがわかったんで、無理して行かなくてもいいかなと。自分もそこら辺を確認できるくらいの余裕があった。あんまりにも(山賀が)駆けないようだったら、(最終)ホームから自分が駆けようかなと思っていた」
 山田のまくりに流れ込んだ西岡正一は、2着にホッと胸をなでおろし2日目の落車をふまえてこう言う。
 「(2日目の落車で)調子はあんまり良くない。気持ちで付いていきました。(山田は)3番手だし遅めのまくりでいいと思っていたら、早めに行ってくれました。離れないで付いていけて良かったけど、抜ける気はしなかった」

<2R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 打鐘で横山尚則が叩いて先行策に出ると永澤剛が飛び付く。隊列が短くなったところを中井俊亮が踏み込んで最終的に主導権を奪取。中井ライン3車で出切って、番手の東口善朋(写真)が中井との車間を空ける。別線との間合いをとって、直線で余裕をもって追い込んだ東口が1着。
 「中井君が落ち着いて仕掛けてくれたおかげですね。でも、自分としては反省点もある。(中井と)ワンツーを決められる展開でしたから。もう少し車間を空けるか、もう少し踏み込むのが遅くても良かった。調子自体は悪くないので、1着はいい薬になるけどその辺を修正したい」
 ラインを上位独占に導いた中井俊亮は、3着もレース内容は濃い。
 「落ち着いて走れたし、タイミング良く仕掛けられました。やっと先行で結果を出せましたね。セッティングは調整しながらですけど、最終日も見せ場を作れるように頑張りたい」

<3R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 打鐘で出た山本伸一が、叩きに来た吉本卓仁を突っ張って出させない。この様子を後方で見ていた山崎芳仁(写真)は、最終1コーナーから反撃を開始。一気に前団に迫ると、澤田義和のブロックも乗り越えて別線を粉砕した。
 「仕掛けどころは、あそこしかないですよね。1コーナーで踏み込んだ時に吉本君が浮いていて。遠回りしたぶん、スピードの乗りが悪くなってしまいました。(澤田のブロックも)乗り越えられてよかったです。初日と2日目を失敗したのに、1番人気になっていたので。なんとしても、自分のレースで1着を取ろうと思っていました。人気に応えられてよかったです」
 守澤太志が続き、北日本でワンツー決着。レース後は、山崎の強さに敬服する。
 「やっぱり、あそこで行くのはすごいです。(山崎とのワンツーは)本当によく決まりますね。ダービーの二次予選でも連れていってもらいました。(落車の怪我は)大丈夫ではないですけど、やるだけですね」
 伊勢崎彰大は目標が不発となった柏野智典に降りられて、小原太樹と連結を外す。しかし、2センターから大外を回すと、直線で鋭く伸びて3着に食い込んだ。
 「連日、出し切れていないし、フワフワしていて。3日目は(小原が)いい位置を取って、まくりならいいですけど。ダメなら早めに抜け出して外を踏もうと思っていました。終始余裕もあったし、山崎のまくりもそんなにスピード差を感じなかったですね。あれで3着にも入れているし、やっとあたりが出ました」

<4R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 新山響平は中団の近藤隆司にフタをして、打鐘から主導権を狙いに行くが、「ナメられてましたね。ごちゃごちゃやってるようなら逃げたほうが堅いかな」と、河端朋之が突っ張り先行。これで新山はズルズル後退、近藤のまくりも不発に終わると、番手の渡部哲男(写真)が直線で抜け出した。
 「(河端は)ナイス判断。でも、その判断が大事なんよ。最後はちょっとタレて来てたし、待ったら堤(洋)さんも残らんなと思った。よかった、とりあえず」
 ライン3番手から2着に流れ込んだ堤洋は口も滑らか。
 「3コーナーでコンリュウ(近藤)が外におったんで張り気味にと思ったら(佐藤)悦夫が来た。持って来られたら腰砕けになってたけど、そこで(渡部)哲男が前に踏んでくれたんでよかった。バタヤン(河端)と哲男のおかげ。2日目からクランク短くして感じがいいし、(3日目が)一番良かった」

