『第23回共同通信社杯秋本番(GII)レポート』 初日編
 
配信日:10月17日


 いよいよ今日から「第23回共同通信社杯 秋本番」が取手競輪場で開幕した。初日はオール自動番組で、難しいメンバー構成となった中、二次予選進出をかけて熾烈なレースが繰り広げられた。
 なお、明日二日目は先着2500名様にマスコットキャラクター「砦の森のバンク」ミニぬいぐるみがプレゼントされるほか、「クワバタオハラ」のお笑いライブや、競輪選手vsファンの脚力対決(6、7R終了後)など楽しいイベントが盛りだくさんです。この機会にぜひ取手競輪場へご来場ください。



<1R>
金成和幸選手
金成和幸選手
   オープニングレースは逃げる中川誠一郎ラインの三番手を確保した金成和幸(写真)が石橋慎太郎の反撃に合わせてまくりを決めた。
 「4番(石橋)が来たので行くしかないなと思った。何とか勝てて良かったです。取手は準地元みたいな気持ちで走ってる。実家は茨城なんで、取手では負けられない。1着が取れたので調子は問題ないです」
 一度はまくった金成と連結が外れた有坂直樹だったが、空いたコースを縫って2着をキープした。
 「3コーナーでアンコになって危なかったから付いて行けなかった。そのあとは脚に余裕があったから。これで3日目にお帰りじゃなくなったからよかった」
 3着にはインコースを伸びた星島太が強襲した。
 「今日は坂上(樹大)くんに全面的に任せてたけど、重そうだったので悪いけど内に行かせてもらった、余裕はあったので、これならそこそこ届くかなと思ってました。あとに走る岡山のSS2人より先に帰るのは嫌だったので勝ち上がれて良かったです」


<2R>
松岡健介選手
松岡健介選手
   松岡健介(写真)が最終ホーム手前から思い切り良くカマして先行。そのまま三番手以下を大きく引き離して快勝した。
 「今日は早めでも緩んだら思い切って叩こうと思っていました。理想通りの展開になりましたね。1センター辺りで後ろを見たら後ろがだいぶ空いていたし、ペースで踏んでいけました。いつもより半周ぐらい仕掛けが早かったけど、勝てて良かったです」
 2着の幸田光博は松岡の番手を回れるツキも味方した。
 「松岡君の三番手は回ったことがあるし、番手で勝負したこともあるんです。自動番組で番手を回れてラッキーでした。抜ければ良かったんですが、松岡君が強かったし、最後に踏み直されました」
 望月裕一郎が岡村潤マークからしぶとく伸びて3着。
 「岡村君のおかげです。前々に攻めてくれましたからね。調子はいいと思います」


<3R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
   桐山敬太郎の後ろからレースを進めた五十嵐力(写真)は三角で桐山からマークを外すと鋭く内を突き1着。二次予選Aへの勝ち上がりを見せた。
 「最終バックの落車の影響で桐山が外に浮いてしまったので、僕は連係を外し内々に踏ませてもらいました。最近は体調がずっと良いので自信はあったけれど、今日は慣れない番手のレースだったから余裕もなく、ただ付いていくだけで精一杯でした。結果的に1着だけど桐山とワンツーを決められなかった事は悔やまれる。なかなか上手くいかないものですね」
 伊藤保文が突っ張り先行に出ると、濱口高彰をどかし番手を奪取した荻原尚人は4着の結果にも納得の表情を見せる。
 「伊藤さんの突っ張りは予想外だったけれど、僕も押さえにいくのが遅かったからね。僕は常々『突っ張られたら番手戦』と決めているので迷いなく濱口さんの所におりました。ヨコも出来る自信があるからこそ、自力で走れている部分もあるし、割り切っていかないとこのクラスでは通用しないですからね。今日は自分のレースが出来たと思います」


