共同通信社杯 春一番
 
レース展望
共同通信社杯 春一番とは
ファンサービス
テレビ放送予定
参考データ
優勝者の横顔
 
 


 本年度より年2回開催となった共同通信社杯春一番が九州の佐世保競輪場で開催される。ホームバンクでの大会に燃える井上昌己が必勝態勢で臨んでくるが、王者・山崎芳仁や王国復活へ向けてパワーを取り戻しつつある中部勢が前に立ちはだかる。東王座戦でGII優勝を飾った海老根恵太や三宅達也らのスビードも侮れず、白熱した優勝争いが展開されるだろう。


地元の雄・井上昌己が競輪祭のリベンジ狙う!
スピードと積極性が光る三宅達也が台風の目だ
 
井上昌己選手
井上昌己 長崎・86期
 グランプリ覇者の井上昌己は今年に入ってからも競輪祭、西王座戦で決勝進出と勢いをキープしている。競輪祭では山崎芳仁の桁外れの捲りに屈したが、飯嶋則之との競り合いに勝って北津留翼の番手を守り切り、地元・九州勢の意地を見せつけた。
 今大会は地元も地元のホームバンクでの決戦だけに、競輪祭のリベンジには格好の舞台だ。得意の捲りだけでなく、縦横自在に動いての総力戦で優勝を狙ってくる。
 井上や北津留の活躍で九州の追い込み勢も自然と士気が上がる。昨年ブレイクした紫原政文や2月・豊橋記念で15年ぶりの記念優勝を飾った西川親幸、大塚健一郎や池尻浩一らも相変わらずのしぶとい走りで実績を残しており、ホームの井上をしっかり援護して九州勢での上位独占を目指してくる。
 
三宅達也選手
三宅達也 岡山・79期
 今大会の台風の目になりそうなのが好調・三宅達也だ。
 三宅は昨年後半から徐々に復調してきて、グレードレースでも山崎芳仁や小嶋敬二らを不発に終わらせる好走をときおり見せていたが、2月の奈良記念で念願の記念初優勝を飾っている。
 決勝戦は捲りだったが、勝ち上がりは連日の積極策でレース内容も満点に近かった。三宅と同様にスピードの切れる選手は上位陣にはたくさんいるが、三宅ほどの積極性を兼ね備えた選手は少ない。
 昨年の全日本選抜決勝で三宅伸と石丸寛之がワンツーを決めたように、今回も三宅達也の走りに乗っての中・四国勢の一気の台頭が期待できる。
 
海老根恵太選手
海老根恵太 千葉・86期
 海老根恵太もスピードと積極性を兼ね備えた選手だ。東王座戦では南関東勢を引き連れての迷いのない先行策で見事に逃げ切り、うれしいビッグ優勝を飾っている。
 三宅達也との対戦となった奈良記念では、三宅とは対照的に勝ち上がりは捲りの3連発だったが、決勝戦では三宅に対抗しての主導権取りで見せ場を作っている。
 今大会でも南関東ラインができれば、得意の捲りにこだわらない、思い切りのいい走りを見せてくれるだろう。
 

王者・山崎が超人パワー全開で主役の座を守り抜く
中部勢がラインの結束力で打倒・山崎を目指す
 
山崎芳仁選手
山崎芳仁 福島・88期
 優勝候補の筆頭はやはり山崎芳仁だ。東王座戦では3日間とも新田祐大の番手からの競走で、競り込まれるなどの不利もあって力を出し切れずに終わってしまったが、調子自体は問題ないはずだ。今大会も競輪祭で見せた超人的なパワーを発揮して主役の座を守り抜くだろう。
 今大会も東西王座戦と同様に準決勝までの番組は選考順位や前日の着順によって振り分けられるので、再び北日本の自力型同士での連係や別線勝負を余儀なくされるシーンがあるかもしれない。
 しかし、輪界の王者たる山崎としては同じ過ちを繰り返すことはできない。東王座戦での失敗から多くの教訓を学んでいるはずで、再び番手戦を選択することになってもファンの期待を裏切らない走りを見せてくれるだろう。
 
山田裕仁選手
山田裕仁 岐阜・61期
 ラインの結束力で打倒・山崎を目指すのが中部勢だ。永井清史、浅井康太、柴崎淳らの若手自力型が順調に育っており、山田裕仁、加藤慎平、山口幸二らの追い込み勢もしっかりしているので、北日本勢とは対照的に中部勢が3人、4人と並んだ時のラインは強力だ。
 大将格の山田裕仁が好調をキープしているのも好材料だ。競輪祭で決勝進出、2月・静岡記念では関東ラインの3番手からの追い込みで優勝、西王座戦の決勝戦では稲垣裕之の後ろで岐阜勢3人がうまく折り合って加藤慎平の復活優勝を演出している。
 
