『第60回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 最終日編

配信日:11月26日

 ナイターで初のGI開催。北九州メディアドーム・小倉競輪場を舞台に開催された今年最後のGI「第60回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」は、11月25日に最終日が行われた。GI3連覇がかかる脇本雄太に人気が集まった決勝は、太田竜馬を突っ張って脇本が先行策に出た。脇本ライン3番手の浅井康太が、内を突いて追い込みゴール前で脇本を交わしてV。11年の岐阜オールスター以来、久々のGI制覇で優勝賞金3390万円(副賞含む)手にした。また、年末の「KEIRINグランプリ(GP)2018」の出場権をかけた争いも最終日で終了。決勝で3着に入った清水裕友が獲得賞金で逆転して、9番目の椅子に滑り込んだ。

決勝レース出場9選手がバンクで意気込みを語る
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ミッドナイト競輪 in 小倉コーナーで予想会
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決勝戦 レース経過

 スタートでけん制が入ると、内の浅井康太、外の脇本雄太で誘導員を追い、周回は脇本-柴崎淳-浅井-平原康多-諸橋愛-菅田壱道-太田竜馬-香川雄介-清水裕友の並び。
 赤板前から太田が上昇するが、前受けの脇本は1コーナーから誘導員を下ろして太田をけん制する。太田があっさりと車を下げ、隊列が一本棒になると脇本は一度ペースをスローに落とす。最後方だった清水が内から7番手に上げ、下げた太田は8番手で残り1周半の鐘が入る。脇本はホームから徐々にペースを上げるが、そこに2コーナーから平原がまくりで襲いかかる。バックで柴崎の横に並びかけると、これを柴崎がブロック。しかし、一度で止めきれず2センターでも平原とからむと、3番手の浅井が空いた内に切り込む。浅井は脇本との車間を詰めた勢いで外に持ち出すと、粘る脇本をゴール寸前で逆転。平成23年8月のオールスター以来、自身3度目となるGIを制した。逃げた脇本は2着でGI戦3連覇ならず。3コーナーからまくった清水が3着に入線した。

<1R>

山中秀将選手
山中秀将選手
 長島大介が切った上を佐藤幸治が押さえて先行態勢を取る。前受けの山中秀将(写真)は一本棒の7番手に置かれる。最終ホーム目がけて佐藤が、全開で踏み上げて逃げる。空けた車間を詰めながら長島がまくりを打つと、ほぼ同じタイミングで山中も仕掛ける。長島は大坪功一のけん制で不発。まくった山中が直線半ばで抜け出した。
 「佐藤さんが全開で行って、長島君も車間を空けていた。あれで無理やりカマして行ってもと思った。それで長島君に詰めていってもらってからと。ただ、紙一重ですね」
 2着は佐藤ラインの3番手から中を伸びた湊聖二と、伊勢崎彰大で同着。「単独の2着が良かったですね」とは、山中マークの伊勢崎。湊聖二はラインの前の2人に感謝して汗をぬぐう。
 「佐藤君と大坪君のブロックのおかげ。(最終)2センターからあそこしかなかった。(中のコース)どかしたらぐちゃぐちゃになっちゃうんで、1車だけ空いてくれって思ってた。連日、調子が良かったんですけど、GIっていう場に慣れてない。それでどこかに迷いがありますね」

<2R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 山本伸一が、早坂秀悟に蓋をしてから打鐘で飛び出す。早坂はすぐさま巻き返すも、前団を叩けず4番手に降りる。最終2コーナーから再び仕掛けたが、車は進まない。後方からまくった杉森輝大も、3番手でいっぱいに。最後は車間を切っていた岩津裕介(写真)が、直線で追い込んだ。
 「山本君とは2日続けての連係。(連係した)4走目で出し切れなかった分、最終日はこれ以上ない先行をしてくれました。(今シリーズは)そんなに走れない状態じゃないから、もう少しやりたかったですね」
 単騎の堤洋は茨城コンビを追走すると、外のコースを鋭く伸びて2着に食い込む。
 「突っ込むところがあったら行こうと思っていて。前を見たら杉森が伸びていたので、スピードをもらって外だなと。余裕もありました。(要因は)何でだろう。リフレッシュできたからかな」

