『第60回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 4日目編

配信日:11月24日

 ナイターで初のGI開催。北九州メディアドーム・小倉競輪場を舞台に開催されている今年最後のGI「第60回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、11月23日に4日目が行われた。メインの準決フリーパス(失格は除く)「ダイヤモンドレース」では、浅井康太がシャープに追い込んで、豪華なメンバーによる高速バトルを制した。いよいよシリーズも後半に突入して正念場。24日の5日目は、ファイナル進出をかけた準決バトルが熾烈を極める。
 本場では開催中の毎日、「どりあんず平井とフジケンの楽しい時間」、競輪専門紙「コンドル」による全レース解説会、小倉けいりんをぐっと盛り上げる「北九州選手会コーナー」、「かねりんグッズ販売コーナー」などが行われます。また、24日の5日目には、「小倉日記」を合計1500人にプレゼント、元女子サッカー日本代表の「丸山桂里奈」のトークショー、「仮面ライダージオウショー」「児玉碧衣選手」のトークショー、「競輪祭大人の扉」in北九州メディアドーム(ゲストに山原さくら選手)、「スピーチーズ」によるライブ、「ミッドナイト競輪in小倉」コーナーで予想会なども予定されています。小倉競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

伝説のヒーロー!「日本名輪会」トークショー
伝説のヒーロー!「日本名輪会」トークショー
ダイヤモンドレース出場選手特別紹介
ダイヤモンドレース出場選手特別紹介
内村舞織選手&大久保花梨選手&林真奈美選手&児玉碧衣選手トークショー
内村舞織選手&大久保花梨選手
&林真奈美選手&児玉碧衣選手トークショー
「競輪祭大人の扉」in北九州メディアドーム ゲスト:林慶次郎選手
「競輪祭大人の扉」in北九州メディアドーム
ゲスト:林慶次郎選手
「競輪祭大人の扉」in北九州メディアドーム ゲスト:小林莉子選手
「競輪祭大人の扉」in北九州メディアドーム
ゲスト:小林莉子選手
児玉碧衣選手&奥井迪選手トークショー
児玉碧衣選手&奥井迪選手トークショー

ダイヤモンドレース レース経過

 ゆっくりとしたスタートから脇本雄太が前受けで、周回は脇本-三谷竜生-吉田敏洋-浅井康太-山崎賢人-中川誠一郎-鈴木庸之-平原康多-新山響平の並び。
 青板バックから鈴木が上昇を開始。脇本がサッと車を下げると、鈴木の動きに続いた吉田がさらに車を上げて正攻法の位置に入る。鈴木の動きに続かなかった山崎は中団の脇本にフタ。脇本も引かずに、中団が併走のまま鐘が入る。2センターから鈴木が踏み上げると、合わせて吉田もペースを上げて両者で踏み合いに。ホームから山崎も仕掛けるが前のピッチが上がって車は進まない。その外を1センターから脇本がまくって出るが、合わせるように平原が2コーナーから自力に転じる。脇本は外を粘り強く踏んだが2着まで。うまく平原のまくりに乗った浅井がゴール前で抜け出しダイヤモンドレースを制した。




<1R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 中井太祐が赤板の2コーナーで踏み込んで主導権を握ると、松浦悠士は近畿2車を出させて単騎で遅れ気味に来た山田庸平と3番手で絡む。もつれたところを吉澤純平(写真)が打鐘の4コーナーから一気に巻き返す。白戸淳太郎は付け切れず、吉澤、芦澤大輔であっさり逃げる中井をとらえて、後続をちぎる。茨城両者の勝負は、吉澤の押し切り。
 「展開的にも行きやすかったです。前を取ったら最初からあのタイミングで行こうっていうのはあった。シンプルに外を仕掛けようって。キツかったけど、(1着に)残れて良かったです」
 直線で差を詰めた芦澤大輔は、半車輪差の2着。
 「(吉澤)純平もらしいレースをしたし、(差せなかったのは)力ですね。純平は責任をもってライン3車の競走をしてくれた。自分は前検日は今年一番のデキだなっていう感じもあったんで、予選は悔しかった。ただ、自信じゃないけど、仕上がっている感じはある」

