『被災地支援競輪第32回共同通信社杯(GII)レポート』 3日目編

配信日:9月18日
 富山競輪場を舞台に開催されている平成28年熊本地震被災地支援「第32回共同通信社杯(G2)」は、18日に3日目を迎えた。自動番組編成の一、二次予選を勝ち抜いた27人によって、準決の3個レースで激しい戦いが繰り広げられた。平原康多、新田祐大、浅井康太のSS班3人が、それぞれ白星を挙げて決勝進出を果たした。シリーズもいよいよ大詰め。19日の最終日には決勝の号砲が鳴らされ、第32回共同通信社杯のチャンプが決まる。
 本場では、19日の最終日も様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。先着プレゼントは、500人にオリジナル扇子。「ムーディー勝山」によるお笑いライブ、「仮面ライダーゴースト」のショー、地元選手によるお出迎えやトークショー。予想会などが予定されています。ぜひ、富山競輪場へ足をお運びください。
日本エレキテル連合 お笑いライブ
日本エレキテル連合 お笑いライブ
動物戦隊ジュウオウジャー ショー
動物戦隊ジュウオウジャー ショー
<1R>
野口大誠選手
野口大誠選手
 赤板で先頭に立った野口大誠(写真)は、絶妙なペースで野原雅也の先行を誘い出し3番手の好ポジションをキープ。渡邉雄太に合わせて最終2コーナーからまくりを打って、逃げた野原をとらえて1着。
 「少し流し過ぎたところがあったのは反省ですね。でも、短走路はやれるんじゃないかな(笑)。Gのつくレースで久しぶりに1着が取れたし、次につながるレースができたと思います。体は今日もいい具合に動いています」
 目標の渡邉は不発も、その外を踏んで伸びた小埜正義が2着に入った。
 「前が頑張ってくれたけど、グルグル回る展開で終始内へ差しっぱなしでキツかった。最後は(野口を)抜いた感じがあったんだけどね」
 野口マークの大竹慎吾は、直線で狭いコースをしぶとく踏んで3着。
 「野口君がヤル気でしたね。自分としては少し重たい。もうちょっと伸びが欲しいですね」

<2R>
新山響平選手
新山響平選手
 徹底先行で売り出し中の新山響平(写真)だが、大敗続きで迎えた3日目は先制した中部コンビの後位をキープ。単騎で猛然と巻き返す佐川翔吾を目標にまくりを放ちシリーズ初勝利を挙げた。
 「今日に関しては3番手キープが、基本の組み立てになった。ラインの小松崎(大地)さんとワンツーが決まってよかったです。最終日はレース内容の質も求めた走りをしたいですね」
 小松崎大地は落車の影響もあり低迷気味だが、北日本ワンツーに一安心。
 「雨が強くなったけど、前が見えないほどではなかった。新山君は落ち着いてレースを組み立てていますね。僕より冷静ですよ。(番手に不慣れな)僕が後ろだったので、気を遣わせてしまったみたいで申し訳なかったけど、ワンツーが決まったのでホッとしました」

<3R>
中井太祐選手
中井太祐選手
 単騎の中井太祐(写真)が豪快なまくりを決め圧勝した。赤板で久米康平が先頭に立つが、坂本周輝が隙をついて空いたインから主導権を奪う。番手は久米と山崎芳仁でもつれかけるが山崎がしっかり死守し、久米はズルズルと後退。9番手にいた中井は打鐘4コーナーからアタック。山崎のけん制も乗り越えまくり切るとそのまま先頭でゴール線を駆け抜けた。
 「見ててもしゃーないと思って、とりあえず行ってみました。初日、2日目と脚には余裕はあったのに、力が出せなかった。そのぶん今日はという気持ちで。展開は難しかったけど、今日1着取れて明日も走れるんで。明日も頑張ります」
 反応が遅れながらも松坂洋平が中井を追うようにまくって、それに乗った松岡孔明が、外を伸びて3着。
 「単騎だったし、流れの中で初手は2番手でした。中井君が仕掛けたけど、山崎さんがいるし仕事をすると思って、切り替えなかった。けど、切り替えていれば1着か2着はあったかな。結果的にホームでも(タイミングは)あったけどいけなかったし、そこが自分の弱さですね」

