『第36回共同通信社杯(GII)レポート』 最終日編

配信日:9月21日

伊東競輪場を舞台に開催された「第36回共同通信社杯(GII)」は、9月21日に最終日が行われた。決勝は、大方の予想通り4車で結束した九州勢が主導権。番手からまくって出た山田英明だったが、1位入線も押し上げにより失格。繰り上がった中本匠栄が、ビッグ初制覇で優勝賞金2170万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズコレクション2020伊東温泉ステージ」は、逃げた梅川風子の後位に入った高木真備が追い込んで1着。賞金215万円(副賞含む)を手にした。

ガールズコレクション出場選手特別紹介
ガールズコレクション出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 号砲で山田英明、中本匠栄が飛び出して中本が正攻法の位置を確保。山崎賢人-山田-中本-園田匠の九州勢が前団を占め、単騎の5人は松浦悠士、新田祐大、吉澤純平、岩本俊介、脇本雄太の順で並んで周回を重ねる。
 青板を過ぎても単騎勢は互いにけん制し合って動きがなく、山崎が徐々に誘導との車間を切って後続の反撃に備える。赤板まできて、前との車間を切って仕掛けのタイミングを図っていた脇本がアタック。一気にペースが上がる中、最後方からではさすがに脇本も苦しく、打鐘3コーナーで山田に止められて出切れない。脇本は最終ホームで中本から駄目押しのブロックを受けて失速。脇本の動きを追ってきた松浦が代わって1センターからまくりに行き、新田も続いて上がってくる。松浦、新田が迫ると、山田は2コーナー番手まくりで応戦。松浦は遅れるが、新田は強烈な加速で飲み込む勢いだったが…。2センターで山田が自ら新田を大きく外に持って行って止める。このときに新田を追走していた吉澤が煽りを受けて落車。直線に入り、このまま山田が先頭でゴールし、山田の内に入った中本、続いて盛り返した松浦と園田が並んで入線したが、山田は失格。繰り上がって中本が優勝した。







ガールズケイリンコレクション2020伊東温泉ステージ レース経過

 横一線のスタートで、梅川風子、石井寛子、高木真備の内枠の3人が車番の順で並ぶ。以下は、大久保花梨、柳原真緒、石井貴子、鈴木美教となって周回を重ねる。
 青板2センターで鈴木が上昇。これに石井貴も切り替えて続く。鈴木は高木の外あたりで一旦、併走するが、石井貴はさらに踏み上げて打鐘とともに先頭に立つ。すかさず鈴木がこの動きに乗っていくが、鈴木を制して外のコースを確保した梅川が2センターからスパート。合わせて踏み上げる石井貴を、最終ホーム手前で叩いて梅川が主導権を握る。石井寛は外に浮いた鈴木が邪魔で続けず、石井貴も飛び付けず。梅川を追って4コーナーから仕掛けた高木が梅川の2番手にすんなり追い上げる格好となり、初手から高木の後ろにいた大久保が3番手。梅川は快足を飛ばしてレースを支配し、柳原の2コーナー4番手まくりは不発。このまま直線に入り、粘る梅川を交わして高木が抜け出した。






<6R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 赤板で京都コンビが先頭に立つと、8番手の宮本隼輔が反撃に出る。宮本に続いた中川誠一郎は稲垣裕之にさばかれ、最終ホーム手前で主導権を奪った宮本の番手には山本伸一が入る。バックを通過して4番手の小松崎大地が踏み込む。小松崎マークの守澤太志(写真)がコースを見極めて、宮本と山本の間を突き抜けた。
 「小松崎さんを信頼して付いていくだけでした。(仕掛けてくれたけど)小松崎さんはタイミングが取れない感じだった。自分は空いてたんで入って、最後は無理をしないようにと思ってました。4日間を通して脚は軽かったんで、仕上がりは良かった」
 援護を失った宮本隼輔だが、番手に入った山本らを振り切って2着に逃げ粘った。
 「(仕掛けて)出る時にちょっとタイミングを遅らせて距離を短くした。いまは地道じゃないけど、開き直ってやってます。(自分の気持ちは)盛り上がり途中っていう感じです」

<8R>

新山響平選手
新山響平選手
 青板前からレースが動き出し、深谷知広をけん制するように高橋晋也が先頭に立ち主導権を握る。赤板過ぎに北日本の4車が出切って、太田竜馬は5番手。高橋がハイペースで駆けて、新山響平(写真)は番手で車間を空ける。8番手の深谷は最終1コーナーから反撃。新山が2コーナー手前からの番手発進で、深谷を退けて勝ち切った。
 「(高橋)晋也が強くて、めちゃくちゃキツかった。(周回中は)本当は前からが良かったんですけど、僕のスタートが遅かった。太田君も結構踏んでたんで粘られるかなっていうのがあったけど、晋也の勢いが良くて(ラインの)みんなで出られた。(山崎芳仁との)ワンツーで良かったけど、永澤(剛)さんも連れて行きたかった」
 最終3コーナーで深谷のまくりを外に振った山崎芳仁が、新山に続いてのゴールで人気の北日本ワンツー。
 「自分のやれることはやろうと。深谷も強いし、太田か深谷が絶対にまくって来ると思ってた。深谷も踏み上げてたんで、これはブロックしないと止まらないなっていう感じだった」

