『第73回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:6月18日

 伝統の東西対抗。岸和田競輪場で開催されている「第73回高松宮記念杯競輪(GI)」は、6月18日に3日目が行われた。ファイナルをかけて東西に分かれて熱戦が展開された準決は、郡司浩平、佐藤慎太郎、山田庸平、古性優作の4人が1着で決勝に進出。地元からは、古性ただ一人が優出を果たした。いよいよシリーズも大詰め、19日の最終日には、東西に分かれてしのぎを削った9人が決勝で激突。第73回高松宮記念杯ファイナルの号砲が鳴らされる。
 岸和田競輪場では、オリジナルグッズプレゼントキャンペーンとして、開催中の毎日、先着300人に古性優作選手のオリジナルTシャツまたはオリジナルタオルのどちらか1つをプレゼントします。なお、大阪府の感染拡大の状況、入場者の状況により入場の制限をさせていただく場合があります。「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

9R東準決勝ゴール
9R東準決勝ゴール
10R西準決勝ゴール
10R西準決勝ゴール
11R東準決勝ゴール
11R東準決勝ゴール
12R西準決勝ゴール
12R西準決勝ゴール

<2R>

小川勇介選手
小川勇介選手
 道中4番手にポジショニングした岩谷拓磨は、赤板手前からダッシュを利かせて踏んで先頭に立つ。岩谷ラインの4車が出切り、5番手で山岸佳太と阿部力也の併走になり打鐘を迎える。先行態勢の岩谷は、落ち着いて最終ホーム目がけてペースを上げて別線に出番はない。5番手を取り切ってまくり追い込んだ阿部も進まず、番手の小川勇介(写真)が追い込んで1着。吉岡稔真(福岡・65期、引退)門下のワンツーを結実させた。
 「(岩谷の)やりたいように任せていた。ラインのことも考えて走ってくれたし、自分はしっかり追走に集中してと思ってました。(同門の岩谷は)アマチュアのころから知っている。勝ち上がりじゃないけど、最高の舞台(GI)で力を出し切ってワンツーができた。2人でやってきたことが形になって出ました。泣きそうになってます」
 兄デシと大舞台での同乗が目標でもあった岩谷拓磨は、積極策で別線を完封。笑顔で汗をぬぐう。
 「兄デシとGIで走ることを目標にしてきた。そこでワンツーができたのは最高です。2周逃げて小川さんとワンツー。ラインでも1、2、3、4着。(S級で)優勝した時よりうれしい。小川さんはアマチュアの時から一番良くしてくれた人ですから。今日(3日目)は山岸さんがやり合うなら、とことん付き合うつもりだった」

<6R>

町田太我選手
町田太我選手
 前受けから突っ張り気味に踏んだ深谷知広を野原雅也が押さえて出る。後方でタイミングを取った町田太我(写真)は、ケレン味なく赤板2コーナーから踏んで好スピードで主導権を奪う。3番手に野原が入り、深谷は一本棒の7番手で最終ホームを通過する。町田がつくったペースに翻ろうされて、別線は動けない。野原マークから南修二が中を割るが、町田が踏ん張って逃げ切った。
 「(自分たちが中団になった)初手がすべてです。それであの展開になったんでラッキーだった。野原さんに脚を使わせて中団を取らせて、深谷さんを後ろにおければと。(そうやって別線に)脚を使わせたら逃げ切れるから自信をもっていけって柏野さんに言われた。柏野さんにはいつも迷惑を掛けてたんで(ワンツーは)うれしいです。昨日(2日目)は脚を使ってなかったし、仕上がってると思います」
 深谷は不発。町田後位の柏野智典が、内、外の近畿2人に対処して2着を確保した。
 「スタートがすべてかなと。あの順番がすべてでした。(町田は)踏み出しも良かった。そんなに緩めることなく駆けた。野原君が(後ろに)入ってたのもわかった。(最終)バック、2センターくらいまで割ってくることないと思ったけど、4コーナーからどっちか(野原か南)が入ってくるかなと。自分もだいぶ状態が上がってきたので、焦りがなくなってきた。いい方向にいってます」

<9R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 吉田拓矢が押さえた上を渡邉雄太が叩いて先行策。合わせて踏み込んだ吉田は、3番手に飛び付いて打鐘の2センターで鈴木裕はさばく。が、空いたインをソツなく突いた諸橋愛が、郡司浩平(写真)の後位を奪い最終ホームを通過する。渡邉一成が反撃に出て、郡司は2コーナー手前から番手まくりで応戦する。渡邉一は力尽き、脚をためた単騎の隅田洋介のまくりも郡司の掛かりが良く不発。直線に入っても後続を寄せつけなかった郡司が1着。
 「(今年初のGI決勝で)ホッとした気持ちと、ラインのおかげで勝ち上がれたことに感謝しかないですね。あの並びになったので吉田君が切った上を叩いて、あとは出てから考えるって感じでした。その辺の状況判断は(渡邉)雄太に任せていました。吉田君が踏みながら出させる感じだったので、雄太も出切ってから流せずにフカシ気味だった。(渡邉一が)来たのが(最終)1コーナーだったので、出させても苦しくなると。自分自身の判断で(番手から出て)いきました。ちょっと自分のなかで早めに踏んだ感じですけど、道中から余裕はあったので踏み切れました」
 3車の南関勢を追った単騎の諸橋愛は、打鐘の2センターでさすがの立ち回り。吉澤純平をキメながら、吉田をすくって郡司後位を取り切った。そこで勝負あり、あとは郡司に流れ込み決勝のキップをつかみ取った。
 「(優勝の可能性が)1パーセントでもあればいい。決勝に乗らないことには0パーセントですから。初手は南関の後ろについて行こうと思っていたんですけど、鈴木君がさばかれた。吉田君と外で併走になるかなって思った。でも、結構、(内が)空いた。前々に踏んだ方がいいなって感じだった。最後は郡司君も踏み直していましたし、外をいける雰囲気じゃないスピード域だった。抜くことよりも抜かれないようにって頭を切り替えた。(自分らしさを)少しは出せたかなって思います」

