『第73回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:6月19日

 伝統の東西対抗。岸和田競輪場で開催された「第73回高松宮記念杯競輪(GI)」は、6月19日に最終日が行われた。東日本から5人、西日本から4人が勝ち上がり激突した決勝は、小松崎大地が主導権も後続がもつれる。そこを古性優作が最終2コーナー過ぎからまくってV。優勝賞金3532万円(副賞含む)を獲得し、2月の全日本選抜に次いで今年2度目のGI制覇。通算3度目となるGI優勝を地元で飾った。

決勝出場9選手が意気込みを語る
決勝出場9選手が意気込みを語る

決勝戦 レース経過

 号砲で諸橋愛、成田和也、荒井崇博が勢いよく飛び出すがスタートを取ったのは諸橋。郡司浩平-諸橋が前を固め、その後ろは小松崎大地-佐藤慎太郎-成田の福島勢。単騎の古性優作が6番手、山田庸平-荒井-園田匠の九州勢が後方待機となった。
 赤板前の2センターで山田率いる九州勢が上昇を開始する。赤板で山田が郡司に並びかけると郡司も踏み込み抵抗。一旦は山田が前に出かかったが、郡司が内から盛り返して先頭に立ち、山田は3番手まで下げた。ここで小松崎がスパートしてジャンが入る。気づいた郡司も懸命に応戦するが、最終ホームで小松崎が主導権を奪った。すると郡司は小松崎の番手に飛びつき、小松崎の後ろはイン郡司-諸橋、アウト佐藤-成田で並走になった。その後ろは単独で古性、そして九州3車が続く。小松崎の後ろの競りはなかなか決着がつかずにいたが、最終バック手前で古性が仕掛ける。古性は好スピードでぐんぐん前団に迫り、4コーナーで小松崎をまくり切って先頭に躍り出た。古性の脚勢は直線でもまったく衰えを見せず、古性のまくりに続いていた山田を寄せ付けず地元で高松宮記念杯初Vを達成。山田が2着で、直線で鋭く伸びた園田が荒井を交わして3着。


<6R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 赤板過ぎに先に切って出た四国コンビを新山響平が押さえて主導権。6番手に北津留翼(写真)が収まり、深谷知広は動けず8番手でレースが流れる。逃げる新山の番手の新田祐大は、車間を空けて別線の反撃の備える。最終バックで北津留がまくりを打ち、2センターで新田が外に振る。新田のけん制を乗り越えた北津留が1着。
 「(6番手が取れたのは)ものすごく大きかったです。ただ、4番手を取れなかった時点では終わったなと思いました。ああ、ハズレだったなって。(最終)ホームで新山君が自分のペースじゃない感じだった。掛かりがイマイチだったんで、新田君が1センターくらいから行くのかと。そしたら行かなかったんで、バック線まで来たら外にへばりついてでも踏んでいかないとっていうのがあった。今日(最終日)は1着が取れると思ってなかったのでラッキーでした」
 8番手に置かれた深谷知広は大外を強襲して2着に届いたが、シリーズをこう振り返る。
 「スタートの並びは想定したのと違った。それでもいつもなら新山君が行ったところを仕掛けていると思うんですけど。今回はなにをやってもダメだった。体調は悪くないし、仕上がりもいいと思う。ただ、直前の仕上がりの良さから、精神的な疲れがあった。それで自分をうまくコントロールできなかった。(8月の)オールスターに向けてやっている段階だったけど、ちゃんと結果を残していかないと」