<9R>

高木真備選手
高木真備選手
 打鐘過ぎに石井貴子が前に出るが、正攻法の梅川風子は鈴木美教の追走を阻むようにすかさず最終ホームから叩いて出る。4コーナーから仕掛けていた高木真備(写真)はうまく梅川の仕掛けに乗る形になると、粘る梅川を直線でとらえた。
 「行けるところがあれば、仕掛けるつもりでいました。(打鐘の)4コーナーで仕掛けた時、ちょうど番手に入れたので追い込みに変えました。梅川さんがSっていうのが想定外だったけど、冷静にできたと思います。(2番手に入ったあとは)脚を溜めて最後の4コーナーまで待とうと思ってた。しっかり脚を溜めることができたので、最後伸びて良かった。(現在、賞金ランク1位だが)年末に(ガールズグランプリで)優勝しないと今年の賞金女王になれないので、今はあんまり気にしてません」
 逃げた梅川風子が、2着に粘り込んだ。
 「(高木に)つかまっちゃいましたね。距離も短かったので、もつかなって思ったんですけど。後ろが誰かわからなかったけど、(高木)真備がうまくスイッチしていたみたいで。(打鐘は石井)貴子さんのスピード次第で突っ張るか出させるかでしたけど、しっかり切りに来た。そのあとはみんなに切り替えてこられると厳しくなると思ったので仕掛けました」
 3着には初手から高木を追走していた大久保花梨が入線した。
 「梅川さんがSなのは想定外でした。前の方にはいたいって思っていたら、いい位置が取れたので落ち着きました。悪い位置なら自分から動くしかなかったですけどね。この緊張感のなかで走れて、いい経験になりましたし、最低限確定板にはのれたので」

<10R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 赤板2コーナー手前で南関トリオが主導権を握るが、清水裕友の巻き返しが早い。清水が合わせる松井宏祐を強引にねじ伏せる。ワンテンポ遅れながらも中四国勢を追った浅井康太(写真)が、その上をまくって鮮やかに抜け出した。
 「あそこは清水君が行くタイミングではないのかなっていうのがあって、遅れましたね。清水君はSSの走りだし、あれで行き切るところもすごい。自分は付いていってのまくりになってしまった。清水君の前に仕掛けられたらっていうのがあります。9車の競輪は楽しいし、見ている人にも楽しんでもらえるような走りをしたい」
 浅井の立ち回りに連結を外すことなく付け切った東口善朋が、きっちり2着に入った。
 「メンバーがすごいから、スピードに負けて残されないようにと思ってました。必死に食らいついていきました。(3日目に)脇本(雄太)のスピードを体感しているんで、気持ち的には少し楽だった。(浅井が)流れのなかで行ってくれてるのもありますし。あれで交わせたらベストですけどね」

<11R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 青板3コーナーで切った鈴木竜士の動きに続いた郡司浩平(写真)は、打鐘前2コーナーから先頭に立つと久米康平を出させずペースアップ。力強く押し切ってシリーズ3勝目を挙げた。
 「前が鈴木君でしたし、出させる感じで踏むだろうなって。やっぱり寺崎(浩平)君のカマシで強いレースを見ているので、そこを警戒しながらでしたね。久米君が見えたけど、あそこで出させても厳しくなると思ったので踏みました。最後はいっぱいでしたけど、ある程度はイメージ通りに組み立てられました」
 和田健太郎が2着で南関ワンツーが決まった。
 「あのレースができるから、やっぱり郡司は強いですよね。流れのなかですべてを任せていましたし、自分は後ろに鈴木君が入ったのがわかった。岐阜(記念)の初日にすくわれて失敗しているので、そこだけ気をつけていた。徐々にですけど、体は良くなっていると思う」

<12R>

中本匠栄選手
中本匠栄選手
 山崎賢人の逃げに乗った山田英明が最終2コーナーから番手まくりに出たが、その外をまくってきた新田祐大を2センターでけん制した際に吉澤純平を落車させてしまい失格に。山田マークの中本匠栄(写真)が繰り上がりでビッグ初優出、初優勝を飾った。
 「率直にヒデさん(山田)が失格したので残念っていうのが一番ですね。今日(決勝)は3番手回りだったので、ヒデさんのサポートをって考えていた。レースが終わってからヒデさんと話して、九州ラインとして一番いいレースの形には持って行けたのかなって」
 最終1コーナーからまくり上げた松浦悠士は、山田に合わされたものの外を粘り強く踏んで2着に入った。
 「いい感じで(脇本雄太に)スイッチできたんですけどね。行ってくれって感じでしたけど後退したのでもう行くしかなかった。当たってはないですけど(中本)匠栄に張られたのがキツかったですね。ヒデ(山田)さんの一発は想定外でしたけど、あきらめずに踏んで良かった。最後に園田(匠)さんにも伸び勝っているので」
 九州ラインの4番手を固めた園田匠が3着に。
 「(山崎)賢人が頑張ってくれましたね。しっかりレースの形を作ってくれた。(最終)2センターでヒデがもっていった時に、自分が先に踏むわけにはいかないと思って待ちました。その分、最後に松浦に伸び負けた。2着なら完璧でしたけどね…。匠栄も怪我で苦しんでいたし、いつも頑張ってくれていたので良かったです」

9月26日~29日まで青森競輪場において青森競輪開設70周年みちのく記念競輪「善知鳥杯争奪戦」(GIII)が開催されます。

今開催の中心は、S班の佐藤慎太郎、新田祐大に大会連覇のかかる地元の新山響平を擁する北日本勢。対抗するのは、S班の松浦悠士、古性優作の自力型。
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