レース展望
 
共同通信社杯 秋本番とは
 
イベント・本場ファンサービス
 
テレビ放送予定
 
参考データ
 
優勝者の横顔
 
   
 
 4月に開催された春一番に続き、第23回共同通信社杯・秋本番が取手競輪場で開催される。ホームバンクでの開催に燃える武田豊樹が必勝を期してくるが、完全復活なった山崎芳仁やGI初優勝を達成して一段とパワーアップした海老根恵太らの抵抗も厳しく、白熱した優勝争いが演じられるだろう。また、いよいよ佳境に入ってきたグランプリ出場権を懸けた賞金争いも見どころだ。
グランプリ出場を懸けた熱き戦いが燃え上がる!
地元・武田豊樹が盤石の構えで優勝を目指す
 武田豊樹が地元ファンの声援にきっちり応えてくれるだろう。武田は日本選手権でGI初優勝を達成後もビッグレース連続優出と安定した強さを見せており、サマーナイトフェスティバルでは山崎芳仁-伏見俊昭の黄金ラインを捲って優勝している。全日本選抜ではまさかの二次予選敗退となったが、3日目特選は打鐘先行で後続を6車身ちぎって圧勝しており、調子には問題ない。もちろん取手バンクとの相性もまったく問題なく、昨年9月の記念を優勝、今年8月のFI戦では逃げ切りの3連勝を飾っている。
武田豊樹 茨城・88期
武田豊樹 茨城・88期
  同じ関東の平原康多も高松宮記念杯でGI初優勝を達成したあとは寛仁親王牌と全日本選抜を連続優出と好調だ。今回も決勝戦で平原との連係があれば、武田の優勝の可能性がますます高くなる。
  さらに武田や平原を目標に神山雄一郎が勝ち上がってくればお馴染みの関東ラインが出来上がる。寛仁親王牌での失敗を反省材料に今度こその上位独占を狙ってくるだろうし、8月31日現在で賞金ランキングの7位につけている神山が、グランプリ出場に王手をかけることも考えられる。

海老根恵太 千葉・86期
海老根恵太 千葉・86期
 海老根恵太が勢いに乗っている。寛仁親王牌でGI初優勝を達成したあとも全日本選抜で優出、8月函館記念を優勝とタイトルホルダーの仲間入りを果たしてから機動力が一段とパワーアップして、自信に満ちた走りを見せている。
  南関東では渡邉晴智が賞金ランキングで8位につけている。昨年の活躍ぶりと比べると今年は物足りない成績が続いているが、安定感はさすが。今回も相性抜群の海老根との連係があれば、さらなる賞金の上積みが期待できる。
 中部勢は、賞金ランキングで加藤慎平が6位、山口幸二が9位、小嶋敬二が10位、永井清史が11位につけており、年末の大一番に向けての巻き返しは必至だ。永井は4月の春一番でビッグレース初優勝を達成しており、寛仁親王牌で優出して好調を維持している。今回も先行にこだわった積極的な走りで中部勢をぐいぐいと引っ張っていくだろう。
永井清史 岐阜・88期
永井清史 岐阜・88期

完全復活なった山崎芳仁が地元・関東勢を打ち砕く
不死鳥・市田佳寿浩が近畿勢を盛り上げる
山崎芳仁 福島・88期
山崎芳仁 福島・88期
 山崎芳仁は春先から調子を崩していたが、全日本選抜で6回目のGI優勝を達成して完全復活を果たした。
  決勝戦は5番手で外並走の苦しい展開となったが、その状態から上がり11秒0の捲りを放っており、まさに山崎にしかなしえない圧勝劇だった。
  地元・関東勢が平原康多-武田豊樹の2段駆け態勢で優勝を狙ってきても、今の山崎なら真っ向からの力勝負で関東勢の野望を打ち砕くことができるだろう。

  伏見俊昭は全日本選抜の決勝戦では不運のアクシデントに見舞われて7着に敗れたが、初日特選では先手を取った渡邉一成の番手から捲ってきた小嶋敬二に切り替えての直線強襲で1着と、引き続き絶好調をキープしている。
  完全復活なった山崎にぴったりマークして、なおかつ差し切れるのはやはり伏見しかいない。仮に山崎が不発の展開になっても、いつも通りの俊敏な切り替え策や自力勝負で全日本選抜の無念を晴らしてくるだろう。
 市田佳寿浩はかつては一期先輩の伏見俊昭や太田真一らとともにタイトルに一番近い男と呼ばれていた時期もあったが、度重なるケガや病気のせいで長らく伸び悩んでいた。
  だが、ここへきてまさに不死鳥のごとく蘇り、5月別府記念を優勝、全日本選抜では最後は山崎の捲りに屈したが、俊敏な位置取りから中団をキープし、4角からのイン強襲で準優勝と大活躍だった。

市田佳寿浩 福井・76期
市田佳寿浩 福井・76期
 全日本選抜で市田追走から3着に入り、市田とともに表彰台にあがった村上博幸も復調気配だ。全日本選抜のあとはFⅠ戦ながら向日町で準優勝、続く福井では今年2回目の優勝と、持ち味の直線のスピードが戻ってきている。
 兄の村上義弘も相変わらず元気一杯だ。魂の走りを見せた日本選手権以降はビッグレースでの優出はないが、全日本選抜では準決勝まで勝ち上がり、続く高松記念は決勝4着と健闘している。賞金ランキングでも村上は12位とグランプリを狙える位置につけており、今回は近畿トリオが台風の目になる可能性が十分にありそうだ。
石丸寛之 岡山・76期
石丸寛之 岡山・76期
 石丸寛之も捲りのスピードが戻ってきている。昨年の大活躍と比べると今年はあと一歩足りない走りが続いていたが、サマーナイトフェスティバルでは決勝4着、全日本選抜では初日特選を上がり11秒0の差しで圧勝して決勝も5着と健闘。9月豊橋記念では優勝と波に乗ってきている。

