第30回共同通信社杯（GII）

優勝者コメント

　（ゴールした瞬間は）本当に一言で言うと、ただうれしいっていう気持ちがすごく強かったです。
　（レースでは）深谷君とそして稲垣さんと平原さんは単騎なんですけど。そのレースの中で僕と成田さんはおそらくうまい位置が取れるか、もしくは一番悪い位置になってしまうか…。どっちかだなっていう話はしていて。その中でおそらく僕らが、動き始めたら。そのあとからどんどん動き続けるレースになるだろうって思っていたのが、ちょうどそういう風になって勝因につながりました。もう（周回中で）後ろになった時点で、どういう風にするって決めていたので。そこは本当にもう迷いなく動きました。
　（まくりを仕掛けていったが）僕の前を走る選手は全員強いので、前の選手たちをひとりでも交わして風を切ることができるかちょっと心配の中で。いつも思っていることが後ろに付いてくださっている先輩たち、ラインの仲間たちに、ちょっとでもいい位置で勝負できるようにゴール前で勝負するためには僕がまくりの場合は先頭に出切らないと、先行だったら風を切って誰も出さないようにしないと。（ラインで）勝負ができないので、本当に先頭に立つまでは自分でもドキドキしていましたし。出てからも成田さんも付いていてくれて安心して走ってはいたんですけど、ゴール前失速するクセがあるんで。それが出てしまうんじゃないかって、自分の中で恐怖心がありました。
　昨年の（6月の）高松宮記念杯でも（成田たちと）ワンツースリーを決めることができたんですけど。その時も成田さんにブロックしてもらって、うまく先行できるように。自分でうまく力を出せるように組み立ててもらって、それがキッカケで去年はグランプリにも出られたと思っていますし。それ以外のレースでも昨年のオールスターもそうなんですけど。本当に（成田には）好きに走っていいってずっと言われていて。自分の好きなように走った結果がいつも、どうしても優勝に手が届かない場所になっていしまうというか。もうあと一歩って言うレースが多かったので、それが本当に自分でも悔しいですし。申し訳ないっていう気持ちが常日頃まとわりついていました。
　（4日制以上のビッグレース初優勝）今まで単発レース優勝っていうのは難しい調整でもあると思うんですよね。それとはまた違う難しさっていう、体力の続く限り戦い続けなきゃいけないっていう4日制から6日制のは。なかなか初日にコンディションが良くても、4日目に悪ければ勝てないですし。初日が悪ければ、4日目にいいパフォーマンスが出ても上の方（上位レース）で戦えないっていう。競輪ならではの独特の戦いがあると思うので、その中でこのように優勝できたことは本当に心の底からうれしいです。
　僕がこの競輪で頂点を目指そうって思ったのは五輪がキッカケでして。五輪で頂点を獲るためにはどうしたらいいかっていうのを考えて。そのためには日本で一番にならなければ、世界で一番になれないっていう考えのもと。それにはどうしたらいいか。日本の最高峰のレースといえばグランプリなので、グランプリに出場して優勝すること。そこから五輪につながって。（ロンドン）五輪が先に来てしまったんですが、五輪に出たことによって。その中で学んだこと、そしてそこが終わってから競輪で学んだこと。競輪以外でも学んだことがすごく多くて。それが次の年のグランプリに出場できたことだと思っていますので。本当に五輪、競輪っていうのは、切っても切り離せない関係だと僕の中では思っています。
　まずブラジル五輪に関してはもちろん出たいと思っています。まだどういう種目になるのか、どういうルールになるのか。（出場の）枠が取れるかとかも決まっていないので。今は強い位置にいること。世界でも常にトップ10にいるってことが目標なんですけど。その中で五輪がどういう風にしたら出られるかっていうのが決まったときに、すぐ枠を取れるような態勢を整えている状態っていうのが必要だと思っています。なのでブラジルは絶対に出たいと思っています。その次の東京五輪に関しても、年齢的にもまだ34歳ですし。ちょっと例外かもしれないんですけど。前回のロンドン五輪のケイリン、チームスプリント優勝のクリス・ホイ選手を考えると年齢的にもまだまだいけるってことが証明されているので。東京五輪もしっかり目指したいと思っています。
　（5月からの自粛で）僕に関しては、（自粛の）その間に（競技を）続けるというよりは、昨年度の10月から東アジア競技大会っていうのがありまして。その大会に出て1ｋｍとスプリントと優勝したんですけど。もう僕らの中では五輪は始まっていて、今年の1月もオーストラリア選手権、日本の全日本選手権にあたる大会にも出てますし。五輪についてはもう自分の中で始まっているっていうのがあるので、5月からも変わらず競輪はちょっとお休みになってしまうけど。競技の方でもっと高い位置で戦えるように、トレーニングしていきたいと思っています。
　僕たち福島県の選手は東日本大震災が起きてからは、各地に拠点を移してそれでもトップレーサーでいるっていう難しさの中で今まで戦ってきました。その中でいろいろ学んだこともすごく大きかったんですけども。それ以前に僕たちが育った環境っていうのは、福島県で育っているので。その福島県への思いがすごく強くて。僕は五輪に出るまでも大震災の影響を受けながらも、なんとしても五輪にまずは出場そして活躍したいっていうのがあったので。それを後押ししてくださったみなさんになにか恩返しができることはないかって考えた中で。選手たちはやっぱり競輪を走って、その競輪の中で常に活躍し続けるっていうことが恩返しにつながるっていう話はみんなでしていて。なので一戦、一戦、悔いの残らないように。そして誰が見ても恥ずかしくないようにレースをしていきたいっていう気持ちで頑張っています。
　（5月から自粛欠場に入るが）もう11月、12月、1月ぐらいまでプランを考えているので、来年までもう一応、プランは考えているんですけど、それが全部うまくいくかどうかは分からないんですが、無駄な時間を過ごさないように、無駄な時間と言うのは何もしない、歯がゆい時間を過ごすっていうよりは戻ってこれるっていうのは分かっているので、遅かれ早かれ23人の選手達の中で時間はバラバラなんですけど、各自戻ってきたときにベストパフォーマンスを出せるような今まで以上のハイパフォーマンスを出して、他を圧倒するようなレースができるように、もっと高いレベルの選手達に一個人になってこれるように、頑張ろうということで、僕はプランニングしてあります。まずは今まで僕が競輪選手になってもう少しで10年になるんですけど、そこまでずっと応援してくださったファンの方には本当に感謝して、本当に感謝しきれないぐらい感謝しています。その中で今回このように競輪を走れなくなってしまうんですけど、応援してくださる方の前でまた走れる時に、また新田祐大が見れて良かったって思えるようなレースができるように、もっといい新田祐大になってこれるように頑張ってきたいなって思ってますし、もちろんオリンピックに出てますし、次のオリンピックに出たいっていう気持ちは強いので、オリンピック競技もすごい好きなんですけど、根本は競輪があってからのオリンピックだと思ってますので、本当に心の底から競輪が大好きです。その競輪をまた走れる時にみんなの前でまた笑顔で表彰台に乗れるように頑張っていきたいと思います。