<4R>
石井秀治選手
石井秀治選手
 周回中は3番手に位置した松谷秀幸は、青板のバックから動いて先に切って出る。後続の動きを待った松谷だが、伊藤裕貴、雨谷一樹がけん制し合うと意を決して先行策。番手の石井秀治(写真)が外の動きを警戒して空けた内を、3番手確保の坂本健太郎が突くが、石井は慌てず最終バックからまくって出る。直線ではインを強襲の濱田浩司に一発当たって、白星をもぎ取った。
 「中団を取ってっていう作戦だったけど、(松谷は)2周から全開で行ってくれた。それに応えられてよかった。松谷君のおかげだし、ありがたいです。もう(木暮安由と)その上に8番(永井清史)も見えたんで、(松谷の先行に)1着を取ることで応えるしかないと思った」
 最終バック過ぎに坂本が詰まると、濱田浩司は石井を追いかけ最終4コーナーで石井の内へ進路を取るが2着まで。
 「秀ちゃん(石井)は前をかばっていたし、(坂本)健太郎の行きごろかなとは思ったんですけど。そのあと僕はちょっと内を突くのが遅かった。もうちょっと早くか、それか外をしっかり踏んでおけば良かったです」

<5R>
鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 鈴木裕を突っ張るのに脚を使った稲毛健太を、赤板の1センターでこじ開けるように踏んだ鈴木竜士(写真)が叩いて打鐘過ぎに主導権。番手の浦川尊明が稲毛のまくりを阻み、軽快に逃げた鈴木竜が押し切った。
 「出切れて良かった。初日は単騎で動くレースをして、2日目はまくりになって、今日はしっかり先行できた。いろんなパターンで攻められているし、収穫はありました。最後はすごくタレた感じがしたけど、浦川さんの援護もあり、逃げ切れて良かった。高いモチベーションで走れているし、動きも悪くないですね」
 箱田優樹にタイヤ差まで詰め寄られた浦川尊明だったが、2着をキープして茨城ワンツー。
 「鈴木(竜)君が強かった。先輩の俺が初手であの位置を取ったのだから、あのタイミングで仕掛けるのは当然でしょう。稲毛君のまくりを止められて良かった」
 まくり不発でシンガリの稲毛健太は、言葉少なに振り返る。
 「(鈴木竜に)行かれたあとは、まくらなアカンと思って。自分ではまくれると思ったんですけどね…」

<6R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 青板バックで矢野昌彦が先頭に立つも、赤板前に中井俊亮が一気に叩いて主導権を奪取。桐山敬太郎が俊敏に3番手へ切り替え、矢野は車を下げて5番手。前受けだった渡邉一成(写真)は7番手となった。中井がハイペースで飛ばすが、渡邉が最終ホームから猛然と反撃開始。自慢のダッシュで踏み上げると、先まくりの桐山を乗り越えて前団に迫り、3コーナーでつかまえて見事に押し切った。
 「2日間は結果が出なかったけど、体調が悪いわけじゃないし脚の感じも申し分なかった。何が悪いのかなと思ったけど、シューズのサンの位置にズレがあり直したら良くなりました。原因がわかったことは大きいと思います。さらに修正して今後につなげられれば」
 渡邉マークの佐藤慎太郎が、しっかりと2着をキープ。
 「(渡邉)一成は周りから警戒される立場だから、7番手になるのは仕方がない。まくりだけど、1コーナーを目がけてホームから仕掛けてくれている。ワンツーはよかったけど、周囲から2着でよかったねって言われるのは複雑。少し前までは差しが売れていたし、実際に抜いたこともあるから。自分の中で課題もいくつかあるから、そのあたりを修正しないと差せないね。最も強化しないといけないのは踏み出しかな。一成や新田(祐大)が一緒に練習をしてくれればいいんだけど(笑)」

<7R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 リオ五輪から復帰初場所の中川誠一郎(写真)が、3日目にようやく白星。青板バックから動いた佐藤和也が赤板で先制。4番手は松浦悠士が山本伸一をさばいて確保。8番手から中川誠一郎が打鐘の4コーナーで発進。松尾信太郎は踏み出しでちぎれる。スピードに乗ってまくっていく中川に、伏見俊昭が最終2コーナーから番手まくりで応戦。が、スピードの違いを見せた中川がまくり切った。
 「1着はうれしいですね。とりあえずよかったです。前検日は(記者に)囲まれたけど、そのあとは全然だったんで(笑)。とりあえずホッとしました。(伏見が)出るかなとは思ってたんで、落ち着いて浮かないようにと思って。出切った感じはなくて、ゴール前差した感じです。1着取れて(最終日は)優秀にも進めるんで、明日もしっかりいきます」
 中団から中川を目標に差し脚を伸ばした松浦悠士が2着。笑みを交えながらレースを振り返る。
 「北勢が駆けてくれたらいいなと思ってたし、考えてた通りで作戦通りでした。でも中川さんが強かった。気づいたら横にいて。スピード、加速が違いました。まあ山本さんをさばけたし、持ち味は発揮できました」
 山本伸一は悔しげに、検車場へ引き揚げて来た。
 「ちょっと反省点が多いです。位置が取れるかもと思ったけど、詰めが甘かった。ジャンで緩んで中川さんを確認しようとしたところで(松浦に)こられました」

