『第30回共同通信社杯(GII)レポート』 3日目編

配信日:4月28日
 第30回共同通信社杯は佳境の3日目を迎えた。今日は準決勝3個レースで決勝進出をかけた最後のサバイバルレースが繰り広げられた。勝ち上がったベストナイン、やはり自力型は豪華メンバーになった。明日の決勝戦では深谷知広、新田祐大に稲垣裕之、平原康多ら輪界を代表する機動型が火花を散らす。
 最終日は加瀬加奈子選手、山原さくら選手によるトークショー(5R発売中)や長野五輪金メダリスト清水宏保さんのトークショー(6R発売中)、獣電戦隊キョウリュウジャーショー(4R、7R発売中)など大人から子供まで楽しめるイベントが予定されています。表彰式には2014年度KEIRINイメージキャラクター中村アンさんが登場します。明日もぜひ迫力あるレースを伊東温泉競輪場でお楽しみください。
滝澤正光校長 小川美咲選手 トークショー
タカシェンカ 大道芸ショー
イザナギTaRO 懐メロ音楽祭
市田佳寿浩選手 トークショー
<1R>
早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 赤板で矢口啓一郎、さらに愛敬博之の順で先頭が入れ替わると、さらに打鐘で早坂秀悟(写真)がカマして最終主導権。早坂は別線をシャットアウトすると、最後は番手の紺野哲也を振り切って堂々の逃げ切り勝ち。
 「やっと感じをつかめました。連日、自分としては調子は良くないと思ってたけど、印を付けてくれてた新聞社もあったし、周りからも『別に悪くないだろ』と励まされたので、今日は思い切っていきました。6着以内(7~9着は帰郷の予定)を狙うレースより、自分のレースで思い切って行ってダメなら帰って練習するつもりで。勝ててよかったです」
 マークした紺野哲也は2着確保が精一杯。
 「(早坂)秀悟はダッシュが良いから踏み遅れて。休まるところがなかったし脚が一杯。ホントきつい」

<2R>
藤田竜矢選手
藤田竜矢選手
 2段駆け態勢の千葉トリオが主導権を握り、藤田竜矢(写真)は絶体絶命の8番手。それでもホーム手前から巻き返すと、必死で抵抗する鈴木裕を力でねじ伏せた。
 「昨日は位置を取って一杯だったので、僕はああいうのが好きらしいです(笑)。届くとは思いましたよ、4着までは(笑)。アタマまで行けるとは思わなかった」
 鈴木裕は中井(勇介)の頑張りに応えられず無念の表情。
 「(中井勇介を)残せる感じだったんで、あそこで出て行ってもと思った。(中村)浩士さんには『見えたときには遅い』と言われてたんですけどね。見えたときにスピードが違ったし、来てからじゃ間に合わなかった。決め切れればよかったんですけどね」

<3R>
菅田壱道選手
菅田壱道選手
 小松崎大地が今日は粘りを見せた。赤板で小松崎はカマして先頭に立つと、一本棒に持ち込んで主導権。8番手から稲毛健太、6番手から郡司浩平がまくり上げるが伸びは今ひとつ。最後は番手を回った菅田壱道(写真)が差し切って1着を手にした。
 「恵まれましたね。小松崎さんは掛かってたので、後ろからなかなかまくって来れないだろうと。僕も余裕を持って対処できましたね。決まったと思ったんで、ワンツーを決めたかったからギリギリまで待ちました。本当なら昨日できれば良かったんですけどね」
 小松崎大地はペースに持ち込み2着に粘り込んだ。
 「キツかったですね。初日、昨日と感触をつかめなかったけど、今日は残れたし良かった」

<4R>
宗景祐樹選手
宗景祐樹選手
 赤板前に和田真久留が落車し、残り2周は8人での戦いに。古性優作が前々に攻めると、乗った宗景祐樹(写真)が好展開を逃さなかった。
 「6番(阿部力也)があそこまで行くとは思わなかった。でも古性君が頑張ってくれました。初日に落車したけど、走れば体は大丈夫。それよりも初日がもったいなかったんで、その分も明日頑張ります」
 友定祐己は「こけたかと思った。荒井(崇博)もやめずに頑張ってくれたからね。和田君がこけて残念です」と自分が2着に入ったことよりも連係した和田を気遣った。

