『第23回共同通信社杯秋本番(GII)レポート』 2日目編
配信日:10月18日
取手競輪場で開催されている「第23回共同通信社杯・秋本番」も開催二日目が終了。晴天に恵まれ絶好の競輪日和となった取手バンクでは、準決勝進出をかけた二次予選が行われました。伏見俊昭や海老根恵太が勝ち上がりを逃す波乱があったものの、武田豊樹は地元ファンの前で圧倒的な強さを見せつけてくれました。
なお、明日も取手競輪場では楽しいイベントが盛りだくさん。先着2500名様に「茨城秋のグルメ詰め合わせ」や「予想紙無料引換券」が当たるスピードくじが配布されるほか、「パオパオ堂。」による音楽パフォーマンスや内林久徳氏と伊藤克信氏の予想会などが開催されますので、是非、本場でレースを観戦されてはいかがでしょうか。
<1R>
大薗宏選手
志村太賀がマイペースで先行。地元の
大薗宏(写真)
が番手絶好の展開をきっちりモノにした。
「伊藤(保文)さんのカマシが怖かったんですが、志村君が上手いこと駆けてくれました。今日は恵まれました。昨日、勝てれば良かったんですけどね。負け戦で強いけど、勝ち上がりでいつもダメなんです。でも、地元で1勝できてホッとしました」
<2R>
太田真一選手
藤田大輔が積極果敢に先行。中団を確保した
太田真一(写真)
は2コーナーから空いたインコースを踏み込む。バック過ぎに逃げる藤田の番手を内から奪取するとそのまま踏み込み、後続を振り切って快勝した。
「今日は中団、中団を回って外からまくる予定だったんですけどね。インコースが空いていたから行ってみました。インまくりのような感じでしたが、身体が反応したし、デキには手応えを感じています」
<3R>
佐久間仙行選手
人気の石橋慎太郎が終始インに詰まって不発に終わる。カマシ気味に出た富弥昭が主導権を握り、番手の西田雅志に絶好かと思われたが、インから抜けた牛山貴弘、外からは
佐久間仙行(写真)
が突き抜けて関東勢が連を独占した。
「展開的には失敗だったけど、結果が良ければね。それにしても牛山君は力がありますよ。出られちゃったけど、すぐに立て直して出て行っちゃったし、脚がなければ遅れてしまうところだから。やっぱりグレードレースは展開が目まぐるしく動きますね」
<4R>
齋藤登志信選手
稲垣裕之は今日も人気に応えられず。一旦は先頭に立ったものの、菊地圭尚のまくりに屈してしまった。勝ったのは番手有利に抜け出した
齋藤登志信(写真)
。
「とにかく(菊地)圭尚が良く行ってくれました。有賀さんが飛び付いてくる気配はあったので、そこだけ気を付けて構えてましたよ。前半はきつかったけど、しっかり抜けて良かった。余裕はありませんよ」
<5R>
福田知也選手
南関勢が強い結束力を見せた。打鐘で岡村潤が一気に発進。中団に飯野祐太、後方には柴崎淳が構えてタイミングをとっていたが、結局、互いに牽制しあって仕掛けどころを失ってしまった。番手から
福田知也(写真)
が追い込んで1着。レース後、「先輩の岡村さんが行ってくれたおかげです。絶対にまくりが飛んでくるだろうから、しっかり止めることだけを考えていたんですけどね。色々な意味でこの1着は大きい。次はしっかり自分の力でレースを作りたい」
<6R>
新田康仁選手
単騎逃げとなった永井清史を荻原尚人率いる北勢が追走すると、これを最終バックから山賀雅仁がひとまくり。直線で番手から
新田康仁(写真)
が抜け出し一番乗りで準決勝進出を決めた。
「予想通りの展開だったし、山賀も落ち着いて仕掛けてくれた。スピード差も歴然だったので、飛びつかれる心配もありませんでしたしね。自力のレースではないけれど、1着は素直にうれしいですね。ラインでワンツースリーだし僕の調子も悪くない」
豪快なまくりで2着入線の
山賀雅仁
も満足そうにレースを振り返る。
「僕自身も打鐘過ぎのセンターで脚が重く、ヤバイと思ったけれど、永井も先頭に立ってからは、かなり流していたので強引に仕掛けました。永井もまだ余裕がありそうで合わされるのが怖かったけれど、何とか出切れましたね。バックが向かい風だったのでかなりきつかったけれど、逆に追い風だったら、永井もスピードに乗ってしまうからまくれなかったでしょう。オールスターでは準決勝で何も出来なかったので、明日はその反省を踏まえたレースをしたい。何としても決勝に乗りたいです」
果敢の積極策も6着に敗れた
永井清史
。検車場では淡々とレースを振り返る。
「後ろが離れているのが分かったので、前に出てからはかなりペースを緩めたら、逆に山賀さんのまくり頃になってしまいました。結果的に見れば緩めずいけるところまで踏んだほうが良かったのかな。それでも自分の競走は出来ているし、悲観する内容ではないです」
<7R>
大塚健一郎選手
最終ホームから坂本健太郎がカマし後続を引き離すと、四角ハコ周りの絶好位を活かした
大塚健一郎(写真)
