『第74回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:6月14日

 伝統の東西対抗と新設のガールズGI。岸和田競輪場を舞台に開催されている大阪・関西万博協賛「第74回高松宮記念杯(GI)」と「第1回パールカップ(GI)」は、6月14日に2日目が行われた。高松宮記念杯は東西の一次予選1、2が行われ、2走目のS級S班、脇本雄太が連勝でゴールを駆け抜けた。また、パールカップでは、東西の準決で熱戦が展開され、東日本の久米詩、西日本の児玉碧衣が連勝で優出した。6月15日の3日目は、高松宮記念杯の一次予選2とパールカップで決勝の号砲が鳴らされ、初代クイーンが決まる。
 シリーズの開催中は毎日、東西ガチンコ予想会、オリジナルグッズが当たる未確定車券抽選会、岸和田グルメフェスティバルなどが行われます。また、6月15日の3日目は、女性アスリート界のレジェンド、吉田沙保里さんのトークショー、高木真備さんのトークショーなども予定されています。岸和田競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

パールカップ西準決勝出場選手特別紹介
パールカップ西準決勝出場選手特別紹介
パールカップ東準決勝出場選手特別紹介
パールカップ東準決勝出場選手特別紹介
パールカップ西準決勝ゴール
パールカップ西準決勝ゴール
パールカップ東準決勝ゴール
パールカップ東準決勝ゴール
パールカップ準決勝表彰式
パールカップ準決勝表彰式

<1R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 赤板過ぎに嘉永泰斗が、清水裕友の上昇を阻んで突っ張る。さらにそこを石塚輪太郎が仕掛けると、嘉永は冷静に中近勢を受けて4番手をキープする。清水が7番手の一本棒でレースは流れて最終周回。嘉永は1センターから踏み上げるが、坂口晃輔、村上博幸のブロックでスピードが鈍る。その上をまくった清水は、山田庸平(写真)のけん制で不発。4コーナーでまくり切った嘉永を山田が楽に追い込んで1着。
 「嘉永君が冷静に運んでくれた。本人も出が悪かったって言っていましたけど、踏み出しは良くなかった。ただ、そのあとの(最終)3コーナーは普通の選手だったら止まるんですけど、嘉永君の持ち味が出てすごいなって。一瞬、止まったかなって思ったんですけど。清水さんが来ているのが見えたんで、外に持ち出してかぶらないように。いつもよりちょっと早めに踏んだ。余裕はあったんですけど、自分が自力じゃキツいかなっていうのは感じました」
 清水を突っ張って中団を確保した嘉永泰斗は、その後もどっぷりと構えることなく先まくりを断行。自身の持ち味を存分に発揮して、別線を一蹴した。
 「清水さんだけは突っ張って、石塚さんが飛んでくると思ったので4番手を確保してっていう感じでした。清水さんよりも先に仕掛けようと思っていました。(最終)ホームもキツくて無理やり行った感じで、出が悪かったですね。(ブロックも)結構ききました。でも、村上さんだけ乗り越えられれば行けると思った」

<2R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 北井佑季も勢いをつけて叩きに出るが、前受けの新山響平が突っ張り主導権をキープする。坂井洋(写真)は抜かりなく中団を確保して、最終1センター過ぎにまくりを打つ。逃げる新山に3コーナーで並んだ坂井が、そのまままくり切って、諸橋愛とのゴール勝負をタイヤ差でしのいだ。
 「(新山が)突っ張ってくれた方が、(自分たちの)一番理想の形になるかなと。そこは集中していました。(最終)3コーナーをのぼらないように早めに(仕掛けて)行けば、ラインで決まるんじゃないかと。緩んだところで行きました。一昨日の前検日も、ここに来る前も調子が良かった。それで(まくりが)もっと出るかと思ったけど、モコモコしちゃいました」
 打鐘手前で外から追い上げる形で坂井とドッキングした諸橋愛は、2着にも上々の手ごたえを得ているようだ。
 「(坂井が)強かったですね。(赤板2コーナー手前のところは)離れたわけじゃないけど、完全に(小原太樹に)締められてたんで、あれをそのまま行ったらアウトかなと。(追い上げた)あそこで脚を使っている分、最後が甘かった。でも、(新山が)いい感じで掛かっていたのに、(坂井は)その上をいったんでたいしたもんですね。自分も脚を使ったけど、差したかなっていう感覚もあったんでだんだん良くなっている」

