『第72回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:6月18日

 伝統の東西対抗。リニューアルされた岸和田競輪場を舞台に開催されている「第72回高松宮記念杯競輪(GI)」は、6月18日に2日目が行われた。白虎賞(西日本)は、18年に高松宮記念杯を制した三谷竜生が1着。また、北日本で上位を独占した青龍賞(東日本)は、山崎芳仁が一次予選に続いて連勝を飾った。19日の3日目も東西に分かれて勝ち上がりが争われ、ファイナルのキップをかけた準決で熱戦が展開される。
 今シリーズは初日、2日目が有観客で行われましたが、3日目、最終日は無観客での開催になります。テレビ、インターネット中継などで観戦をお楽しみください。

11R 白虎賞 レース経過

 ゆっくりとしたスタートから最内枠の小倉竜二が誘導員を追う。清水裕友-原田研太朗-小倉の中四国勢が前団、古性優作-稲川翔-南修二の地元トリオが中団を占め、野原雅也-三谷竜生が続き、単騎の山崎賢人は最後方。
 赤板前の2センターから古性が踏み上げると、野原-三谷も続く。正攻法の清水はすんなりと車を下げ、古性率いる地元勢が前に出ると、野原-三谷がさらに押さえて出て打鐘を迎える。6番手まで下げた清水は3コーナーから反撃開始。懸命に逃げる野原に清水は好スピードで襲い掛かるが、最終1センターで三谷のブロックを受けスピードが鈍る。清水は古性の外に張り付いたが、古性はバックで清水をどかしてまくって出た。すると番手の三谷が古性に合わせてスパート。三谷は4コーナーで古性に踏み勝ち先頭に立つと後続を振り切り1着。古性は伸びを欠き、古性に続いた稲川が鋭く伸びて2着に入った。




12R 青龍賞 レース経過

 スタートは新山響平と竹内智彦が前に出た。したがって新山-小松崎大地-山崎芳仁-佐藤慎太郎-竹内の北日本5車が前を固めた。これに黒沢征治-吉田拓矢-宿口陽一の関東勢が続き単騎の深谷知広は最後方。
 青板過ぎのバック辺りから黒沢が車間を空け始めると、正攻法の新山も誘導員との車間を切って別線の反撃に備える。赤板で黒沢がスパートすると新山も応戦。黒沢は1センターで一瞬新山に並びかけたが、トップスピードで優る新山が2コーナーで半車身ほど前に出た。その後も両者のデットヒートは続くが、最終ホームで新山がつば競り合いを制し、力尽きた黒沢は後退。新山率いる5車が単独で前に出て完全に北日本のペース。吉田は竹内に弾かれた黒沢のあおりを受けると、宿口が北日本勢を追って最終バック線辺りから仕掛けるが、同時に小松崎が番手から自力に転じる。宿口は2センターで佐藤にブロックされて失速。直線で小松崎を交わした山崎が1着、小松崎は2着。佐藤は両者の中を割るも3着まで。




<5R>

柏野智典選手
柏野智典選手
 山口拳矢を内に閉じ込めて、松本貴治が赤板の2コーナーから仕掛ける。中四国ラインが出切り、4番手に山本伸一、山口は一本棒の6番手に置かれる。最終ホーム手前から、松本がペースを上げて風を切る。2コーナー手前でまくりを打った山本だが、桑原大志のけん制にもあって不発。外を追い込んだ山口も3着までで、番手の柏野智典(写真)が松本を交わして1着。
 「(松本は)セオリー通り、切った上を切って、(別線が)来なかったら駆ける。来たら出させるっていう、シンプルな作戦でした。山口君はあんまり仕掛ける気配もなくて、(山本)伸一が(中四国ラインの)後ろに入ってるのがわかった。(松本)貴治が勇気をもって仕掛けてくれて、桑原さんが3番手で仕事をしてくれた。9車の競輪でしたね」
 山口を後方に置いて敢然と主導権を握った松本貴治が、2着に粘り込んだ。
 「(初手は)理想は中団だったんですけど、たぶん取れないだろうと。そしたらすんなり取れた。(先行態勢から打鐘の)4コーナーからホーム目がけて1回スピードを上げて、そこから1センターからバックでもう一度踏み上げた。ゴール前はへばっていたけど、なんとか残れたんで良かった」

