『第24回共同通信社杯春一番(GII)レポート』 3日目編
 
配信日:4月10日


 「第24回 共同通信社杯春一番」は3日目。晴天に恵まれ、絶好のコンディションの下でトップスターたちがしのぎを削った。注目の準決勝は激戦の連続。3連勝の村上義弘を始め、坂本亮馬、山賀雅仁、菅田壱道と春一番らしいフレッシュな顔ぶれが決勝に進出。明日の決勝で優勝賞金2190万円(副賞を含む)をかけた頂上決戦が繰り広げられる。
 場内でも様々なイベントで最終日を盛り上げます。6R発売中には阿波踊り教室、8、11R発売中には阿波踊り披露が、10R発売中には熊本・66期の仲山桂選手によるトーク&ライブ、全レース終了後にはバンクウォークなどが予定されています。明日もぜひ小松島競輪場へご来場ください。



<1R>
 すんなり先行態勢に入った藤田竜矢がペースで駆けるが中団確保の富弥昭がバックまくりで前団を飲み込んだ。
 「兄ちゃん(吉永好宏)が初手で中団を取ってくれた。今日はあれ一本ですね。昨日は何もしてないし体は重いけど、外にだけは持ち出そうと思ってました。藤田も流してから踏み直してたのでキツかったけど、勝てて良かった。これで明日も走れますね」


<2R>
 断然の人気を集めた稲垣裕之だが、任せた西谷岳文が後方に置かれる苦しい展開に。それでもバックからまくった西谷に乗ると、直線鋭く伸びた。
 「余程じゃないと番手から出ないつもりでした。でも今日はヒヤッとしましたね。初日は力不足としても、昨日はレースできてない。ちょっと疲れが残ってましたけど、明日も良い着を取って次につなげます」


<3R>
 逃げる伊原克彦の3番手をキープした湊聖二が、4コーナーから金山栄治のインを抜け出し、地元勢初勝利。勝者インタビューでは大量のタオルをスタンドに投げ込んだ。
 「伊原くんの動きに乗ってカマすつもりだったけど、3番手が空いてたので入らせてもらった。後ろを見たらかぶってしまったけど、金山さんは内を空けると思ったので狙ってました。堤(洋)さんのコースを踏ませてもらって申し訳ない。これが勝ち上がりでの1着ならもっと嬉しいんですけどね。それにしてもこのクラスはスピードが違いますね」


<4R>
坂上忠克選手
坂上忠克選手
   大西祐が先行態勢に入ると、3番手は石毛克幸が取り切る。石毛のバックまくりを室井竜二がブロックしたが、脚を溜めた坂上忠克(写真)が鮮やかなまくりを決めて敗者戦連勝を飾る。
 「体が重かったけど、昨日くらいから楽になってきた。朝はイケそうだなって感覚がありました。後ろになってヤバいなと思ったけど、一丸さんも付いてくれて気合が入ったし緩んだら行くと決めてたので行けたんだと思う。大ギアのおかげですね。昨日は下げてたけど、前回の2日目から上げて、4走で3勝ですから。これからもラインの先頭のときなんかには使うと思います」


<5R>
山田裕仁選手
山田裕仁選手
   初手中団の吉田敏洋が主導権を握る。佐々木則幸を連れた三宅達也が強引にまくり上げると、山田裕仁(写真)が番手まくりで応戦。シリーズ初勝利を挙げた。
 「今日はもう吉田君が頑張ってくれたおかげ。早めにフカしてたから僕もキツかった。」
 中部3番手を選択した山田敦也が2着に流れ込んだ。
 「良い位置を回れましたね。山田さんはいざとなったら番手から出て行けるし安心してました。チャンスだと思って思いっ切り抜きに行ったけど、やっぱり山田さんは差せなかったですね」
 3着には佐々木則幸が食い込んだ。
 「昨日といい、今日といい、連日、自力屋らしくない競走ですね。狭いところを入ったけど、達也も頑張ってくれたし、遠慮したらみんななくなってしまう。達也がよく頑張ってくれました」


