『第37回共同通信社杯(GII)レポート』 2日目編

配信日:9月18日

 岐阜競輪場で開催されている「第37回共同通信社杯(GII)」は、9月18日に2日目が行われた。二次予選のA、B合わせて7個レースで争われた勝ち上がりは、Bでは地元の山口拳矢が1着でクリアし、Aでは北日本のS級S班3人が上位独占をして2日目を締めくくった。シリーズもいよいよ勝負どころ、9月19日の3日目にはファイナルのキップをかけて、準決で熾烈なバトルが展開される。
 岐阜競輪場では岐阜市独自の緊急事態宣言の発出に伴い、今シリーズは無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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門田凌選手
門田凌選手
 後方から上昇した北津留翼に合わせて4番手の阿部大樹が踏むと、先行態勢の近藤隆司はペースを上げてそのまま駆ける。北津留は後方に下げて、もつれた中団から高橋晋也が最終ホームで仕掛ける。櫻井正孝は阿部にからまれて付け切れない。高橋と近藤のスピードを見極めた門田凌(写真)が、南関勢の後ろから高橋にスイッチして追い込んだ。
 「結果的に前々に踏めたんで良かった。感じがどうなのかは、いっぱい、いっぱいでわからないけど。1着なんでなんでもいい。(最終)2コーナーでは(近藤、高橋の)どっちが踏み勝つか冷静に見てから仕掛けようと。2日間とも(感じは)良くわからないけど、練習の感じが良かったんでいいと思うようにします。このメンバーで勝ち上がれているんで文句はないです」
 最終ホームでは8番手になった北津留翼は、前団の隊列が凝縮されたバック手前からまくったが2着まで。
 「切った上を切りたかったんですけど。前のラインが中団、中団だったんで、行っても合わされそうだったんでやめちゃいました。そのあとも中団がゴチャついてたんで、態勢が整うまで待ったのが失敗でした。自分の感触はいつも通りですけど、レース運びがイマイチですね」

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新山響平選手
新山響平選手
 福永大智が赤板過ぎに前団を押さえて先頭に立つが、打鐘2コーナーでこの上を一気に叩いて小原佑太が先行勝負に出る。新山響平(写真)、竹内智彦と北の3人で出切って、4番手は追い上げた山田庸平と福永でモツれる。柴崎淳の2コーナーまくり、追って仕掛けた根田空史は不発に終わり、レースは完全に北勢のペース。小原との車間を大きく切って別線ににらみを利かせていた新山がゴール前でギリギリ小原を交わして余裕の勝利を飾った。
 「自分は何もしていないのに1着を取らせてもらいました。小原君も強かったですし、竹内さんも仕事をしてくれて。申し訳ない感じです。小原君は地元のしかも八戸の後輩で。自力で1着を取るよりも嬉しいですね。付けやすかったですし、粘られないようにいってくれました。本当に気持ちが伝わってきて、最後まで粘っていましたし強かった。自力よりも緊張はしますけどやりがいがありますね。余裕もありましたし、体も休められました」
 新山の好ガードを受けて2着にも小原佑太が粘り込む。
 「昨日(一次予選)は単騎で難しかったですけど今日に向けてベストパフォーマンスができるようにって思って調整できた。根田さんと主導権争いになるかなと思ったんですけど。結果的にワンツーが決まって良かった。大学のときにずっと岐阜で練習していたので。競技人生で一番長い時間やっていた場所なので特別な思いがある。このバンクで成績を残したいと思っていました」

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山口拳矢選手
山口拳矢選手
 打鐘で山崎芳仁を押さえた芦澤辰弘が、そのまま先行策に出る。芦澤辰、大輔の茨城勢に単騎の桑原大志が続いて、山崎は4番手に入る。山口拳矢(写真)は、一本棒の隊列の8番手に置かれて最終ホームを迎える。山口が2コーナーからまくりを打って前団に迫る。桑原が3番手からまくって、芦澤大も合わせて番手発進。まくり合戦になったが、スピードの違いで山口があっさりのみ込んだ。
 「(芦澤辰の先行も)想定はしていたので、焦ることなく落ち着いていけました。(仕掛けた時に)イケる感じはありました。(感じは)日に日に良くなっている。また100パーセントじゃないけど、上がっている感じがあります。(ここに)入る前はそんに意識をしてなかったけど、レース前はすごく緊張してきた。これが地元かって。ここからですね、なかなか決勝の壁は高いんで」
 山口マークの筒井敦史は、最終バックから置いていかれたものの、4車身離れた2着でゴール。
 「(山口に)意地でも付いていこうと思ったけど、やっぱり離れた。これからタイトルを獲ろうかって選手は、あんな感じなんですかね。ずっと加速していた。自分はこれ以上、上がらないところからも加速していた。最近のなかではいいけど、もうちょっと精度の高いセッティングを出していかないと」