<2R>

芦澤辰弘選手
芦澤辰弘選手
 赤板の1コーナーで出た杉森輝大は、近畿コンビを打鐘で受けて3番手。しかし、ペースが緩んだ隙を見逃さず、2センターから踏み込んで主導権を奪った。そのままラインで出切ると、芦澤辰弘(写真)が好展開を生かしてアタマ。
 「杉森さんが積極的なレースをしてくれました。なんとかラインで決めたかったんですけど、ちょっと早めに踏んでしまって。杉森さんは残してくれると思って、行ってくれたんだと思うんですけど…。久しぶりに(最終)4コーナーを番手で回って、余裕がなかったです」
 杉森輝大は直線で失速して4着。しかしながら、積極的な組み立てでラインの2人をワンツーに導いた。
 「緩んだところを行こうと思っていました。3番手に入ったけど、迷うことなく行けました」
 後方に置かれた岩本俊介は最終ホームから仕掛けたが、山崎芳仁に合わされてシンガリ負けに終わった。
 「杉森さんが出た時に、自分も(車間を)詰めていて。でも、まさか山本(伸一)さんが出られちゃうとは思わなかったです。杉森さんがいいレースでした。脚の感じは悪くないけど、ここまで自分の形のレースができていない。残り2走で出せるように」

<3R>

山中秀将選手
山中秀将選手
 後ろ攻めの山中秀将(写真)が早めに動いて赤板で誘導の後位に収まる。続いて上昇した長島大介を取鳥雄吾が打鐘過ぎに押さえて先頭態勢を取る。これで7番手に逆戻りした山中はホーム前から一気のカマシ。マークの渡邉晴智がちぎれるほどのスピードで取鳥を瞬く間に抜き去った。
 「前が詰まったので、あそこしかないと思って行きました。ちょっと距離は長かったですね。本当はラインで決まるようなレースをしないといけないんですけど、今回は2走ともダメだったので、その余裕がなかったです。調子自体はいいと思います」
 最終バックで山中に出られた取鳥雄吾だったが、懸命に追いかけて2着に踏ん張った。
 「なんとかですね。今回の感じではちょっと厳しいかなって。(山中に)行かれるとは思っていたけど、ひとりで来てくれたんで。でも、前まで遠かったです」

<4R>

桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 周回中は北日本トリオが前団。金子幸央が上昇すると、早坂秀悟は栃茨、南関勢を出して5番手を川村晃司と併走する。打鐘で早坂は外を張りながら強引に仕掛けるが、先行態勢の金子もペース上げて早坂は結局5番手に入り直す。すんなり3番手を手に入れた桐山敬太郎(写真)は、最終1センター過ぎからまくって久々の白星は飾った。
 「ずっと脚の感じは悪くなかった。展開が向いたし緩んだら叩いて先行もするつもりでした。練習とか前検日から感じは良かったので、準決とかまで行けたら面白いかなっていうのはあった。2走してやっぱりダメかなって思ったけど、(3走目は)自分でやってみてやっぱり良かった」
 切り替えた牛山貴広に絡まれた山賀雅仁だったが、わずかに前に出て締め込みながら2着をキープした。
 「練習はしてきたけど、あんなにレースがキツいとは思わなかった。締め込みながら走っていたら、気持ち悪くなりました。危なかったレースだし、本当にキツかった」

<5R>

橋本強選手
橋本強選手
 後ろ攻めの南潤が、突っ張り気味に踏んだ根田空史を赤板で押さえて先行策に出る。一本棒のまま最終ホームを通過すると、7番手の佐藤幸治が1コーナーから反撃。ジワジワと前団に迫るが、村上義弘に番手まくりで合わされて不発。しかし、橋本強(写真)はバックから内に切り込むと、そのまま南と村上の間をまくって白星を手にした。
 「(山内)卓也さんをどかそうと思ったら、村上さんが上がっていたので、そのまま内だなと。あそこを行けなかったら、自分は終わりなので。脚の調子はいいですよ。でも、佐藤君が思い切って行ってくれたおかげです」
 村上義弘は、橋本に屈して2着。
 「激しいレースでした。橋本君が入ってくるのは見えていました。(南)潤が内にいて、締められなかったです。(橋本が)いいスピードでした」