<5R>

写真選手
写真選手
 阿竹智史、飯野祐太(写真)の順で切ったところを山岸佳太が、赤板の2コーナーで飛び出しそのまま逃げる。3番手で飯野と併走になった三谷竜生は打鐘の4コーナーから再び踏み込むが、山岸が突っ張り主導権を死守。外に浮いた三谷を張りながらまくった飯野が、関東勢を仕留めた。
 「スタートで山岸よりも後ろと思ってました。それで山岸が前を取った場合は、自分が駆ける順番が来るんで駆けようと。三谷もしぶとく何度も踏んでいたけど、無理やりでも仕掛けないとダメだと思ったんで無理やり(まくって)行きました。(佐藤友和との)ワンツーが一番です」
 岡田征陽に張られながらも、佐藤友和は2車身差の2着をキープした。
 「(飯野)祐太が強かったです。あそこで覚悟して勝負して、しっかりまくってくれた。後ろからはなにも言うことはないですよ」

<6R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 赤板の1コーナーで押さえて出た原田研太朗(写真)は、近畿コンビに切り替えた単騎の芦澤辰弘まで受けて4番手をキープ。タイミングを計って最終2コーナーからまくり上げると、三谷将太のブロックを乗り越え岩津裕介とのワンツーで人気に応えた。
 「脚を使ったぶん、車の出は悪かったけどラインで決めるためにはと思って。岩津さんにも言われたけど、(打鐘前の)2コーナーでもう少し踏んでいれば良かった。(ラインの)3人で決めたかったけど、稲毛(健太)さんも掛かっていて三谷さんのけん制もキツかった」
 打鐘から臆することなく逃げた稲毛健太は、三谷の援護にも助けられて3着に踏ん張った。
 「(ラインが)2車でも駆けようと思っていた。(原田の)突っ張りはないだろうなって思ったし、原田さんが3番手に入ったので落ち着いて駆けられました」

<7R>

山田英明選手
山田英明選手
 別線に警戒されていた竹内雄作だったが、合わせて踏んだ渡邉雄太を制し、打鐘で主導権を握る。しかし、吉田敏洋が連結を外して裸逃げの展開に。この様子を見ていた山田英明は、最終ホームから一気の反撃。番手から踏んだ渡邉、必死に抵抗する竹内らを力でねじ伏せる。最後は続いた井上昌己が差し切った。
 「展開は読み通り。長島(大介)に(前を)追わせて、ホームで緩んだら行くって言う。ヒデ(山田英明)がすれすれをいくから、遅れてしまいました。でも、3コーナーはツケマイで回って、余裕を持って抜けているし。悪くはないと思う。(次の)佐世保記念までに、もうひと山作ります」
 山田英明(写真)は、タイミングよく仕掛けてワンツーを決めた。
 「仕掛けられたのがうれしかったですね。出切ることしか考えていませんでした。(井上)昌己さんに抜かれたのは仕方がない。全日本(選抜)の特選もかかっているし、最終日もしっかり走れば点数が上がるかも」
 郡司浩平は最終1センターで長島を弾くと、直線で追い込んで3着に入る。
 「初日、2日目より全然キツかったです。(渡邉)雄太は落ち着いて走っていたし、自分もなにかか援護できればと。最後も、雄太をひとつでも上の着に残せるようにと思っていました」

