『第24回共同通信社杯春一番(GII)レポート』 初日編
 
配信日:4月8日


 今日から小松島競輪場で「第24回 共同通信社杯春一番」が開幕した。1、2レースでSSが敗退し、4レースでは大量6名が落車する波乱の幕開けとなった。それでも村上兄弟、武田豊樹に市田佳寿浩ら実力者はきっちり白星スタート。明日も自動番組による二次予選A、B合わせて7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 明日も専門解説者と赤澤佳美さんによる予想会バトル(3、6、9R発売中)や地元選手会による「大ギア4.33に挑戦」、未確定車券抽選会などイベントが盛りだくさん。ぜひ小松島競輪場へご来場ください。



<1R>
佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
   波乱の一日を象徴するかのようなオープニングレースとなった。永井清史が不発に終わったが、その後位から有坂直樹が伸びて1着。
 「永井くんは一番行っちゃいけないタイミングだったね。あれは止められても仕方ない。俺は冷静に踏むコースが見えていたし、止められたらどのコースを踏むかも考えていた。今日は余裕がありましたね」
 佐藤慎太郎(写真)が2着に突っ込んだ。
 「もっと早く踏んでいればアタマもあったかな。有坂さんの内もちょっと考えちゃったからね。これで10走連続で着外なし。1着はないけど、グランプリまでずっとこれでもいいかな(笑)。今日はスタートからゴールまでずっと想定とは違う展開だったけど、結果オーライです」


<2R>
高木隆弘選手
高木隆弘選手
   最終バックで吉田敏洋と川村晃司が落車。一時は後方に置かれた荻原尚人が必死の巻き返しで稲村成浩を捕らえると、ゴール前で高木隆弘(写真)が鋭い差し脚を見せて快勝した。
 「荻原君が積極的に踏んでくれたおかげだね。僕も4回転を外から抜けたんだから調子はいいと思います。ダービーの頃は花粉と黄砂で体調を崩していたけど、すっかり良くなりました」
 荻原尚人は反省の弁。
 「結果は2着だけど、勝負所で踏み遅れてますからね。みんなダッシュが凄いので、どうしても遅れてしまう。きっちり三番手を確保できていれば違うんですけどね」
 稲村成浩は即席ラインを組んだ川村晃司の安否を気遣う。
 「目の前でいきなり落車されたので、タイミングも何もない状態。地区は違うけど頑張ってくれたし、軽傷だといいですね。今日は参考外のレースになっちゃいましたけど、長欠後最初のレースの割に、感じは普通でした」


<3R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
   下げた7番手から石橋慎太郎が大ガマシ。番手の丸山啓一を中村淳が大きくブロックすると、石橋は後続を離して逃げる形に。山田敦也にすくわれた市田佳寿浩(写真)だったが、そのまま外をまくると逃げる石橋を鮮やかに飲み込んだ。
 「永井(清史)や(加藤)慎平は名古屋記念であれだけ仕上がってたのに負けてしまった。走る前は嫌なムードが漂ってたけど、勝てて良かった。ちょっと浮いた感じからでも行けましたね。車は流れてるんで良いかなと思います。前を追いかける形になったから、ある意味ラッキーでしたね」
 山口幸二も緊張感を持ってレースに臨んでいた。
 「(前の中部勢が)みんなコケてたから、走る前に山田(裕仁)に『気合を入れ直せ』と言われてた。朝早いレースは難しいね。今日は6時から起きて準備してたけど、なかなか気合が乗り切らんかった。山田が言ってくれて気持ちが入った。一番人気で決められて良かったです」
 人気ラインの3番手を回った桑原大志は笑顔が絶えない。
 「ナイス自動番組ですね。なかなか、あの位置は回れないでしょ。色々考えたけど、僕の2着(になる展開は)ない。人気に応えられたし、3着でも一生懸命でした」
 石橋慎太郎は「キツかった…。カマシ切れないと思った。変に重かったですね」と末を欠いたが、5着で二次予選Bに進んだ。


