『第21回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 2日目編
 
配信日:10月11日


 第21回共同通信社杯「中野カップレース」は二日目を迎え、今日は「つつじ賞」をメインに二次予選A、Bが争われた。
 本場では開催中たくさんのイベント、ファンサービスが用意されております。開催を通して毎日、プレゼントが当たるラッキーカードが先着で1008名様に配布され、「ミスター競輪」こと中野浩一氏によるミニトークショーが第4レース終了後に行われます。また、明日12日は仮面ライダーキバショー((1)11:00~ (2)14:00~)と、緒方浩一氏を招いて専門解説者場内予想会(第6、8レース終了後)が行われます。こちらもどうぞお楽しみに。



久留米つつじ賞 レース経過
 号砲で神山雄一郎がゆっくり出て、目標の小嶋敬二を迎え入れる。隊列は小嶋―神山―石丸寛之―豊田知之―山崎芳仁―佐藤友和―伏見俊昭―石橋慎太郎―海老根恵太の順で落ち着き、淡々と周回を重ねる。
 赤板から石橋がゆっくり上昇を始め、山崎もこのラインを追っていく。打鐘手前で前受けの小嶋が車を下げ、石橋が誘導員の後位に収まるも、山崎がその上を叩いて先行態勢に入る。山崎はペースを緩めると、石丸が最終ホーム手前から一気にカマして主導権奪取。山崎がすんなり三番手に入り、小嶋は六番手、石橋は八番手に置かれる。山崎は車間を詰める勢いでバックからまくり、3コーナーで逃げる石丸を捕らえて先頭に。佐藤、伏見もしっかり続き、直線は北日本3人で上位独占の態勢。番手絶好となった佐藤が楽に差し切って快勝した。伏見が2着に流れ込み、山崎は3着。
ゴール
ゴール
佐藤友和選手
佐藤友和選手

 




<1R>
 1レースは逃げた藤田竜矢の三番手から成田和也が抜け出して1着となる。
 「藤田君が後ろから押さえ先行するだろうから、その三番手を選択しました。もし後手を踏むようだったら切り替えて自分で何かしようと思っていたけど、予想通りの展開になりましたね。関戸(努)さんが付いているから2コーナーから出るつもりだったけど、『ガシャン』と音がして関戸さんがいなくなったから、3コーナーから遅めに踏みました」
 初日は9着で大敗の藤田竜矢だったが、今日は3着に踏み止まった。
 「ジャンで押さえて別線を受けて中団を狙っていたけど、誰も来なかったから先行しました。昨日よりは楽に駆けられましたね」


<2R>
 2レースは金子貴志がまくって快勝。実力の違いを見せ付けた。
 「最終ホームの向かい風がキツかったですね。位置は決して良くはなかったけど、前が先に仕掛けてくれたんで自分に展開が向きました。負け戦だけど勝てて良かった」
 先まくりした桐山敬太郎だったが、佐藤真一のブロックに敗れた。
 「佐藤さんのブロックを警戒していなかった。自転車のセッティングを全て変えて、ギアも3.71にしたら感じが良かったのに…」


<5R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   5レースは田中誠の先行に乗り、加倉正義(写真)が追い込んで1着。地元ファンの前で1勝を挙げた。
 「田中君がもうちょっと掛かるかなと思ったけどね。イメージ通りの走りではなかったから、(岡田征陽を)ブロックするのが難しかった」
 2着は三ツ石康洋。まくった岡田ラインに乗る形で六番手から鋭く迫った。
 「別線に行かれて後方になってしまうから、本当は前を取るつもりはなかったんだけどね。実際位置が良くなかったけど、前(岡田)が先にまくってくれたから助かった」
 岡田征陽は加倉の強烈なブロックを喰らったが、必死に堪えて3着に入った。
 「うまく中団を取れたから、かえって色々と考え過ぎてしまった。もう少し早めに仕掛ければよかったけどモタモタしてしまって。そうしているうちに田中君にバックで踏み直されてしまいました。後ろにも迷惑かけたし、一気に出切らないとダメですよね」