<5R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 竹内雄作―吉田敏洋の2段駆け態勢の中部勢は後方に置かれ不発。レースは上野真吾が逃げるなか、竹内をけん制して上手く3番手を取った渡邉一成がバックからまくり、最後は菊地圭尚(写真)が追い込んで2連勝。「今日も恵まれましたね」と喜ぶ。「竹内君を見ながらのレースになると思ったけど、ああなるとは思わなかった。渡邉君が上手くやってくれましたね。僕は付いていて余裕はなかったけど、今日はワンツーが決まってよかった」。

<6R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 池田勇人、石井秀治の中団争いを誘った原田研太朗(写真)がマイペース。そのまま押し切ってシリーズ2勝目を挙げた。
 「石井さんも内を探ってたし、うまく併走させられた。ペースで駆けて、2コーナーから思い切って踏みました。小倉(竜二)さんに『(特選に)上がって来い』と言われてたし、昨日から1着1着で嬉しいですね」
 単騎の宮越孝治はバックからまくって出るなどアグレッシブに攻めた。
 「行き切っちゃえば面白かった。もうちょっとだったですね。紫原(政文)さんを越えられれば。あとひと伸びでした。明日も力を出し切ります」

<7R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 早めからレースが動き、片寄雄己が先頭に出て赤板前から三谷竜生とやり合う展開に。こうなっては流れは九州勢のもの。もつれたところを松岡貴久がひとまくりし、直線で井上昌己(写真)が追い込んだ。
 「あんな展開になったし、もう決まったなと思った。あとは僕は付いていくだけだったので」
 2着の松岡貴久は「限度があるでしょう」と息を切らす。「思った通りの展開にはなったけど、とにかくキツかった。でもワンツーが決まってよかったですね」。
 新田康仁が懸命に前を追って3着に入る。
 「今日は(片寄が)9割で踏んで、行かれたら俺が川村(晃司)を退かして(片寄を)入れてあげて、緩んだら立て直して出る作戦だったけど。片寄は思い切り踏んでったね。キツかった。前2人には行かれてしまったけど、後ろに松坂(英司)もいるんで、追い付かなくても上位に入ろうと思って必死で踏みました」

<8R>
小川勇介選手
小川勇介選手
 上手く中団を取った猪俣康一がまくって、中部コンビがワンツー決着。しかし、浅井康太は「2着は猪俣さん?」と確認すると、黙々とクールダウン。猪俣がゴール後に落車したため、最後まで険しい表情を崩さなかった。
 まんまと猪俣に中団を奪い返されてしまった小川勇介(写真)は3着にこそ届いたが、口を突くのは反省の弁ばかり。
 「甘かった…。あそこが課題ですね。浅井がついてるんで、猪俣さんはあのまま行くだろうと思ってた。後ろに迷惑をかけて申し訳ない」
 逃げた松谷秀幸は「後ろ攻めは予想外。いつも先行してないからキツいですね」とその場にへたり込んだ。

<9R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 このレースは大荒れとなった。前受けの脇本雄太が突っ張り、さらに打鐘で追い上げた伏見俊昭がそのまま先行する予想外の展開に。展開が入り乱れ、バックでは各車がまくり上げて消耗戦となるなか、脚を溜めた中村浩士(写真)がコース取り良く踏んで直線で突き抜けた。
 「伏見さんが斬って緩めたから皆が追い上げてきてしまった。でも小埜(正義)君は田中(孝彦)君を上手く入れてあげて、頑張って前に踏んで行ってくれた。最後は危ないと思ったけど、行ける所まで行こうと思って踏みました。脚の状態は普通だけど、皆強いね」
 林巨人が3コーナーから内のコースを踏んで2着に食い込み大波乱。3連単は47万円台の超大穴が飛び出した。
 「一旦離れたけど、ああいう展開は予想してので、とにかく追い上げて行かないとと思って。それにしても皆スピードが違うね」

