『第23回共同通信社杯秋本番(GII)レポート』 3日目編
 
配信日:10月19日


 取手競輪場で行われている「第23回共同通信社杯秋本番」もいよいよ大詰めの開催三日目となった。競輪界トップクラスの選手が一堂に会した今大会も、決勝の舞台に立てるのは9人のみ。その僅かな椅子を賭けた準決勝戦は熾烈な攻防戦の連続となった。
  なお、最終日の明日も先着2500名様に「茨城秋のグルメ詰め合わせ」や「予想紙無料引換券」があたるスピードくじが配布されるほか、「ジェームス」による、BMXアクロバット(4R終了後)や中野浩一氏、山口健治氏によるケイリントークショーなど場内イベントは充実のラインナップです。ぜひ決勝戦も本場でご観戦ください。



<1R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
   岡村潤を目標にレースを進めた中川誠一郎(写真)は、山岸正教に内をすくわれ前に入られるも、これを冷静に対処。直線で3番手から鋭く突き抜けた。
  「山岸さんが内から来るのは予想外だった。前に入られて追い上げようとも思ったけれど、山岸さんがかなり外に車を上げていたので、やめました。その後は冷静に対応は出来たつもり。でも慣れない番手戦といえども、もう少ししっかり走らないといけませんね」


<2R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   ここまで、精彩を欠いていた稲垣裕之(写真)だったが、この日はバック7番手からまくり快勝。三日目にして初白星を挙げた。
 「疲れた!ぐったりですよ。打鐘で一瞬石橋君ともがき合う形になったけれど、あそこで引いてしまうあたり、自分の状態に自信が持てていない証拠ですよね。引いてからは落ち着いていたし、スピードも悪くなかったけれど、まだ、脚に疲れは感じますね。それでもようやくお客さんに貢献できたし、今の状態の中ではまずまずのレース。明日も集中して走りますよ」


<3R>
酒井耕介選手
酒井耕介選手
   先まくりを打った加倉正義の外を更にまくった柴崎淳の番手から酒井耕介(写真)が抜け出し1着をもぎ取った。
 「柴崎もほぼ一周踏みっぱなしでしたからね。最後はきつかったんじゃないですか? その分、僕も交わせたのだと思います。柴崎はダッシュが強烈だけれど、以前、一度連係しているので、勝手は分かっていたし、落ち着いて対応できました。今日は僕も脚が軽かった。昨日、金子(貴志)の後ろで引きずりまわされたのが、良い練習になったのかもしれませんね(笑)」


<4R>
中村一将選手
中村一将選手
   牛山貴広と菊地圭尚がもがき合う展開となったところを、一角から仕掛けた中村一将(写真)が豪快にひとまくり。後続を大きく引き離し伊藤保文とのワンツーを決めた。
 「勝つとしたらここしか無いと言うドンピシャのタイミングで仕掛けられました。もう少しレースの動きが遅ければ先行しても良かったんですけどね。前がもがき合いで隊列が短かったし、展開に恵まれた事が大きいけれど、風も気にならなかったし脚も軽く感じました」


<5R>
荻原尚人選手
荻原尚人選手
   二段駆けをもくろむ南関勢の野望を打ち砕いたのは荻原尚人(写真)。打鐘での踏み合いを制して主導権を握ると、志村太賀の仕掛けも封じる。さすがにゴール前では力尽きたが、「めちゃめちゃ踏んでくるようだったら追い上げる事も考えたけど、出られそうな感じだったので思い切り踏みました。とにかく出切ることだけだったので、さすがに余力は残ってませんでしたね」と笑顔を見せた。
 勝った斎藤登志信は「連日、前の若手が頑張ってくれて嬉しいですね。今の状態じゃ前に注文は付けられないし、とにかく全て荻原君に任せていました」と後輩をねぎらう。
 2着の岩見潤はニンマリ。
 「(選んだ位置が)正解だったね。斎藤君がどこで踏むのか分からなくてコースを探してしまったけど、2着なら。荻原君とは以前に運命的な出会い方をしたこともあるんで、何か縁があったのかもしれませんね」


<6R>
有賀高士選手
有賀高士選手
   篠原忍と飯野祐太がやり合うところを金子貴志が一気にカマす。最後は番手有利に抜け出した有賀高士(写真)が抜け出して1着を手にした。
 「借り物のフレームだったんですが、うまく感覚が合ってくれて、違和感なく踏めました。さっそく寸法を測ってみましたよ(笑)。出脚はキツかったけど、追い付いてからは楽になりました」
 打鐘で飯野祐太ともがき合ったり、最終バックからはまくり発進したりと大立ち回りを演じた篠原忍は、9着の結果にも表情は明るい。
 「まさか打鐘で飯野君に突っ張られるとは。予想だにしない事が起こった時点で、もう脚は一杯でした。今日はギアを上げていた分、その後も脚を休めることが出来なかったですからね。それでも強豪相手に自分のレースは出来たし、落車の影響で練習が出来なかった割りには動けているし、上出来ですよ」