<6R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 後ろ攻めから早めに上昇した菅田壱道が赤板で誘導の後位に入る。後方に下げた渡邉雄太を警戒しながら一気に踏み込んだ吉本卓仁が打鐘から逃げる。それでも強引に巻き返した渡邉が最終2コーナーで吉本をとらえる。この後位に俊敏にスイッチした荒井崇博(写真)が3コーナーからまくって激戦を制した。
 「良かったです。作戦はカマシだった。この歳になって調子良く特別に入れることはないので、シビアに行かせてもらった。(菅田が)見えたら行こうと思っていたけど、来なかったんで3コーナーまで待ってから行った」
 九州コンビの後位を取った菅田壱道が2コーナーで小川真太郎に内をすくわれながらも外併走を耐えて2着に食い込んだ。
 「首の皮一枚つながりました。展開は見えているし、位置もしっかり取れた。2コーナーで仕掛けられなかったのは反省です。小川真太郎にしゃくられたけど、しっかり踏み勝てたんで。焦って前に踏まないで、ツケマイで行けました。気持ちで乗り切れました。泥臭くても勝ち上がることだけ考えてました」

<7R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 山田久徳が小原太樹に並びかけると、その上を天田裕輝が押さえる。この動きを追った単騎の小松崎大地は、3番手で止まることなく先行策に出た。8番手に置かれた太田竜馬(写真)だったが、最終ホームから反撃を開始。前団を一気にまくって圧勝した。
 「後方になっても、スピードが出ると思っていました。合わされるかどうかわからないけど、一撃で行こうと。出切ってからは、スカスカする感じでしたね。でも、スピードが出て1着だし、らしい走りができたと思います。怪我の影響もないです」
 単騎で先行策に出た小松崎大地。太田にまくられはしたものの、持ち前のパワーで2着に粘った。
 「単騎で逃げる形になったけど、自分は自力選手なので。常に風を切って走ることを意識している。寛仁親王牌で決勝に乗れたのはマグレだけど、それでも経験できたことで得るものはある。自力選手は仕掛けることを恐れていたら戦えない。脚の状態は悪くないと思います」

<8R>

山田英明選手
山田英明選手
 細切れの4分戦も、大方の予想通り竹内雄作が先行策。赤板の2コーナーから竹内が踏み込むと、切って待っていた山田英明(写真)が番手に飛び付く。最終ホーム手前で竹内後位を奪った山田は、原田研太朗のまくりに合わせて番手発進。園田匠とのゴール勝負をタイヤ差凌いで、シリーズ2勝目を挙げた。
 「自分を見失ってたところもあったんで、自分らしく“山田英明”でいこうって。腹をくくってこういうレースをして負けたら仕方がないっていう感じでした。泥臭くいかないと僕は勝てない。(番手を取り切ってから原田がまくって来てて)勢いも良かった。かぶってしまったら僕は2着があっても、園田さんと(坂本)亮馬に(勝負権が)ない。ただ、(番手から)出て行くのはキツかったです」
 山田マークから迫った園田匠が2着。ホームバンクでの準決進出に笑みがこぼれる。
 「ラインとしてしっかり戦った。亮馬が内をしっかり締めてくれているのもわかったし、最後小倉(竜二)さんに入られないようにと。(一次予選の2走で目標の強い選手に)鍛えられて、脚は完ぺきに仕上がりました」

<9R>

村田雅一選手
村田雅一選手
 金子貴志が後ろから動き、誘導後位が入れ替わる。木暮安由は南関勢をすくって中団を確保し、スローペース。別線の様子をうかがっていた金子は、7番手から巻き返してきた郡司浩平の仕掛けに反応してピッチを全開に。番手の村田雅一(写真)は絶妙なブロックで郡司を阻むと、直線で抜け出した。
 「木暮さんもいるから、すんなりにはならないと思っていたけど、いい展開になりましたね。3走とも前の選手が先行してくれて、いい位置を回れています。ブロックも、いいタイミングで入れましたね。GIは2回目ですけど、勝ち上がったことはなかった。準決も求められることがあるから、しっかり頑張りたいです」
 逃げた金子貴志が2着に粘る。強気に攻めて準決にコマを進めた。
 「もともと先行を基本に組み立てを考えていました。木暮君が先に切ってくれたら、もっと楽でしたけど、誘導が残っていたので助かりました。村田君もいいブロックをしてくれましたね。(状態は)もちろんいいと思います。前回(取手記念)は地区プロの疲れがあったけど、今回は疲れも抜けて、いい方向に向いてくれています」

