『第21回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 3日目編
 
配信日:10月12日


 第21回共同通信社杯「中野カップレース」は後半戦に入り3日目の準決勝を迎えた。日を追うにつれレースは熾烈さを増し、準決勝を迎える頃には選手のボルテージは最高潮に達した。本日も全レースが無事に終了。激戦を勝ち抜き、決勝9戦士が出そろった。
  本場では開催中たくさんのイベント、ファンサービスが用意されております。まずはプレゼントが当たるラッキーカードが先着で1008名様に配布され、「ミスター競輪」こと中野浩一氏によるミニトークショーが第4レース終了後に行われます。また、明日13日は「狩野英孝」&「ナイツ」お笑いステージ(①11:00~ ②14:00~ )と、木庭賢也氏を招いて専門解説者場内予想会(第6、8レース終了後)が行われます。こちらもどうぞお楽しみに。



<2R>
立花成泰選手
立花成泰選手
   2レースは後方で脚を溜めた立花成泰(写真)が、3コーナーから仕掛けると勢い良く突き抜けた。
  「今日は池崎(太郎)さんのラインに付いていこうと思っていたけど、叩けなかったから後方になってしまった。前の中村(浩士)さんなりが仕掛けてくれるかなと思ったけど、皆大事にいっていた(7~9着は帰郷)から誰も仕掛けないし内も空かなかった。仕方ないから外を踏んだけど、皆が内を狙っていたからかえって外を踏んだ方が正解だった。初日、二日目よりも今日の方が脚は軽かったですね」


<3R>
 3レースは三日目から補充の山口貴嗣が1着。レースは田中誠が菊地圭尚の番手でイン粘り。その後位で脚を溜めると鋭く突き抜けた。
  「補充が入るとは思っていなくて、昨日まで山で乗り込んでいたから不安があったけど、疲れはなかったし、1着が取れてよかった。併走したときに関戸(努)さんに割り込まれたのは誤算だったけどね」


<4R>
成田和也選手
成田和也選手
   4レースは成田和也(写真)が1着となり、昨日に続いて2連勝。佐藤悦夫と連係が崩れたが、車を外に持ち出すと3コーナーから自力まくりを決めた。
  「佐藤君が前々に踏んでくれたから自分にもチャンスがきた。前にいた9番(藤原憲征)が目標になったけど、岡田君に追い付いたら止まったんで、自分で外に持ち出して踏みました。昨日よりも今日の方が踏んだ感じは良かったですね」


<6R>
廣川貞治選手
廣川貞治選手
   6レースは藤田竜矢がマイペース先行に持ち込んでレースの流れは埼京ラインのものに。最終バックから次々に襲いかかる強敵達を阻んだ廣川貞治(写真)がゴール前もしっかり踏み込み快勝。今シリーズ初の1着をゲットした。
  「今日はとにかく藤田(竜矢)のおかげです。僕は何もしてないよ。いいペースで駆けてくれたね。本当に恵まれました。タマにはいいですよね。ただ、三ツ石がなかなか飛ばなかったし、その後ろから加倉(正義)が迫ってくる気配があったので焦って踏み込んでしまった。山崎を3着に連れ込めなかったのが残念だし、悪いことをしてしまいました」


<7R>
山田敦也選手
山田敦也選手
   7レースは浅井康太が先行。新田祐大の反撃を封じてそのまま押し切るかと思われたが、外を山田敦也(写真)が強襲して1着をさらった。
  「頑張ってくれた新田のおかげ。市田(佳寿浩)さんは車間を斬ってたし、ラインの皆がこっちを警戒してたから新田は苦しかったと思う。新田君は止まってしまったけど、ああいう展開から突っ込むのは自分は苦手ではないから何とか1着が取れました。最後に伸びたから調子は悪くないと思うけど、今日は走っていてスカスカする感じだった。ギアを上げようか、ちょっと考えてみます」
  浅井康太は惜しくも2着となったが、連日先行での健闘が光る。
  「今日はもがき合いになって8か9着かと思ってたけど、市田さんも三番手を固めてくれたし、思い切って行って良かったですね。今回は調子が良くないし、まずは内容の良いレースをして調子を戻そうと思っていたけど、それがかえって良い結果につながっていますね。初日は全く踏めなかったけど、今日は少し良くなった感じがします」


<8R>
伊藤保文選手
伊藤保文選手
   8レースは永井清史、渡部哲男、稲垣裕之とそうそうたる顔ぶれがそろったが、先行したのは稲垣。中団以下がもつれる絶妙なペース配分で駆けると、番手から伊藤保文(写真)が追い込んで京都コンビが連を独占した。
  「(稲垣と)ワンツーが決まったのは初めてですね。さすがに一流の先行屋は違う。こっちは焦って番手まくりのつもりで踏んでるのに、勝手に2着に残っちゃうんだから(笑)」
  稲垣裕之にもようやく笑顔が戻った。今日は力を出し切る競走内容だっただけに、「これでようやくスッキリしましたね。昨日までは展開も悪かったし、全然踏めてなかったから」と満足げだ。
  永井清史は「山田(裕仁)さんには渡部さんより前で勝負をしろとアドバイスされてたんですけど、肝心なところで踏み遅れてしまいました」と反省する。
  何とか3着に食い込んだ大塚健一郎は「山口君が先行の番手で勝負するというコメントだったので、こちらの組み立てもそれを考えていたんですけど、流れが違っちゃいましたね。それでも(渡部)哲男が踏んでくれたから3着まで行けた。今日は仕方ない」と話す。