<6R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   6レースは坂本健太郎が渡邉一成の番手を攻め、もつれたところを吉田敏洋が一気にカマして先行。後続の反撃を封じて愛知ワン・ツーを決め、準決勝進出を決めた。1着の伊藤正樹は「吉田君が思い切って行ってくれたおかげ」と感謝する。
 「まくり狙いかと思ったけど、すかさず行ってくれた。後ろからいつまくってくるのか心配だったし、きたらマズいなと思っていたけど、掛かりが良かったから全くこなかったね。人の後ろは久しぶりだったから緊張しました。体調はそんなに良くないけど、今回は連日展開が向いてますね」
 逃げた吉田敏洋(写真)は「伊藤さんが大きく車間を開けていたから逃げ切ってしまうかと。昨日よりも今日の方が脚は軽かった。坂本君がもつれさせて、渡邉君に脚を使わせたから(自分が)出やすくなりましたね」。


<7R>
坂上樹大選手
坂上樹大選手
   7レースは浅井康太に乗り、坂上樹大(写真)が追い込んで1着。
 「浅井が強かったし、全てアイツのおかげ。稲垣(裕之)も気を遣ってくれたのか、自分の所に粘らなかったし。今日は少し重たかったから、前と離れてしまい後ろの舘(泰守)さんに迷惑をかけてしまいました」
 舘泰守は稲垣にからまれたが、これを堪えて意地の2着。
 「車番(6番)を見て(稲垣は)俺の所にきたな(笑)。キツかったけどそこは負けられないから必死でしたよ」
 懸命に逃げた浅井康太だったが、健闘むなしく3着で準決勝進出を逃した。
 「今日は脚が軽かったんですけどね。粘れませんでした。レースの内容は良かったし、あれで残れないんだからまだ怪我の影響があるんだと思う」


<8R>
太田真一選手
太田真一選手
   昨日、圧巻の先行でレースの主導権を握った永井清史と、地元で気合十分の紫原政文に人気は集中したが、直線中バンクを一気に駆け抜けた太田真一(写真)が快勝。バースデーウインに相好を崩した。
 「誕生日だっていうのはあまり意識してなかったんですけどね。(明日からの)補充で来た加倉高廣さんに言われて気が付きました。同じ誕生日なんですよ。オールスターの前にもう少し上積みを目指して新しいセッティングや練習方法を試したんですけど、それが裏目に出てしまって8月ぐらいは最悪でした。よくここまで立て直せたなという感じ。今日は新田君が頑張ってくれたおかげだけど、僕自身の感じも良いですよ。年末には地元で全日本選抜があるし、ここで結果を出して勢いに乗りたいね」
 2着の紫原政文は薄氷を踏む思いでの準決勝進出。引き上げてきてからは、喜びというよりむしろ安堵の表情でレースをふり返った。
 「永井君の気持ちが嬉しかったですね。2車でもあれだけ行ってくれるんだから。ただ、真後ろに新田君ラインが入ったのは意外でした。4コーナーで振ったけど、太田君のスピードが良すぎて焦ってしまった。抜かれるんじゃないかと思って必死でしたよ。明日は準決勝ですけど、こればかりはレースの流れが一番重要だと思うので、僕に展開が向いてくれるよう祈るだけです」
 逃げた永井清史は「何が何でも先行でした。新田にはオールスターでやられているので、リベンジしたいと思ってました。今日はバンクが重かったですね。近畿勢のカマシをしのぐのに脚を使いすぎました」。


<9R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   9レースは前団がもつれるところを一気にまくり去った岡部芳幸(写真)。昨日はラインの三番手回りで苦汁を飲んだが、その鬱憤を晴らす完璧な勝利だ。
 「有坂さんの立ててくれた作戦通りになりましたね。武井君が粘るのは想定内だったし、引いたときのことも考えていました。理想を言えば、コーナー一つ分ぐらい早く仕掛けるべきだったかな。勝って言うのもなんですが、悪くはないんですけど、会心のまくりという感触もないんですよね」
 イメージ通りの競走で2着に食い込んだ武井大介は終始笑顔だ。
 「昨日、メンバーを見た時点で8割方イン粘りを決めていました。荒井さんは機動型なのでそれほど強くヨコに当たっても来なかったですし、割と早めに自分の位置は確保できましたね。2コーナーで後ろを確認したときはまだ動く気配がなかったので、もう一呼吸入れてから仕掛けようと思ったんですが、その間に岡部さんに来られてしまったのは誤算でした。とにかく結果が出てホッとしています。昨日は石橋を抜き損ねているし、これで失敗してたら千葉に帰れないですよ(笑)」