<8R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 合わせる佐々木悠葵を打鐘過ぎに和田真久留が叩いて、神奈川ラインが主導権を握る。佐々木は中団に引いて立て直すと、タイミングををうかがっていた清水裕友(写真)は最終1センターからまくり上げる。松坂洋平が番手まくりを打つが、清水が抜群の加速でのみ込んで1着。
 「昨日(3日目)、長い距離を久々に踏んだ。ちゃんとレースをしたなっていいうのがあったんで、今日も距離をいくことも考えていた。(佐々木と和田が)やり合っているところを見てしまったのはあります。でも、あんな感じのまくりが出たのは、自分では記憶にないくらい久々ですね。昨日のレースで久々に出し切れた。勝っても負けても出し切れた感じがあった。(レース後に)ぶっ倒れて、その分、4日目に刺激が入った」
 3番手の高原仁志は付け切れずも、小倉竜二は危なげなく続いて中四国ワンツー。清水をたたえた。
 「(まくりの)出はかなり良かった。最近のなかだったら清水君は一番のスピードが出たんじゃないかと。あれだと高原君は切れているんじゃないかと。自分はデキが良くなかったんで、付いていくことに集中してました。(次の地元、小松島記念までに)維持かもう少し上げていきたい」

<9R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 太田竜馬(写真)が押さえた上を強引に谷口遼平が切って出る。そこを眞杉匠が打鐘の3コーナーで出て先行策。後続を一本棒にして、眞杉が最終ホーム過ぎから徐々にペースを上げる。5番手で脚をためた太田は、2コーナー過ぎから踏み出す。木暮安由のけん制を乗り越えた太田が、4コーナーからもう一度加速して逃げる眞杉をとらえた。
 「車番が悪かったので、取れた位置からと思っていました。後ろからになるだろうと思っていました。(まくって)踏み込んだ感じは良かったんですけど、逃げているのが眞杉君なのでドキドキしながらでした。木暮さんも絶対にもってくる。当たられたら止まってしまうので、避けられるように構えていました。最後はまたスピードに乗った感じですね」
 原田研太朗が太田のまくりに続いて徳島ワンツー。
 「残り1周でかぶりたくなくて、後ろを気にしていたら太田君に突っ込みそうになってバックを踏んでキツかったですね。ちぎれたら迷惑を掛けるんで必死で追っかけました。付け直してもういっぱいでしたね。でも、やっぱりいまの眞杉君をまくれる選手はなかなかいないと思うんで、(太田は)すごいすよね」

<10R>

山田英明選手
山田英明選手
 先行態勢を取った岡崎智哉は、吉田拓矢の反撃に合わせてペースを上げる。吉田は打鐘で切り込むように3番手を確保する。嘉永泰斗も巻き返して、最終1コーナーから合わせて吉田が仕掛ける。稲垣裕之が吉田をブロックすると、吉澤純平、嘉永が落車して、吉田は車体故障。嘉永との連結を外していた山田英明(写真)は、逃げる岡崎、雨谷一樹の後ろの3番手に入る。5番手からまくった渡邉雄太は3番手まで。直線でしぶとく伸びた山田が1着。
 「(3日目に)自分が落車をした。(シリーズ中の落車のあとに欠場しないで)走るのが初めてだった。それで対応力がなくて、(嘉永の踏み出しに)口が空いてしまった。一生懸命、追いかけたけど、連係を外すっていうのは選手にとって嫌なことだし、しっかりと付いていかないと。今日(最終日)はたまたまですね。落車を避けて精いっぱい。3番手に入れたけどなにもできなくて、一生懸命踏んだら1着だった」
 渡邉を迎え入れた和田健太郎は、最終ホームで9番手の最後方。落車を外の金網スレスレで避けたものの、前団とは大きく車間が空いた。そこからは怒とうの追い込みで外を強襲した。
 「(渡邉)雄太とは昨日今日の連係じゃないし、雄太には何度も助けてもらっている。あそこでもまたチャンスがあるんじゃないかと。そのあとは(落車を)なんとか避けられたんで良かった。(前が)遠かったですね。追いかけて追いついてきた時にヒデ(山田)も踏んだ。自分は最後まであきらめず踏んだ結果だと思います」