武田豊樹選手
武田豊樹 茨城・88期
 武田豊樹と平原康多の両大砲を抱える関東勢もライン的には強力だ。
 武田は競輪祭では準決勝で惜しくも4着と敗れたが、井上昌己や小嶋敬二を相手に先行策で飯島則之の決勝進出に貢献しておりレース内容は良かった。東王座戦でも予選1は佐藤友和にまんまと逃げられて6着に終わっているが、予選2では佐藤を叩いて主導権を取り切り、神山雄一郎とワンツーを決めて神山とともに決勝進出を果たしている。そして3月日本選手権で悲願のGⅠ初優勝を飾っている。
 神山も東王座戦の決勝戦では武田が不発の展開から2着に突っ込んで健在ぶりを見せつけている。
 年頭から不振が続いていた平原も、近況は先行主体の競走に戻してようやく復調気配が見えてきており、今大会も完全復活を目指しての激走が期待できる。
 ビッグレース初出場となる牛山貴広と神山拓弥の若手の活躍も楽しみで、関東の追い込み勢にとっては大きなチャンスが広がるだろう。


番組編成は選考順位と前日の着順によって決定される
シードレースがなくなり初日はオール予選に変更
 
 本年度から共同通信社杯は春と秋の年2回開催となったが、番組編成に関しても大きな変更が実施されている。
 初日には従来の特選や優秀などのシードレースはなくなり、12個レースがすべて一次予選で番組は選考順位による振り分けで決定される。
 2月の東西王座戦と同じシステムで、東西王座戦の場合は東日本と西日本とが分かれていたが、今開催は108名の選手を振り分けていくので地区的に偏りすぎた番組になる心配は少ない。
 一次予選で2着までに入った24名と3着の中で選考順位最上位者の3名が二次予選Aへ、3着の残り9名と4着と5着に入った24名と6着の中で選考順位上位者の3名が二次予選Bへ進めるが、これも自動的に振り分けられて番組が決定する。
 さらに二次予選Aの5着までの15名と二次予選Bの3着までの12名が準決勝へ進めるが、これも3個レースへ自動的に振り分けられる。
 今開催の出場選手は(1)S級S班在籍者、(2)第21回共同通信社杯競輪決勝競走出走者、(3)北京オリンピック自転車競技トラック種目代表選手、(4)ヤンググランプリ08出走者から優先的に選抜されているが、これに加えて共同通信社が活躍を期待する3名が推薦選手として選抜されている。
 その3名は若手の有望選手である牛山貴広と神山拓弥に、地元・九州地区のエースである大塚健一郎だ。
牛山貴広選手
牛山貴広 茨城・92期
神山拓弥選手
神山拓弥 栃木・91期
大塚健一郎選手
大塚健一郎 大分・82期


直線の短い丸形の走路で先行ライン有利
 400バンクだが、元は500バンクだったものを改修して造られたのでコーナー部分が長い丸形の走路で、直線は短い。カントも緩いので捲りは難しく、先行が有利だ。
 04年4月に開催されたふるさとダービー佐世保の決まり手を見てみると、全44レースのうち1着は逃げが3回、捲りが13回、差しが28回、2着は逃げが14回、捲りが2回、差しが11回、マークが18回となっている。
 逃げ切りは少ないが、逃げ粘りの2着が多く、やはり他の競輪場でのビッグレースと比べると捲りの出現率がやや低くなっている。
 捲りは外々に振られやすいので、1コーナーから仕掛けてバックでハナに立つぐらいのタイミングで仕掛けていかないと不発に終わりやすい。捲りで実績を残しているトップクラスの選手であっても、早めに仕掛けられる選手かどうかがポイントになってくる。
 直線では特別に伸びるコースはなく、スジ違いの決着の出現率も低い。04年のふるさとダービーでも全44レースのうち30レースが並び通りのスジで決着している。

カントが緩くて外々に振られるので捲りは難しい
 周長は400m、最大カントは31度28分37秒、見なし直線距離は40.2m。1角後方の道路を隔ててすぐに佐世保港があり、1センター方向から2センター方向へ海風が吹くのでバック追い風が多く、カマシ先行が有効だ。抑え先行の場合も向かい風になるホームでカマされないように早めに仕掛けていく必要がある。