<10R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 嘉永泰斗が早めに上昇を始めるが、前で構えた石原颯は誘導との車間を空けて臨戦態勢を整える。石原が赤板過ぎに突っ張り、主導権は譲らない。嘉永が今度は中四国勢の番手、原田研太朗の横で併走する。打鐘で嘉永が番手を奪うが、山田庸平(写真)は連結を外す。3番手に原田が下げて、松浦悠士。三谷竜生は5番手で最終周回へ。嘉永は後続の仕掛けを待つことなく、2コーナー手前から出る。嘉永に続いた原田がまくって3コーナーに突入する。外を踏んだ三谷マークから、内に進路を取った東口善朋が原田と接触して落車。松浦もあおりを受ける。落車を内に避けた山田が追い込んで1着。
 「(嘉永が石原と)踏み合ってたんで、空いたところを内にキメて(嘉永を)入れてそこからのレースか、早めに引くかのどっちかのレースだった。自分が付き慣れてないのと、嘉永君の走りがわかってないので連係を外した。(最後は)内に詰まらないようにと思っていたんですけど、結果詰まってしまった。落車が起こったんでたまたま。本当は東口さんよりも早く入り込んでたら良かったけど、入れてなかった。結果的に落車があったんで、自分が(決勝に)乗った。前検日のあまり良くない感じから、(ここまで)きている。でも、いままでの経験とか積み重ねたものがあるのかなと」
 落車のアクシデントがあり、結果的には嘉永ラインで上位を独占。園田匠は2着に届いた。
 「(山田)庸平に前を任せているんで、そこは引かせてっていう感じでした。東口さんが直角に降りてきたけど、あの辺は自分も庸平も慣れているんで絶対にどうにかしてくれると思って信頼をしていた。最後は庸平の行かないコースをと。自分は余力があった。(最終)バックがすごく掛かってたんで、気持ち良く回れました。7車立てだとなにもないけど、9車立てならあきらめなければチャンスがあると。そう言っている通り結果が残ったんで良かったです。タテ脚には問題ないので、自信をもっていきたい」

<11R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 赤板2コーナー過ぎに押さえて出た小松崎大地がペースを握る。4番手に追い上げた宿口陽一は、坂井洋との併走から切り込んで、最終ホームでは渡部幸訓の内まで進出する。渡部と宿口が接触して、4車の大量落車が発生。小松崎が逃げて、福島勢3車の後ろは大きく車間が空く。番手の佐藤慎太郎(写真)が抜かりなく追い込んだ。
 「坂井君が切ったところを(小松崎が)行ってくれた。あの気持ちが(小松崎)大地の強みだと思っている。いいレースをしてくれました。落ち着いて駆けていたので、ワンツーを決められる展開だったんですけど。自分の技量不足で大地を3着(結果的に繰り上がり)にしているので、自分としては0点に近いレースですね」
 2位入線の渡部が失格で小松崎大地が2着繰り上がり、昨年に続いて高松宮記念杯の優出キップを手にした。
 「中団が取れたので、中団から攻めていきました。(打鐘で叩いてからは別線を)出させるつもりはありませんでした。ペース配分は良かったと思うんですけど、結果的に(渡部)幸訓のところでからまれてしまった。それで落車と失格があったので、もう少し走り方があったのかなと。踏んでいる感じはいいです」

<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 切った山田英明が緩めたところを岡崎智哉がスピード良く飛び出す。岡崎の主導権に古性優作(写真)、神田紘輔と地元3車で出切る。山田が4番手に入り、隊列を一本棒にして岡崎が駆ける。6番手の谷口遼平は、浅井康太を連れて最終1コーナーからまくり上げる。大きく空けた車間を詰めながら古性が谷口を阻む。浅井が神田を押し込むように入って、古性、浅井、神田で接触。4コーナー手前で浅井が落車して、山田、谷口も落車。直線で古性が抜け出した。
 「岡崎さんも残れるように駆けたと思います。自分はラインの3人で決まるのが理想だったけど、判断がちょっと難しかった。浅井さんは準決はシビアに走るっていうのもあったんで想定内でした。でも、落車が起きてしまったのは残念でした。(状態は)抜群っていうわけではないですけど、ラインの方々に助けられた。(近畿勢は)自分1人になってしまったけど、なんとか決勝に残れてうれしく思います。このGI(高松宮記念杯)だけ唯一、決勝に乗ったことがなかったでし、いままでカラ回りをしていた。決勝が最低限の目標だと思っていたので、なんとかスタートラインに立てた」
 山田マークからコースを探していた荒井崇博は、紙一重でアクシデントを避ける。態勢を立て直して、直線で追い込んだ。
 「全然、見えてないです、前が。(別線が)横にいるなくらいです。ただ、ヒデ(山田)があそこまでやってくれたんで、あとはどこかをこじ開けて2(着)までは届くなと思った。だけど、ヒデが転んだんで残念です。突き抜けそうな感じはあった。(踏んだ感じは)悪くないです」