<11R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 関東勢が前団に構える。上昇した町田太我を坂井洋が突っ張り、両者の踏み合いになる。浮いた松浦悠士はスペースを探しながら後退する。坂井は1車になった町田を出させて番手に入る。町田の先行で最終ホームを通過して、坂井洋が1センター過ぎから踏み上げる。が、まくった松浦に合わせて三谷竜生(写真)もまくりを打つ。今度は坂井マークの隅田洋介も自力に転じるが、三谷がのみ込んだ。
 「坂井君が突っ張れば、そのままそこにいてと。町田君が叩いてしまえば、ワンチャン(カマシを)狙っていました。ジャンからホームがめちゃくちゃ掛かっていた。(最終)ホームで緩んだんですけど、行けなかったのが反省点ですね。松浦君が来たのが見えたんで、かぶるのが嫌で仕掛けました。ゴールまで踏み勝てる感じでした」
 三谷のスピードには屈した隅田洋介だが、最終4コーナーでは冷静に外の松浦をけん制して2着に入った。
 「(坂井が)番手にはまったので、(ラインの)3人でと思ったけど、自分の技量不足で…。でも、あそこまでいったら1着を取るのが仕事だと。それで踏んだんですけど。(最終)3コーナーで車輪をかけて復活したかった」

<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 地元の古性優作(写真)が単騎戦の不利を問題にせず、全日本選抜に続くGI優勝を達成した。レースは、九州勢を突っ張った郡司浩平を、最終ホームで小松崎大地が叩く。郡司は引かずに番手飛び付き策に転じ、番手、3番手が激しくモツれる。これで流れが向いたのが初手から福島勢を追っていた古性。最終2コーナー過ぎからのまくりで決着を付けた。
 「展開が向きましたね。思っていたのと違ったんですけど。流れに身を任せてって感じですね。本当にもう行くしかないって感じで無理やり行ったんですけど、感覚も悪かったですししんどかったですね。(ゴールした瞬間は)僕やなって(笑)。本当に初日は野原君が頑張ってくれて、2日目、3日目は岡崎さんがってラインのおかけで決勝に乗れたので。あとはもう自分の力を一滴残らず出し切るだけだと思っていたんで。1番車として責任は果たせているのかなって。状態が良くない中で、直前に股関節を痛めてしまて思っていた練習はできなかったんですけど。いつもと違う感じの練習もできましたしそれが良かったのかなって。脚見せで声援が凄くて、ジーンっときてこれ優勝したら泣くやろなって思っていたんですけど泣かなかったですね(笑)。おっしゃーってなって泣くことを超えましたね」
 まくった古性には九州勢がそっくり続く。直線入り口で古性がまくり切って先頭に立つと、そのまま山田庸平が流れ込んで2着。
 「郡司さんが前だったので突っ張られないようにって勢いをつけて切りに行ったんですけどね。モガき合いになったんですけどいくのが遅くなってしまって。結果的に(古性の仕掛けを)アテにした感じですね。たまたま古性さんが単騎だったので。ラインがあったら自分で仕掛けないといけないので。そこが課題かなって。やっぱり仕掛けていかないと脚力は付いてこないと思うので」
 大外に車を持ち出して強襲を狙った荒井崇博は伸び切れず、その内を踏んだ園田匠が3着に入る。
 「荒井さんが踏んだコースの反対を踏もうと思っていたので。古性君が強かったですね。でも九州も盛り上がってきているので。あともう1個ってところですけど、3人で2、3、4着なんで。しっかりとこの状態を保てれば勝負できると思うので」

次回のグレードレースは、久留米競輪場開設73周年記念「第28回中野カップレース」が6月25日~28日の日程で開催されます。
今開催は平原康多、古性優作、郡司浩平、清水裕友のS級S班4名をはじめとして、機動型、追い込み型がそろう地元勢など充実したメンバーが勢ぞろい!ハイレベルな戦いが期待されます。また、一発勝負で争われる「レインボーカップチャレンジファイナル」にもご注目ください!

6月14日時点の出場予定選手データを分析した、久留米競輪「中野カップレース」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてご覧ください。

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