<4R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   先まくりを打った新田祐大から紺野哲也が離れると、すかさずその番手にはまり込んだ矢口啓一郎(写真)が直線できっちり新田を交わし1着。検車場では状態の良さを強調する。
 「前二人(藤田竜矢・新田祐大)が大ギアで最終ホーム7番手におかれたからさすがに厳しいかと思ったけれど、レースは冷静に見えていました。その後は上手く新田に続いていけたし、脚を溜められ展開にも恵まれました。今回は今までに無いくらい状態が良く、ひそかに(優勝を)狙っている部分もある。それだけに初日の今日はメチャクチャ緊張していたけれど、どんな形でも初日突破できたことは素直にうれしいですね」
 紺野が離れ、単騎の仕掛けとなった新田祐大も強靭な粘りで2着に粘りこんだ。
 「藤田さんも出切ってからはかなり流していたので、自分から動くしか無いと思い、仕掛けどころはメチャクチャだったけれど、一角から無理やりまくりました。必死だったのでゴールするまで後ろが矢口さんだとは気付きませんでした。それでも2着に残れたし、一時の悪い頃から比べると、状態もだいぶ良くなってきている。明日はメンバーも厳しくなるけれど、強い人を相手にも力を出し切れるように頑張りたいです」


<5R>
丸山啓一選手
丸山啓一選手
   稲垣裕之が先行すると坂本健太郎がイン粘りを敢行。隊列が短くなったところを小橋秀幸が一気にまくりと、追走した丸山啓一(写真)が直線で外のコースを鋭く突き抜けた。
 「今日は小橋を使って、小橋が潰れたところから自分で踏んで行こうという作戦。上手く前がやり合ってくれたし、自分の持ち味が一番活かせる展開になりました。最近はF1戦でも上位クラスで戦えているので、今日のメンバーを見ても特に悲観はなかった。今は気力が充実しているし、自転車の出もいいですね」
 ゴール直前で3着に沈むも、小橋秀幸のまくりは鋭いキレを見せていた。
 「後方になったので焦って踏んだので、仕掛けどころはメチャクチャだったけれど、前が併走になっていたし、ゴチャついたところをくぐり抜けていくのが僕の持ち味だし、自分の競走が出来ました。単騎で気楽に走れたのも良かったのかな? 3着入線なら上出来ですよ」
 イン粘りの奇襲策も、確定板には届かなかった坂本健太郎は「今の僕の実力で、稲垣さんに挑むにはあれぐらいしか策がない。スタートで稲垣さんが前を取ってくれれば、カマしもあったんですけどね。後ろの先輩に迷惑掛けました」と反省しきり。


<6R>
海野敦男選手
海野敦男選手
   後ろ攻めの金子貴志が動くと、その上を栗田雅也が叩いて主導権を奪う。これで絶好の態勢になったのは海野敦男(写真)。まくってきた飯野祐太をブロックすると直線鋭く伸びた。
 「良かったです。ちょっと自信はあったんで。ゴール前は中村くんのスピードがよかったので行かれたかなと思った。栗田は二次予選Bでも上がってくるでしょう。(一緒に練習した)中村(淳)には『最低、準決勝には乗ってこいよ』と言われてたしね。今回、栃木の真崎(新太郎)くんのフレームを借りてるんだけど、乗ってて楽ですね」
 2着には大外をまくり上げた中村一将が食い込んだ。
 「苦しいかなと思ったけど何とか。ちょっと疲れてるかなって感じだけど、自転車は出てるし良いですね。今日は栗田のかかりが凄くてしんどかったです」
 逃げた栗田雅也はすがすがしい顔でレースを振り返る。
 「スンナリ出させてくれましたからね。ここまで静岡勢がいい流れだったし、僕も少しでもと思ってました。しかし、バックが向かいでキツかった。明日は軽くなることを祈ってます」
 南関ライン三番手を回った石毛克幸は「車間を空けてればよかったですね。打鐘から全部タイミングがずれたし、慣れない三番手は難しい」と4着に。明日の二次予選Bで巻き返しを図る。