<4R>
小野大介選手
小野大介選手
   大量6名が最終2センターで落車。うまく避けた竹内智彦が1着と大波乱のレースとなった。
 「ツキだけですね。木暮も出が悪かったし、その外を(佐藤)友和が来ているのも見えていたので、嫌な感じはしたんです。じっと内で耐えていて正解でした。感じは良くないですけどね。今日もセッティングをずっと調整していました。腰の据わりが良くないんですよ」
 小野大介(写真)は審議対象となったがセーフ。思わず胸をなで下ろす。
 「よかった。今日は先行が7割ぐらいの気持ちで組み立てを考えていました。今日は力を出し切れたので、明日からも総力戦で勝ち上がりを狙っていきたい」


<5R>
浅井康太選手
浅井康太選手
   中村一将が先行態勢に入ったが、ホームから浅井康太(写真)がカマして出る。「時差ボケがあって、眠れない」と世界選帰りの辛さを口にするが、巧みなペース配分で力強く押し切った。
 「中団に近畿勢だと思ってたので、(中村がまず)押さえに来たのが予想外でアレッと思った。軽かったので、あとは誰も来ないと思ってペースで駆けたけど、2コーナーで後ろに長塚さんが入ってるのが分かった。まだ時差ボケはあるけど、先行してアタリがついてるので大丈夫だと思う」
 浅井の番手を取り切った長塚智広はしてやったりの表情だ。
 「あの展開だったらしょうがないですね。内が重かったけど、付いて行けて良かった。最後は浅井が外したので、(外は)行けないと思って内に入ってしまった」
 3着には浅井ライン3番手にはまった中村一将が入線した。
 「前を取って長塚が浅井のハコを攻めることを祈ってカマシの予定でした。(前田)拓也さんに全部やってもらったけど、結果的には良かった。入ってからも余裕はあったけど、タイミングを逃しましたね。権利をもらえたので、また明日頑張ります」


<6R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
   人気の平原康多が圧勝。上がり11秒1のまくりで逃げる九州勢を飲み込んだ。
 「あそこで見ていたらすんなり7、8、9番手になる。勝負どころだったけど、しっかり動けましたね。今回は前に使ってたフレームに戻して来たんだけど、ギアとかみ合ってたし、結果が出て良かった。踏み出した時も良い感じでした。ダービーから負け負けで来てたし、ファンには申し訳ない気持ちが強かった。緊張してたからホッとしましたね」
 中団の武井大介が飯島則之を飛ばしたことで平原は単騎でのまくりに。逃げた松岡の番手から吉本卓仁(写真)が2着に食い込んだ。
 「平原さんのスピードが違った。ちゃんと車間をあけて仕事できたけど、止まらなかったですね。番手がいないのは分かったので、ギリギリまで我慢しながら抜きに行ったけど今日は松岡のおかげ。人の後ろなので感じは分からないですね」
 逃げた松岡貴久も3着に粘った。
 「今日は先行も考えてたけど、ホームで平原さんが来るのが怖くてフカし過ぎましたね。それが最後の末脚に出た。ただ徐々にスピードを上げて駆けられたし、最近のなかでは良い方のデキだと思います」
 筒井敦史は僅差の4着。「松岡がすんなり斬ったら平原のカマシがあると思ったし、そこを見極めてから切り替えた。3着かと思ったけど、詰めが甘い」と悔しがった。


<7R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   村上博幸が貫禄の差し脚で快勝。小嶋敬二とSS班ワンツーで威厳を保った。
 「今日は余裕がありましたね。小嶋さんには離れたこともあるけど、今日は外併走の後ろでも余計な脚を使わなかったし。ずっと落ち着いて走れました」
 やや悔しそうな表情なのは小嶋敬二(写真)だ。
 「抜かれちゃいましたね。あの仕掛けなら抜かれちゃダメでしょう。ダービー王は容赦ないですね(笑)。小松島は落車したこともあって、あまり良いイメージがなかったんですけど、それを払拭できたのは大きいですね。明日から気持ちよく走れます。それにしても今日は脚がイッパイだった」


<8R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
    菊地圭尚がホームでカマすと、番手の岡部芳幸(写真)が完璧マーク。最後も文句ない伸びで菊地を捕らえて1着入線を果たした。
 「(菊地)圭尚が行ってくれたおかげ。今日はそれしかないでしょう。後閑が三番手に付いていたけど、僕らが後手を踏んだら切り替えもあるだろうし、流せば先まくりしてくる可能性もありますからね。それは避けたかったから、菊地君も早めに行ってくれたんでしょう」
 2着に食い込んだ坂上樹大だが、「後ろに岩見さんもいるんだし、もっと考えて走らないとダメですね」。


