『第21回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 初日編
 
配信日:10月10日


  第21回共同通信社杯「中野カップレース」が久留米競輪場で開幕した。今日は優秀競走をメインに一次予選、特選レースで争われた。終盤11レースには落車のアクシデントもあったが、幸い有坂直樹選手の怪我は軽傷。明日も出走の予定となっております。
 なお本場では開催を盛り上げるべくたくさんのイベント、ファンサービスが用意されております。まずは開催を通して毎日、プレゼントが当たるラッキーカードが先着で1008名様に配布され、「ミスター競輪」こと中野浩一氏によるミニトークショーが第4レース終了後に行われます。また、明日(11日)はウルトラ3ヒーローショー(ウルトラマンメビウス、ウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ(1)11:00~(2)14:00~)と、久保千代志氏を招いて専門解説者場内予想会(第6、8レース終了後)が行われます。



<1R>
齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
   1レースは渡邉一成が中団からまくり、齋藤登志信(写真)が追い込んでオープニングを飾った。
  「今日は一成のおかげ。アイツの力なら行ってしまうと思った。もっと早めに行かれたら苦しかったけど、バックの直線で行ってくれたから付いていけた」
  交わされた渡邉一成は末脚に不満を残した。
  「余裕がなかったし、脚がなかったね。練習不足。体力的にまだ回復してないので、自分で良い展開に持ち込むしかなかった。自分のラインは3車で有利だし、先行しないで別線がくるのを待ってああいう展開(中団三番手)に持ち込むしかなかった」


<2R>
萩原孝之選手
萩原孝之選手
    2レースは五十嵐力が押さえて流した所を澤田義和が最終ホームでカマす意外な展開に。最後は、この後位に切り替えた萩原孝之(写真)がまくって波乱となった。
  「あそこでバックを踏んで五十嵐(力)君を入れるのは厳しかったし、バックを踏み切れなかったから悪いけど切り替えさせてもらいました。切り替えてから3コーナーで前と詰まったんで自分で出ました。今回は新田(康仁)さん、(渡邉)晴智さん達と合宿をしてきたので、その成果が出たのかな」


<3R>
菅原晃選手
菅原晃選手
    3レースは、人気を集めた中部勢が後方に置かれて不発に終わった。金子貴志は「藤田竜矢のペースが良かったですね。行けそうで行けないスピードだった。7番手からでもチャンスはあったと思うけど、カマシを警戒されて前半にペースを上げられてしまったのが痛かった」と敗因を分析する。
  金子とタッグを組んだ加藤慎平も表情は冴えない。
「前を取らされた時点で作戦は難しくなりましたね。藤田は先頭に立つとバンク中段まで上がる癖があるから、菅原が中団でインを締めたところで、一気に叩く手に賭けたんです。僕も余裕がなかったし、4コーナー突っ込むコースを探せなかった」
  一方、笑顔が絶えないのは1着の菅原晃(写真)
  「最高の展開になりましたね。一瞬、緩んだのでタイミングを逃さず仕掛けました。今日はギヤもいい感じだった。4回転も悪くはないんですけどね。大塚さんを振り切っての1着だからなおさら嬉しいですよ」
  大塚健一郎は首をひねる。クールダウンから引き上げると、「どうもタイミングが合ってないですね。それこそ、菅原の後ろには練習でも毎日のように付いているのに。交わしに行った瞬間、強烈に踏み直されました」


<4R>
濱口高彰選手
濱口高彰選手
   4レースは永井清史が池崎太郎を全く寄せ付けず、余裕で主導権を握る。最後は番手の濱口高彰に交わされたが、レース内容には大満足。
「今日みたいな展開に備えた練習ばかりしてましたからね。オールスターの準決勝があまりにも悔しかったので、ここに向けてしっかり備えました。体も、体脂肪率が上がって競輪向きになってきました。フレームにも慣れてきたので、もっと戦えると思います」
 勝った濱口高彰(写真)は「永井が強かったですね。今日は(池崎を)出させない方が確実だと思って、ああいう作戦になりました。見た目ほど、僕は余裕はなかったですよ」


<5R>
 5レースは突っ張った志村太賀の番手に松岡貴久がはまる展開となった。離れた小橋正義が追い上げると、これを目標にして丸山啓一がカマして出た。直線に入り、番手の松坂英司が追い込んで1着となった。
  「今日は丸山君が頑張ってくれたおかげ。欠場明けで走る前は不安しかなかったけど、1着がとれて本当に嬉しいですよ」
  志村太賀は展開を悔やんだ。
  「すぐに向こう(松岡)は踏み止めると思ったら、結構踏んできた。丸山さんを出させるべきではなかったけど、小橋さんが追い上げてきた後ろだったから見えなかった。緩めると(松岡に)番手まくりを喰らうからずっと踏みっ放し。だからバックで脚は一杯でした」