が直線で鋭く抜け出した。
「細切れ戦だから作戦通りになんかなりっこないし、今日は健太郎の感性に全て任せてたけれど、上手く駆けてくれましたね。後ろが(佐藤)友和君だったし、かなり車間が空いていた分、逆に怖かった。最後は友和君に合わせて踏んだ感じです。終始ハコ展開だったけれど、相手が相手だけに最後まで気が抜けませんでしたよ」
2着は三番手キープから追い込んだ
佐藤友和
。絶好位からの仕掛けも、わずか1車輪さで大塚を捕らえる事は出来ず。
「1着が獲れる位置だったけれど、踏み出そうと思ったタイミングで大塚さんが車を上げたので躊躇してしまった。タイミングをずらされた事が敗因ですね。抜けると思って抜けなかった事は悔しいけれど、自分の脚の状態は全く問題ないです」
佐藤友和や小嶋敬二と言った強豪相手に、思い切ったカマシで見せ場を作った
坂本健太郎
は、5着で勝ち上がりを逃すも、納得の表情でレースを振り返る。
「カマシは決めていたわけでは無いけれど、順番が僕に回ってきたので、ワンチャンスを逃さないように思い切って仕掛けました。ホームは追い風だったので、上手くスピードにも乗れましたね。最後に残れなかったのは僕の力不足。普段戦ったことが無い強豪メンバーだったので、焦ってしまい平常心で踏めなかった。しっかりペース駆けれて、あとコンマ3秒くらい上がりが早ければ、準決にも残れたんですけどね」
小嶋敬二の内を突いた
石毛克幸
も8着の結果に「内をしゃくったところまでは良かったけれど、その後がね…。友和君がもう少し早く仕掛けてくれれば、展開も違ったのだろうけど。競輪は難しいですね」と首をひねる。
<8R>
栗田雅也選手
ライン2車ながら最終ホームから先行策に出た
栗田雅也(写真)
がそのまま押し切って1着。快心の勝利に喜びを爆発させる。
「今日はとにかく1度は前に出ないとと思っていました。カマシが来たら付いていこうと思っていたけれど誰も来ませんでしたね。風が強くって本当にきつかったけれど、後ろがしっかり仕事をしてくれる(渡邉)晴智さんだから、自分は前に踏む事だけに集中できました。調子は優勝した観音寺記念から良い状態を維持できている。晴智さんとワンツーを決められたのも、先着できたのも初めてだから、本当に自信になります。今回は南関勢が良い流れ出し、上手くその流れに乗れましたね」
番手の仕事に徹した
渡邉晴智
が栗田に続き2着入線。レース後は後輩の成長を我が事の様に喜ぶ。
「(栗田は)さすが記念を獲っただけあるね。ノッてるだけあって全くタレない。車間を空けようと思ったら自然に空いてましたよ(笑)。今まで付いた中で間違いなく一番強い。抜ける気配がありませんでした。僕も付いていくだけで精一杯で、全く余裕がありませんでした」
3番手の絶好位確保も、渡邉の動きに翻弄された
松岡貴久
は仕掛けの糸口をつかめずしまいでレースを終えた。
「栗田さんの先行も掛かっていたし、とにかく渡邉さんが作る波が厳しくって、結局直線に入るまで踏めるところがなかった。今日は南関ラインの後ろからという作戦だったし、せっかくスタートで井上さんが良い位置を取ってくれたんですけどね…」
村上義弘
は見せ場なく7着に沈み、準決勝進出を逃した。
「最終ホームで後方に置かれてしまった事が予想外。結果からみれば打鐘で斬った後に突っ張っても良かったのかな?。もう少しテンポの良いレースにしたかったけれど、結局最後まで『行ける』と思えるタイミングはありませんでした」
<9R>
平原康多選手
1着は
平原康多(写真)
。巧みに中団を確保すると、最終バックから先行する中村一将をまくりきった。
「今日は萩原(孝之)さんもついてくれたので、自分だけ届く仕掛けは出来ないし、無理くり仕掛けました。村上さんと絡んできつかったけれど、何とか出切れましたね。まだ、ハンドルなどのセッティングがつかみ切れてなく、全体的に重心のブレがある。その辺を修正出来れば、さらに良い走りができると思いますよ」
中村一将の番手で、平原相手に懸命なブロックを見せた
村上博幸
も3着で準決の切符を手にした。
「平原が中団まくりだった分、僕の横に来た時は、まだスピードに乗り切ってない状態だったので、タイミング良くブロックに行けた。けれど一発張ったら、逆に平原に当たり返されてしまいました。結局止めることは出来なかったけれど、準決進出は素直にうれしいです」
最終バック8番手から内に切れこみ、直線で鋭く伸びた
三宅伸
だったがタイヤ差で準決への勝ち上がりを逃す。
「悔しい!、今年一番悔しい!。本当はもっと早く内に入ろうと思っていたけれど、ハマちゃん(濱田浩司)も大ギアでスピードに乗れば伸びるから切り替えに躊躇してしまった。直線もすんなりかと思ったところに村上君が寄ってくるしね。今回は練習でもマルさん(石丸寛之)を抜けていたし調子も良かっただけに悔しいよ」
<10R>
矢口啓一郎選手
