『第25回共同通信社杯秋本番(GII)レポート』 3日目編
 
配信日:10月10日


 第25回共同通信社杯秋本番は大会3日目までを終了。いよいよ決勝進出の9名が出そろった。準決勝では地元・近畿勢が大苦戦。決勝には川村晃司ただ一人を送り込むに止まった。一方、伏見俊昭が3カ月ぶりに決勝進出。グランプリへの賞金レースも盛り上がりを増す。明日の決勝戦はさらに注目度が高まる。
 最終日の明日(11日)は中野浩一さんのトークショーで注目のファイナルを盛り上げます。その他にも場内では様々な催し物で皆様のお越しをお待ちしております。ぜひ競輪場に足をお運びください。



<1R>
倉野隆太郎選手
倉野隆太郎選手
   倉野隆太郎(写真)が4.08のギアで主導権を握り、3日目にしてようやく持ち味を発揮した。2着に粘って最高の笑顔を見せる。
  「ギアが大きいので脚の回転がゆっくりになる。落ち着いて踏めますね。今日は本当に嬉しい。朝日さんのアシストが最高でした」
  勝った朝日勇も「倉野君は良い掛かりでしたよ。今日は展開に恵まれました。残せるかどうか半信半疑だったけど、うまく走れましたね」


<2R>
高谷雅彦選手
高谷雅彦選手
   高谷雅彦(写真)が積極的な競走を見せた。岩本俊介の番手にはまり込み、最後は意地のまくりで1勝を手にした。
  「前々に攻める気持ちが結果につながりましたね。自分は残り半周で勝負できる脚質じゃないという自覚はあるので、残り1周半からどれだけ踏めるかが勝負。久しぶりにビッグレースを走ったので楽しいですね」


<3R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
   中川誠一郎(写真)が後方まくりで他をぶっちぎった。しかし、レース直後は表情は険しいまま。初手は坂本貴史の3番手。赤板前に藤木裕にドカされて、坂本のペース配分を乱すきっかけを作り、「レース内容がダメ。凄いスピード? ドカされてしまってはね。今日は良かったけど、明日はどうか…」。シリーズ初白星にも、気持ちを引き締めた。
  志智俊夫は勘良く中川へスイッチした。2着入線も、最終1センターで大きく離れたプレーに「(中川は)強い。踏み出しから付いていけなかった。千切れたね。最終日は何とか集中力でカバーしたい」。


<4R>
上原龍選手
上原龍選手
   上原龍(写真)がビッグ初勝利。田中誠と栗田雅也の叩き合いを早めの巻き返しで仕留め、「半信半疑、出切れるとは思わなかった。ただ、あそこしか仕掛けるポイントはなかった。感じはつかめている」と笑顔を見せた。
  田中誠は最終回でイン詰まり。打鐘で栗田に叩かれて、「要所、要所で踏み遅れている。連日、調子と動きが噛み合っていない。打鐘で3番手に下げた時点では何とかなると思ったけど、5番(上原)の仕掛けが早くて包まれてしまった」。
  栗田雅也はペース駆けに持ち込めず、「上原君の仕掛けが予想以上に早かった。田中君に少し突っ張られたのも想定していなくて…。ただ、攻める気持ちはある。明日もしっかりと頑張ります」。


<5R>
佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
   北日本トリオがワン・ツー・スリーで確定板占め。渡邉一成はゴール寸前で差されて2着だが、2周近くの逃走に、「体の芯に疲れが残っている。フワフワした感覚があるから、集中力でカバーしたい。(最終)3コーナーで踏みすぎた。西谷(岳文)さんが凄い勢いでまくってきたのが見えたから。それにしても、長い距離を踏んだ。明日も負け戦だけど大事。しっかりとケアして備えます」。
  佐々木雄一(写真)は展開勝ちを強調した。別線の反撃を完封して、「西谷さんが良いスピードで来たから、こっちも必死。オレが張った後で、有坂(直樹)さんも張っていたぐらい。岐阜記念の最終日は(渡邉を)差せなかった。凄い踏み直しを考えて、普段以上に全力で交わしにいったよ」。


<6R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
   香川雄介が『らしさ』全開で勝った。桐山敬太郎が脇本雄太を相手にまさかまさかの突っ張り先行。最終2角で番手まくりした石毛克幸が2センターで内を開けた瞬間に、最内のコースを鋭く駆け抜けた。「前がイッパイになってくるのが見えて、外を踏もうかなと。内に行ったのはたまたま。レースが見えている。次は地元の観音寺記念。良いきっかけになりました」。
  石毛克幸は反省しきり。「完全にミス。外を張ろうと、カントの外へ上がってしまった。桐山君は(脇本相手に)突っ張るか、番手で粘る作戦。そんなにタレたわけじゃないし、オレは番手から出る必要もなかった。何か流れが悪い」。
  敗れた脇本雄太(写真)はさすがに悔しそう。「ギアを4倍に上げて、競輪祭を見据えた押さえ先行をしたかったんですが、そんな展開にすらならなかった。桐山さんの動きは意外でしたね。このまま収穫なしでは帰りたくない」。


<7R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   小嶋敬二(写真)が昨日の鬱憤を晴らす豪快なまくりで後続をぶっちぎった。
  「いやぁ、疲れるレースでした。昨日は前任せだったので仕方がない。納得しています。でも自分でやった方が今は結果も出るし、これからは考えないといけませんね」
  神山雄一郎は「後ろになったのが誤算だったね。予定より1周動くのが早くなってしまった。石丸の動きも予想していなかった。鈴木君は脚を使っていたから仕方ない」と前を任せた鈴木謙太郎を気遣う。


