『第31回共同通信社杯(GII)レポート』 3日目編

配信日:4月28日
 防府競輪場を舞台に開催されている「第31回共同通信社杯(G2)」は28日に3日目を迎え、ファイナルのキップをかけて準決の3個レースが行われた。武田豊樹、深谷知広らが予選で敗退するなか、連勝で勝ち上がったダービー王の新田祐大は準決でも力強い走りを披露。無傷の3連勝で決勝進出を決め、ファイナルで大会連覇に挑む。シリーズもいよいよ大詰め、29日の最終日には熾烈なバトルを勝ち抜いた9選手によって決勝戦が行われ、第31回の覇者が決まる。
 本場では、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。29日の最終日には、入場口にて抽選でオリジナルクオカードが当たる抽選券を、先着1000名に配布。先着1000名にオリジナルグッズ(扇子)をプレゼントします。また、「柳ゆり菜」のトークショー、騎手の武豊さんによる公開予想会(ゲスト・柳ゆり菜)なども予定されています。ぜひ、防府競輪場へ足をお運びください。
専門解説者 日替わりトークショー
専門解説者 日替わりトークショー
ジャンケンに勝ってグッズをゲット選手会ステージ
ジャンケンに勝ってグッズをゲット選手会ステージ
<1R>
 土屋壮登を押さえて先行態勢を取った小岩哲也のペースが落ち着くと、8番手の稲毛健太が赤板の2コーナーから襲い掛かる。小岩をスピードの違いでとらえると、最終ホームからはグングンと加速し後ろを離してのひとり旅。久しぶりの白星を挙げた。
 「今日は(周回中の)位置はどこでもいいと思っていた。思い切り行けたんでよかったです。でも、バンクがボコボコしているし、最後の3コーナーは結構脚にきましたね。練習もしてるし、体調は全然悪くない。徐々に(脚を)戻していきたい」
 離れながら稲毛も追った濱口高彰だったがいっぱい。最終ホームから巻き返した土屋壮登が、まくりで稲毛を追うも3車身まで詰め寄ったところがゴール。
 「(小岩を)突っ張り切れなかったら、中団なりでと思っていました。感じは悪くないんですけど、周りが強すぎますね(笑)。今日も(小岩ラインを)乗り越えるのがきつかったです」

<2R>
 7番手になってしまった才迫開だが、意を決して打鐘前からカマシ発進。出させまいと合わせて踏む野原雅也をホームで叩き切ると、レース後の「エライ…、キツかった…」の言葉とは裏腹に、力強く押し切った。
 「今回は意外にあそこから(の仕掛けが)決まってるから。やっとバックが取れた感じ。距離も長いし、いっぱいでした。あと1日頑張ります」
 前反祐一郎は、番手で好援護から抜きに行ったが逆転ならず。
 「全力で抜きに行ったんですけどね。(才迫は)あそこで行くと思った。前に松山記念で(出切れないと思って)降りようとして失敗したから、そこは気をつけた。それにしてもキツかったです」

<3R>
 敢然と突っ張る小原唯志と、1周近くをモガき合った小松崎大地。最終ホームで強引にハナに立つも、菊地圭尚が連結を外して中団。そこからロングまくりの伊原克彦を追って1着も、菊地に笑顔はない。
 「(小松崎)大地は小原君とスピードが合っちゃってたんで…。次の動作を考えて内を見ちゃって、大地を入れようかなと思った。思い切って行くって言ってたんで、信頼して付いていかないとダメですね。お互いが調子が上がらないなかで、課題を見つけてやっているんですけど難しい」
 最終ホーム手前から好スピードでまくった伊原克彦は、踏み出しで萩原操を置き去りにして前団をとらえた。2着にも満足そうに汗をぬぐう。
 「とりあえず全開で行こうって思っていた。感じも悪くないし、いいメンバーだから自信になりますね。出し惜しみしないようにっていうのが、(最近の)いい結果につながっていると思う」

<4R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 単騎で前に出た竹内雄作の内をすくって飯野祐太が主導権。番手の渡邉一成(写真)はまくって来た郡司浩平を振りながら前に出ると、1着で飯野の頑張りに応えた。
 「竹内(雄作)が外線を外さなければ飯野は外を行かないといけないし、それを見てたらワンテンポ遅れた。(郡司も)うまい追い込みなら止められたと思うけどね。飯野の走りに応えないとっていうのもあるし」
 郡司の外をまくり上げた阿竹智史が、3着に食い込んだ。
 「打鐘目がけて出られたらと思ったけど、雄作の動きが予想外だった。(最終)ホームで郡司が行かなかったら、先に行くつもりでした。コーナーで膨れた分ね。2着は欲しかったけど、(昨日ギアを変えてから)余裕はあるね」