<9R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 大石剣士、長尾拳太が次々切った上を叩いて松岡辰泰が打鐘から先行勝負に出る。7番手に置かれた清水裕友(写真)だったが、ホーム手前からまくりいく大石の動きには乗らず5番手に車を上げて待機。大石ラインの動きに切り替えていこうとした竹内雄作の内をすくった清水が仕掛けたのは2コーナーからだった。しぶとく外を踏み上げる大石に、中本匠栄も番手まくりで応戦し、外々を踏まされた清水だったが、まくり切った大石の上を強烈な加速で乗り越えて直線へ。そのまま後続の追撃を許さず清水が押し切った。
 「初手の位置は限られていると思ったので取れた位置からって感じでした。7番手だけにはなりたくなかったんですけど、しっかり7番手になってしまって(苦笑)。でも先に(大石が)仕掛けてくれたので。どっかで仕掛けないとなって思っていましたけどなんとかしのげた感じですね。初日(一次予選)よりも力が入る感じはしましたけどもうちょっとですね。もう少し体がハマる感じが欲しいのでちょっと修正してみます」
 清水に懸命に続いた久米康平が、大石に乗った阿部力也、大外強襲の杉森輝大との踏み合いを制して2着に突っ込む。
 「信頼していたので自分は余計なことを考えず付いていこうと思っていました。車番が悪かったので前か後ろって感じでしたけど清水君が臨機応変に仕掛けてくれるだろうと思っていたので内でも外でも反応できるように準備していました。めちゃめちゃ仕上がっているって感じじゃないですけど。今回から新車に換えていい方向に対応できていると思う」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 3車の関東勢が前受け。赤板過ぎに眞杉匠は、岩本俊介を突っ張り主導権を渡さない。が、今度は寺崎浩平が反撃に出る。最終ホームで寺崎が関東勢叩き切る。稲川翔が続き、近畿勢を追った小松崎大地を吉田拓矢(写真)が阻む。3番手に飛び付いた眞杉も詰めるが、3コーナー過ぎからまくり気味に追い込んだ吉田が突き抜けた。
 「眞杉君もいいペースだったけど、寺崎さんは脚を使ってなかったですからね。そのあとは(3番手に入った)眞杉君も踏めてたんで、僕も判断が難しかった。眞杉君も力で勝ち上がってくれたんで良かった。(番手で)やれることをやったかなと。状態は悪くないと思います」
 力で関東勢をつかまえた寺崎の番手の稲川翔が2着。寺崎が6着に沈んだだけに、心中は複雑だ。
 「メンバーがメンバーだけに寺崎君もしっかりと力勝負しますっていう心意気で臨んでくれた。その通りに運んでくれたけど、最後、僕の方が冷静じゃなかったのかもしれない。(ここに来るときには)心配ないと思ってたけど、高いレベルで走ると自転車なり修正するところがある。力が劣るぶん、そういうところでカバーをしないといけない。レースで余裕をもてるくらいの精神状態で臨めたらと思います」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 赤板から郡司浩平(写真)、野原雅也、森田優弥の順で押さえていくと、引いて8番手となった渡邉一成が打鐘で一気の巻き返し策に出る。ホーム手前で渡邉の主導権と変わり、3番手に野原が切り替えてくる。郡司は山下一輝を制して野原の後位へ。中団が森田-鈴木庸之と野原、郡司で取り合いとなるが、2コーナーで外併走も関係なく郡司がまくり、合わせて野原もまくり発進。郡司は外々を回される形となったものの、こらえて野原をねじ伏せ先頭でゴールした。
 「要所、要所の反応が遅れて、ポイント、ポイントで遅れてしまった感じですね。苦しまぎれにまくった感じですけど。状態は前回からを含めて一番いいんですけどね。本当だったら渡邉さんがカマしていくタイミングでうまくスイッチできていれば、野原君に先に仕掛けられていなかったと思いますし、結果、山下君をさばく感じになりましたけど2コーナーの前にセンターで行けていれば2コーナーで野原君よりも肩一つ前に出られていたと思うので。レースでの感覚だったり流れだったりをつかめるように。ミスを減らして自分のレースをしないとですね」
 3コーナーで森田の後位から踏み出した鈴木庸之が、鈴木裕を阻んで郡司を追って2着に。
 「あんなに切り合いになるとは思わなくて。残り一周から見えていましたし余裕はあったので何かしてあげられるかなって思っていたんですけど。森田君も自分でヨコができるから難しかったですね。ちょっと重たい感じはありますけど感触的にはいいのかなって思います」

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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 打鐘で浅井康太を突っ張るように宿口陽一が踏んだところを、新田祐大が構えることなく仕掛けて出る。最終ホームでS級S班の北日本3車が出切り、単騎の太田竜馬が反撃に出るが、新田の掛かりがいい。太田は4番手に入り、宿口、稲垣裕之、浅井でもつれて、諸橋愛が2センターで落車。北日本3車の勝負は、番手の佐藤慎太郎(写真)が差し切って1着。
 「(新田は)完ぺきですね、本当に100パーセント信頼できます。(先頭に立ってからは)うまくペースに入れてたと思います。新田君は踏み出しが強烈なんで、車輪だけを見てようと。ただ、守澤(太志)はずいぶんと余裕がある感じでしたね。自分は初日よりも今日(2日目)の方が体調的に良かった。軽かったです」
 勝負どころ逃さない隙のない仕掛けを披露した新田祐大は、ラインを上位独占に導いて汗をぬぐう。
 「ああいう展開も想定してたんで、自分の番が来たら(しっかりと仕掛けて)行きたいとは思ってました。(叩きに行った時に別線の選手が)踏み込んでくる場合もあると思ったんで、自分も踏み込んで出切れるとわかったところから落ち着いた。先頭に立ったら(佐藤)慎太郎さん、守澤って強いラインがあるので、踏み続けることを考えた。この3人で決まることは何回かあったけど、うれしいですね」