<3R>

松本秀之介選手
松本秀之介選手
 山口拳矢、三谷竜生と順番通りに動いたところを、松本秀之介(写真)が叩いて打鐘3コーナーから風を切る。3番手に三谷が入り、山口は6番手。リズム良く松本が駆けて、番手の井上昌己は車間を空けて三谷のまくりをけん制する。三谷は井上の横までで、別線はようやく直線で迫る。が、松本が追撃を退けて逃げ切った。
 「三谷さんの動きに乗って、前に出られました。昨日(初日)のレースでも逃げが残っていた。バックの追い風のおかげで残れたのかなって。(GIで)勝ち上がりでの1着は初めてなのでうれしいです」
 松本に流れ込んだ井上昌己は、ゴール前でのアクシデントに巻き込まれかけたが2着をキープした。
 「スタートの位置次第でしたけど、(松本が)先行しやすい初手になった。あとは自分がどれだけやれるかって感じでした。(松本が)掛かっていってた。それでまくりづらいだろうなとは思っていました。松本君が強かったですね。抜けるかなって思っていたんですけど、(山田久徳との接触で)後輪が潰れてしまってロックがかかった感じで抜けなかったですね」

<4R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 踏み込む深谷知広(写真)を、飯野祐太が赤板過ぎに押さえ込んで先頭に立つ。深谷は下げて、吉田拓矢は赤板2コーナーから仕掛ける。打鐘手前で出た吉田が主導権。関東3車で出切り、吉田がそのままペースを落とさずに駆ける。中団の飯野は動けない。7番手での立て直してを余儀なくされた深谷は、前が遠いが最終バックから踏み上げる。逃げる吉田後位で間合いを取った平原康多に絶好の流れも、強襲した深谷がゴール前で前団をごっそりのみ込んで1着。
 「誰も取らなければ、前でもと思ってました。ただ、突っ張ろうっていうのもあって、(赤板)ホームで踏み上げたのと、その前に誘導を追うのに脚を使った。それで(最終)ホームで行くタイミングがあったけど、踏み遅れてバックまで待った。(まくりは)前との車間を使って加速を鋭くいけたので、そのままの勢いのまま届いた。ああいうまくりの形で、出はいい方だったので収穫はあった」
 深谷マークの和田健太郎は、直線でコースが狭まるもなんとか伸びて南関ワンツー。
 「最悪、前でもっていうのがあったし、深谷に任せてました。仮にジャンで行かれてたら離れてたと思います。(自転車に関しては前回の)全プロ記念と同じような感じですね」

<5R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 前受けの犬伏湧也が、谷口遼平を突っ張り主導権を渡さない。3番手は岩谷拓磨も荒井崇博(写真)が連結を外して、岩谷の後ろには谷口が入る。打鐘4コーナーで大塚健一郎と三谷将太が落車。犬伏の先行で最終周回へ。岩谷が3コーナーから外を踏み込むが進まない。四国勢のワンツーかに思われたが、5番手から中のコースを荒井が鮮やかに突き抜けた。
 「(赤板過ぎ1センターで)三谷のところはいけなくて、空いて空いてって感じだった。でも、谷口のところは(内から)いけないから、そこで勝負しようと思った。(最終)バックでは岩谷も谷口も外を仕掛けると思ったんで、真ん中を行こうと思っていました。真ん中なんでね。踏んだ感じはわからないです」
 例によってパワーにモノを言わせて犬伏が逃げる。さすがに最終バック付近からはスピードが落ちたようで、付けた香川雄介がこう振り返る。
 「犬伏君には逃げ切ってもらう感じで駆けてもらえればって思っていましたけど、思いのほかバックで失速している感じだった。いつもだったら踏み上がっていくんですけどね。ちょっとオーバーペースだったのかな。自分が1着取らないといけないですね。荒井君にいかれてしまった」

