『第34回共同通信社杯(GII)レポート』 最終日編

配信日:9月17日

 500バンクの高知競輪場を舞台に開催された「第34回共同通信社杯(GII)」は、9月17日に最終日が行われた。111期の山崎賢人、109期の太田竜馬ら若い選手がコマを進めた決勝は、最終ホーム手前で村上義弘が落車に見舞われた。アクシデントのなかで冷静な立ち回りを見せた平原康多が、追い込んでV。昨年2月の全日本選抜(GI)以来、9度目のビッグ制覇で優勝賞金2130万円(副賞含む)を手にした。

決勝レース出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介
Sandwich Parlour ライブ
Sandwich Parlour ライブ
ほにや よさこい演舞
ほにや よさこい演舞

決勝戦 レース経過

平原康多選手
平原康多選手

 やや見合ったスタートから九州コンビが出て前受け。山崎賢人-山田英明、平原康多-和田圭、浅井康太、村上義弘、太田竜馬-清水裕友、郡司浩平で隊列は落ち着く。
 赤板と同時に、村上から動く。村上が1センターで前団に並び掛けると、九州勢は引いて正攻法の位置は村上に。さらに郡司が上げて村上の前に入る。一方、その後ろはモツれる。3番手となった太田は前との車間が空くのもいとわずペースを落として、引いていく山崎をけん制。打鐘過ぎ3角から太田が踏み出すと、郡司も4角で誘導を交わしてペースアップ。太田は一気に郡司を叩かず、その後ろに割り込もうとして村上と接触。残り1周の時点で村上は落車し、太田も車体故障を起こして後退してしまう。結局、郡司が逃がされ、その後位に清水、平原で続く形に。そこへ山崎が1角まくりで襲い掛かる。清水のブロックを乗り越えた山崎が2角過ぎに主導権を握り、踏み出しで離れかけながら盛り返した山田が続く。このまま直線に入ると、九州勢後位にスイッチしてきた清水が山田の内をしゃくって鋭く抜け出すが、外に車を持ち出した平原が強襲。ゴール寸前、逆転で優勝をさらった。


<1R>

片折亮太選手
片折亮太選手
 正攻法の片折亮太を打鐘で押さえた高橋和也が徐々にピッチを上げて先行策。3番手に入った佐藤幸治が最終1センターからまくったが、踏み直す高橋を相手にすんなり前に出ることができない。これで前団の隊列が短くなったところを5番手から片折亮太(写真)がひとまくりにした。
 「今日は感性で走らせてもらえた。スタートを取ってから、下げてもチャンスは来るかなって思っていました。シリーズをとおして振り返ると、周囲のスピードがやっぱりすごいのでいい刺激になりましたね。また次に向けて頑張ります」
 最終バック9番手に置かれた内藤宣彦だったが、直線コースを突いて2着に強襲した。
 「前団がダンゴ状態になったので、エアポケットに吸い込まれるみたいな感じでした。苦しかったですよ。櫻井(正孝)君が順番で仕掛けていくかなと思っていたら、仕掛けなかったのでビックリしました」


<2R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 前受けの松川高大が、打鐘で小埜正義、鈴木庸之の上昇を阻むように突っ張ってからペースを落とす。8番手でタイミングをうかがっていた伊藤裕貴は、2センターからカマす。伊藤、金子貴志(写真)で出切って、松川が3番手に飛び付く。逃げる伊藤の番手で車間を空けた金子は、最終4コーナーで後続をけん制。落車のアクシデントもあったが、金子が白星をつかんで区切りの通算500勝を飾った。
 「(伊藤)裕貴が思い切って行ってくれて、ありがたいですね。松川が(来たのが)見えたし、その外にもいましたよね。だから、あんまりもっていくと危ないとは思っていた。なかなか1着が取れないこともあるけど、成績が悪くても1着を取れると気持ちが切り替わる。それで自信になって、練習していても集中力も上がる。(500勝まで)積み重ねてこられてよかったです。これからもひとつ、ひとつ(勝ち星を)積み重ねて、いけるところまでいきたい」
 中部コンビに飛び付いた松川高大は、脚を使いながらも好位をキープして着をまとめた。
 「たぶんサラ脚だったら、(飛び付くのに)そんなキツくなかったと思う。だけど、ジャン前に突っ張ってるんで。あれで突っ張ってなかったら、8番手になってた。そういうところ(の組み立て)は良かったけど、まだまだ脚が足りない」