復調気配の井上昌己が得意の捲りで一発逆転を狙う!
加倉正義や紫原政文らのベテラン勢が侮れない
 九州勢は今年はやや元気がなく、賞金ランキングでも18位の井上昌己が高位となっているが、その井上がようやく復調してきた。
  山崎芳仁と同じように井上も春先から調子を崩し、地元開催の共同通信社杯春一番で優出後は捲り不発の大敗が目立つようになった。
  しかし、寛仁親王牌で優出、全日本選抜では準決勝で惜しくも4着と敗れたが、2日目スタールビー賞を捲りで制しており、調子は再び上向きになっている。
 昨年のグランプリ覇者の井上は現状では今年の出場は苦しいが、今大会で弾みをつけて最後のチャンスとなる競輪祭で一発逆転を狙いたいところだ。そのためにも今大会で好成績を残して改めて存在感を示しておきたいはずで、井上の好走が十分に期待できる。
井上昌己 長崎・86期
井上昌己 長崎・86期
 追い込み型ではベテラン・加倉正義が、全日本選抜で久しぶりのGI優出を決めて気を吐いた。
 準決勝では井上を目標に、最終4角4番手から2着に突っ込んでおり調子は上々だ。次場所の四日市FIでは今年4回目の優勝を決めている。
  紫原政文は今年はまだビッグレースでの優出がなくやや物足りない成績が続いているが、毎回準決勝まで勝ち上がっており、底力はあるだけにやはり侮れない存在だ。

初日特選競走が3個あるが、第2日優秀賞は廃止
 4月の春一番は初日はオール一次予選だったが、秋本番は特別選抜予選3個レースと一次予選9個レースとなっている。しかし春一番と同様に第2日優秀賞は廃止されており、初日の成績によって二次予選Aか二次予選Bへ勝ち上がる。また初日は自動番組編成方式だが、2日目以降は競技会による編成となる。

共同通信社杯競輪の思い出
吉岡が3角捲りで4年ぶりのビッグレース優勝!
 吉岡稔真-加倉正義-合志正臣の九州勢が前受け、中団に松岡彰洋-山田裕仁-一丸安貴の中部勢、後方に伏見俊昭-岡部芳幸-小橋正義の東日本勢の並びで周回。赤板から伏見がゆっくり上昇すると、松岡は7番手に引いてからすぐに巻き返し、打鐘過ぎに先行態勢に入る。伏見の再度の巻き返しに合わせて松岡が最終ホームからスパート、伏見は松岡を叩けず、4番手の吉岡と並走になる。伏見と吉岡で中団の取り合いとなるが、最終バック手前で吉岡が伏見を牽制し、3コーナーから捲っていく。最後の直線に入ると、松岡の番手から抜け出す山田、山田と松岡の中を割ってきた一丸、大外を伸びてきた吉岡の3人が並んでゴールする。結果は8分の1車輪差で吉岡が99年7月の全日本選抜以来のビッグレース優勝となり、一丸がタイヤ差で山田を抑えて2着、山田が3着だった。


平成15年10月13日決勝 吉岡稔真 優勝

軽いバンクで先手ライン有利
捲りは先手ラインに合わされて決まりにくい
 取手はクセのない走りやすいバンクとして選手間でも好評で、どんな戦法でも十分に力を発揮できる。
  ただ捲りよりも先行のほうが若干有利である。4コーナーにオーロラビジョンがあることもあり、先手が後ろからの巻き返しに合わせて仕掛けられるので捲りは決まりにくく、3コーナーで先手ライン選手に捲りが止められてしまうケースも多い。
  05年2月に開催された東王座戦の決まり手を見てみると、全44レースのうち1着は逃げが7回、捲りが12回、差しが25回、2着は逃げが9回、捲りが4回、差しが16回、マークが15回となっている。
  ビッグレースでは捲りの割合が多くなるのが普通なので、この数字からも取手バンクは捲りが決まりにくいことがよくわかる。脚力の差が大きくないと、捲りは決まりにくいようだ。
  ちなみに先手ラインの選手が1着になったレースは23回で、通常のビッグレースと比べると先手ラインがかなり有利になっており、先行の番手をキープした追い込み型が抜け出し、2着もマーク流れ込みのパターンが多い。
  そのため主導権争いになるレースも多く、先行の仕掛けは打鐘前のバック入口で仕掛けて、4コーナーか遅くても最終ホームで交わして出ないと主導権は取りにくくなってしまう。
  競りはインが有利。カントも400バンクの標準的な値なので、外競りは不利になる。夏はバック向かい風、冬は追い風になることが多く、南に位置する利根川からの川風が吹き込むときもあるが、それでもインが極端に重くなることはない。

取手バンク
取手バンク
 周長は400m、最大カントは31度30分25秒、見なし直線距離は54.6m。4コーナーにクセがないのでインに入りにくく、中割りもコースが開きにくい。直線で無理にコースを見つけて突っ込もうとするよりも、ラインの3、4番手で脚をためて外を追い込んだほうが有利。遅めの捲り追い込みでの大外強襲も有効だ。

COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.