<7R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
   先行する松岡健介の番手で仕事をした市田佳寿浩(写真)が直線で鋭く抜け出し1着をもぎ取った。
 「ケン(松岡健介)はライン2車なのにしっかり踏み込んでくれた。その頑張りに僕がどう応えられるかというレースでした。3番手に海老根君が入っているのは分かったけれど、彼は一度脚を使っていたから、海老根君より後ろから来るまくりに注意していました。そうしたら浅井君が来たのが分かったので、半分ダメもとで当たりに行ったけれど、上手く止める事が出来ましたね」
 圧倒的な人気を集めた海老根恵太は2着の結果に表情は冴えない。
 「松岡君を叩いて先行とも考えたけれど、付いていくだけで脚が重くて正直ヤバイと思いました。(海野)敦男さんが入れてくれたお陰で三番手には入れたけれど結果的に後ろに迷惑を掛けてしまった。レースだからいつも良い成績が残せるわけでは無いけれど申し訳ないですね」


<8R>
佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
   後ろが離れ、単騎で先行となった小嶋敬二の番手に永井清史がはまり込む展開。直線に入ると永井の番手から佐藤慎太郎(写真)が鋭く抜け出した。
 「永井は、誰が来ても突っ張ると言っていたけれど、さすがに小嶋さんが一人だったから引いてましたね。でも、その後は上手く対処してましたよ。僕もまくってきた五十嵐(力)を上手く止めることが出来ました。そのあおりで(井上)昌己も止まったみたいだし良い仕事ができましたね。直線に入り小嶋さんが斜行してきたので、永井と小嶋さんの間を割らせてもらいました。それでも最後は伸びているし状態はいいですよ」
 2着の永井清史も満足そうにレースを振り返る。
 「本当は絶対先行という気持ちだったけれど、小嶋さんが一車だったんで割り切って引きました。僕自身は感じ良く踏めたし、状態はいいと思いますよ。二角で慎太郎さんのブロックで、五十嵐さんと井上さんが止まった事も助かりましたね。今は僕もGP出場のボーダーライン。一戦一戦集中して、少しでも賞金を上積みしないとですからね」  


<9R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   谷津田将吾の番手からレースを進めた伏見俊昭(写真)は、最終バックで谷津田が不発と見るや、自ら発進。豪快に前団を飲み込むまくりで快勝し、8着に終わった前日のうっ憤を晴らした。
 「(谷津田)将吾もずっと内に詰まっていたからね。僕もバックまでは仕掛けずに待ったけれど、あそこで出ないと後ろのラインにも被ってしまいますからね。最後は良く伸びました。それだけに昨日の敗戦が悔やまれますけどね。あと一日集中して頑張ります」
 2着入線は三宅伸。最終バック8番手から直線で鋭く伸び、状態の良さを印象付けた。
 「数週間前から急に体の状態が良くなってきて、レースで大ギアを踏み切れるようになった。走っていて本当に気持ち良いですよ。でも、こんなにも状態が良いときにマルさん(石丸寛之)と一緒に走れないのが悔しいよね。もう少し早く治ってくれれば良かったのに…」


<10R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
  いよいよ決勝進出をかけた準決勝。このレースは人気の関東勢が圧巻のカマシ先行で別線を一蹴した。勝ったのは番手の神山雄一郎(写真)。車間を切ると、計ったようにゴール前で逃げる平原を捕らえた。
  「康多は踏み出し、カマす力がすごい。あれをやってもらったら後ろの選手はいいですよね。助かります。あれだけ掛かってればまくれない。すごいかかりでしたよ。仕掛ける気配は何となく、予測してないと付いて行くのは厳しいですよ」。最後も平原とのあうんの呼吸を強調。平原を称えながらも、自分自身の仕上がりに確かな手ごたえをつかんだ様子だ。 2日目のレース後にセッティングをいじった効果はてき面だった。
 平原康多は打鐘過ぎからほぼ1周半のカマシ先行でも力強く2着に粘った。
 「今日は抜群に良かったです。昨日感じた違和感を修正するためにセッティングを色々いじった成果だと思う。昨日だったら、あそこのポイントで行けなかったと思う。みんな強いんでペースが上がったところで行ったから脚は本当に一杯だったけど、着も良かったし何より力を出し切れたのが明日につながるんじゃないかな」
 3着には幸田光博がきっちりと食い下がった。
 「作戦は押さえ先行で誰かがカマして来たら三番手って感じだった。平原が単独になったときにもう行くなと思って踏んでたのがよかった。苦しかったけど追いつけたし、決勝に乗れてよかったです」
 松岡貴久は六番手からバックまくりを打ったが佐藤友和のブロックに遭う。最後はインコースから外に持ち出したが4着までが精一杯。    「行けるかと思ったけど、キツかった。(佐藤)友和さんも行くかと思ったら、俺をブロックに来たのでアレッて感じでしたね」
 松岡マークの小倉竜二は直線内を踏んだが届かず。
 「松岡が仕掛けたときに外に差してて(佐藤のブロックで)ハウスした。脚は良いと思うけど、ちょっとキツかったね。調子が上がるとコケたりするし、今日はバックで落車しないように必死で耐えました」