<8R>

内藤秀久選手
内藤秀久選手
 中団から先に動いた古性優作が誘導後位に入ると、引いて来た早坂秀悟に十分フタをして根田空史が打鐘から一気に主導権を握る。すかさず叩き返して来た早坂は根田のハイペースの前に不発。人気の古性は内に詰まって仕掛けどころを失うと、根田マークの内藤秀久(写真)が好展開を生かして快勝した。
 「ラインが生きる競走をしてくれた根田のおかげ。山田(幸司)さんが締めてくれてるのもわかったし、(追い上げてきた)成田(和也)さんのとこも耐えてくれた。つくづくラインは大事だなと感じましたね。僕の感じもいい。3日目にしてドームのペダリングがしっくり来てる。最終日はもっと良くなるかな」
 2着には園田匠が強襲。3日目にしてようやくらしさを発揮した。
 「松浦(悠士)がまくって行ったときに、(佐藤)慎太郎さんの動きが気になった。でも成田さんをかばってたので、そのぶん対応が遅れてしまった。原因はわかってたので、思い切ってセッティングをいじったら良くなった。2日間見て終わってたけど、(3日目は)踏んでの2着だから気分的に楽になりました」
 成田後位から外を踏んだ佐藤慎太郎が3着に。
 「自分のレース、与えられた位置のなかではやったほうですね。普段、自力を出してないから風を受けだしてからの脚の消耗がすごいんですよ。脚に来ちゃってました」

<9R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 前で構えた脇本雄太が赤板手前から突っ張るが、太田竜馬が全開でねじ伏せて主導権を奪って逃げる。菊地圭尚が4番手に切り替えて、その後ろで脇本と和田真久留が併走。最終1センターで和田を弾いた脇本がまくるが、小倉竜二の猛ブロックで不発。あおりを受けた椎木尾拓哉だったが、直線で鋭く伸びてて突き抜けた。
 「(脇本は)モガき合うかと思ったんだけど、早かったんで引きましたね。そこから和田君をどかして無理やり行ってくれた。でも、小倉さん(のブロック)が…。自分はコースを考えていきました。混戦になったんでよかったし、かみ合ってくれた」
 脇本との先行バトルを制した太田竜馬(写真)は、小倉の大仕事にも助けられて2着に踏ん張った。
 「もういっぱいだったですけど、小倉さんが止めてくれたんで。(脇本に)突っ張られるかと思って、早めに(上昇して)行きました。脚も使っていたしペースじゃなかった。小倉さんが付いていると安心できる。(先行で)やらなきゃアカン時は、やらなアカンですね」

<10R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 稲垣裕之が赤板で誘導を降ろすと、前受けの木暮安由が番手で粘って前団がもつれる。仕掛けどころを見極めていた深谷知広は木暮が番手を取り切ったタイミングで、打鐘の2センターからの巻き返し。抵抗する稲垣をねじ伏せて、別線を引き離す。番手の金子貴志(写真)は深谷にきっちり続くと、ゴール寸前で交わした。
 「木暮が前を取ったのは予想外。でも、前がどうなっているのかはわからなくて、深谷の後輪だけを見ていました。すごい踏み出しでしたね。しっかり離れないようにと思って。(深谷は以前よりも)強くなっていますね。(自分も)練習はしているし、やれることはやってきたつもり。決勝も離れないように集中して」
 師匠に太鼓判を押された深谷知広。大舞台でレベルアップしたパワーをまざまざと見せつけた。
 「前を取らされたら、突っ張ることも考えていたので。木暮さんが前を取るのは意外でしたね。粘ったのが見えて少し考えたけど、いいタイミングで行けたと思います。でも、展開に恵まれましたね。3人で決まればベストだったので、反省して。状態は(いい意味で)変わらずですね。しっかりとケアをして、決勝に臨みたい」
 深谷に上をいかれた木暮安由は、最終2コーナーから前に踏む。深谷ラインに離れた荒井崇博、稲垣との踏み合いを制して3着に入った。
 「初手は前から勝負しようと。稲垣さんは絶対に行くので。あそこを引いたらチャンスはないし、チャンスのある位置を探ったら、あそこ(番手)ですよね。深谷君のスピードが違ったので合わせられなかったけど、切り替える感じで踏めたので。今までは、自力で(GIの)決勝に乗れていなかったので、進歩していると思います」
 愛知コンビ3番手を回った荒井崇博は離れながらも前を追ったが、バックで木暮にからまれてしまった。
 「惜しかった。周りが見てる以上に俺が悔しい。でも、あれは強いよ。3番手で付いて行けるヤツいるの? やっぱり木暮も脚があるね。悔しい」

