『被災地支援競輪第32回共同通信社杯(GII)レポート』 最終日編

配信日:9月19日
 富山競輪場を舞台に開催された平成28年熊本地震被災地支援「第32回共同通信社杯(G2)」は、19日の最終日に決勝が行われた。レースの主導権を握った竹内雄作が、落車のアクシデントのなか、逃げ切りで優勝。ビッグ初制覇で賞金2130万円を手にした。

ムーディー勝山 お笑いライブ
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仮面ライダーゴースト ショー
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意気込みを語るファイナリスト
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富山大学吹奏楽団 ステージ
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決勝戦 レース経過
 号砲で守澤太志が飛び出すと、神山雄一郎は浅井康太を制して中団を確保。周回の並びは新田祐大―守澤、平原康多―神山―佐藤悦夫、竹内雄作―浅井―西村光太、単騎の園田匠が最後方で落ち着いた。
 青板周回の1センターから竹内が上昇を始めると、中団から平原も合わせて動く。平原は中団狙いかと思われたが、西村の内で動きを止めるとそのまま西村を飛ばして3番手を奪取。西村はズルズルと最後方に後退、併走を嫌った園田は6番手に入って立て直しを図る。新田に動きはなく、打鐘過ぎ4コーナーから竹内がギアをトップスピードに。車間を空けた平原は詰めた勢いで1センターから巻き返すが、浅井のけん制で落車。佐藤は乗り上げたが、上手く避けた神山はそのまま内に切り込んで浅井を飛ばす。神山の動きに園田も続き、この両者で竹内に迫ったが粘る竹内をとらえることはできず。押し切った竹内が嬉しいビッグ初優勝を飾った。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 坂本周輝が渡邉雄太を警戒しながら赤板で永井清史を叩くが、渡邉雄がすかさず巻き返して打鐘で主導権。一本棒で最終ホームを通過すると、そのまま別線の巻き返しはなく渡邉雄が最終4コーナーを先頭で迎える。願ってもない展開が訪れた松谷秀幸(写真)が、チャンスをモノにしてシリーズ2勝目を挙げた。
 「渡邉(雄)君は小さいから、番手でも風を受けましたね。今日は風がキツかった。2勝できたし、昨日の先行が効いているのかも。初日失敗したぶん、まとめられてよかった」
 3番手の坂本周が内に差し込んで、松谷の外を踏んだ小橋秀幸が2着。
 「もうちょいでしたね。坂本(周)君が3番手を取ってくれてうまかった。バックでは坂本(周)君が内へ差していたので、最後は外を踏ませてもらった。今回は調子が悪いなかでも凌いだ方ですね」

<2R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 打鐘から岩本俊介、佐川翔吾、稲毛健太による意地のぶつかり合いになるが、最終的に稲毛が叩いて主導権。一方、先手争いを冷静に見ていた山崎芳仁(写真)は、打鐘の3コーナーから仕掛けると、スピードの違いでまくり切る。自力を選択してラインの先頭を志願した山崎が、最終日にようやく白星。「人気に応えられてよかった」と、ホッと胸をなでおろす。
 「お客さんに迷惑をかけっ放しだったんで、最後に連にからめてよかったです。あれで行けても、行けなくても、タイミングで行った感じだし、自分らしい(レース)かなと。不完全燃焼で終わりたくなかったんで。(寬仁親王牌もあるが)一戦一戦やっていくだけですね」
 山崎に離れ気味の佐藤朋也だったが、なんとか2着をキープし、北日本ワンツーを決めた。
 「めちゃめちゃキツかったです。菅原(晃)君に入られそうになったり、鈴木(裕)君に入られそうになったけどなんとか。自力よりキツかったです。G1とかG2だと参加してるだけになってるんで、もっと気持ちを入れないと」