<3R>

藤木裕選手
藤木裕選手
 山本伸一が打鐘過ぎ4コーナーから主導権を握ると、巻き返して来た吉田拓矢を番手の藤木裕(写真)が1センターで強烈にブロック。それでももう一度まくってきた吉田を4コーナーで軽くけん制すると、直線鋭く抜け出した。
 「下手くそですね。でも、よく止まったと思う。内をしゃくられたら仕方ない。全開で持って行こうと思ってました。3番手がいれば違ったと思うけど、ただ自分が1着取っただけなんで。次はラインでワンツー決まるように」
 周回中から京都コンビの後ろにいた五十嵐力が2着に流れ込んだ。
 「たまたまだけど、流れのなかでああなった。(藤木がブロックしたときに)内をしゃくってもあれかなと思ったし、山本君もかなり掛かってたので見ちゃいました。2着に流れ込めて良かったです」
 前を任せた久米康平が内に詰まったまま仕掛けられずにいると、2センターから内に切り込んだ三宅達也が3着に。
 「久米ちゃんの内に差し込んでしまって、仕方なく。ゴメンと思いながらだったけど、何とか3着まで行けたんで」


<4R>

新山響平選手
新山響平選手
 後ろ攻めから赤板ホームで上昇してきた松本貴治に対して、新山響平(写真)は誘導員を残して8番手まで下げる。打鐘で永井清史が前に出て、杉森輝大にすくわれた松本が4コーナーから仕掛けると、そこを新山が一気にカマして押し切り。最終日を白星で締めた。
 「いいタイミングで仕掛ける順番がきたのでラッキーでした。高知バンクの持つ距離も分かったし、いつもどおりの脚の感じで踏めました。末脚がガニ股になっていたので、意識して内股にして踏んだら最後まで踏めた。次の青森記念までしっかり練習します」
 立て直して3番手からまくった松本は2センターで小松崎大地にけん制されたが、その後ろから直線外を伸びた山中貴雄が2着に食い込んだ。
 「上出来ですね。悔しいけど。初日と2日目で疲れ過ぎました。経験のなさが出ましたね。雰囲気から何から全部含めて疲れた。もっと脚力も付けないとダメだなって思いました」


<5R>

南潤選手
南潤選手
 打鐘の2センターで原田研太朗が押さえたところを南潤(写真)が反撃。しかしながら、澤田義和が離れて、最終ホームで主導権を握った南の後ろには原田が入る。援護を失った南は、絶妙なペース配分で駆ける。真船圭一郎のロングまくりをギリギリのところで合わせて、別線の追撃を振り切って逃げ切り勝ち。
 「(原田が番手に入っても)落ち着いて、気持ちに余裕もあった。もう1回踏み直せるだけの脚も残っていた。ただ、押し切れたのはわからなかった。(村上)博幸さんにも(3日目のレースは)もっとうまいこと走ったらって言われて、古性(優作)さん、村上(義弘)さんにも、いろいろとアドバイスをもらいました。もっと脚をつけなければいけないけど、もっと経験をしてうまく走れるようにならないと」
 南に合わされた真船が最終4コーナーで力尽きると、安部貴之が外を伸びて2着に入った。
 「(真船は)行き切っちゃうと思った。真船の一番の持ち味で勝負しようっていう感じでした。結果、(南が)強かった。俺は付いてただけで、なにもしてない。あとは前の動きを見て、真船が合わされ気味だったんで(最終)4コーナーから踏ませてもらった」