<6R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 大石剣士が赤板2コーナーから山降ろしで踏み込むと、インを進出した萩原孝之は落車。大石、芦澤辰弘で出切り、合わせて動いた和田真久留が3番手。東龍之介は連結を外して、守澤太志(写真)は4番手で態勢を整える。守澤が最終2コーナー手前から仕掛ける。けん制した芦澤が落車して、逃げる大石をとらえた守澤が1着。
 「あの並びになったら1回切って、前に出て展開次第ではなんでもって感じでした。(打鐘過ぎに和田を)入れるかいろいろと考えたんですけど、東君がいなかったので入れてと。余裕はあったので和田君を越えて、芦澤君のブロックに気をつけていました。自分でやって勝ち切れたのは大きい」
 落車を避けた大槻寛徳は、守澤に流れ込んで2着。
 「守澤は(前団を)越えられても、俺はからまれると思っていた。(落車もあって守澤に)空いてしまったけど、リカバリーはできた。全体的に重たかったけど、昨日(初日)よりは良かったと思います」

<7R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 赤板の2コーナー過ぎに出た取鳥雄吾が、寺崎浩平に反撃の隙を与えずペースを上げて逃げる。4番手の山田英明が車間を空けて間合いを取っていたが、阿竹智史(写真)は最終2コーナーから番手まくり。橋本強を連れて四国ワンツーで勝ち切った。
 「(取鳥)雄吾と(橋本)強のおかげです。(取鳥は)ジャンの3コーナーくらいから、かなりのハイペースで上げていってくれた。自分は(最終2)コーナーの出口で後ろを確認できなくて、難しい判断だった。ただ(番手から)出たからにはっていうのもあった。出てからの加速は良かった」
 打鐘の2センターで単騎の不破将登をさばいた山田英明は、結果的にその1車が大きなポイントとなって3着で勝ち上がった。
 「流れ込みなんで、内容的には納得できる感じじゃない。ただ、自力でやっている以上はしっかりと位置だけは取ろうと。寺崎君もスピードがある選手なんで、それに対応しようと思って車間を空けた。そしたら阿竹君が行ったんでビックリした。あんまりいい状態ではないけど、そのなかでもしっかりと戦えるようにしたい」

<8R>

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 赤板を通過しても隊列はそのままで、8番手の岩本俊介を警戒しながら郡司浩平は4番手をキープする。打鐘の3コーナーから岩本が仕掛けるが、坂井洋がスピードを上げて逃げる。岩本は不発で最終2コーナーで郡司が踏み込むが、けん制した芦澤大輔との接触で車体故障。坂井を利した神山拓弥(写真)が、松谷秀幸との踏み合いを制した。
 「坂井がうまく(レースの流れに)対応して主導権を取ってくれた。外を見た時に大外でブルブルしていたのが郡司だってわかりました。後ろを1回確認した時には(松谷が)いなかったけど。次に確認した時にはもう横にいたので、ちょっと焦りが出てしまってうまく対応できなかった」
 郡司にアクシデントが発生すると、松谷秀幸は自力に転じてまくりで2着に入った。
 「郡司がすごい踏み出しとキレだった。(郡司が車体故障をして)もう外はないって感じで、内にいきました。そのままいければ良かったんですけど、ワンテンポ待ってからだったので出が悪かったですね。落車明けで日数もないなかで最低限ですね。もう少し上積みが欲しい」

<9R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 皿屋豊の上昇に合わせて出た松浦悠士が、中団をキープする。稲毛健太は6番手、九州コンビは後方に置かれる。逃げる皿屋に、松浦が最終2コーナーからのまくりで襲い掛かる。坂口晃輔のブロックでスピードが鈍った松浦だったがまくり切る。稲毛は不発で、3コーナーからコースを選んでシャープに伸びた東口善朋(写真)が、松浦を楽にとらえた。
 「レースのなかではもし松浦君が前にいるなら絶対に仕掛けるだろうし、(稲毛が)乗っかっていって僕はコース取りと思ってた。(稲毛)健太に乗せてもらったスピードから、僕もコースを見極めていけた。気持ちもしっかり入ってるし、脚力自体も問題ない」
 抜かりない立ち回りから好位を確保した松浦悠士は、東口の強襲には屈したがまくりで前団を仕留めた。
 「最近は自分の横の技術に甘えてたんで、しっかりと脚を使ってと思ってました。皿屋さんと同時に切って、脚を使ってでも中団と。切らずに外併走でもいいやってのもあるんですけど、それじゃ通用しない部分もある。(自転車に乗る)ポジションとか体の使い方は、今日(2日目)の方が良かった。ただ、昨日から脚の感じがうーんってところもあるんで、なんとからないかなと。(清水)裕友とか岩津(裕介)さんに相談してみます」