<8R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   佐藤友和(写真)は連日の先行勝負。今日も残り2周から飛び出して見事に1着をゲットした。
  「今開催はかなり良い練習ができていますね(笑)。見ての通り調子はかなり良いですよ。やっぱりこのバンクは僕の脚質に合ってますね。今はグランプリに向けてテーマを持って走っています」
  絶好の中団から仕掛けた海老根恵太だが、終2コーナーでアクシデントに。
  「内藤さんの一振りで完全に止まってしまいましたね。危うく追突しかけて、もう一度ゼロから仕掛け直す羽目になった。自分で動いて展開を作れたし、感じは悪くないんだけど。この後は地元の千葉記念だし、流れをつかんで帰りたいですね」
  坂本健太郎は「アタマまで行ったと思ったけどな。伸びた感触はありましたからね。こんなに自分の着を間違えたのは初めてです」。


<9R>
小林大介選手
小林大介選手
   「単騎は得意になりました」と話していた小林大介(写真)が、言葉通り単騎でのレースを制した。内をすくっての俊敏な動きで強力中部勢を粉砕。
  「こうやって気楽なレース限定ですけどね。一人だと、展開をしっかり予想して走れるし、自分の好きなタイミングで動くことができる。今日は永井君の先行が見えていたので、その後ろを確保する作戦。あとはインが空いたのを確認しながら前に踏んでいきました。警戒されると勝てなくなると思いますよ(笑)」
  先行にこだわった永井清史は「気持ちのスイッチが入っていました。村上義さんに、先行で頂点を争っていた頃の話を聞いて、自分の中で吹っ切れるものがあった。これからも先行で戦い続けたい」。


<10R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
   準決勝のオープニングレースでは武田豊樹が貫禄の勝ち星。深谷知広のチャレンジを力で退けた。
  「自力で走るレースが減っていたので、感覚のズレがあった。でも深谷君という対戦しがいのある相手と戦うことで、これからのキッカケにしたかったし、自分の本来のスタイルをぶつけるには最高のレースでした。全日本選抜での落車からも大分立ち直ることができているし、グランプリに向けてしっかり戦いたい」
  小倉竜二(写真)は久しぶりのビッグ優参。
  「調子というより流れで乗った感じやね。加倉さんが外に持ち出していたので、まくりに行ってくれないかなと思ったら前に踏んでくれたのが全て。最後も吸い込まれるようにコースを踏めた。今まではなかなか調子と展開がかみ合わなかったけど、ようやく流れが変わってくれたね」
  飯嶋則之は「武田さんに付いていっただけです。最近はグレードレースで決勝に乗れていなかったので素直に嬉しい」と控えめに喜びを表す。


<11R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   北日本ラインが頭脳プレーで厳しい戦いをしのいだ。伏見俊昭(写真)は村上博幸を競り落とし、最後はしっかり差して1着。
  「3カ月ぶりの決勝です。今日は(村上)博幸か柴崎君が競りに来るだろうと思っていたので、楽なレースにはならないと覚悟していました。333バンクだし、内で勝負でしたね。多少遅れても勝負になりますから。ラインで上位を独占できたし、最高の結果です」
  3着の斉藤正剛は笑顔が絶えない。昨年の競輪祭以来となるビッグ優参。G2に限れば10年ぶりだ。
  「何をしても『何年ぶり』とか『久々の』と書かれますね(笑)。時の流れを感じますよ。今日は3番手なりにうまく走れたと思う。ベテランの味を出せました。僕も大人になったということですよ」
  近畿勢は優参ならず。市田佳寿浩は「村上君に任せた結果ですから。どちらか前で精一杯やるだけですよ。気合が入っていただけに悔しいけど、明日またしっかりレースをすることが何より大事です」と前を向く。


<12R>
川村晃司選手
川村晃司選手
   園田匠は内をすくわれるピンチをしのぎ、さらに最終4コーナーからインコースを突き抜けて1着。
  「今日は小岩君が行ってくれたおかげ。それに尽きます。競走なんで、展開は何でもありだと思っているから、内をすくわれたのは仕方がない。とにかく勝つことしか考えていません」
  山崎芳仁が薄氷を踏む思いで決勝進出だ。九州トリオの出方を読み違えたのが原因。後方から大外を執拗にまくり上げて、佐藤慎太郎とはわずかな着差の3着に「正直、よく凌げたなというのが実感。緩んだとこで仕掛ける作戦。小岩(大介)君があんな勢いで逃げるとは。前からのあおりが凄くて、(最終四角でも)大外を踏まされて。ただ、状態は良いし、明日もしっかりと」。
  村上義弘はファイナルシートを逃がした。鮮やかに中団まくりを決めた川村晃司とワン・ツー失敗に、「オレのミス。川村は強いし、全然スピードが落ちなかった。自分で仕掛ける必要がない勢い。オレは山崎の巻き返しを引きつけるだけ引きつけた。で、インを突いてくるのは園田君かと。全く想定外だったよね、小岩君が逃げたのは。オレ達に飛び付いてくるかと思ってた。5番(加藤慎平)が離れて、代わりに園田君が後ろにいると分かっていた。内を突くはずの園田君が2センターで外を踏んでいるから油断した。それで紫原さんのコースを作ってしまい…。川村には不甲斐なかったオレ達の分まで、良いレースをしてもらいたい」。
  小岩大介はしゃにむに逃げた。「一番前を任せてもらった。中団を確保しても、まくれないメンバー。それであの仕掛けに」。
  川村晃司(写真)は決勝進出にもやや浮かない表情。「村上さんと乗りたかったですね。それが引っかかります。けど、ビッグの決勝に乗ったことは素直に嬉しい。明日は強力なメンバーだけど、とにかく力を出し切ることだけに集中して走りたい」。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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