<6R>

古性優作選手
古性優作選手
 後ろ攻めから上昇した吉澤純平が前受けした岩本俊介にフタをすると、古性優作(写真)が打鐘で切って佐々木豪を受ける。7番手になった岩本がホームからすかさず巻き返して佐々木を叩くと、佐々木は番手に飛びつく。これで短くなった前団を古性が3コーナーまくりで飲み込んだ。
 「レースがいい感じで動いたんで良かった。でもちょっと仕掛けが遅くなっちゃったし、展開が向いた感じです。今回は2日目、3日目と大きいミスをしてしまったけど、最終日しっかり修正できてよかった」
 稲垣裕之が古性の仕掛けにきっちりと続いた。
 「さすがのレースですね。佐々木(豪)君もホームでいいピッチで駆けてるのに、(岩本の仕掛けで)すごい音がした。併走が長引いて古性も引くのに時間がかかったんで、吉澤(純平)が来たら嫌だなと思って2コーナーでけん制した。最近はなかなか期待に応えるレースができてないけど、このあとも大事なレースが続くので、また頑張っていきたい」


<7R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 打鐘で前に出た山田久徳を、近藤隆司が4コーナーで叩く。そこを一気にカマした小川真太郎が香川雄介と2人で後続をちぎったが、オーバーペースで最後は失速。3番手から車間を詰めた勢いで外を伸びた近藤隆司(写真)が2日目から3連勝を決めた。
 「小川君を出させて最高の形になりましたね。自分が先に切ってから上手くペースに入れられた。500バンクは走り慣れているし、外に持ち出した時は届くかなって思いました」
 近藤を好追した岡村潤が2着に入った。
 「一番いい位置から仕掛けているし、あれは抜けないですね。何回も(近藤に)付いているので、様子を見ながら走っていました。上手く追走できたと思う」


<8R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 和田真久留が切って出ると、早坂秀悟にフタをしてから渡邉雄太が打鐘の3コーナーで踏んで主導権。しかしながら、6番手にいた早坂が最終ホーム手前から仕掛けて、2コーナーで渡邉雄をとらえる。距離を置いて北日本勢を追った中川誠一郎(写真)は、切り替えてまくる和田真久留のあおりを受けながらも外を伸びて突き抜けた。
 「(早坂に遅れた永澤剛が中団に)降りたと思ったら、また出て追っていた。それを見ていたら、(和田)真久留に入られた。あれがなかったら、きれいにまくれてましたね。(2日目から3連勝で)初日がもったいなかった」
 最終2コーナーで外に持ち出した和田真久留は、いったん北日本勢の後ろに切り替えてまくり追い込んだ。
 「(中川)誠一郎さんにタテ脚で負けました。早坂さんが8番手にいると思ったら、僕の後ろにいたんですね。僕が先まくりして、あとは誠一郎さんが行けるかどうかと思ってました。それでもうまく反応もできたし、レースも最初に動かせた。連日、脚は問題ないです」


<9R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 後ろ攻めから動いた柴崎淳が打鐘で切ると、木暮安由、飯野祐太が次々前に出る。すんなり7番手に下げた松浦悠士はホームから一気に巻き返すが、これを佐藤慎太郎がブロック。前団の隊列が短くなったところを2コーナーから仕掛けた柴崎淳(写真)がまくり快勝した。
 「思わず(手を挙げて)声援に応えてしまった。(松浦の仕掛けに)付いて行くなら1コーナーだったけど、木暮さんがスイッチするかなと思って、そこを見たぶん、ちょっと(仕掛けが)遅れてしまった。感覚的なものは止められたけど二次予選のスピードでオッ?と思ったし、最終日もまくりで最初はちぎってるってことはスピードが出てると思う。カマシ、まくりで後ろがピリピリする。その感覚にちょっと近づいた気がする」
 踏み出しに口が空いた坂口晃輔だったが、何とか追いついてワンツーを決めた。
 「(離れたけど)惰性が生きてたんで何とか。慌てて踏んでも進まない。回して、回して付いてかなと思ってた。でもアツシ(柴崎)さん読みどおりのレースでしたね。やっと流れと成績が上向いてきました」
 松浦をけん制している外を三重コンビに行かれた佐藤慎太郎は3着まで。「あのぐらいのタイミングだとスピードに乗ってますよね。3着までが精いっぱいでした」とレースを振り返った。