<11R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)が、力の違いを見せ付けて白星を手にした。レースは山中秀将、松岡貴久の順番で前に出る。その上を、吉田拓矢が打鐘の2センターで押さえて先行策。前受けから引いた新田はすぐさま巻き返すと、口の空いた3番手に降りる。2コーナーから再度踏み上げて、前団を飲み込んだ。
 「(打鐘での巻き返しは)とりあえず、前の方にいこうと。でも、休んでしまって。あれで大槻(寛徳)さんと決められなかったですね。(3番手に入ってからは)位置取りが完了したので、あとは踏み込むだけでした。山中君が来ていたのは気づかなかったです。前の諸橋(愛)さんのタイミングだけみて仕掛けました。(決勝は)優勝できるように」
 後方に置かれた山中秀将は、最終1コーナーからまくり上げる。新田と合ってしまうも、新田を追う形で2着に入る。
 「松岡さんと位置を争ってもしょうがないので。折り合って、5番手から勝負できると思ったので、あの位置になりました。新田さんの動きはすごかったですね。余裕もあったし、スピードもすごかったです。切り替えながら踏んでいったつもりでしたけど、遅れましたね。とりあえず、勇気をもって新田さんの横までと思ったのが、よかったです。(以前より)脚力自体が上がったとは思わないけど、この場所(GI)にいられるのが当たり前になって。メンタルが強くなったと思います」
 3着には吉田の番手から追い込んだ諸橋愛。決勝にコマ進めて、賞金でのグランプリ出場を確実なものにした。
 「(作戦は)松岡が行った上をいって、新田を8、9番手に置くのがベストでしたね。吉田も掛かっているのに、その上を(新田に)行かれてしまっている。仕事もできなかったし、スピードが違いましたね。競輪祭の決勝は初めて。それこそ、小倉はFIも決勝に乗ったことがありません。これで、悪い印象を払しょくできたかな」

<12R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 青板バックから動いた松谷秀幸がホームで誘導員を下ろすと、その上を切った浅井康太は叩いて来た平原康多の番手に飛び付く。そこをホームから松谷が叩いて前に出ると、脚を溜めていた北津留翼(写真)がこの動きに乗って一気に仕掛ける。渡邉晴智のけん制を受けて2コーナーで浮きそうになったのを耐えると、3コーナーで松谷を飲み込み09年の競輪祭以来となるGIファイナル進出を決めた。
 「展開が早すぎて、どこを行っても持たないなと思った。待ってたら松谷さんが動いてくれたんで、行ったところを行かないと行くところがなくなると思った。2コーナーはキツかったですね。いつもならやめてるけど、声援も大きかったので。キツいなと思いながら一生懸命踏みました。九州から一人は決勝に乗らないとと思ってたのでうれしいですね」
 桑原大志、平原に次々と外を来られ、コースを失った渡邉晴智だったが、直線で空いた内を鋭く突いて2着に食い込んだ。
 「(松谷が)すごかったです。(最後のコース取りは)ダメでしょう。桑原に気づかなかった自分が悪いし、離れてるもんだと思ってた。(GIの決勝は)なかなか乗れないですからね」
 桑原を追う形から直線で外に持ち出した平原康多が3着争いを制して決勝戦最後のキップを手に入れた。
 「行かれても2車ならよかったけど、その上を北津留に行かれたんで。駆ける作戦は作戦だったけど、(浅井の)粘りは想定外で考えちゃいました。自分もよく3着になったっすね。めちゃくちゃキツかったけど、凌いだ感じ。(展開が)ほんと想定外だったんで」
 桑原大志は決勝進出ならず。グランプリ出場の可能性は、最終日の決勝の結果待ちとなってしまった。
 「一生懸命頑張ったんで。(北津留が浮いたと思い)踏み込んだら、(北津留が)伸びて行った。松谷君のところを付けて回ってと思ったら脚がいっぱいでした。でも、やり切ったんで悔いはない。あとは(自分より上の選手の)応援ですね」