『第70回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:6月13日

 伝統の東西対抗が70回の節目を迎える。岸和田競輪場で「第70回高松宮記念杯(GI)」が、6月13日に熱戦の火ぶたが切って落とされた。東、西日本地区に分かれて争われている今シリーズは、一次予選から迫力のスピードバトルが展開された。初日のメイン特選では西は、連覇のかかる三谷竜生が白星スタート。また、東は、3年前、一昨年に連覇を遂げた新田祐大が1着で2日目の青龍賞に進んだ。14日の2日目には、一次予選の1着選手と初日特選を勝ち上がった選手により、白虎賞(西)、青龍賞(東)が行われる。優勝の行方を占う意味でも、2つのレースはともに必見だ。
 本場では開催中の毎日、オリジナルクオカードや3連単車券が当たるラッキーカードを先着2000人様に配布、「“東西対抗”岸和田ご当地グルメフェスティバル」、予想会の東西対抗戦などを行います。また、14日の2日目には、人気コスプレイヤー「うらまる、えい梨」によるトークショー、コスプレフェス&撮影会なども予定されています。岸和田競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

敢闘宣言をする古性優作選手
敢闘宣言をする古性優作選手
20回連続出場で表彰を受ける香川雄介選手
20回連続出場で表彰を受ける香川雄介選手

<1R>

竹内雄作選手
竹内雄作選手
 赤板で中団の佐々木豪に併せ込んだ竹内雄作(写真)が、外併走から2コーナーで踏み込む。竹内ラインの3車で出切って、4番手に山田久徳。スタイルを貫いて敢然と風を切った竹内が、金子貴志の追い込みを半車身振り切り逃走劇を完結させた。
 「佐々木君のところまで行くのに時間が掛かったんで、それが(新ルールの)誘導のペースなんですかね。でも、1着も取れてるから大丈夫だと思います。ラインで決まったし、GIの1着でうれしかったんでガッツポーズをしたんですけど」
 「二の足がすごかった」とは、好展開も直線勝負で2着の金子貴志。竹内を称えて静かにこう続ける。
 「(竹内が)落ち着いて駆けてくれた。相当、掛かってた。あれで抜けたらサイコーですけど、しょうがない」

<2R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 4車の南関ラインが主導権を握る。渡邉一成(写真)は一本棒の8番手に置かれたが、打鐘の3コーナーで巻き返して5番手に入る。杉森輝大が内から盛り返すと、渡邉は最終2コーナー手前からまくって前団を仕留めた。
 「(新ルールだけど)誘導のペースが上がっている感じはあまりしなかった。(根田空史に)見えにくいタイミングで仕掛けたら、(中団の)車間が空いたので欲が出て入りました。最近は結果ほどコンディションが悪いと感じてなかったので、モチベーションを保てていた。あとは気持ちを入れて走れば大丈夫だと」
 和田圭は関東勢にすくわれて、渡邉に遅れる。杉森も渡邉を追い切れず、まくった長島大介が2着に入った。
 「道中、終始余裕があったし、脚の感じも良かった。もしかしたら1着まで届くかなと思ったほどですね」

<3R>

不破将登選手
不破将登選手
 原田研太朗が赤板の1コーナーで押さえて出るが、南潤の巻き返しが遅い。しびれを切らした原田は、そのまま先行策。3番手を手に入れた不破将登(写真)は、南に合わせるように最終2コーナーからまくって1着。
 「後ろから押さえても結局また後ろになるくらいなら、(周回中から)前でって感じでした。渡部(哲男)さんのけん制が厳しくて、(最終)2コーナーでスピードが鈍ったけど、なんとかまくれましたね」
 再三にわたり不破をけん制した渡部哲男だったが、真後ろからのまくりは止められず2着。
 「(原田)研太朗は完璧だったけどね。南がなにしてるんって感じで来ないから。掛かりは良かったし、車間を空けて張ったけど。真後ろからで対処しきれなかった。もう1車いれば違いましたね…」

<4R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 赤板2コーナー手前で北日本コンビをすくった鈴木竜士が先頭に立つ。4車の南関勢を警戒しながら鈴木がペースを握り、近藤隆司(写真)は打鐘の3コーナーで反撃に出る。踏み遅れた牛山貴広から3番手を奪った近藤が、タイミングを取って2コーナーからまくって1着。
 「(北日本勢に)付いていかなきゃいけないんですけど、(鈴木)竜士君もすぐに張ってきたりしてたんで。キレの悪さというか…、ジャンでは最悪の展開でした。そこから詰まったんで行ったけど、牛山さんが離れてたりもあってラッキーだった。4車で並んだんで、全員が勝ち上がれるようにと思ってたんですけど、自分だけになってしまった」
 連結を外すも桐山敬太郎が伸びて2着。逃げた鈴木竜士は3着に踏ん張った。
 「南関を叩き切るか、突っ張り切るかのどっちかでした。外から行こうと思ってたんですけど、内が空いたんでああなった。ただ、そこからは長かった。(最終)2コーナーから3コーナーの踏み直しが良くなかった。そこがイマイチでした」