<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   11レースは山崎芳仁(写真)の一人舞台だった。打鐘で木暮安由に突っ張られ、立て直した三番手から仕掛けると今度は内から新田康仁の抵抗に遭う。そこに今度は石丸寛之がまくり上げて来たが、これを張りながら踏むとそのまま押し切った。
 「何とかしのいじゃったって感じですね。今日は後ろ攻めになると思ってたし、ダメなら押さえて駆けるつもりだった。バックで石丸さんが見えたので合わせ切れればと思ったけど、あそこで耐えられたので調子はすごく良いと思います。練習してて調子が良かったし、うまく調整もできて今回はイケると思ってた。まさかここまで良いとは思わなかったけど、感じも日に日に上がってると思います」
 連日、山崎をマークの成田和也。今日も目の前でその強さをまざまざと見せ付けられた。
 「今日も昨日も強かった。僕の感じも悪くないけど、差せる感じではないですね。山崎は最後まで踏めてましたよ。明日? 抜ければ良いですけどね」
 有坂直樹が続いて3連単も一番人気。久々のビッグ優出を決めた。
 「いやー山崎は強かったね。成田も道中併走となってきつそうだったけれど良くしのいでいたしね。前の二人のお陰で僕は楽させてもらえました。それにしても決勝に乗れるのはうれしいよね。GⅡの決勝となると、去年のふるダビ弥彦以来だよ」
 山崎に木暮、新田が次々と襲い掛かり絶好のまくり頃に見えた石丸寛之だったが、渾身のまくりは不発に終わった。
 「打鐘でバックを入れたのがキツかった。行けるかなと思ったけど、山ちゃんはこっちを見てるから、もうひとギア上げられるなと思った。やっぱり強いね」


<12R>
村上博幸選手
村上博幸選手
   後ろ攻めから打鐘で先行態勢に入った武田豊樹だが、内から抜け出した栗田雅也に先制され浮かされる大ピンチ。そこをバックから吉田敏洋がまくり上げると、ライン三番手の村上博幸(写真)が鮮やかに伸びた。
 「敏洋のスピードも良かったけどね。(渡邉)晴智さんの動きは見えてたし、幸二さんが抜けて自分のところ(ブロックが来る)かなと思ったけど乗り切れた。まくりの三番手から勝てたのは大きい。色々な戦法をやってきたのが生きたのか、今日もきれいに脚を溜められた。今回は疲れが心配だったけど、あれだけ伸びてるし日に日に軽くなってる」
 山口幸二は2着で決勝に進出。これで年末のGPにまた一歩近づいたが「晴智を越えたときに栗田と吉田がからんだ。そこで内に差してて伸びを欠いた分、最後は食われたね。(決勝進出だが)明日のことを考えると、浮かれ気分は終わった」。早くも勝負の決勝戦へ視線を向けた。
 栗田ライン三番手で立て直した武田豊樹が外を強襲。3着で何とか決勝戦最後の切符を手に入れた。
 「ダメですね。栗田が内を来ると思わなかったけど、稲村(成浩)さんにアシストしてもらったのが大きかった。あそこで入れてもらえなければ3着はなかったから。今日は稲村さん、阿部(康雄)さんのおかげです。最低でも決勝に乗らないと困っちゃいますからね。力を出し切るレースができなかったけど、しぶとく3着に入れてよかったです」
 バックでまくったときにはラインで決まったかに見えたが、吉田敏洋は栗田のブロックで5着に沈んだ。
 「残念だけど、(決勝を)狙った結果だからしょうがない。普通ならタレてくるのに栗田は調子がいいね。でも、きれいにまくれなかったのは力不足です」
 栗田雅也は「中団を取ろうと思ったら(内を)武田さんが空けっぱなしだから。自分で持っていくのなんて久しぶり。もう一杯です」と先行策に出た経緯を説明した。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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