<9R>
松岡健介選手
松岡健介選手
   西谷岳文が先行。巻き返した三宅達也が単騎で出切ると、伏見俊昭のまくりに合わせて中団の大塚健一郎がバックまくり。大塚が落車、伏見が伸びを欠くと、番手の松岡健介(写真)が絶好の展開を生かした。
 「三宅さんの巻き返しが3人で来てたら、番手から出ないとと思ってた。あおりを作ったら1車になってくれたし、車間を切って伏見さんのまくりを待とうと。そしたら大塚さんが来たのでアレッて感じでした。ギリギリまで待って踏んだけど、あれ以上は難しかった」
 まくった伏見ライン3番手から伸びた栗原厚司が2着に食い込み、2車単、3連単ともに高配当に。
 「脚は残ってたけど、キツい展開でした。たまたまですよ。内が詰まってたぶん、外が伸びたように見えただけでしょうね」
 3着の山口貴弘は「落車を見てしまった。コーナーにかかったけど、伏見さんの力を信じて付いていきました。今回からの新車は合ってる気がしますね」。4着の伏見俊昭は「最近、自力を出してないし、久しぶりに緊張した」とレースを振り返った。


<10R>
田中誠選手
田中誠選手
   人気の村上義弘が新田康仁や田中誠を相手に力強い走りを見せた。
 「今日は色んな意味でキツいレースでした。脚も一杯で息も上がった。組み立て自体はいつもどおり展開に応じて走った。渡邉(晴智)さんのブロックで止まったかと思ったし、新田(康仁)さんに合うタイミングになったのもキツかったけど良くしのげたと思う」
 南修二は今回も交わせず。
 「付いてるだけでしたね。村上さんだから絶対に出切ると信頼してました。ゴール前は全然でしたね。村上さんは1回も抜いたことないですから」
 3着には逃げた田中誠(写真)が粘った。
 「前を取れるとは思ってなかった。作戦はなし。風が強いし、出たとこ勝負で思い切り行けば何とか勝負になるのかなと思ってた。こんなことってあるんですね。最後は村上さんに引っ張ってもらいました(笑)」


<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
   武田豊樹(写真)が番手無風の絶好展開を生かして勝機をものにした。
 「藤田君が頑張ってくれましたね。もう少し打鐘で落ち着いて仕掛けてくれたら、彼も残ったと思うんだけどね。僕もお粗末なレースはできませんし、ラインで上位独占できたのは良かったですね。手の状態も良くなってきましたよ」
 逃げた藤田竜矢も納得の表情でレースを振り返った。
 「武田さんと一緒のレースは緊張しますね。今日はホームが向かい風で踏み上げるのがキツかった。なんであんなに(バンクが)重いんだろう。でも力は出し切れました」
 荒井崇博は「タイミングで仕掛けて武田さんの外にへばりついて、直線で踏み勝てるような感じに持ち込みたかったんだけど…」。


<12R>
小岩大介選手
小岩大介選手
   ホームからカマした山崎芳仁と稲垣裕之でやり合うと、そこを中団の坂本亮馬がまくり上げる。この動きに続いた小岩大介(写真)が直線一気に突き抜けた。
 「亮馬が外に膨らんだし、付いて行こうか悩んだけど一番伸びるコースが空いたので踏もうと思った。年頭からギアを上げてるけど、今回の新車とこのセッティングが一番良いと思う。明日から頑張れば注目されますね。自分では分からないけど、あれだけ出てるんで良いと思います」
 2着にはカマした山崎芳仁が粘った。
 「タイミングとしては最高でしたね。2コーナーで出ようと思って回してたし、1コーナーの山をのぼって稲垣さんと合い気味になった。出てからも回せたし感じは悪くない。フレームを戻して、かなりダッシュもきく感じです」
 まくった坂本亮馬は3着に。
 「平記念でギックリ腰になって、直前の練習でもひどかった。調子が悪いのは分かってるので、シビアに中団にこだわろうという判断が冴えてたと思う。今日で展開次第では戦えるのが分かったし、明日からも気持ちでカバーしたい」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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