ここからが二次予選A。いきなり山崎芳仁と海老根恵太が激突する豪華カードとなった。レースは天田裕輝が同県の矢口啓一郎を連れて先行。海老根を飛ばして三番手を取り切った
山崎芳仁
はバックで矢口に合わされながらもその後ろで立て直し、直線きっちり捕らえ切った。
「(天田に)誘導を使わせてるし、引くに引けなくなった。引いたら自分が届いてもラインを考えたらね。矢口君が引き付けてたので僕が一回踏まなきゃダメだと思った。あそこは感覚的なものですね。矢口君の出が良かったので番手に入って差してってレースになったけど、何とか気持ちで1着に来れた。岡部さんがハグれたのは残念ですね」
2着の
矢口啓一郎(写真)
は天田の頑張りを強調する。
「何も言ってないけど、天田が全部動いてくれた。待って牽制してもかぶってしまうし、それじゃあ天田の頑張りが意味なくなるので踏ませてもらった。後輩を育てるためには何とかしなきゃいけないけど、今日のメンバーでは…。今日は僕の力ではなく天田の頑張り。嬉しいですね、やっぱり」
3着の
成田和也
はあらためて山崎の強さを実感したようだ。
「合わされたのに差せるなんて、山崎は強いですね。レース前に、ああなったら下げられないなとは言ってたし、ペースが上がってなかったのでなかなかドカせなかった。僕はホームがけっこうキツかった気がするけど、昨日より体はいいですね。売れてたので山崎とワンツー決めたかった」
単騎の
吉田敏洋
は5着で何とか準決勝に駒を進めた。
「色々考えてもまとまらなかったですね。打鐘で行けるタイミングはあったけど、一人で仕掛けても…。動いてくれるラインに乗ってと思ってたけど、前の競りが思いのほか長引いて仕掛けるチャンスがなかった」
<11R>
小倉竜二選手
最終ホームから石丸寛之がカマシ気味に主導権を奪う。番手の
小倉竜二(写真)
は伏見俊昭のまくり、内を突いた木暮安由をしのぐと1着でゴール線を駆け抜けた。
「石丸さんがすかさず行ってくれたから。伏見さんのまくりはよく止められたね。直線だし、一発入れて二発目で仕留めようと思ったらきれいに入った。うまいこといきました。勝負は明日やね。脚は良いと思います」
2着には木暮の動きにピッタリ続いた
神山雄一郎
が鋭く伸びた。
「木暮は強いね。動きはトリッキーなんだけど、俺には付けやすい。昔の自分の走りと感性が似てるから。どう走るか分かるんだよね」
まくり不発に終わった伏見後位から
有坂直樹
が3着に食い込んだ。
「小倉の内に行っても良かったけど、5着権利だし安全な外を踏んだ。でも伏見は行っちゃうと思ったんだけどね。前回、千葉記念の最終日からギアを一枚(3.64→3.71)上げた。踏み出しは苦しいけど、(スピードに)乗っちゃえばね」
逃げて4着の
石丸寛之
も納得の表情だ。
「五十嵐(力)の先行一車みたいな感じだし、打鐘で変に付いて行くより溜めてカマしたかった。出てからサーッと回して踏み直して。後ろのオグもしっかり頑張ってくれて5着までに残れました。競走的には良いと思います」
<12R>
武田豊樹選手
最終レースは
武田豊樹(写真)
がきっちりと一番人気に応えた。ホームガマシの新田祐大を離れながら金成和幸、さらに武田が追いかける展開だったが最後は車間を詰めた勢いで一気に前団を飲み込んだ。
「メンバー的に厳しいな、一番人気だけど崩されるかなって気もしてました。押さえてから流し過ぎたっていうところもありますね。1着を取ったことは良いと思うけど、反省の残るレース展開でした。明日は準決勝ですね。でも僕は相手を気にせず頑張るだけです」
番手の
幸田光博
がきっちり食い下がった。
「新田が一人でカマして来るんじゃって予測してたけど、金成が遅れて来たからね。それでも武田が前々に踏んでくれた。武田に迷惑はかけられないし、ワンツーで人気に応えられてよかった」
カマした
新田祐大
が3着に粘った。
「ここしかないってところで力を出し切れるように。ラインで決まらなかったけど、自分の仕事はできました。金成さんが離れてるのはホームで気づいたけど緩めてスピードを殺したら持たないと思った。タイミング良く、良い感じで行けたけど、バックの向かい風でタレた。末が問題でしたね」
後方に置かれる苦しい展開をしのいだ
山口幸二
は5着でギリギリ準決進出を果たした。
「何とか5着まで来たって感じ。武田が新田を出させるとは思わなかったね。合わせたら僕らにも勝負権があるなと思ってた。軽快に踏めてる感じだけど、今日は位置が悪かった。中部は(吉田敏洋と)二人しかいなくなったけど、(GPの12月)30日を目指して明日何とか頑張りたいね」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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