<6R>
武井大介選手
武井大介選手
   武井大介(写真)が五十嵐力を捕まえて快勝。今シリーズ初勝利に笑顔を見せた。
 「作戦としては、北津留を逃がして、中村さんの巻き返しを誘うって感じだったので、僕の考えていた通りですね。五十嵐が強かった。何とか抜けて良かったですよ。この1着は大きい」
 五十嵐力も「今日は北津留君が先行するだろうと思っていました。良い感じで踏み応えがありましたね。先行はしていないけど、力を出し切れたと思います」
 「もう少し早く駆けさせた方が良かったかな」と話す神山雄一郎
 「北津留くんも残るように、ギリギリのタイミングまで引きつけたんですけどね。五十嵐君の巻き返しに気付くのも遅れてしまった」


<7R>
坂上樹大選手
坂上樹大選手
   坂上樹大(写真)が八面六臂の大活躍。菊地圭尚の番手をさばくと、返す刀で松岡貴久のまくりを止めて、最後はきっちり差して価値ある勝利を挙げた。
 「最初から番手と決めていた訳じゃなく、展開を見ての判断です。菊地くんのカカリが良かったので、ブロックできました」
 坂上に続いて2着の島野浩司
 「坂上くんが1人で全部やってくれましたね。2コーナーでは決着が付いていた感じなので、自分の位置をしっかり確保して付いていくことができました。競りの後ろは怖いんですよね。見てるだけで脚が一杯になりますよ(笑)」


<8R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
   神山拓弥(写真)がイン粘りで荻原尚人の番手を奪取。しっかり交わしてようやく勝ち星をゲットした。
 「先行するつもりで踏んでいたんですが、流してるところを叩かれちゃったので、もうああするしかなかったですね。小野君は同期だけど、勝負所だから仕方ない。レースの時に「同期だから」とは言ってられませんからね。総力戦で勝ちました」
 番手戦に敗れてしまった小野大介は「惨敗です。荻原さんに離れながら追っていたので、そこに入られてしまった。仕掛けるタイミングはバッチリでしたね。良い経験になりました…」。


<9R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   後位が競りになったことで、すんなり4番手を確保できた山崎芳仁(写真)が上がり11秒1のまくりで後続を千切った。
 「東口が来たのは分かったけど、8番(吉本卓仁)の動きに切り替えなかったので競りだと思った。ホームで流してたら行こうと思ったけど、前もけっこう踏んでましたからね。今回新しいシューズを使ってるんだけど、サンが深すぎて昨日も出なかった。明日はちょっと浅くしてみます」
 2着には吉本の先行に乗った小岩大介が入線した。
 「山崎さんにぶつかりたかったけど、全然当たれなかった。最後もう少しゆっくり行けば吉本さんを残せたんですかね? 山崎さんのスピードをもらって後ろから誰かが来ると思ったし、西田(雅志)さんも見えてたので」
 内藤宣彦にとっては予想外の展開になってしまった。
 「山崎が独壇場のレースだからね。飛び付きはあっても、あそこから来るとはね。最初は8番の動きに付いて行くだろうと思ったら、行かないから『競るんだ』と思った。厳しいですよね」
 山崎の番手で競った東口善朋は「山崎くんが一番強いし、決めてました。飛び付いて流れ込みじゃなく、これからはそういうスタイルも取っていかないとね。取り切れたら良かったけど、負けても勉強です」と競りになった経緯を説明した。


<10R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手守田秀昭選手
守田秀昭選手

   坂本亮馬(写真)がホームからカマシ先行。海老根恵太、浅井康太らSSの強豪を破って決勝戦一番乗りを決めた。
 「調子が良いと調子に乗って構えてしまう。僕みたいなスタイルだと後ろの選手は走りづらいだろうから、今日はラインで決まって嬉しい。(ギックリ腰で)今はホントに練習でも弱いんです。競輪はやりようですね(笑)。来る前の3割くらいから今は5、6割のデキ。日に日に良くなってると思う。今年はSSが目標だし、明日勝ったらほぼ確定になりそうですね」
 2着には守田秀昭(写真)が流れ込み、嬉しいビッグ初優出を果たした。
 「前のおかげです。日頃、先行せん選手が先行してくれたのが大きいです(笑)。今日は緊張しなかったし、亮馬はダッシュが良いのでそこだけ注意してた。去年の観音寺記念からギックリ腰を繰り返して踏めなくなったけど、今回はギアを3.71に上げてシューズやセッティングも変えたら、かなり踏めてますね。99点の選手がビッグの決勝に乗るなんて…、すごいですね」
 ゴール前で浅井康太が落車。3着には朝日勇が食い込んだ。
 「あれだけ内に行かれたらね。最後は付いていけん、外に行くしかなかった。今日は浅井君さまさま。彼はレースを作ってくれますからね。余裕はあったけど、エラくて前に進んでくれなかった」
 海老根恵太は4着で決勝進出を逃す。
 「力を出す展開にならなくて情けない。ペースで駆けようと思ったところで来られて中途半端になってしまった。9番(坂本)みたいなレースができれば良かったけど」
 決勝進出目前で落車のアクシデントに遭った浅井康太は「脚は使ってなかったし、楽勝で突き抜けられるとおもったのに…」とガックリ肩を落とした。