<5R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 打鐘で和田真久留を叩いての先行策で2着入線の早坂秀悟だったが、赤板1センターで山形一気を外に振った斜行で失格の憂き目。高久保雄介のまくりをブロックして早坂とのワンツーを果たしたかに思われた佐藤友和(写真)だっただけに、早坂の失格を知って表情は一変。
 「(早坂は)カマシに行こうとしてるわけだから…、しょうがないですよね。たぶん自分の調子はいいんですけど、一歩目の反応が悪い。今日もそうだったし、前が強かったから連れてってもらってはいるけど。なにか神経系なのか遅れていますね」
 最終ホームで離れた7番手に置かれた単騎の野田源一は、強襲及ばずの3着入線で繰り上がりの2着。
 「道中からこの位置じゃまずいと思っていた。後方になっちゃうんじゃないかと。そのあともまくる準備はしていたけど、終始口が空いていた。きつかったです。(感じは)悪くはないんですけど、出足がピタッと付いていけない。今日は結果オーライだったんですけど」

<6R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 青板から永澤剛が主導権を狙うが、3番手から合わせて出た池田勇人が出させない。外にへばりつく永澤をさばき、まくって来た青森伸也を止めた武田豊樹(写真)が直線抜け出し池田をワンツーを決めた。
 「このメンバーで俺と池田は負けられない。池田君も強かったし、最近不調だったからなにかのきっかけにしてもらいたい。僕も1着が取れたし、(2人で)いいレースができたと思う。(初日で負けたが)負けてもその先があるし、帰ってたらこんなレースもできなかった。これからも一戦、一戦。勝っても負けても一緒(の気持ち)です」
 誰も出させず逃げた池田勇人も気迫の走りを見せた。
 「初手の位置で今日は突っ張る気でしたね。最悪(出られたら)高橋(陽介)さんのとこでも。苦しいけど、毎回武田さんと一緒じゃないし、それを自分の力にできるように。色々変えてたけど、セッティングを元に戻して、一番いいと気づきました」
 関東3番手を回った柏野智典が3着に流れ込んだ。
 「(池田が)突っ張るとは思わなかったけど、やたらと後ろを見てたのであるかなと。前の2人が頑張ってくれました」

<7R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 藤木裕の当日欠場で8車立。近藤龍徳ににらまれながらも矢野昌彦が主導権を握って出るが、藤木の欠場で目標のいなくなった村上博幸が追い上げまくり。佐藤悦夫のブロックで村上は不発も、それに乗った井上昌己(写真)がまくりで抜け出しラインで上位を独占を果たした。
 「(村上は)3番手に行くのかと思ったら、そのまま行って(佐藤)悦夫にもらってたから。危ないかと思ったけど、行けてよかったです。今日は展開ですね。まだ重いですけど、昨日よりはローラーに乗った感じは良かった。それでもレースになると、まだ体が反応しないですね」
 井上を抜くまでに至らずも2着の大塚健一郎は、光を見出した様子。理想へ一歩前進して、こう振り返る。
 「初日だけ(3.92のギアで前を)51枚にした。それがダメで、2日目から47枚(の3.92)にした。今日もそれでやったけど、今日が一番リズムが良かった。答えが1個見つかった。やることはまだまだあるけど、そこの部分で答えが見つかってよかった」

<8R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 古性優作の逃げを中団外併走から近藤隆司がまくる。2コーナー下りで出切られてしまった岩津裕介(写真)は、「追わないと桑原(大志)さんはない」と迷わずバックから近藤を追うと直線で鋭くとらえた。
 「古性君には悪かったけどね。桑原さんがからんでるの見えたし、ちょっと難しい判断だったけど、躊躇したら決まらない。1着を狙おうとバックで切り替える形になった。近藤が強かったですね。33であれはなかなかできないのに」
 近藤隆司も2着とはいえ力強い走りを見せた。
 「落ち着いていくことはできました。あそこで(すかさず)叩いても天田(裕輝)君のまくりだろうし、中団で遅れないように天田君にフタをしてというのを意識して走れた。それを高いレベルでできたので。(出てから)休んでるときに岩津さんが見えて、もう少し早く気づいてれば。さすがSSだと痛感しました」

<9R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 相川永伍と栗山俊介で叩き合いかに思われたが、赤板前で栗山が中団に収まって主導権はすんなり相川が握る。深谷知広(写真)は、一本棒の7番手に置かれる大ピンチ。先まくりを打った栗山の上をまくりで飲み込んでシリーズ初勝利も、その表情は険しい。
 「内容もないし、今日は展開です。全然良くないし、(前回の川﨑と)全然違う。自分でもどうしたらいいのかわからない。最終日はなんとかしっかりと…」
 芦澤大輔が栗山をブロックすると、その外にいた深谷、志智俊夫もあおりを受ける。直線の入り口では深谷との距離が空いた志智は、僅差の2着争いを制して苦しみながらも深谷とワンツー。
 「3着だったらダメですからね。(芦澤の)ブロックもかなりきつかったし、そのあおりがかなりあった。自分の感じは悪くないし、すんなりだったらイケルと思います」