<10R>
新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)が決勝進出一番乗り。藤木裕が先行し中団には単騎の選手に入られ、置かれた位置は7番手。しかしホームから踏み込むと、好回転で前団を飲み込んだ。
 「今日は風を切るのは僕か藤木選手かという組み合わせ。(初手は)どっちがどっちの場所になっても同じ展開になったんじゃないですか。あとはどう組み立てて、どっから踏み出せばいいか。(成田に)『踏み出しがいつもの新田じゃない』と言われたので、明日は修正して完璧な状態で臨みたい」
 ぴったりマークの成田和也だったが新田をとらえることはできず。
 「付いて行くことだけを考えてた。(新田は)昨日バンクレコードだし、今日も強かった。昨日は深谷(知広)、今日は新田。連日、強い先行選手の後ろにつけて幸せ。明日もまず付いて行って、抜けるかはそれからです」
 稲川翔は3番手の佐藤慎太郎を飛ばすのが精一杯だった。何とか決勝進出を決めたが、ラインで決められず複雑な表情。
 「今日は藤木の気迫がすごかった。走る前からすごい気合の入れようでした。僕も気持ちがすごく入ってたし、何とかしたかったけどね。藤木はいい先行をしてくれたし、あれを行けるのがすごいと思う。今日は前と後ろのおかげ、それしかないです」

<11R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 松岡健介、牛山貴広の順で前に出ると、そこを打鐘から深谷知広が一気に叩いて主導権を奪う。別線の反撃もなく、番手絶好の岩津裕介(写真)が深谷をとらえた。
 「深谷が打鐘で前に行ってくれた。(ホームで)流してたら牛山も来ただろうけど、そこで踏んでくれて小倉(竜二)さんまで付いて来てたんでブロックする余裕もあるかなと思った。最後3コーナー(で緩んだけど)、あそこはみんな一杯(で来れない)。最後は力んでも出ないんで、いつもどおりに踏んだらスッと出た。自信になりますね」
 深谷知広はドンピシャの仕掛けで別線に出番を与えなかった。
 「あそこ(打鐘)が勝負のポイントだった。昨日の走りも影響してると思うし、しっかり先行してラインで決まればいいと思ってたんで。(連日脚を使ってるので)明日はどうなるか。リカバリーして。新田さんも勝ち上がってるし、ダービー(決勝)以上にいいレースが見せられるようにしたい」
 小倉竜二もきっちり続いて、ライン3車で決勝に進出。
 「岩津の車間空けで自分も1回(スピードを)落としてからの踏み上げで遅れた。ギアが足りんね。あれはさすがに誰もまくって来んと思いました。僕も一杯でしたよ」
 中団を確保した牛山貴広は「斬って飛び付きと思ったけど、飛びつけなかった。後ろには悪いけど、内を突っ込んで行こうと」。直線勝負にかけたが、小倉を交わすことはできなかった。

<12R>
平原康多選手
平原康多選手
 稲垣裕之が主導権を奪う。中団外で内の中川誠一郎に抵抗された平原康多(写真)だったが、1センターから仕掛けると村上義弘のブロックもしのいで稲垣をも飲み込んだ。
 「稲垣さんの番手は考えてない。中団(の中川)をキメるつもりもなかったし、外を踏んで勝負したかった。あそこ(村上のブロック)は本気で下りないと(不発になる)。落車覚悟で下りました」
 逃げた稲垣裕之は2着に粘った。
 「緊張感のなかでも冷静でした。中団の併走も見えてたし、平原を一番苦しめられる先行はできた。それで行かれてるし、そこは力の差。残れたのは村上さんのブロックのおかげです。明日も自分の仕事をしっかりするだけです」
 稲垣の番手で必死の援護を見せた村上義弘。ラインで上位独占こそならなかったが、3着で決勝戦最後の切符を手に入れた。
 「競輪らしいレース。走っていて興奮した。稲垣は強かったけど、平原君がすごく強かった」
 平原と中団を争った中川誠一郎は「平原がキメに来なかったので、まくりたいんだろうなと思った。内もすくえたけど、行ったら詰まって終わりそうだし、(平原のまくりを)待ってたけど…。判断が難しかった」とレースを振り返った。
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