<5R>

南修二選手
南修二選手
 南修二(写真)が地元GIの初戦で白星を勝ち取った。レースは打鐘の4コーナーで河端朋之が高橋和也を叩いて逃げる。坂口晃輔の好アシストで高橋が河端の後位にはまる。前受けから7番手まで下げた稲毛健太はすかさず反撃に出るが、最終1コーナーで坂口の強烈なブロックを受けて勢いが止まる。3コーナーで自力に転じた南が、豪快に前団をのみ込んだ。
 「初手の前受けは作戦でした。稲毛君は出切れなかったけど、仕掛けてくれたおかげで僕はあの位置まで行けた。(まくりは)夢中で踏んだだけで好調かどうはわからない。でも、1着なので良かった。まだ、始まったばかりなのでここからです」
 人気の山田英明は最終2コーナーで三谷将太と接触して車体故障。このアクシデントを避けた橋本強が、南のまくりを追いかけて2着に入った。
 「落車を避けたあとはなんとか流れに乗ろうと。僕も(まくりを)出そうと思ったところで、南さんが仕掛けたので追う形で直線勝負に切り替えた。冷静に対処できているし、感じは悪くないけど、練習で自力の練習も積んでいるし、道中ではかなり余裕があるので、最後にもうひと伸びがほしい」

<6R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手
 自在性がアップしている坂本貴史(写真)が思惑通りにレースを掌握した。積極的な金子哲大をうまく逃がして、強敵の和田真久留を7番手に追いやり中団を確保。最終2コーナーからシャープにまくって、北日本ライン3車で上位を独占した。
 「成田(和也)さんがスタートを取ってくれたので、自分がやりたい作戦で組み立てられました。金子君に駆けてもらって、和田君は7番手で動かないでくれって思いながら。スピードは良かったけど、力みがあったし、2日目はもう少し良くなると思います。でも、自分を過信し過ぎず、運だけで勝ち上がったと思って気を引き締めて頑張りたい」
 坂本を追走した成田和也が2着をキープした。
 「(坂本)貴史が強かったですね。いい形をつくってくれたし、かぶる前に仕掛けてほしいなって思ったら行ってくれたので。踏み出しも良かったですね。前と後ろのおかげで勝ち上がれました」
 別線に警戒されて後方に置かれた和田真久留は、仕掛けるタイミングを逃して4着に。
 「難しかったですね…。早めに巻き返すならジャンでしたけど、齋藤(登志信)さんに張られて見てしまいましたね。そのあとは金子さんにも踏まれて行けなかった。久々のレースでルールも変わって感覚のズレというか、ちょっと違うなって感じでした」

<7R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 柴崎淳が切ったところを山崎賢人が出て、赤板の2コーナーからペースを握る。打鐘の4コーナーで小川真太郎が仕掛けるも、井上昌己(写真)がけん制して阻む。番手絶好の井上は、山崎の余力を計りながら抜け出した。
 「(山崎)賢人も落ち着いていたし、いいレースだったんじゃないですか。2着までに残せるかと思ったけど、意外とタレましたね。ただ、柏野(智典)さんと(3人の)ラインで決まったのは良かった。自分の感じも大丈夫ですね、人の後ろ限定ですけど(笑)」
 山崎ライン3番手の柏野が中のコースを伸びて2着に入り、山崎賢人は3着。
 「展開的には(押さえて)行きやすかった。そのあともペースだったんですけどね。あとは自分の問題。(踏んだ感じが)イマイチです。スピードが足りない。でも、とりあえず1走したんで(2日目以降は)大丈夫だと思います」

<8R>

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 山中秀将、松谷秀幸、菅田壱道の順で切って打鐘を迎えると、さらに吉澤純平が仕掛けて主導権奪取。8番手に置かれた山中のまくりは最終3コーナー過ぎに止まり、中団を取った菅田のまくり追い込みも伸びない。絶好の番手回りとなった神山拓弥(写真)が、きっちりとチャンスをモノにした。
 「新ルールで誘導のペースが上がるので、前の方から攻めたほうがいいと。切り合いになることもイメージしていた。(吉澤の仕掛けるタイミングが)少し早いかなと思ったけど、ホームの強い向かい風を力強く立ちこぎで踏んでくれました。落車明けで掛からなかったら、仕事をしなきゃと思っていたけど、そんな心配はなく強かった。相手のまくりは僕の横まで来なかったですね。恵まれました」
 打鐘先行で2着に粘った吉澤純平は、息が上がりキツそうだったが、表情は対照的に笑顔。
 「前受けになったけど、インの切り合いで僕に巻き返すタイミングが来たことはラッキーでした。まくられたら仕方がないと割り切って自分のペースで先行した。ラインでワンツーが決まったので良かった」

