『第20回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月8日


 大波乱の準決勝から一夜明け、第20回共同通信社杯競輪は最終決戦の決勝を迎えた。注目の決勝は武田豊樹の三番手から村上博幸がまくって優勝。ビッグタイトルの栄冠と、賞金2,200万円(副賞を含む)を手にした。



決勝戦 レース経過
 スタートで新田康仁が踏み上げて誘導員後位へ。その後に山崎芳仁―佐藤慎太郎―有坂直樹―榊枝輝文の北日本勢が続くが、新田は車を外して下がり、北日本後位に付け直す。後攻めは武田豊樹―室井竜二の即席ラインに村上博幸―北川紋部の近畿勢が付けて周回が進む。
  青板を過ぎると早くも武田が上昇して山崎を抑え込む。山崎も抵抗して小競り合いとなるが、赤板過ぎに武田が誘導を交わし、一旦ペースを落とす。新田は切り替えて五番手キープ。打鐘前からペースを上げた武田が先行態勢に入ると、山崎はかなり車間が空きながらも反撃のタイミングを計る。最終二角から新田が仕掛けると、これに合わせて村上も先まくりを敢行。村上が一気に前団を飲み込んで北川が続く。四角を回ってからも村上のスピードは落ちずに押し切って嬉しい地元G2制覇。北川が食い下がって2着。新田が北川に付け直すも伸び一息で、大外をまくり上げた山崎が有坂の強襲を堪えて3着入線となった。
ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ


<5R>
佐々木龍也選手
佐々木龍也選手
   5レースは後ろ攻めの五十嵐力が押さえてハナに立つと、その上を青森伸也が叩いて主導権を握った。中団に入った五十嵐が仕掛けると、番手の坂本勉が外を大きくけん制。空いた内を佐々木龍也(写真)が抜け出して1着。
  「ジャンで先頭に立ったけど、青森君が早めにきから五十嵐君は引いたね。坂本さんは自力型でしょう。五十嵐君は出られないじゃないかと思ったから、悪いけど内に切り替えさせてもらった。後ろの松永(晃典)君を連れていけなくて申し訳なかった。でも、1着が取れたし次に繋がるレースができました」


<6R>
手島慶介選手
手島慶介選手
中井達郎選手
中井達郎選手
   金山栄治の先行一車となった6レースは、予想通り金山の番手がもつれた。手島慶介が大井を退かして金山後位を奪うと、すかさず今度は中井達郎がイン粘りに出て最終的に番手をキープ。中井が早めに抜け出して押し切りを狙ったが、後位に付け直した手島慶介(写真)が鋭く伸びた。
  「作戦は考えていなかったし、その場その場で動いた。絶対に中井さんはイン粘りをしてくるだろうと思っていたらやっぱり来たんで一車引きました」
  中井達郎(写真)は惜しくも2着に終わる。
  「今日は番手中心の作戦でした。前受けしてイン粘りして、向こうが強引に競ってくれば引いてカマシ、まくりにしたけど、手島君は引いたんですんなり番手に入った。最後は末脚がなかったですね」


<7R>
浜口高彰選手
浜口高彰選手
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
   7レースは志智俊夫が伏見俊昭を強引に突っ張って先行し、番手の浜口高彰(写真)がシリーズの最終日で1着を挙げた。
  「あれだけ志智君が行ってくれたから彼のおかげ。伏見君も全開で踏んでいたのに、あれを突っ張り切った志智君は強いよ。付いていて余裕があったけど前がタレてきて詰まったんで、またもう一回自分で踏み上げるのに時間がかかってしまった」
  展開が向いた中川誠一郎(写真)は直線で外を強襲するも2着止まり。
  「展開は良かったけど、会田(正一)さんの切り替えが痛かったですね。前が掛かっていたし大事に攻めようと前を見てしまった。もっと早く仕掛けるべきでした」


