『第37回共同通信社杯(GII)レポート』 3日目編

配信日:9月19日

 岐阜競輪場で開催されている「第37回共同通信社杯(GII)」は、9月19日に3日目を迎えた。ファイナルをかけた準決では、中部地区ではただひとり勝ち上がっていた地元の山口拳矢が、1着で優出を遂げた。また、郡司浩平が3連勝で決勝に進んだ。シリーズも大詰め、9月20日の最終日にはS級S班の5人をはじめとした輪界のトップ選手によって決勝が争われる。
 岐阜競輪場では岐阜市独自の緊急事態宣言の発出に伴い、今シリーズは無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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野田源一選手
野田源一選手
 坂井洋が赤板の2コーナー過ぎに先頭に立ってペースを握る。7番手でタイミングを計っていた松浦悠士は、打鐘の4コーナーから踏み込む。神山拓弥のブロック、逃げる坂井の抵抗もあったが、なんとか松浦が前団を仕留める。松浦ラインを追いかけていた野田源一(写真)は、最終4コーナーで外に持ち出してシャープに突き抜けた。
 「松浦君が前受けをした時点でその後ろがいいかなと。(松浦ラインの前にいて)先にまくっていくっていう方法もあったんですけど、(4番手を)中井(太祐)君が入れてくれるかわからないところもあった。それだったら松浦君のラインの後ろでと。余裕はあったんですけど、あとは一瞬、芦澤(辰弘)君と並んだところだけですね。そこを抜けきって、思ったよりも伸びました」
 松浦の仕掛けに食らいついた三宅達也は、直線で差し脚を伸ばして2着。
 「(松浦は)格上らくしく早めに果敢に仕掛けてくれた。風が結構出てきてたんで、松浦君もキツかったと思います。あとは神山君を越えるところだけ気をつけて、ゲンさん(野田)が後ろにいるのもわかってた。ラインは違うけど、連日ゲンさんとワンツーですね」

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成田和也選手
成田和也選手
 野原雅也を押さえた大石剣士が主導権を握るが、小松崎大地がすかさず反撃に出る。合わせてペースを上げる大石を小松崎が最終1コーナーでねじ伏せて出切る。内藤秀久にからまれながらも成田和也(写真)が続いて、和田圭は連結を外す。3番手に切り替えて追い込む武藤龍生との踏み合いを制した成田が1着。
 「(小松崎は)最終ホーム手前でずっと外に浮いている感じがあって、どうかなっていうのもあった。だけど、いつもあんな感じで行っちゃうんで信頼していた。(内藤にからまれた)あそこがひとつの勝負だった。内藤君も厳しいのもわかってた。昨日(2日目)は判断の甘さもあったけど、今日は余裕をもって走れた」
 単騎の武藤龍生は南関ライン後位からレースを進めて、最終2コーナーで小松崎、成田の後ろにスイッチ。脚を使いながらも2着に追い込んだ。
 「まずは後ろ攻めからと思ってました。大石君とは連係したこともあるし、内藤さんはすごい選手ですから。(内藤が成田をもっていって)そこの決着をちゃんと見極めてから動こうと。少しは余裕はありました。ただ、内藤さんの横を通過する時は、緊張もしたし脚も使った。1着に届かなかったけど、伸びているのかなと」

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寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 青板3コーナーから動いた宿口陽一が寺崎浩平(写真)を押さえて正攻法の位置に入る。7番手まで下げた寺崎は前の動きをじっくり見極め、誘導が退避した打鐘から反撃を開始。2センターで宿口を叩いた寺崎の主導権に変わる。村田雅一-小川勇介まで出切ってしまうと、別線勢は抵抗できない。中団に入った宿口は仕掛けられず、最終バック8番手からまくった山崎芳仁も思うように進まず直線へ。好ペースで駆けた寺崎は末もしっかり押し切った。
 「今日はもう前受けして。(実質)先行一車だったのでいいタイミングで出ていければって思っていたんですけど。もうワンテンポ早く行けていればラインで決まったと思う。(赤板手前から誘導との車間を空けたのは)中団から山崎さんが切りに来ても対応できると思ったんですけど、切りに来なかったので。(叩きに行くときに)山崎さんのあおりを食らって外を走らされてしまったのでそこは次に生かしたい。昨日(二次予選A)はちょっと重たかったんですけど悪くないと思います」
 村田雅一が2着に流れ込んで近畿ワンツー決着。
 「(寺崎とは)最近連係させてもらうことが多かったんですけど、やっぱり緊張しますね。7車はあるんですけど9車は初めてだったので。同期の小川君もつけてくれて。一カ月空いて初日はフワフワして体のスイッチがイマイチ入らなかったかんじですけど、今日はアップから良かった。2コーナー、バックで宿口さんがまくりにきていても対応できるくらいの余裕はあった」