<10R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 打鐘で切った古性優作を柴崎淳が叩いて出る。吉田拓矢がすかさず巻き返して最終ホームで主導権を奪う。軽快に飛ばず吉田に対して別線は沈黙。4コーナーを絶好の番手で迎えた諸橋愛(写真)が最後はきっちり差し切り、3カ月ぶりの勝ち星を挙げた。
 「吉田が出切ってくれたので、そこからあとは僕の仕事でしょう。古性の思惑通りにいかないようにだけしようと思っていた。わりと僕も冷静だったし、吉田もいい掛かりだったと思う。あれだけスタートで脚を使っているのに、末も良かったですね。ラインでワンツーが決まったのが一番いいですね」
 タイミングを逃さずにスパートした吉田拓矢が2着に残り、満足そうにレースを振り返る。
 「スタートのけん制がキツかったですね。あそこ(最終ホーム)では出切らないといけなかったし、けっこう踏みました。脚のアタリは微妙だったけど、2着に残れて収穫はありました。バックを取れたのは良かったです。諸橋さんとは相性が良いし、ワンツーが決まって最高です」

<11R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 赤板で先頭に立った清水裕友(写真)を近藤隆司が2コーナーで叩いて出る。近藤はピッチを緩め、後続は一列棒状のまま打鐘を通過。別線の動向を確認しながら近藤がペースを上げて駆ける。3番手の絶好ポジションを確保していた清水が2コーナーが豪快にまくって快勝した。
 「展開に応じて走れました。後ろから誰か飛んで来たら、その時はしっかり対処しようと思ってました。やりたいことはしっかりできました。(近藤が)1センターで波を作っていたので、ワンテンポ仕掛けがズレましたね。日に日に状態は上がっている。こんなのは珍しいですね。自転車と体がはまっている感じがします」
 絶妙のペースで駆けた近藤隆司が、しぶとく2着に粘り込んだ。
 「上がりタイムが出るように、落ち着いて駆けました。稲垣(裕之)さん、清水君が来たら思いっきり合わせて踏もうと思ってました。途中で頭がパニックになったんですけど、(残り)1周まで休めたのが大きかったです。成田(和也)さんのおかげです。最後は初日と同じくらいキツかったです」

<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 関東コンビに次いで吉田敏洋が誘導後位に収まり、5番手まで下げた脇本雄太に山崎賢人が併せ込んでフタをする。打鐘を通過しても外併走の山崎は動かず、3番手で車間を空けた鈴木庸之が叩きに出る。吉田も合わせて踏み込んで内から盛り返し、最終1センターでは吉田と鈴木の両者が重なる。2人の余力を見極めた平原康多は、自力に転じて2コーナーから一気にまくる。浅井康太が平原を追いかけて、大外を脇本が襲い掛かる。別線3車の直線の攻防は、平原を交わした浅井が1着。
 「吉田さんが頑張ってくれたんで、展開が向きました。いいタイミングで平原さんが仕掛けてくれたし、自分はとくになにもしてない。平原さんは強かった。久しぶりに強い人の後ろに付いた感じがします。(最終)2コーナーはキツかったけど、そのなかで抜けたのはマグレですね」
 最終ホームでようやく視界が開けた脇本雄太は、1センターから仕掛けるも浅井をとらえ切れず2着。
 「(山崎とは)真っ向勝負を望んでたんですけど、しょうがないですね。何回もバックを踏まされました…」
 「脇本を合わせたと思ったら、浅井が後ろにいた」とは、鈴木とのタッグからまくりを打った平原康多(写真)。浅井、脇本に交わされての3着も、判断力とソツのない立ち回りはさすがのひと言。
 「(鈴木は)一番苦しいところで(仕掛けて)行ってるから、ああなっちゃいますよね。そこはノブ(鈴木)も勉強じゃないですか。ノブが合わされてたんで、自分が行くしかなかった。出し切ったし、いいレースだったんじゃないかと」