<10R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 打鐘前から簗田一輝が先頭に立つ。中団に入った菅田壱道は中バンクに上がって三谷竜生をけん制するが、三谷は構わず4コーナーから一気にスパート。一気に簗田を飲み込み、まくって来た菅田も自らブロックしたが、菅田のスピードをもらった山崎芳仁(写真)が直線鋭く突き抜けた。
 「作戦どおりにいったし、菅田君もいいタイミングで仕掛けてくれた。調子自体は悪くないので、(菅田が止まってからは)とりあえず外を踏んでと。初日は内で詰まって終わったが、2日目、3日目は自力でいいスピードで行けたし、どこからでも3着に届く感じがあった。(今後も自力と番手の番組があると思うが)与えられた位置で、現状の力で頑張ります」
 まくり切るかに思われた菅田壱道だったが、3コーナーで三谷のブロックを受けて失速した。
 「まくり切れなかったですね。でも力勝負できたので良かった。簗田君がある程度抵抗してくれたらもっと面白かったかな。いいタイミングでは仕掛けられたんですけどね」


<11R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 決勝戦は最終ホームで村上義弘が落車するアクシデントがあり、村上を締め込んだ太田竜馬は車体故障。太田後位から郡司浩平、さらに最終ホーム過ぎからまくってきた山崎賢人ラインの後ろに切り替えた清水裕友が4コーナーから内に切り込んで山田英明を飛ばして抜け出したが、その外を平原康多が鋭く伸びて優勝を飾った。
 「うれしいですね。(組み立ては)本当にまったく考えないほうがいいなと。体が反応するように。だから落車も避けられたんだと思う。脚力のロスもあったけど、避けられましたね。(優勝した感覚は)ゴール線にかけても伸びて行ってたんで、イケるかなと。(オールスターでの落車もあり)色々試行錯誤をして、失敗の繰り返しで、ひとつ結果が残せてよかった」
 前を任せた太田の車体故障はあったが、そこから清水裕友(写真)は前々に攻めた。直線で山田を飛ばして抜け出したが、ゴール寸前で優勝をさらわれた。
 「めっちゃ悔しいですね。獲ったと思いました。山田さんの内に入って、前に出た時にアッと思ったけど…。(優勝が)すぐそこだっただけに悔しい。でも(太田が)車間を空けて踏んだり止めたりで、わりと脚に来てたので、もうあれが限界ですね。いやあ、夢を見た」
 平原マークの和田圭が4コーナーから内に切り込むと、平原を追いかける形で外を伸びた浅井康太が3着に。
 「後方になったけど、色々アクシデントがあったんで。でも、ゴール勝負できたのは良かった。伸びもだいぶ良かったので。あとは先行してないぶんの自信がないだけ。500バンクを乗り切ったし、今後につながるかなと思います」
 バックで郡司をとらえた山崎賢人だったが、最後に末を欠いて4着。4連勝でのビッグ初制覇はならなかった。
 「アクシデントは気になったけど、いつでも行ける準備はしてた。ただスピードの乗りがこの3日間に比べてあまり良くなかった。どっかで脚を使ってたんですかね。あそこまで行けたんで、どうかなと思ったけど、自分が掛かってないんで。(山田との連係は)また絶対あるんで、その時もう少し自分が走れれば」


次回のグレードレースは、9月22日~25日まで京都向日町競輪場で開催予定の「開設68周年記念・平安賞(GIII)」となります。
9月10日時点の出場予定選手データを分析した「開設68周年記念・平安賞(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版(表)は"こちら"
プロスポーツ号外版(裏)は"こちら"