<6R>
村上博幸選手
村上博幸選手
   6レースは桐山敬太郎が浅井康太を叩いて先行。中近ラインは内に詰まり苦しい展開となったが、村上博幸(写真)がバックから自力まくりを敢行して1着となった。
  「叩かれてしまったけど、浅井君がオールスターでしぶとく踏んでいたのを見ていたから、今日も前に踏んでくれると思って離れず付いていきました。外をこじ開けて浅井君の位置を確認してから踏んだから、仕掛けがちょっと遅れたけど、最近は感じよく踏めているので何とかまくれました」
  浅井康太がしぶとく内を踏んで2着となり、現地集合で中近ワン・ツーが決まった。
  「桐山さんを出させる予定ではなかったけど、今日は全然踏めなくてワンテンポ遅れて行かれてしまった。残り一周しかなかったし、引く訳にはいかなかったからあのコースを踏みました」


<7R>
 7レースは展開がもつれたところで伊藤正樹のまくりが炸裂。直線で岩本和也が追い込んだ。
  「もつれたから、バックで伊藤さんが行ってくれると思った瞬間、凄いスピードでまくってくれた。自分は点数がないし、少しでも上の着を取らないといけなかったから1着は嬉しいですよ。あのスピードを抜けたんだから自分の調子は良いと思う」


<8R>
武井大介選手
武井大介選手
   8レースは石橋慎太郎が八番手からカマシ先行。番手の武井大介を振り切って堂々の逃げ切り勝ち。
  「八番手になってしまったから必死でした。前が流していたから助かりましたね。今日はバンクが重たかったし、2コーナーを立ち上がったら風が凄かったからダメかと思った。でも、重たいのは自分だけではないみたいだし、差されてないので調子は悪くないと。つつじ賞に上がれて精神的に気が楽になりました」
  武井大介(写真)は石橋の強さに脱帽する。
  「石橋君が2センターで行かなかったから、まくりかなと思った瞬間踏み込んだ。気付いたら出切ってましたよ。強かったですね。坂本(健太郎)君がまくってきたのは見えたけど止まるだろうと思った。最後に山田(敦也)君に内から良い勢いで当たられたのは苦しかった。でも、頭で押し込んで何とか凌げました」


<9R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
   9レースは中村一将が先行する。武田豊樹が巻き返していくと、番手の市田佳寿浩が大きくこれをけん制。隊列がゴチャ付いたところを石丸寛之(写真)が電光石火のまくりを決めて快勝した。
  「今日は初手で中団がよかったけど、皆が出たから後ろでもいいやと思って気楽に攻めました。単騎だし展開を考えても仕方ないし。前のペースが緩んでいて、武田さんも前に踏んでくれたので自分に最高の展開になりましたね」
  武田豊樹は敗れたものの「中村君が結構踏んでいたんでね。もう少し慎重に展開を考えてから仕掛けてもよかったかな。でも、今日は良い一発をもらいました。明日からまた出直します」とサバサバ。


<10R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   10レースもまくりで決着が付いた。中団を稲垣裕之、海老根恵太で取り合ったため、逃げた吉田敏洋のラインが有利と思われた。しかし、海老根恵太(写真)が稲垣を退かすとバックから渾身のまくりを決め、明日のシードレース「つつじ賞」進出を決めた。
  「稲垣君が前に行きかけたけどまた下がってきた。ずっと併走だったから脚を使ったし、閉められながら強引に出たから、タイミングが取れず苦しかったですね」
  吉田に乗った山田裕仁が2着に入るも、「ビジョンを観ていて来たのが分かったんで後ろを見たけど、すでに海老根が来ていた。中団を取り合っていたからまくりは来ないと思っていた。油断していました」と悔やんだ。


<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   11レースは有坂直樹のアシストで山崎芳仁が中団を確保。落ち着いてバックから踏み込むと、逃げる平原康多をまくり切った。
  「一旦行きかけたけど、有坂さんのおかげで巧く立て直せました。今日は展開に恵まれましたね。最後は神山さんに当てられたけど、自分も踏み込んでいたから何とか凌げました。」
  神山雄一郎(写真)は意地で2着に入った。
  「平原がジャンの2センターで(山崎を)合わせ切ったから決まったと思ったけど、(山崎が)中団に巧く入って生き返ってしまったね。最後はまくり追い込みで来たし止められなかった」


<12R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   12レースは佐藤友和が主導権を握り、新田康仁のまくりを伏見俊昭が好ブロック。大勢は決したかと思われたが、その後方から小嶋敬二(写真)が怒涛のまくりで北日本勢を蹴散らした。
  「今日は外枠だから後ろ攻めになると思ったから、早めに動く作戦だった。一旦、自分から動いて良い展開にはまることができたね。最後は届くかどうか分からなかったけど、車が良く出たので最後まで諦めずに踏み切りました」
  まくられたものの佐藤友和が2着に粘り、好調をアピールした。
  「バンクが重たくて掛かる感じではなかったし、(荒井崇博が)粘ると想定していなくて流しながら踏んでいたから掛かりは今ひとつだった。でも、最後まで踏み切れていた。皆重たいと言っているし問題はないですね」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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