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山口拳矢選手
山口拳矢選手
 新山響平が先頭に立ちペースを握る。が、赤板2コーナーから嘉永泰斗が巻き返して、佐藤慎太郎は九州ラインの番手の北津留翼をさばく。主導権を奪った嘉永の番手に新山が入り、佐藤が続く。最終ホーム手前から吉田拓矢が仕掛けると、新山が番手から出る。北日本勢に平原康多、山田庸平。後方で脚をためていた山口拳矢(写真)は、4コーナー手前から外を踏み込む。直線で佐藤に接触した山田が落車。平原との伸び比べに勝った山口が1着で、地元ビッグの優出を果たした。
 「(決勝に乗れて)すごくホッとしています。今日(準決)は最後に追い込んだだけなんで、自分で動けなかったのが…。でも、周りは見えてました。(脚の状態は)アップした感じからだんだん良くなっているんで、明日(決勝)にピークにもっていけるかなと。中部は(自分)1人しか残ってない。求められる結果は優勝だけなんで、そこをしっかりと狙っていきたい」
 最終ホーム手前から吉田が仕掛けるも不発。平原康多は落ち着いて北日本勢の後ろの3番手から追い込んで2着。
 「新山君が(番手から)出ていった前のタイミングで(吉田は)行ったと思うけど、見事に合わされてしまった。もうああなったら後ろから来る人がいないと思ったので、あとはタイミングをとって(佐藤)慎太郎さんに気づかれないようにいこうと。怪我明けだった前回からいろいろと試行錯誤して、体と自転車がマッチしてきた。でも、状態としては最低限ですかね」
 打鐘の2センターで嘉永の番手に収まった新山響平は、吉田の反撃に番手発進。3着に粘り込んだものの、ラインの佐藤との優出がかなわずに2度目のビッグ優出も手放しでは喜べない。
 「考えてた作戦の1つだった。慎太郎さんが北津留さんをどかして、僕が(番手に)はまった。そしたら吉田君が来たんで踏んだ。そのままいけると思ったけど、外が伸びてこられてしまった。あの距離を踏み切りたかった。でも、最後はタレてしまった。もうちょっと直せるところは直したい。慎太郎さんにあんなに仕事をしてもらって申し訳ない。僕が弱かったんで、慎太郎さんと決められなかった」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 前受けの北日本勢をまずは鈴木庸之が押さえに行って正攻法の位置に入る。スローペースでお互いにけん制し合うような態勢から、外の太田竜馬-清水裕友の動きを見ながら郡司浩平(写真)が赤板2コーナーで前を切ると、鈴木は引かずに和田健太郎のところで粘る。そこを太田が叩いて打鐘先行。清水が続き、3番手には郡司で、4番手は和田をさばいた鈴木が奪取。一方、後方となった北日本勢もすぐさま巻き返すが、太田がペースを上げると出られず後退。太田-清水-郡司-鈴木-和田-杉森輝大…の態勢で最終3コーナーを通過し、2センターでは内をすくった和田と鈴木で4番手がモツれる。直線に入って、清水が太田を交わして抜け出すが、その外を郡司が強襲。
 「和田さんが1番車ですし組み立てやすい形になりました。北日本が前だったのでその後ろからになりました。ちょっとペースが緩んだので切ってから考えようと思って。あの位置だったら太田君も駆けるだろうと。清水君も余裕がありそうだったのでうまくタイミングが取れなくて見てしまいましたね。本当はバックで行ければ良かったんですけどそこは反省ですね。でも清水君よりも早めに踏み込めたのでギリギリでしたけど届いたのかなって。脚の感じはいいんですけど、レースの感触だったり気持ちの面で弱気な部分がぬぐえていないですね」
 番手絶好の清水裕友は太田を残し気味に踏んだ分、郡司の逆転を許してしまった。
 「北日本が引いてくれたのでいいところで太田君が行ってくれましたね。先行っていうより総力戦って感じで。8番手だけにはならないようにと。シリーズ通してもまくりが決まりづらい印象だったので。あとは太田君の感性に任せていました。小原(祐太)君も巻き返してきていましたけど、だいぶ後ろで止まっていたので。まあ、あれだけ太田君が駆けていたら厳しいだろうと。逆なら同じだったかもですけどね。(郡司が真後ろにいて)やっぱりプレッシャーはありましたし難しかった。太田君もまだまだ踏めていたので。何もせず番手まくりも違うし、躊躇すればのみ込まれてしまうので。道中は今日が一番良かったですけど、1着を取れていないので。このままじゃ厳しいですよね。色々と体を含めて自転車とかを一か八かで思い切って変えてみようと思います」
 前のモツれを尻目に、直線入り口から車を外に持ち出した杉森輝大が郡司、清水に迫る3着まで伸びる。
 「(鈴木と)前々に攻める形でって感じでした。(打鐘の所で鈴木が)引いてくると思っていたので僕のミスで離れてしまって。でもそのあとは冷静に脚をためて勝負しようと。なんとか届いて良かったです。連日、前のおかげで勝ち上がれたので。デビューしてから時間が経ってしまいましたけど、やっと(ビッグの決勝に)乗れましたね。力を出し切れるように頑張ります」

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新田祐大選手
新田祐大選手
 稲川翔が切ったところを、眞杉匠が打鐘過ぎに出て先行態勢を取る。後方の新田祐大(写真)は、2センターから踏み込んで前団に襲い掛かる。スピードの違う新田が、最終1コーナーで一気に先頭に出る。守澤太志、鈴木裕とラインの3車が出切り、4番手の眞杉は車間が空く。眞杉も詰めるが、新田のスピードが衰えない。ゴール前で詰め寄った守澤を振り切った新田が1着。
 「タイミングが来たところで(踏んで)行こうと思ってた。それがあそこでした。(シリーズを通して)積極的に動けているかなっていうのはあります。力を出したいタイミングで出せているので、感覚もいいです」
 番手から新田を追い詰めた守澤太志だったが、8分の1輪差の2着。
 「(新田が)本当にいいところで仕掛けてくれました。新田君が強くて抜きにいったんですけど、踏み返しが強くて抜けなかった。3車のラインでしっかりと新田君が駆けてくれたおかげです。自分の感触はいいんですけど、前を抜けてないので、修正する必要がありますね」
 新田ライン3番手の鈴木裕は、12年の共同通信社杯以来、久々のビッグ決勝のキップをつかんだ。
 「(新田の踏み出しに)スタンディングできる余裕がなくて、ずっとシッティングだった。そのぶん、遅れてしまったかなと。手応えはずっといいんで変わらずですね。(久しぶりのビッグの決勝は)うれしいのひと言です」