<10R>

中村浩士選手
中村浩士選手
 赤板過ぎに強引に主導権を奪いにかかる眞杉匠と、それを突っ張る松井宏佑で踏み合い。松井がバランスを崩して落車に見舞われる。和田健太郎、諸橋愛、佐藤友和が乗り上げて大量落車。眞杉の先行に中村浩士、河村雅章、佐々木雄一、和田圭で打鐘を通過する。和田がインを3番手まで進出して河村をさばく。眞杉は最終ホームを過ぎてもペースを上げず、マイペースに持ち込み押し切ったが失格。流れ込んだ中村浩士(写真)が、1着に繰り上がった。
 「(落車を)避けるのが精いっぱいで、気がついたらあそこ(眞杉の番手)にいったって感じですね。脚はもういっぱいだったんですけど、いつ眞杉君が駆けるかなって。そこだけ気をつけていました。誰かに来られても仕方ないと思っていました。けど、内だけは締めて、まっすぐ走ろうと」
 落車後に3番手まで追い上げた和田圭が、2着で二次予選をクリアした。
 「落車があって動く選手が眞杉君しかいなくなった。それで本当は番手までいきたかったんですけど、中村さんが空けなかった。自分は外を踏めないし、追い上げるかしゃくるしかなかった。ジャンのところが、勝負の分かれ目だったと思う」

<11R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 古性優作が出た上を野原雅也が押さえて主導権を握る。単騎の山崎賢人が最後方で、清水裕友は6番手でタイミングを取り、打鐘の3コーナー過ぎに反撃に出る。最終2コーナー手前で三谷竜生(写真)が清水を阻むが、今度は古性がまくる。三谷は古性を合わせて番手まくりで勝ち切った。
 「野原君がヤル気でしたね。清水君が来たんでけん制して、止まるかどうかでした。それで清水君を止めて後ろを確認したら、もうすかさず古性君が来ていた。(2日間)1着、1着できているんで、調子はいいと思います」
 古性マークから外を踏んだ稲川翔は、わずかに届かず2着。
 「もう全部(古性に)任せていた。しっかりと受けて、力勝負をしてくれた。ただ、初日も2日目も番手から出られる形になったんで、(古性)優作としては苦しいレースだった。あれが追い込み選手なら、乗り越えていたと思います」
 連日、別線の番手まくりにあっている古性優作が3着に踏ん張った。
 「清水君と(三谷)竜生さんの真ん中を行くので、ちょっとスピードを殺してしまった。脚がなかった。出力が足りない感じでした」

<12R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 黒沢征治も引かず、赤板過ぎから新山響平と黒沢での壮絶な踏み合い。北日本、関東ともにラインが崩れることなく重なる。新山響平が踏み勝ち、黒沢が徐々に後退して最終ホームを通過する。けん制で浮いた黒沢のあおりで吉田拓矢は外を回らされ、宿口陽一が自力でまくり上げる。3コーナーで小松崎大地が番手から出て、山崎芳仁(写真)が続く。佐藤慎太郎が宿口を止める。福島3車のゴール勝負は、小松崎を交わした山崎が1着。
 「(新山が)強いんで、自分はキツかったです。あとは差しにいって差せればと。初日も悪くなかったし、今日(2日目)は前と後ろのおかげですけど、差せているので悪くないと思います」
 番手まくりの小松崎大地が重責を果たす2着。
 「新山君が強いのもわかっているし、別線がヤル気なのもわかっていた。だから、あとはすべて僕の判断かなと。それで前に踏み込んだので、そうしたからには(山崎を)振り切らないと。(調子は)悪くないと思います」
 4番手でもさすがの仕事ぶりが光った佐藤慎太郎は、僅差の勝負に持ち込んで3着。
 「(新山と黒沢で)全開の踏み合いだったし、(新山は)掛かってました。深谷(知広)が来るのも難しいくらいの掛かりだった。(宿口がまくって来て)ちょっといいスピードだったように見えたんで、体が合わさればいいなと。いいコースを踏んでいるんで2着までいければ良かったけど、(自分の感じは)昨日よりマシかなと」