<8R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   8レースは吉田敏洋の四番手を確保した荒井崇博が、力の違いを見せ付けてひとまくり。
  「初手で5番手になったけど、どの位置でも対応しようと思っていた。ジャンで(前の吉田を)一回押さえたときに海老根さんが後ろに付いてきていると思ったら、また吉田君がきたからビックリした。四番手に入ったけど、警戒していた長塚(智広)さんが番手に入っていたし出てしまえと仕掛けました。最後、長塚さんが振ってきたから苦しかったね」
  2着は八番手から強襲した海老根恵太(写真)が入った。
  「荒井君のラインに付いて行きたかったんだけどね。ジャンで誘導が上がっていたから踏み込んでいたら、長塚君が下がってきた。慌ててバックを踏んだら内に差してしまい八番手になってしまった」


<9R>

佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
   9レースは番手の競りを気遣い飯野祐太が流した所を、佐々木則幸(写真)がホームから一気にまくって快勝した。
  「競りで隊列が短かくなっていたし、前が早めに踏んでいればどっしりとまくりに構えたけど、緩めていたから早めに仕掛けました。出切るまでにちょっと時間が掛かってしまったから苦しかったね」
  吉岡篤志は佐々木に付け切れず。
  「渡辺(晴智)さんを押し込みながら踏んでいったし、飯野君にもからまれてしまった」
  渡辺晴智と加藤圭一がそれぞれ2、3着に入る。
  加藤は「自分が前だと競りに巧く対処できどうか分からないけど、前は晴智さんだから安心して付いていました。別線の室井(健一)さんにからまれたけど、そこは落ち着いて対処できました」。


<10R>
成田和也選手
成田和也選手
諸橋愛選手
諸橋愛選手
   10レースは佐藤友和がホームからカマして押し切り勝ち。
  「後ろが競りで成田(和也)さんが内だったから、外を踏んでコースを作りながら上昇しました。成田さんが番手に付いて車輪を外に差しているのが見えたから一気に仕掛けました。すんなりいきましたね」
  番手を守った成田和也(写真)だが、直線で諸橋愛に中を割られてしまった。
  「最後は踏み直されたんですかね。思ったよりも車が伸びなかった。しっかりと内を閉めたつもりだったけどダメでしたね。三宅(伸)さんも飛び付き狙いだったけど、佐藤君は踏み出しが良いから出切ってくれた。3着だけど彼が頑張ってくれたおかげです」
  中割りを決めた諸橋愛(写真)は「一旦は番手に行ったけど、飯嶋(則之)君に当てられて落車しそうになった。関東で無理して競るよりは引いて脚を溜めた方が得策だし下げました。成田君はすんなりで脚が余っているだろうから、外を踏むと思って中割りを狙っていました」


<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   最終11レース、注目の決勝戦は、武田豊樹の三番手に位置した村上博幸が、バックから先まくりを放ち地元でビッグタイトルを手にした。武田豊樹は早めの上昇からジャン先行し、緩めることなく全開で逃げた。
  「今日は俺と山崎(芳仁)の勝負だったし、山崎しか見ていなかった。突っ張られるし早めでも行かないとね。三番手と言えども地元が付いているからには見せ場を作るレースをしないと男らしくないから。雨が降れば多少自分に有利になったかもしれないけど、それは仕方のないこと。でも、三番手からまくられるのはキツいね」
  山崎芳仁(写真)は大きく立ち遅れてしまい、懸命に踏んで車間を詰めるも3着が精一杯。
  「(武田に)行かれちゃった~って感じで終わりました。予定ではホームで誘導を斬ってしまおうと思っていたけど、先に武田さんに斬られてしまった。ペースをスローに落として、自分が引いたのを見たらすかさずダッシュした。踏んだとしてももう少し流すと思っていたけど、先に踏まれて全開で行かれてしまったね」
  中団の新田康仁は、バックからスパートするも、村上の先まくりに遭い万事休す。
  「中団は予定通りの位置だった。山崎が離れていたのが見えたから、追い付く勢いで踏んでくるかなと色々と考えた結果、行かれる前に出ようと決めた。村上も躊躇せずにすかさず出たんで、結果的には待って脚を溜めてから、直線勝負した方が良かったかな。悔しいけど、攻めるレースをして負けたんだから仕方ない」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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