<7R>
篠原忍選手
篠原忍選手
   繰り上がりで急きょ追加参加した篠原忍(写真)だが、先行一車の利を活かし見事2着。初のGII戦ながら二次予選Bへと勝ち上がりをみせた。
 「実は和歌山Sでの落車で自転車を壊してしまい、今回のフレームは矢口さんから借りたもの。若干不安はあったけれど、打鐘が鳴ればそんなことも言ってられないですからね。とにかく力を出し切ろうと全開で踏みました。今日は先行一車だし後ろが競りになったし、番組にも展開にも恵まれた結果だけれど、このツキを明日以降にもつなげられれば良いですね。とにかくヤングGPに向け脚を付けていきたいです」
 自力の競走となった佐藤成人はイン粘りの末、後閑信一を競り落とし三番手を奪取。好気合いをみせ、二次予選へと駒を進めた。
 「本当は番手の阿部さんに飛びつくつもりだったけれど、踏み遅れて3番手になってしまった。競りで勝てたのはたまたま。上手くタイミングがあっただけで、実力とは思えないけれど、作戦通りのレースが出来た事は満足です。今はかなり調子が良いし、明日も頑張りたいですね。


<8R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
   最終ホームから山賀雅仁がカマシ先行。そこを1コーナーから一気にまくった天田裕輝(写真)が後続を千切り、初出場のビッグレースで殊勲の勝ち星を挙げた。
 「今日は展開が早いだろうと思ってたので、前々にいないと勝負にならないと思ってました。しかし、いい展開になってくれましたね。初出場のビッグで興奮はしたけど、プレッシャーはなかった。最低4着までには入りたいと思ってたので1着は幸先いい。明日からも気合を入れてしっかり走りたい」
 離れながらも単騎まくりの天田を追った吉田敏洋が2着に食い込んだ。
 「ホームからガシャン、ガシャンいいっぱなしで怖かった。それに思った以上に天田くんの巻き返しにスピード差があって追いきれなかったですね。僕も仕掛けが2テンポくらい遅れてたし。ただ軽いし、状態は悪くないと思いますよ」
 カマした山賀雅仁は「今日は和田(健太郎)とワンツーを決めたかった。あそこ(打鐘過ぎに中団で)で併走してても意味がないですから。結果的に和田に助けられた感じです。僕も先行で3着に残れてるので問題ないかなと思います」。


<9R>
谷津田将吾選手
谷津田将吾選手
   牛山貴広が打鐘から先行し、市田佳寿浩が三番手のインに切り込むと、松岡貴久がバックまくり。これに木暮安由が飛び付き両者でワンツーかに、市田との外併走を耐えた谷津田将吾(写真)が外を鮮やかに伸びた。
 「ホームで市田さんにからまれたときはアッと思ったけど、その後は冷静にいけました。ビッグの勝ち上がりは(7年前の)全日本選抜以来だと思います。この1着はデカいですね」
 2着には松岡後位に飛び付いた木暮安由。初日から見せた機敏な動きに本人も確かな手ごたえをつかんだようだ。
 「今日は軽いと思ってたので、内に行ってかぶるより自分のタイミングで仕掛けようと思ってました。結果、かぶってしまいましたけどね(笑)。今回は踏めてるんで楽しみ。今までビッグではダメだったけど、ようやく今回で芽が出るかなって気がします」
 市田佳寿浩は4着で二次予選Bに。さすがに単騎でのレースは難しかったようだ。
 「単騎でどうしたら1着を取れるか色々考えたけど、どうしても作戦がなかった。流れを見てと思ったんですけどね…。4着は残念です」


