『第21回共同通信社杯競輪(GII)レポート』 最終日編
 
配信日:10月13日


 小嶋敬二の大カマシで波乱を呼んだ準決勝から一夜明け、第21回共同通信社杯「中野カップレース」は最終日を迎えた。注目のファイナルレースは山崎芳仁、平原康多、海老根恵太、山田裕仁による4分戦。レースは意外にも北日本勢がすんなり先行。番手の佐藤友和が追い込んで優勝。賞金2190万円(副賞を含む)を獲得し、賞金ランキングで7位に付けて暮れのグランプリに大きく近づいた。



決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると、山田裕仁が誘導を追いかけて正攻法。山田に坂上樹大が付けて、中部両者が前受け。以下、山崎芳仁-佐藤友和-伏見俊昭、平原康多-神山雄一郎、海老根恵太-兵藤一也と並んで隊列が落ち着いた。
  レースが動いたのは赤板手前から。海老根がゆっくりと動き出すと、山崎も合わせて上昇。そのさい、海老根の動きに続いた平原が一旦斬って先頭に立つも、山崎はそれを二角の山おろしを使いながら一気に叩いて主導権をにぎった。海老根は後方に車を下げる。打鐘を迎えると、平原が中団四番手に入ったが、山田がインコースをするすると突いて四番手に割り込む。坂上が山田に離れたため、山崎-佐藤-伏見-山田-平原…の並びとなって最終ホームを通過した。ホームから先行態勢に入った山崎のカカリが良く、平原、海老根、山田らはなかなか仕掛けるタイミングが図れない。二角手前から海老根が発進すると、平原も合わせてスパート。平原が三角で佐藤の横に並びかけると、佐藤は平原をブロックしながらその勢いで前に踏み込んだ。あとは両者の攻防となったが、しぶとく前に踏み続けた佐藤が、平原の猛追を耐えしのいで1着。平原は僅差の2着で、佐藤を追えずに苦しい態勢となりながら直線に入り、厳しいコース取りを見せた伏見が3着に入線する。
ゴール
ゴール
表彰式
レース直後
表彰式
レース直後


<2R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
   2レースは菊地圭尚(写真)がホームからカマして逃げ切り勝ち。最終日にしてようやく1勝を挙げた。
  「今回は直前にギックリ腰をやってしまって。気にしないようにして、何とか気持ちでカバーしようとして乗り込んだけどやっぱり影響がありましたね。やっと体が動くようになったと思ったら最終日でした。次は地元戦だし、しっかりと治してまた次を頑張ります」


<5R>
坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
   5レースは田中誠が主導権を握り、番手の坂本健太郎(写真)が抜け出して最終日を1着で締めくくった。
  「田中君がうまく駆けてくれたし恵まれました。ジャンで誰も来なかったし、よそ見をしていたらちょっと離れてしまいました。最後は(田中を)残そうと思ったけど、山口(貴弘)さんが踏んで来たのが見えたから、合わせて自分も前に踏みました」
  逃げた田中誠は「ジャンで誰も来なかったし、余裕をもって2センターから仕掛けました。いつもやっている練習みたいな感じだったね。最後は残れなかったけど、補充参戦だしこんなもんですかね」。


<6R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
 

 6レースは実力上位の石橋慎太郎(写真)が期待に応えて1着。準決勝のうっ憤を晴らすかのように七番手から豪快なまくりを決めた。
  「今日は押さえ先行して自分の力試す予定だったけど、スタートで誰も出なかったから仕方なしに前を取りました。前受けだしいつも通りのレースでホームから仕掛けた。山を上る感じだったし、8番(松岡健介)にけん制を受けたから苦しかったけど、2コーナーからは下りだったから行けました。準決は悔しかったし、今日勝てて良かった」