<3R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 赤板の2コーナーで切った原田研太朗を金子幸央が打鐘で叩いて逃げる。ホーム8番手から反撃に出た岩本俊介だったが、車はほとんど進まない。不発と見るや和田健太郎(写真)は2コーナーから空いたインコースを進出。4コーナーで外に持ち出すと、単騎で3番手からまくった山田庸平を鋭く差し切った。
 「すごいキツかったです。でも、岩本もしっかり仕掛けてくれたんで。内をしゃくってですけど、1着が取れたのは良かったです。(5日目に)落車したけど、最終日もしっかり走って、なにか得るものがあればと思ってました」
 最終2コーナーからまくった山田庸平は2着。単騎で存在感を示した。
 「ある程度、脚を使わずに3番手が取れたし、かぶる前に仕掛けました。前もかかっていて踏み直していたので、キツかったです。最後に交わされているので、力不足ですね。今回は課題を見つけながら走って、収穫はたくさんありました。今後につなげたいですね」

<4R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 別線に警戒されていた南潤だが、突っ張り気味に踏んだ渡邉雄太(写真)を赤板の2コーナーで強引に叩く。渡邉は中団で態勢を整えると、最終バックの手前からアタック。稲川翔のけん制を乗り越えて、抵抗する南を直線の入り口でとらえた。
 「南君を出させるつもりはなかったです。でも、(南に)出られてしまって、そのあとは中団で口が空かないようにと思っていた。残り半周だとキツかったと思うけど、中団に入ってから残り1周あったのでよかった。南君がたれてきていたし、良いタイミングでまくりに行けました」
 渡邉マークの岡村潤がきっちりと続き、静岡ワンツー決着となった。
 「僕は付いているだけでした。(渡邉)雄太が強かったですよ。あれだけ踏んでいるのにまくれているので、すごかった。僕は付いていくのが仕事なので。ワンツーが決まって良かったです」

<5R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 前受けの渡邉一成は、押さえに来た根田空史を赤板過ぎに突っ張って主導権をキープする。再度仕掛けてきた根田、自力に転じた志智俊夫ら別線の反撃をことごとく跳ね返してレースを支配。最後は番手絶好となった大槻寛徳が、冷静に差し切った。
 「根田が来るのが遅かったし、(渡邉)一成もなめられたら突っ張りますよ。自分は余裕があって、別線が来ても止められる感じでした。(今シリーズは)良かったり、悪かったりですね。でも、(二次予選Aは)自分が悔いのないコースを行って。落車しなければ、突き抜けられる脚はありました」
 2着の渡邉一成(写真)は4走目と同様に、力強い先行策で別線を完封した。
 「(突っ張り先行は)考えていました。根田が積極的に駆けるから勝負だなと。自分のラインもしっかりしているし、引き付けて踏んで。良いペースで踏めたと思います。(シリーズの後半から好走できて)ようやくですね。4走目、最終日のレースを勝ち上がりでできたらよかった。(グランプリ出場へ)勝負で入ったけど、悔しい結果で終わってしまいました。本当に悔しいです」

<6R>

神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 打鐘で飛び出した小原太樹に山田久徳が襲いかかる。山田がホームで小原を強引に叩いて先行策を取る。8番手となった吉本卓仁がすかさず反撃に出ると、これに合わせるように天田も2コーナーからまくる。村上義弘が天田をけん制しながら前に踏むが、内に進路を取った神山雄一郎(写真)が鋭く伸び切った。
 「天田がいい感じで行ってくれたんで、しっかり付いて、(村上の)動きを見ていた。タマタマですね。今までやってきたことが今回は出てなくて、(一次予選の)2走目に近藤(隆司)君に離れてしまったので、乗り方を少し変えてみたら感触が良くなりました。なにかつかめた気がします」
 村上に合わされた天田裕輝は3着に入るのが精いっぱいだった。
 「展開は向いたと思ったんですけどね。いい感じで仕掛けられたんですけど、村上さんにバッチリ見られてました。神山さんとワンツーを決めるにはもう少し力が必要でした」