<10R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
渡部哲男選手
渡部哲男選手
 赤板前から誘導員を下ろした箱田優樹が全開で吹かす。これで8番手に置かれてしまった原田研太朗(写真)だったが、打鐘過ぎから松岡健介が巻き返したことで再びチャンスが。2コーナーから踏み込むと前団を一気に飲み込んだ。
 「箱田君があれだけ早く全開で踏むのが予定外だった。でも、昨日と一緒でスピードをもらって行くのは好きなので。(渡部)哲男さんと一緒に決勝に乗れたし、うまく決まった。哲男さんとは相性もいいんで」
 2着で決勝進出を決めた稲垣裕之だが、自分ひとりだけの勝ち上がりとなり険しい表情。
 「(松岡が)すごく頑張ってくれた。無理やり仕掛けてくれた感じ。まくり切ったときに3人で残れる感触はあったけど、後ろからすごい音で原田が来た。内に(佐藤)慎太郎さんも見えたし、外の音も聞こえたし、あそこで1回バック踏む形になって村上さんに迷惑をかけた。3人で(決勝進出が)ダメなら2人でと頭の切り替えが遅かったので結果ひとりになってしまった」
 渡部哲男(写真)は、3着で久々のビッグ優出を決めた。
 「(8、9番手になって)あらら、やったぞと思ったけど、加速がすごかったし、研太朗が強かったですね。中間速は得意なのに(離れてしまった)。でも、あれに付いて行って差せるようにならないと。ビッグの決勝は6年ぶりみたいですね。久々すぎて覚えてない」
 村上義弘は「(松岡)健介が行ってくれたけど、(箱田と)やり合う形になったししょうがない」と、5着で決勝進出を逃した。

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 北津留翼が赤板手前で勢い良く出ると、新田祐大(写真)は好位の3番手を手に入れたが諸橋愛に締め込まれた山崎芳仁が連結を外す。落ち着き払った新田は追い上げて来た山崎のスピードとのタイミングを図って、最終ホームから発進。山崎、大槻寛徳とのドッキングを完結させてのロングまくりで、シリーズ3連勝を飾った。
 「連係が外れたけどなんとかドッキングできた。山崎さんに合わせて自分はそのタイミングを狙っていた。(調子は)悪くないし、ラインの3人で決まってよかった。(ビッグなんで)F1とは違うのはわかっているし、もっとシビアさが必要になってくる。(決勝も)3人で連係して、その中で結果を出したい」
 7番手で態勢を立て直した山崎芳仁は、打鐘の3コーナーからカマシ気味に踏んで再度、新田後位へ。
 「新田が気づいてくれたんでよかった。あれで新田が踏まなかったら、(新田後位を併走して)そのままツケマイで行こうって思ってました。僕が追い上げなかったら、大槻にも迷惑を掛けていた。大槻まで乗ってくれたんでよかった。なんとか競輪の形になったし、脚自体は悪くないと思います」
 まくった木暮安由との3着争いに勝った大槻寛徳(写真)が、ダービーに続くビッグ優出。
 「(山崎は)判断がすごい。しかも新田が待っててくれたから、抜群のタイミングでしたね。山ちゃん(山崎)がイナショウ(稲川翔)のところを越えたけど、自分のところに来るかなと思った。(ビッグ連続優出で)そんなこともあるんですね。ラインに恵まれただけです」

<12R>
萩原孝之選手
萩原孝之選手
山田久徳選手
山田久徳選手
 山田久徳の逃げを6番手から平原康多がまくり上げるが金子貴志のけん制で失速。平原後位の神山雄一郎は俊敏に内へ切り込むと、金子、南修二をすくって粘る山田をとらえた。
 「(平原)康多と金子がからんでウッとなって、内に入っちゃったからね。申し訳ないけど、もう内に入っちゃった。うーん…。初日から(調子は)よかったんで、変わらずきています。明日は稲垣(裕之)君の後ろへいきます。なんとか食らいついて、稲垣君と力勝負ができたらいいですね」
 飯嶋則之に押し込まれながら前に踏んだ萩原孝之(写真)が2着に入り、ビッグ初優出を決めた。
 「海老根(恵太)が前々に攻めてくれたんで。(バックは)その辺、全然記憶にないけど、海老根に悪いなと思いながら行った。ゴール前も危なかったですね。怖かったです」
 逃げた山田久徳(写真)が、3着に粘って決勝戦最後のキップをゲットした。
 「(南)修二さんが仕事してくれたんで。めっちゃうれしいです。3着はどっちかわからなくて、ひょっとしたらと思ったけどよかった。うれしいです」
 惜しくも4着の飯嶋則之は「それ以前の問題。千切れてるんで」と、最終ホームで平原、神山に続けなかったレースを反省した。
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