<3R>
小埜正義選手
小埜正義選手
 赤板過ぎに主導権を握った中井太祐に雨谷一樹が襲い掛かる。後閑信一が雨谷との連結を外すが、中井も突っ張り両者で踏み合い。ようやく最終ホームで雨谷の番手に中井が収まったが時すでに遅く、打鐘の3コーナーから踏み上げていた松坂洋平が前団をとらえる。神奈川コンビを追った単騎の小埜正義(写真)は、追い込み勝負で外を突き抜けた。
 「僕はやっぱり自力なんで、(南関ラインだけど)最初から3番手には付けないですから。ただ、(松坂)洋平がヤル気だったし、出切ってくれてよかったです。(初日に)落車があってハンドルが曲がってたんで、(3日目から)換えた。それで進みも良かったし、うまく自転車に体重を乗せられた」
 「キツかったですけど、別線でやるって言った以上は力を出し切ろうと」とは、ロングまくりで2着に粘り込んだ松坂洋平
 松坂に付けた内藤秀久は、3着流れ込みを苦しそうに振り返る。
 「(風が強くて)周回中から脚が溜まらなかった。もう自分は息が切れてんのに、あと2周もあるのっていう感じでした。自力はもっとキツいと思うし、やっぱり(松坂)洋平はすごいですね」

<4R>
根田空史選手
根田空史選手
 前受けの根田空史(写真)が赤板で8番手まで引いてから、打鐘めがけて一気にカマす。強烈なダッシュに番手の成清貴之は離れて、最終ホームでは後続を大きく引き離した根田のひとり旅。そのままにゴールを先頭で駆け抜けた。
 「やっと最終日に気持ち良く出ましたね。風がすごかったけど、バックは追い風だったのでカマしていこうと。ワッキー(脇本雄太)にアドバイスをもらって、ギアを47枚に換えたらすごく感じが良かった。さすがリオ(五輪出場)ですね(笑)」
 最終バックでは9番手も、しぶとく踏み込んだ大竹慎吾が3着に食い込んだ。
 「脚に余裕はあったし、最終日を迎えるにあたりサドルを2ミリくらい引いたら、溜めが作れるようになった。いい方に出ましたね。次につがる結果になったし、また帰ったら練習を頑張ります」

<5R>
新山響平選手
新山響平選手
 ビッグ初出場となった新山響平(写真)が、シリーズを連勝で締めた。赤板で先頭に立った矢野昌彦を、2コーナーで新山が一気に出て主導権。番手の小松崎大地は、大きく車間を空ける。打鐘から伊藤裕貴がアタックも、小松崎のブロックで終了。近藤龍徳は小松崎後位に切り替える。バックからは磯田旭が自ら踏み上げるも、小松崎のけん制でスピードが鈍る。新山がそのまま押し切った。
 「最終日に先行できて次につながった。昨日は先行できてなかったんで、今日は小松崎さんのおかげで逃げ切れてよかった。風は感じましたね。いつもは感じないんですけど、感じたんで脚が落ちている証拠です。いろいろ課題が見つかったし、みっちり乗り込んで次に向けて調整します」
 近藤龍徳は2着にも、反省の弁を述べる。
 「(伊藤)裕貴が頑張ってくれました。でも吉村(和之)さんが付いてくれてることを考えて、もっとできたことがあったと思う。着だけみれば2着だけど。最後も僕が外を踏めば違った結果になったかもしれない。考えることがあった開催。やらなアカンことがまだまだ多い」