<7R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
 

 7レースは単騎の石丸寛之がホームからカマシ先行。離れながらこれを追った市田佳寿浩(写真)が、直線で交わして1着となった。
  「レース前、石丸さんと話した訳ではないけど、同期の呼吸みたいなものを感じた。ホームから自分で行こうとしてた瞬間に石丸さんが仕掛けたんでこれについて行こうと。でも、ダッシュがもの凄くて離れてしまった。今の調子だとああなってしまうよね。新田(康仁)さんに飛び付かれそうで心配だった。何とか追い付いたけど脚は一杯。久々に1着が取れたからうれしいですね」
  新田康仁は作戦通りにいったが9着惨敗。
  「今日は位置を取り合うよりは、一旦前を斬って石丸か市田が来るのを受けた方が良いと思ったけど。石丸のダッシュが凄かったし巧くいかなかった」



<8R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
   8レースは永井清史がワールドクラスのダッシュ力に任せてホームから一気の発進。番手の小嶋敬二は離れ、代わりに追った栗田雅也(写真)が直線で追い込んで波乱を演出した。
  「今日は藤田(竜矢)君が逃げるだろうし、そのラインから攻める作戦だった。でも、永井君がカマしてきて予想とは違ったけど、巧くスイッチできました。松坂(英司)さんに番手を退かしてもらって、目一杯踏みました。永井君がカマしたら番手を退かしてもらうのも作戦の一つだったから巧くいきました」
  小嶋敬二も懸命に追ったが2着止まり。
  「今日はダッシュの良い永井の番手だしギアを(3.71から64 に)下げたけど、踏み出しで松坂君に振られて離れてしまった」


<9R>

飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
牧剛央選手
牧剛央選手
   9レースは飯嶋則之(写真)が浅井康太の番手をジカで攻めた。ホーム過ぎで濱口高彰を競り落とすと、直線で追い込んで勝利した。
  「競り合ったというよりも、濱口さんの方から先に押し込んできたから、かえって向こう踏み遅れた。だから自分はただ番手に入った感じだったね。最後は気持ちで抜きにいきました」
  浅井康太が粘って2着、伊藤保文のまくりに乗った牧剛央(写真)が鋭く迫って3着となった。
  「伊藤(保文)さんが2センターで止まったときにすかさず内を行けば良かったですね。マーク屋としての経験がまだまだ足りない。今回は最終日まで1着がなかったことが凄く残念。二次予選で負けてしまったけど、気持ちを切り替えて1着をとって、せめて地元のお客さんにタオル投げたかった」


<10R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   10レースは吉田敏洋がジャンで前を押さえて主導権を握る。稲垣裕之がまくってきたが、番手の紫原政文が懸命にブロック。紫原はこれで脚を使って最後は一杯。直線に入り吉田敏洋(写真)が力強く押し切った。
  「紫原さんが思いっきりブロックしてくれたおかげ。今日は地元の紫原さんに勝ってもらうつもりで駆けたし、そうすることで自分も良い着が取れればと思っていたけど、一番良い結果になりましたね。今日は必死で前に踏んでいただけです」


<11R>

平原康多選手平原康多選手
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   11レースは二段駆け態勢の東北勢が先行。番手の佐藤友和が有利に追い込んで優勝を飾った。平原康多(写真)はバックから懸命にまくったが、佐藤に合わされて惜しくも準Vに終わった。
  「今日は深く考えずに流れに応じて走るつもりでした。展開は悪くなかったけど、友和がサラ脚で番手にいるんでは厳しい。二段駆けをまくるのは苦しいですよ」
  伏見俊昭(写真)はコースがなく3着が精一杯だった。
  「2着は死守したかったけど、最後に内、外と両方から来られてしまってコースがなかった。山田(裕仁)さんも一か八か内を踏むしかなかっただろうけど、自分としてはしっかり内を締めていたつもり。山田さんにすくわれてひるんでしまったし、外も気になった。番手はもちろん、三番手の競走は難しいね」
  海老根恵太は昨日同様、後方からまくり上げたが、決勝は4着止まり。
  「外枠だったしあまり作戦が立てられなかった。後ろになるのは覚悟してたし自分から押さえに行ったけど、北をすんなり出させる展開になってしまった。前を斬ってからもう少し踏んでいたら展開は違ったかも。最後は平原の後ろに入れたんで、思ったよりは車が進みました」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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