<10R>
兵藤一也選手
兵藤一也選手
新田康仁選手
新田康仁選手
   目標不在の兵藤一也(写真)が優勝した青森記念を彷彿させる直線強襲。結果は新田康仁との1着同着だが、仕上がりの良さをアピールした。
 「(目標不在だが)ゴチャつけばチャンスは絶対にあると思ってましたよ。思った通り新田さんの動きで前がもつれたし、外を踏んで伸びているんで大丈夫でしょう。ただ、バンクが重いのは気になるね。もともと重い走路は好きなんだけど、踏み応えがあるっていうのともちょっと違う感じかな」
 同じく1着の新田康仁(写真)は対照的に、「絶対、抜かれたと思いましたよ。今日はかなり先行主体に考えていたのでギヤを下げたんです。もちろん最終ホームで踏んだときもカマすつもりでした。たまたま(番手が)空いてたから降りただけ。狙ってやったレースじゃありません。状態は問題ないですね」。
 渡部哲男はガックリと肩を落とし、「新田さんに入られちゃ仕方ないですね。車を振ったりして何とかゴマかそうとしたけど無理でした。感じは悪くないので頑張るしかない」。


<11R>
平原康多選手
平原康多選手
   11レースは金山栄治がジャンから先行。平原康多が迫ると山田裕仁が番手まくりを敢行して1着を手にした。
 「昨日の失敗もあるし今日は何としても決めないとと思っていた。予定では濱口(高彰)さんが俺の外を踏むことになっていたんだけどね。直線で俺が振れば平原は濱口さんの大外を遠回りする展開になるでしょう。でも、平原の車輪が差し込んできたのが見えたから、慌てて内を締めながら踏んだからキツかったよ」
 濱口高彰は2センターで平原に割り込まれて3着。
 「油断した訳ではないけど、下がってきた金山に激突しそうになって。それで車間が空いてしまい、平原に入られてしまいました」
 二段駆けの中近勢に平原康多(写真)も必死に抵抗。意地で2着に迫った。
 「ジャンで突っ張るつもりで前に踏んでいたから、五番手に入った時点で脚にきていた。踏み出したときに(齋藤)登志信さんと接触してスピードが殺されたけど、何とか乗り越えられたから状態は良いと思う。死に役がいる二段駆けをまくるのはキツいですよ」


<12R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   12レースは全員が準決勝に進む「つつじ賞」。主導権を取ったのは意外にも石丸寛之だった。石橋慎太郎、山崎芳仁の順で前を押さえると、更にホームから石丸が一か八かのカマシ先行。しかし、冷静に三番手を取った山崎がバックからまくりを決め、佐藤友和(写真)が抜け出して北で上位を独占した。
 「今日は前を信頼して、抜くこと以外は何も考えずに付いていました。山崎さんは冷静だったし、逆に俺が後ろを気にしていたくらい。自分も先行屋だし、山崎さんを2着に残したかったけど、脚のある人が後ろだと難しいですね」
 佐藤を追走した伏見俊昭(写真)が流れ込んで2着。
 「あのカマシだったら普通は前と車間が空いてしまうのに、山崎はピッタリ付いて中団を取ったでしょう。山崎は調子が良いんだと思いますよ。さすがに友和は抜けないし、2着で上出来。あれを抜いたら(北京で)金メダルを取ってますよ」
 2人から好評価を受けた山崎芳仁は「(石橋)慎太郎が引いたら行こうと思っていたし、そうなったから叩いたけど、出切って後ろを見たら石丸さんがすでに来ていた。良いスピードだったし、これはダメだと思ってまくりに切り替えました。オールスターが終わってから休養を入れた分、体が楽だし反応が良いですね」と、自分自身も好感触を得ている。
 石丸寛之は力を出し切り満足げ。
 「今日は周回中から重たかったから掛かりは今ひとつ。でも、踏んだ感じは良かったですよ。調子が悪かったらあそこで動いてないと思うし。FI戦だったら逃げ切れたかもしれないけど、GIIとなるとさすがに厳しいですね」
   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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