<9R>
手島慶介選手
手島慶介選手
   9レースは武田豊樹の先行に乗り、手島慶介(写真)が追い込んで1着となる。
  「武田さんはジャンから緩めずに踏んでいたし、あれでは別線は出られないでしょう。武田さんが強かったし、自分も付いていてキツかったですよ」
  手島に続いた鈴木誠が2着に流れ込み、菅原晃の後ろから牧剛央が鋭く迫って3着に入線した。
  「晃があんなに早く行くとは思っていなかったし、出足が凄かったから離れかけた。ケツを上げて何とか追い付いたけど脚は一杯。最後は外を思いっきり踏んだら3着に届いた」
  武田豊樹は全力を出し切った。
  「鈴木さんまで付いてくれたし、先行して期待に応えたかった。でも、バンクが重たかったし、他に自力選手がたくさんいるから自分のペースで駆けることができなかった」


<10R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   10レースからは準決勝。レースは後方の石橋慎太郎を警戒し、平原康多が主導権を握ると、番手の神山雄一郎(写真)が石橋のまくりをブロックし追い込んで1着。決勝一番乗りを決めた。
  「平原がああいうレースをしてくれたし、俺も頑張らないとと思った。後ろの岡部(芳幸)君は脚があるし内をすくってくるかもしれないので、石橋君をギリギリまで引き付けて一発で止めなければいけないから難しかった。でも、前が掛かっていたし、平原はレースも巧いし力もあるから安心して付いてましたよ」
  平原康多は粘りを発揮して2着。
  「今日はやり合っても良いと覚悟して、石橋君よりも先に踏んだことが結果につながった。石橋君をけん制しているとき、前のペースが上がったから苦しかったけど、神山さんが最後にブロックしてくれたおかげで残れました。初日に苦しいレースをした分、脚は楽になりました。自分はいつも初日は脚の感じは良くないんです。今回も日に日に状態は良くなっている」
  3着には切り替えた坂上樹大が入る。
  「南関ラインと併走になったとき、外を飛ばさないと行かれてしまうと思って外を決めたら切り替える感じになってしまった。準決勝だし、もうそこから切り込んでいかないとチャンスがないと思ったから、悪いけど行かせてもらいました。重たかったけど、気持ちだけでいきました」


<11R>
山田裕仁選手
山田裕仁選手
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   11レースは小嶋敬二がまさかの捨て身の策に出た。ジャン前で車間を斬ると一気に発進。結果は佐藤友和にまくられたものの、山田裕仁(写真)が番手まくりで応酬し3着で決勝進出を果たした。
  「ジャンで押さえて海老根(恵太)を待つのかと思ったら、小嶋はそのまま踏んで行ってしまった。今日は(番手から)出る気はなかったし、逃げてもまくりを止めることしか考えてなかったからビックリしましたよ。全くの想定外の展開だったし、三日間の中で一番キツいレースだった」
  予想外のレースとなったが、佐藤友和(1着)だけは冷静だった。
  「小嶋さんは車間を斬っていたし、1コーナーでカマしたのが見えたんで自分も合わせて踏みました。出切られたけど、あとは(小嶋が)流すか流さないか、そこだけ注意していた。海老根さんが付いてきたら外を退かす予定だったけど来なかった。あとは追いかけながら、まくるタイミングを作っていました」
  立ち遅れた海老根恵太(写真)だったが、しぶとくまくって何とか2着に届いた。
  「ジャンで小嶋さんが斬った上を行くつもりだったけど、あんなに行かれてしまってはどうしようもなかった。最悪の展開になってしまったけど、追い掛けないといけないから必死で踏みましたよ。あまりに必死すぎて、自分の調子はどうなのか分からないまま終わってしまいました」
  逃げた小嶋敬二は「レース前、カマすつもりはなかったけど、武井(大介)が前を取ったのに飯嶋(則之)が上がっていって入れ替わったでしょう。あれでスイッチが入ってしまいました」。


<12R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   12レースは山崎芳仁が横綱相撲で別線をひとひねり。レースはジャン過ぎ4コーナーから山崎芳仁がカマすと吉田敏洋との踏み合いを制してラインで上位を独占した。1着は伏見俊昭で「今日も山崎が頑張ってくれた。踏み出しが凄かったですね。初日は重たく感じたけど、日に日に脚の状態が良くなっていて、今日が一番軽かった」。
  山崎芳仁(写真)は「石丸さんが上にあがって吉田君を誘っているのが分かったし、後ろになっても慌てることはなかったですよ。あのタイミングしかなかったから4コーナーから仕掛けました。出切るまでは苦しかったけど、出切ってからは惰性が使えたからペースで行けました」と余裕しゃくしゃく。
  兵藤一也は4コーナーでからまれたが、最後は意地で3着をキープした。
  「最後に一か八か頭を出したら引っ掛かった。今日は苦しかったですよ」
  吉田敏洋は惜しくも4着。
  「4コーナーで後ろからゴッソリくると思い、危ないから退避しようと踏むのを止めかけてしまった。そうしたら来なかったから、慌てて踏み直したけど遅かった。浜口さんも自分のために頑張ってくれていたのに悪いことをしてしまった。自分の力を信じ切れてなかったことが凄く悔しい。やってはいけないことをしてしまった。山崎君には力では負けるかもしれないけど、気持ちだけは絶対に負けないようにしていたつもりだったけど…。自分が情けない」とガックリと肩を落とした。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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