<7R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 吉澤純平が前受けの郡司浩平を強引に押さえると、その上を竹内雄作が打鐘で叩く。吉澤が4番手を確保し、5番手は引けなくなった郡司と芦澤辰弘とでもつれる。車間を空けていた金子貴志(写真)はまくってきた吉澤の勢いを止めると、直線で追い込んで白星締め。
 「(竹内)雄作が強かったです。赤板で別線が踏み合ったこともあって、展開が向きました。それにしても、吉澤はあれだけ脚を使っているのに、あんなところからまくって来るんですね。もう誰も仕掛けてこないかと思っていた。今シリーズは思っていたよりも自分(の調子)は良かった。準決は、最後まで踏み切って9着なので。これからどういうトレーニングをしていけばいいか分かったし、いい刺激になりました」
 勢いが止まった吉澤純平だが、懸命にゴールを目指して2着に入った。
 「竹内君に、楽なペースで行かれてしまいました。きつかったです。郡司にも赤板の所で凄い踏まされてしまって、脚が全然たまらなかった」

<8R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 小川真太郎を叩いて吉田拓矢が、打鐘手前で主導権を握る。小川が引き切る前に、6番手の吉田敏洋が仕掛けて前団に襲いかかる。吉田敏は武田豊樹の猛ブロックで不発。後方の小松崎大地(写真)は、最終1コーナーから踏み上げる。あおりを受けながらも、スピードに乗った小松崎がまくりで後続をちぎって1着。
 「(吉田敏は)強烈なブロックをもらってましたね。吉田(敏)さんが行かなければ、僕が出ていってました。(吉田敏が)連日の自分の仕掛けを意識してくれたから、ああなかったのかと。あれで見ちゃったら、不発になるし。昔ならあれで行き切れてないと思う」
 中団の小川真太郎は、外の視界が開けた最終2コーナーからまくるが、加速がついた小松崎には離された2着。
 「タイミングさえあれば行けたんですけどね。あの一瞬(のタイミング)は行けなかった。まだかみ合わないところもあるんですけど、(落車の怪我は)全然いい感じです。前よりも踏めている感じもあるんで、来年はもっといいかもしれないですね」

<9R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 後ろ攻めの木暮安由が、突っ張り気味に踏んだ取鳥雄吾を赤板の1センターで強引に押さえる。これを見た中川誠一郎は、すぐさま踏み上げて先行策に出た。ラインを引き連れて軽快に風を切ると、別線はお手上げ。最後は荒井崇博(写真)がチャンスをモノにした。
 「(中川)誠一郎がよく行ってくれたね。車間を切ったけど、誰も来んかった。ただ、見過ぎて抜きそびれるかと思った」
 中川誠一郎が2着に粘り、ラインを上位独占に導いた。
 「初手はどこでもよかったです。ただ、中団だったので逃げようと。駆けてからの気持ちは、発進のつもりで(笑)。(今シリーズは)準決の凡ミスがすべて」

<10R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 山田英明が切った上を稲垣裕之が打鐘で叩いて出る。そこを今度は新山響平が仕掛けて最終ホーム前から主導権を取る。新山が快調に飛ばして、最終バックは誰も仕掛けられずに一本棒で通過。番手絶好の佐藤慎太郎(写真)が最後はきっちり追い込んだ。
 「俺はただ付いていっただけですよ。相当かかっていたし、(新山)響平は強くなりましたね。展開的にもすんなりだったので、最後は差せた。フレームを最終日に替えたけど、いいんじゃないですかね」
 別線を完封した新山響平だが、検車場へ引き上げてくると悔しさを口にした。
 「いつもよりイメージ良く踏んでいったのに、末が足りないですね。(佐藤)慎太郎さんに抜かれたのは相当悔しい。今シリーズは勝ち上がり方が普段と違って、優秀戦に乗ることができたし、今回6日間経験したことでダービーも楽になるのかなって思います」