<9R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 四国勢を味方に付けて4車のラインを形成した深谷知広が松川高大に警戒される中で打鐘から強引に仕掛ける。最終ホーム過ぎに4車でしっかりと出切ると、番手を回っていた吉田敏洋(写真)が絶好展開をモノにして、白虎賞への切符をつかんだ。
 「(打鐘で松川に張られて)どっぷり構えても良かったけど、四国勢も付いていたし、行ってくれましたね。踏み出しはキツかったけどなんとか。練習はしっかりとやれていたけど正直、状態をつかみ切れていない感じだったので。悪いことはなくてもその辺が不安でしたね。深谷は(競技での海外遠征の)疲れもあるだろうし、こんなもんじゃないと思うけど、自分は初日がピークって言われないようにケアをしたい」
 中部コンビの後位を選択した池田憲昭が、2着に流れ込んだ。
 「落車の影響はなかったけど、新ルールになって初めてのレースだったので多少は不安がありましたね。でも、意外といける感じでした。深谷も吉田さんも強いから。いい位置を回れたおかげもあるけど、余裕もありました」
 ゴール前で失速した深谷知広は、競技での遠征疲れも残っているが、今シリーズから新車を投入中で修正の余地がある。
 「(新フレームは)前回までのモノと全然違うので。踏み出しは良かったけど、ちょっと違和感がありますね。でも、(いいイメージに)近づいてはいるので、修正しながらですね。疲れは徐々に抜けていけば」

<10R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 小松崎大地が押さえて出ると、中団は吉田拓矢(イン)と簗田一輝で併走。4番手取り合いの決着はつかず、先行態勢を取った小松崎がそのままペースを上げる。最終ホームで車体故障の岡村潤が後退。単独になった木暮安由(写真)は、前に見切りをつけてバック手前からまくり上げて1着。
 「(吉田は最終)1コーナーで仕上げてくれないと、僕らも権利がない。内に詰まって終わりですから。相当、バックを踏みました。でも、(まくったら)結構、進んだ。この1着は自分のなかでもモチベーションが上がる」
 最終3コーナーでも吉田に張られていた簗田一輝は、万事休すかに思われた。が、そこから外を踏んで2着に伸びた。
 「もっとペースが上がれば良かった。あれじゃ、キメるにキメられなかった。中団勝負と思ってたんですけど、ずっと外でキツかった。(脚の感じは)悪くないですね」

<11R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 脇本雄太を後方に置いて、太田竜馬が赤板2コーナーから踏み込んで古性優作を叩く。最終ホーム手前で主導権を奪った中四国勢に、脇本雄太が襲い掛かる。清水裕友も届かない大外をまくった脇本に、清水と絡みながらも三谷竜生(写真)が続く。直線で懸命に追い込む三谷が、ゴール前で脇本を交わした。
 「ワッキー(脇本)のトルクのある走りがすごかった。しっかりと付け切って差せたので良かったと思うけど、ワッキーの調子のためかもしれないから(笑)。それでも、徐々に調子が上がっているなかで、この1着は大きいと思う」
 三谷後位にスイッチした清水裕友が伸びて2着。
 「太田君も掛かってたと思うけど、脇本さんはここで来るかっていうところで来て対処できなかった。顔見せでは重たいかなっていうのがあったけど、レースでは悪くなかった」
 人気が集中した脇本雄太は、前団をスピードの違いでとらえたものの、その後に失速。
 「太田君に警戒されたけど、しっかりと勝負できたとは思う。レースを見てもらった通り、あまり(状態が)いいわけじゃないけど、戦えないわけではない」

<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 合わせて踏んだ渡邉雄太を制して新山響平が先行策。渡邉が中団、平原康多は7番手の一本棒で、最終ホームを通過する。2コーナーから平原がまくり、渡邉も踏み込む。逃げる新山の番手の新田祐大(写真)は、渡邉を外に張りながら抜け出した。
 「走る前から新山の気迫が伝わってきて、自分もそれに負けないように気持ちを入れて走りました。どんどん掛かっていって普通に踏んでいても離れそうになるくらいでした。(通算)300勝のことは忘れていて、ゴールしたあとに(佐藤)慎太郎さんに300勝だなって言われて思い出しました。後輩(新山)が頑張ってくれて節目を達成できたことは、素直にうれしいですね」
 最終4コーナー手前で大量落車のアクシデント。接触もあった佐藤慎太郎だが、2着に流れ込んだ。
 「内は空けないようにしていたけど、入ってこられて…。後輪がハウスしてスピードが鈍ったのもあるけど。新田に引き離されたので修正したい」
 落車事故に巻き込まれずに最後まで踏ん張った新山響平が3着で、結果的に北日本勢が上位独占を果たした。
 「アクシデントがあったので素直には喜べないですね。でも、出切ってから流さずに、そのままのペースで踏めたし悪くないですね。緩めてしまうと平原さんもカマしてくるだろうし。自分でレースはつくれたと思う」