<11R>
加倉正義選手
加倉正義選手菅田壱道選手
菅田壱道選手

   打鐘から叩いた岩本俊介が全開でフカす。バックから平原康多が番手まくりに出ると、続いた加倉正義(写真)がこれを捕らえた。
 「平原はかばってやりたい気持ちがあるだろうし、心苦しかっただろうね。でも出なければかぶってただろうし、正解だったと思う。滅多に回れない平原の番手回りのチャンスは生かしたいと思ってた。調子は良いし、付いては行けると思ってたけど、まさか抜けるとはね。最近は亮馬とワンツーが多いし、明日もワンツーなら最高。亮馬の調子が良くないから、久々に逆のワンツーができるかな(笑)」
 平原康多は前で頑張った岩本を褒めちぎった。
 「気持ち良い選手でありがたいです。他地区の選手が付いてもあんなに気持ち良く行ってくれるんだから。今も強いけど、もっと強くなると思います。僕は一杯でしたね。来たと思ったときに詰まったので行かせてもらったけど、1着が取れなくて岩本君に申し訳ない」
 平原の番手まくりに3番手で続く形になった菅田壱道(写真)が3着で決勝に進む。
 「今日は岩本さんの出方次第でした。早かったので出させて、7番(園田匠)の追い上げを阻止してからのまくりと思ったら…。平原さんも車間を切ってたし、松岡さんが先に来たのでかぶってしまった。最後まで踏むところがなくて、中しか行けなかったし、自分が3着だとは思わなかった。今日、内容が悪かった分も明日にぶつけたいですね」
 8番手から猛然と前団に迫った松岡健介だが届かず5着まで。
 「難しいですね、判断が。重くて打鐘では中団や前に行く脚は残ってなかった。園田が前々に行ってたのでゴチャ付かせてくれるかなと思ったけどね」


<12R>
村上義弘選手
村上義弘選手山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
   村上義弘、武田豊樹に小嶋敬二が激突した準決勝最大の激戦区。逃げる武田に小嶋が襲い掛かると、待ってましたの村上義弘(写真)がひとまくり。無傷での決勝進出を決めた。
 「今日は展開が向いた。2コーナー過ぎ、自分の脚が入ったところから行きました。乗り越えられへんと思ったけど、良く粘れたな。とりあえず良かったです。(前のレースで近畿2人が敗れたが)僕は自分のレースに集中した。近畿のSSが頑張ってるから、相乗効果ですね。3人の中で僕が一番脚がないと思うけど(笑)」
 顔見せで近畿後位を回った山賀雅仁(写真)が直線鮮やかな伸びで2着に強襲した。
 「競輪祭の骨折から練習の感じとかすごく良い訳じゃないので、よく乗れたなって言うのが正直なところ。最終的にまくってくれるところが良かったので近畿の後ろを選んだ。展開が向いてるけど、まさか2着まで届くとは思わなかった。自信になるし、次からもう少し自信を持って戦えそうです」
 市田佳寿浩は村上の強さを絶賛した。
 「村上さんはすごい頼もしいね。笑えるくらい強かった。最後は僕が止まってる訳じゃないんだけど、山賀の伸びが良かった。僕もしっかりすれば問題ない。楽しみです」
 山口幸二は「番手が伏見じゃなければ社長(小嶋)は行ってたね。(最後は自分で前に踏んだが)僕には航続距離が長すぎた」。伏見俊昭は「小嶋さんを止めたかったですね。武田さんに申し訳ないことをした。小嶋さんにちょっと出られてかぶったので、もうタイミングが取れなかった」と、それぞれレースを振り返った。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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