<8R>
山田久徳選手
山田久徳選手
 人気の吉澤純平が赤板で中部コンビを受けて、願ってもない3番手を手に入れた。5番手に山田久徳(写真)、郡司浩平は8番手に置かれて一本棒。最終ホーム手前で満を持して発進したかに思われた吉澤だったが、磯田旭が連結を外して援護を失い、さらには逃げる川口聖二に抵抗されピンチ。2コーナーから踏み込んだ山田が、まくりで吉澤を飲み込んで1着。
 「とりあえず1回動いてからと思ってました。一番後ろだけにはならないよう気をつけていた。吉澤さんがホームで行かなかったら、自分で仕掛ける準備をしていた。(吉澤は)行きそうな感じもあったし、行ってくれたんでよかったです。吉澤さんはまくり切っているし強かった。自分は詰めていっただけ。ここ最近、脚の感じは良かったし、1着が取れてよかった」
 山田に付けた伊藤保文は、後方から強襲した和田健太郎と2着を分け合って胸をなで下ろす。
 「山田は強い、レベルが上がっている。やっぱり離れるね。同着で危なかった」
 思いのほか失速した吉澤純平が4着。絶好の展開を生かすことができなかった。
 「思った以上に川口君が強くて…。タイミングとか関係なく自分が行ってしまったんで、モガき合いになっちゃった。それで(後ろを)引き出すだけになった。俺じゃなきゃ、もうちょっとうまくやって1着だったと思うけど。いまはタイミングどうこうじゃなくて思ったところ行って、それで勝たなきゃと思っている」

<9R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 櫻井正孝が青板で深谷知広にフタをすると、深谷は後方7番手まで車を下げる。櫻井が赤板で誘導を外してピッチを上げると、深谷が2コーナーで巻き返す。近藤龍徳が遅れ気味。深谷を追いかけ踏んだ海老根恵太(写真)が深谷後位を奪取して、最後は人気の深谷を交わした。
 「今日は緩んだら行くって話をしていたけど、櫻井君が緩めず踏んでいたし、そのあと深谷君も仕掛けてきてしまい行けなかった。ダメ元で踏んだら、たまたま深谷君の番手にはまった感じですね。深谷君が最後も踏み直していたし、追い込んでいくのはいっぱい。でも3日間通して2勝できているし、状態は悪くないです」
 最終ホームで深谷に合わせて仕掛けた古性優作が、悔しさをにじませた。
 「深谷さんを持って行こうと思ったけど、雨でスリップするかと思って。深谷さんのスピードがすごかったですね。今日は少し良くなかったので、また修正して頑張ります」

<10R>
平原康多選手
平原康多選手
 平原康多(写真)がパーフェクトなレース運びで無傷の決勝進出。脇本雄太と原田研太朗の主導権争いを中団で見極めると、最終ホームからドンピシャのタイミングで発進。村上義弘のブロックを見透かした動きで乗り越えて、真っ先にゴール線を駆け抜けた。
 「レースのポイントで動けているので体は反応している。オールスターからセッティングなどマッチしていない部分があったが、そこを修正できたことが大きい。3連勝だけど、勝負は明日(決勝)だから」
 共同通信社杯連覇を狙うレジェンドこと神山雄一郎が、平原マークで2着をキープ。
 「平原君のスピードはすごいね。付いていくことに必死だよ。最終ホームの仕掛けるべきタイミングを逃さない点もさすがだね。最近は腰痛で苦しかったけど、ケアをして練習は軽めのギアにするなど工夫した成果が出せたことは素直にうれしい。昨年に優勝しているので、チャンスがあれば連覇を狙います!」
 初日に特大の配当を演出した佐藤悦夫は、3番手回りからしっかりと流れ込み関東で上位を独占した。
 「平原君が強過ぎますね。状態は良かったけど、このレベルになると追走するだけでギリギリですよ。G2の決勝は東西王座戦で経験したことがあり2度目ですね」