<6R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 鈴木竜士にフタをした箱田優樹は、切って出た郡司浩平の動きに呼応するように赤板2コーナーで出てハナに立ち主導権。しかしながら、立て直した鈴木が強引に箱田を叩くと、最終ホームですかさず郡司が踏み込む。郡司が抵抗する鈴木を4コーナーでとらえたが、後方にいた原田研太朗のまくりが届いて1着。
 「風が強いし(周回中は)前からでもチャンスがあると思っていた。(箱田と鈴木の踏み合いも)想定していたし、たぶんモガき合いになるだろうって。脚を溜めて緩んだところと思ってた。ちょっと作戦とは違ってた。(岩津裕介に)悪いことしました」
 まくった郡司をゴール前で交わした桐山敬太郎(写真)が2着。郡司の成長を感じながら口を開く。
 「あんまり(郡司)浩平の調子がいい時に、付いたことがなかったんでね。ちゃんと普通の競輪をやってくれた。(最終)ホームで行くんだろうって、自分が先に踏んでたら、ちゃんと行ってくれたんで。自分も悪いなかで、1着がないものの3回連(3着以内)に絡めたからもう言うことはない」

<7R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 赤板の2コーナーから8番手の脇本雄太(写真)が一気に巻き返して、最終ホームで根本哲吏を叩いて主導権。俊敏に反応した吉澤純平が中近勢を追う形で最終バック3番手からまくり上げるも、脇本が懸命に合わせて迫る吉澤を振り切った。
 「調整すべき点は山ほどありますね。日に日に自分の体が競輪に戻ってきているのはわかっているけど。それに対してセッティングを合わせるのが大変。次のG1が33なので、そこに向けて調整していかないと。カーボンフレームに乗っていたことで、瞬発力は上がったけど、今後の課題としては持久力をつけることですね」
 勢いを殺すことなくそのまままくって行った吉澤純平は、惜しくも脇本をとらえきれなかった。
 「少し道中で落ち着いたら、脇本君がいい勢いで来た。バックから仕掛けてまくれなかったけど、ゴール勝負できたし、昔よりは差が詰まっているかな。次はもっといい勝負をできるように」

<8R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 青板3コーナーで先頭に立った吉田拓矢に、木暮安由、小林大介が続いて3車で出切る。中団は渡邉一成(写真)と山本伸一で併走。吉田が徐々にペースを上げていく。中団争いは最終1センターで渡邉に軍配。吉田は軽快に駆けていき前団で決着かと思われた。が、2センターから踏み上げた渡邉が鮮やかに突き抜けた。
 「シューズのセッティングが出てなかったんで、サンの位置を修正して3日目はG1を獲ったときのに換えました。ミリでいえば4ミリなんですけど大きかったですね。今日も初日、2日目の(同じサンの位置の)シューズだったら脚がいっぱいだったと思います。こんなに違うんだと思い知らされました。中3日で玉野だし、(寬仁)親王牌につなげていけるように」
 吉田を利した木暮安由は、渡邉に微差交わされ惜しくも2着。
 「今日は(吉田に)任せてたんで、好きに走ってもらいました。(2人で)決まったと思ったけどね。(渡邉)一成さんはわからなかったです。今開催はついてなかったですね。次が地元のG1なんでしっかりと調整して臨みたいです」
 先行した吉田拓矢が粘り込んで3着。時折り笑みも交えながら、今シリーズを振り返る。
 「今日は先行して自信になりました。自分から動いてレースも作れました。初日が悪かったぶん、残りの3日間は課題を見つけながら。(ビッグでは)ひとつのミスで崩れるんで、その辺をもっとしっかりしていきたいです」

<9R>
山田久徳選手
山田久徳選手
 茨栃コンビが主導権を握って、3番手を深谷知広、山田久徳で併走。和田真久留が赤板の1センターから反撃に出ると、中団のもつれがほどけて山田と連結を外した稲垣裕之が最後方で最終ホームを通過する。強引に叩いた和田に深谷がまくりで襲い掛かるが、好位を奪取していた山田が合わせて出る。深谷は不発で山田にスイッチした松浦悠士が、まくり切った山田を追い込み1着。
 「あそこで粘れば、(山田)久徳さんは稲垣さんが付いているから行くっていう考えだった。僕が稲垣さんをどかせたのは良かった。あれで(深谷と)ワンツーが決まればいいんですけど。(切り替えられたのは)深谷さんが仕掛けてくれたおかげ。このメンバーで1着を取れたってことは大きいです」
 深谷をキメた山田久徳(写真)は、好位から最終2コーナー手前からまくって2着。
 「(稲垣と)ワンツーかと思ったけど、後ろがどうなってたのかわからなかった。深谷の巻き返しが早いなとは思ったんですよ。もうラスト1周からいつでも行ける感じだった。(稲垣と)2車でワンツー決めるにはと思ったら、中団を取って、深谷より先にまくるのが一番かなと」