<10R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   山崎芳仁(写真)が強さを見せ付けた。八番手となった打鐘後四角から仕掛けると、村上義弘との併走をしのぐと、最後は先行した永井清史をまくりきった。
 「(先行した)永井のペースも良かったし、あそこで行かないと厳しくなるから無理やり仕掛けたけれど、何とか1着が取れたって感じです。本当は村上さんが先に仕掛けてくれればそこに乗って行きたかったんですけどね。練習でも良いタイムが出ていたし、今日も踏んだ感触は良かった。決勝にさえ乗れれば十分に優勝も狙えそうなコンディションです」
 2着には石丸ライン三番手を追走した小倉竜二が強襲。4コーナーからの冷静なコース取りでらしさを存分に発揮した。
 「たまたまですよ。ムダ脚を使わず、風にも当たらず。みんな脚を使ってるところを、僕だけ道中回してた。4コーナーでもゴチャついて出番が来たね。早めに突っ込むと危ないので、待ってから踏んだ。落ち着いてるし、まずまずいいですね」
 先行した永井清史は6着の結果にも納得の表情でレースを振り返る。
 「先頭に立ってからは良いペースで駆けれたし、レース間隔が空いた割りには脚の感触も良かった。トップスピードにも入れられたので、課題は四角からの踏み直しだけ。十分修正できそうです」
 終始、村上義弘の内に包まれる形となった石丸寛之は4着の結果に「永井のダッシュが良過ぎて引けなかった。あそこまで村上さんと被ってしまったら、勝ち負け関係なくやっぱりどかしに行かないとですよね…」と反省しきり。


<11R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   ライン3車となった伏見俊昭(写真)が果敢な先行策で別線を一蹴。最後は岡部芳幸に交わされるも2着に粘った。
 「僕のラインが一番長いから先行も考えていました。平原とは、もがき合いになるかとも思ったけれどその辺は駆け引きで(笑)。最後はかなりタレたけれど、何とか2着に残れました。それにしてもこんな先行策は3~4年ぶり。やっぱりレース後はしんどいですね」
 1着に輝いた岡部芳幸も、伏見の強さにはただただ舌を巻くばかり。
「さすがだね。平原相手にあそこから仕掛けられるのもすごいし、踏んでからはスーっと前に進んでいつの間にか出切っている。俺は番手で責任重大だし離れるわけに行かないから緊張しました。僕は初日の成績で気分が乗っていくタイプ。伏見のおかげで今回は良いシリーズになりそうです」
 内にコースをとり3着に食い込んだ浅井康太だが、口を突くのは反省の弁ばかり。
 「平原さんにすんなり駆けられると厳しいと思って、平原さんの動きだけを意識しすぎたら伏見さんに行かれてしまった。もう少し早く反応できれば飛びつけたんですね。その後も内々をいって、後ろにも迷惑をかけてしまった。とにかく気持ちを切り替えて、明日以降は同じ失敗をしないようにしないとですね」


<12R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   最終レースでもトップスターの迫力あるレースが繰り広げられた。打鐘から武田豊樹と小嶋敬二が壮絶な主導権争い。出切られた武田だが、三番手から休まずスパートする。前団のやり合いでまくり頃になったはずの海老根恵太(写真)だが、武田の抵抗に思わぬ苦戦。それでも最後は力で外を伸びた。
 「前が叩き合いになって、いいなと思ってたら武田さんが三番手に入ってるでしょ。慌てて行ったら合わされてしまった。それでも行けたんで良いとは思う。ちょっと(千葉記念の)疲れがあるけど、2人のモガキ合いで展開が向きましたね」
 惜しくも2着に敗れた武田豊樹だが、地元のエースとしてこれ以上ない走りを見せた。
 「いやあ一杯です。たとえまくられても、地元で消極的なレースをしたくなかった。あの展開で海老根にまくられるのはしょうがない。リラックスしてるし、気負いもないけど、バンクに出たらファンの声援で何とか力を出さないとって気持ちになった。2着だけどファンが納得してくれればいいですね」
 神山雄一郎は武田の仕上がりに太鼓判を押す。
 「武田は強いね。あそこは(三番手に入って)ひと呼吸置きたいとこだけど、休まず行くんだから。モガキ合いになったから最後は脚を溜めた海老根が来たけど、武田は仕上がってる。僕の仕上がりも相当良いんだけどね」
 武田と壮絶な主導権争いを演じた小嶋敬二は「脚は良いんだけどね。もう一車、二車でも僕のラインが長ければ…」と武田が三番手に入った展開を悔やんだ。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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