<11R>
守澤太志選手
守澤太志選手
 後ろ攻めから青板2コーナーで動いた三谷竜生を制するように、5番手から横山尚則が仕掛けて先制。中団はインに北津留翼、アウトに三谷で併走し、新田祐大は8番手でどっしり構えて打鐘を通過。挑戦者として全開で駆けていく横山に、最終ホーム前から三谷がアタック。横山の番手の諸橋愛がブロックに行くと2人がもつれバック前に落車のアクシデント。これで稲垣裕之は自力に転じまくっていくが、その上を新田が力強くまくっていく。2センターで稲垣をまくり切った新田が力を誇示し1着。
 「落車のアクシデントはあったけど、稲垣さんを追いかけて、踏み込んでいけました。あとは守澤(太志)が久留米記念を獲ったときみたいに2人で決勝に進めてるんで。守澤とは同級生で彼も頑張ってるし、切磋琢磨してきました。決勝に乗っても不思議じゃないし、まぐれじゃない。明日も僕は僕の仕事をするだけです」
 守澤太志(写真)が新田の仕掛けに付け切り、北日本ワンツーを決めた。
 「ドキドキしました。(ビッグは)準優も初めてだったし、決勝に乗れると思ってなかったです。でも新田君に付け切れればチャンスはあるかなと思ってました(新田の踏み出しは)やっぱりここかと。1コーナーを上りながら行ったけど、いつもあそこら辺で仕掛けるんで、なんとか付いていけました。抜ける感じはなかったです。けど、付いて行けてるんで悪くはないです」
 最終ホームで北津留から切り替えた園田匠が、ゴール寸前で稲垣を交わし3着でファイナルへ。
 「今日は(北津留)翼のおかげ。自力同士でやり合ってくれたけど、しっかり翼が作戦通りに位置にこだわって中団を取ってくれた。共同(通信社杯)は(10年)奈良で決勝4着になったんで、最低でもそのときの成績を超えられるように。今回は流れ込みばっかりなんで、決勝は突っ込むレースができるように頑張ります」
 稲垣裕之は惜しくも4着に終わり、決勝進出を逃がした。
 「(三谷は)前々に踏んでくれました。落車もあったんですけど、(三谷)竜生もまくり切れそうでしたし、踏み込むには早いかなと。そこの判断でしたね」
 関東の先導役として先行した横山尚則は現状の力を冷静に分析した。
 「新田さん、三谷さんといるし、まくりは考えてなかったです。一矢報いればと思ったんですけど、勝負どころでもう使いきってました。踏んでても厳しかったです。諸橋さんがあれだけやってくれたのに、申し訳なかったです。もう少し力をつけないと」

<12R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 4車そろった茨栃勢の先頭を担った吉田拓矢は青板前から動くが、合わせて出た根本哲吏が分断策。吉田の番手で武田、根本の併走が1周近く続いたが、根本は赤板手前から下げる。仕掛けどころをうかがっていた竹内雄作は、そのタイミングで反撃を開始。打鐘の3コーナーで吉田をとらえると、浅井康太に西村光太まで出切り、武田は4番手切り替えまで。後続との間合いを計りながら、浅井が直線で抜かりなく竹内を交わして1着。
 「(竹内)雄作の行けるタイミングで行ってくれればいいと思っていた。オールスターの時に関東の2段駆けで(竹内は)合わされていたんで、ヤバいのかなって思ったけど。吉田君の上をスッと行ったから仕上がっているんでしょうね。自分は前回、前々回と欠場して、ちょっと走ってみないとというところはあったんですけど。しっかり先行、まくり、差しと全部できているので、体の方はいいのかなって思います。初日のレース内容がよかったので、不安は払しょくできました」
 根本の想定外の動きも結果的には中部勢に流れが向いて、ラインの3車で決勝に進出。落ち着いて赤板から仕掛けた竹内雄作(写真)は、重責を果たし2着に納得の顔で汗をぬぐう。
 「中団取りが中途半端になった結果、落ち着いていけましたね。ただ、すんなり中団を取られたらダメです。(吉田は)全然ペースが落ちてこなかったから、無理やりいった感じです。最近は浅井さんと一緒に乗ると不甲斐ないレースばっかりだったんで、浅井さんと決まってよかったです。(中部ライン3人で優出)それが一番です」
 3番手を固めた西村光太が3着に流れ込んで、3度目のビッグで初めての優出を遂げた。
 「感触はレース前からすごく良かったんでいいですけど、それよりもレースの番組とか展開の流れがいいですね。(準決は初めて浅井の後ろだったが)普段から練習を一緒にさせてもらっているんで、それと近い感じがありました。内だけは空けないように、3番手の仕事だけはしっかりしようと思っていた。締めることを重点に考えてました。記念の決勝もまだ乗ったことがないので、まだG2の決勝に乗ったという感触はないですけど、賞金を見たら実感がわくんじゃないかと」
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