<10R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 赤板手前で古性優作が先頭に立つと、北津留翼が早坂秀悟との併走から巻き返す。最終ホームで北津留が前に出るも中川誠一郎が離れて、叩かれた古性が番手にはまる。最終バックで5番手から仕掛けた武田豊樹(写真)が、合わせて出た村上義弘に踏み勝ってシリーズ初勝利。
 「苦しいですね競輪は。でも、今日とかは自力の方が全然楽ですね。厳しい展開になったけど、後ろに芦澤(大輔)が付いていたし、負けてもいいから仕掛けていこうと。シリーズ通して最終日は体の疲労感が一番感じますね。次も玉野(国際競技支援競輪)がすぐあるけど、仕事なのでね」
 武田マークの芦澤大輔は、3着でシリーズを終えた。
 「武田さんは動くところで動くと、ある程度予想はしていた。想定外の展開にはなったけど、武田さんが行けるところで仕掛けたと思います。しっかり付いていく対応はできたし、今度は厳しい展開の時に、納得いくレースができるようにしたい」
 リオ五輪帰りだった今シリーズの中川誠一郎。北津留翼と呼吸が合わずに外に浮いてシンガリ負け。
 「体は大丈夫だけど、タイミングが合わなかった。今日は失敗したけど、ロンドンの時よりは早い時間で競輪に対応できていると思う。これからG1と地元記念があるので、そこに向けて頑張りたい」

<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 竹内雄作の上昇に合わせて中団から動いた平原康多は、3番手のインで粘り西村光太からあっさり浅井康太の後ろを奪い取る。浮いた西村がズルズルと最後方まで下げて、竹内の先行で後続は一本棒、打鐘を迎える。3番手で前との車間を切った平原が詰める勢いで最終2コーナー手前からまくって出ると、けん制した浅井が平原の前輪をはらって落車。平原に佐藤悦夫も乗り上げる。落車を避けた神山雄一郎が、内をすくって浅井を弾いて直線へ。後続のアクシデントをしり目に、敢然と風を切った竹内が二の足で押し切って優勝を飾った。とっさの判断で浅井をどかした神山雄一郎(写真)だったが、2着がいっぱい。大会連覇はかなわなかった。
 「内に避けて戻ってきているから、あれで外はいけない。(浅井に)当たった時点で、浅井が締めてきてたから…。それでスピードが落ちてしまった」
 単騎の園田匠は最終ホームで関東勢の後ろの6番手。周回中は中部勢の後ろからの組み立てだったが、西村が後退すると無理せず脚を溜めて3着に追い込んだ。
 「(中部の後ろにいた方が)平原の出方がわかるから、あの位置だったんですけど。(平原が3番手を取って)下手に浮いているより、立て直した方がと思った。そのあとは内を狙いたかったけど、狙っていたら、結果落車していたかもしれないですね。竹内がどんどん踏み上がっていって、自分は苦しかった。力の差を感じたし、竹内が強かった」
 「無念です…」とは、絶好のポジションを手に入れながらも、落車に泣いた平原康多。浅井と力勝負を演じることなく終わってしまっただけに、悔しさを滲ませ口を開く。
 「勝負に行った時にはらわれてしまった。1、2歩目で決着がついてしまいましたから。もう少し踏ませてもらって、(浅井に)並んだ時に体と体で勝負がしたかった…」
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