<11R>

古性優作選手
古性優作選手
 鈴木庸之、古性優作(写真)の順で切って近藤隆司が赤板の2コーナーで先頭に立つ。前受けから7番手まで下げた山崎賢人がすかさず反撃。打鐘の2センターで近藤を叩いて逃げるが、後方から踏み上げてきた鈴木は出切れず、園田匠のところに降りようとする。山崎の後位はもつれて最終2コーナーで園田が落車。小倉竜二が乗り上げる。落車を避けた古性が3番手から急追。粘る山崎をとらえた。
 「ちょうどホームで仕掛けようとした時にノブ(鈴木)さんと挟まってしまった。あれがなければもっと面白かったんですけどね。コケたかと思ったけど、なんとか避けて届いたんで良かったです」
 2着に逃げ粘った山崎賢人だが、ラインの後ろ2人が落車してしまった。
 「前受けから下げて、行けるところから行こうと思ってました。先行して力は出せたけど、後ろが落車しているんで。今回はちょっと気持ちが足りなかった。力もないので、練習し直します」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 正攻法の脇本雄太が、赤板で上昇してきた太田竜馬を突っ張って先行策を取る。平原康多は4番手、菅田壱道は6番手、清水裕友が7番手、太田は8番手まで車を下げさせられて打鐘を通過。脇本が徐々に加速をして最終ホームは一本棒。2コーナーから平原が仕掛けると、柴崎淳が懸命に平原をブロックする。2センターで柴崎の空いた内を突いた浅井康太が脇本をゴール前で交わして初の競輪王に輝いた。
 「(GI優勝が)久しぶりすぎて、獲る感覚を忘れていた。淳が出てくれて、自分にもチャンスができました。外じゃなくて内っていう判断もできた。(前日に)セッティングをいじって、感触は良くなっていた。ワッキーのかかりも良かったです。(準決勝より)ワッキーにとっては楽な展開でしたね」
 赤板からの突っ張り先行に出た脇本雄太は惜しくも2着。GI3連覇こそ逃したが、完全にレースを支配した。
 「突っ張ることは半分くらい考えてました。太田がなめて押さえてきたし、もう自分の距離だと思って自信を持って行きました。自分のペースに持ち込めたし、僕の中では納得しています。今後の課題も見つかったので、グランプリに向けてしっかりやっていきます」
 3コーナーから外をまくり追い込んだ清水裕友(写真)が3着。賞金ランクで原田研太朗を逆転して、初のグランプリ出場を決めた。
 「(GP出場が決まって)本当ですか。ちょっと言葉が出ないです。太田が早めに切るかなと思ったけど、行かなくてやばいなと思いました。アタマまでは厳しいかなと思ったけど、諦めずに踏もうと。良く伸びてくれましたね。ただ、準決の方がきつかった。決勝の方が伸びた感じがありました」
 52回目のGI挑戦で初の決勝に駒を進めた柴崎淳だったが、絶好の展開を生かせず4着に終わった。
 「決勝の舞台は面白いですね。経験不足が出たんですかね。2コーナー過ぎは夢を見ましたよ。余裕もあったし、このままならゴボウ抜きかなって。浅井さんに内からこられて正直、腰砕けになってしまった。でも諦めずに踏みました。3着までには入らないとダメですよね」

次回のグレードレースは12月1日~4日まで四日市競輪場で開催予定の「四日市競輪開設67周年記念・泗水杯争奪戦(GIII)」となります。
「四日市競輪開設67周年記念・泗水杯争奪戦(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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