<6R>

杉森輝大選手
杉森輝大選手
 誘導との車間を空けた野口裕史が赤板目がけて踏んで、小松崎大地を出させない。そのまま野口が先行態勢を取り、吉田有希は4番手をキープする。突っ張られた小松崎も早めに7番手に戻り、隊列は一本棒。打鐘を通過して野口がペースを上げる。最終1コーナーで吉田が仕掛けて、逃げる野口の番手の松谷秀幸が外に振る。松谷のけん制で、吉田が落車。目標の吉田を失った杉森輝大(写真)だったが、バックからまくりに転じてあっさりと仕留めた。
 「野口君が前を取るようだったら、突っ張りもあるなっていうのがあったんで、(考えていた)展開の1つになった。(吉田の落車があって)一瞬、フワッとして迷ってしまった。ただ、うまく落車を避けられたんで、そこからは自分で行くしかないと。踏んだ瞬間、行ける感じがあった。初日もいい感じで踏めていたんで、状態はいいと思います」
 茨城ライン3番手の武田豊樹は、最終3コーナーから杉森の加速に遅れて3位入線。しかしながら、松谷の失格で2着に繰り上がった。
 「落車を避ける形で脚を使ってしまった。(杉森には)離れながら追いかけたんでキツかったですね。(前回が)30日以上休んで(の復帰場所だったので)今回は2場所目でまだ感覚がイマイチなところがある。だけど、トレーニングはいい感じだったんで、うまく調整して走りたい」

<7R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 誘導を残したまま脇本雄太(写真)が下げ始めて、取鳥雄吾が青板4コーナーで誘導の後ろに入る。松岡辰泰が4番手で、7番手に脇本。取鳥は打鐘で誘導を降ろして自らペースをメイクする。松岡も前との車間を空けて、最終ホームを通過しても脇本はまだ仕掛けない。逃げる取鳥の掛かりがいい。車間が詰まったバックからまくり上げた脇本は、大外を計ったように突き抜けた。
 「引いてから自分のいけるタイミングを探していましたけど、なかなかタイミングが合わなかったですね。無理やり行った感じです。結果だけ見れば連勝ですけど、内容は全然ダメ。体は大丈夫ですけど、精神的な部分が弱っている。今日(2日目)のレースのことを反省しつつ、次に向けて調整したい」
 取鳥の先行を利した橋本強が、ゴール寸前で取鳥を交わして2着。
 「昨日(初日)、(取鳥)雄吾と連係を外してしまっていたので、それだけは避けようと思っていました。メンバー的にも(取鳥が)一番先行するタイプなんで。自分も仕事をできればと思っていました。雄吾は普段2周勝負していますし、ジャンまで誘導が残っていた。松岡君が浮いていて、最後その外を(脇本が)来るんだろうなって思っていましたけど。雄吾もタレていなかったんで決まったかなって思いました」

<8R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 後方の青野将大が上昇すると、佐々木悠葵も合わせて動いて赤板過ぎは機動タイプの3車が重なる。勢い良く佐々木が切って、青野の番手に飛び付く。主導権を握った青野の後ろが、佐々木と岩本俊介の併走になり打鐘。前団の隊列が凝縮されて、渡邉一成が反撃のタイミングをうかがう。青野の番手は佐々木が奪うが、渡邉が最終1センター過ぎにまくり上げる。あおりはあったもの、渡邉がスピードの違いでとらえて、佐藤慎太郎(写真)がきっちりと差し切った。
 「すべて任せてましたし、(渡邉)一成が自分のタイミングで行ってくれたんで、いいタイミングだったんじゃないですかね。一番いい時の一成に近いスピード感がありました。一成自身がいいレースをしてくれて、それに付いていっただけです。(上がりタイム)11秒フラットで交わせている。すごくいい感じはしないけど、悪い感じはしない」
 タイトルを有する3人が別線を撃破して、北日本勢で上位を独占。流れが向いたとはいえ、渡邉一成のまくりは目を引いた。
 「突っ張ろうと思ってたんですけど、佐々木君がすごい勢いで来た。(佐々木が南関勢に)粘ってくれたんで、展開が向きました。(ラインで決まって)勝ったことには良かったけど、突っ張るって決めていたので突っ張りたかった。佐々木君のレースのつくり方が読めなかった。でも、そのあとは落ち着いて対応ができた」

<11R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 打鐘手前で6番手から山原さくらが上昇すると、3番手の坂口楓華が合わせて動く。最終ホームでは坂口と山原の主導権争い。児玉碧衣(写真)は2番手の外併走から、2コーナー手前で外に持ち出す。次元の違う加速であっさりと逃げる坂口を置き去りにした児玉が、後続をちぎってゴールした。
 「中団から先行してもおもしろいかなって準備はしていたんですけど。山原さんが車を外に持ち出したのが見えたので、切り替えて自分のタイミングで仕掛けられればって思いました。昨日(初日)よりも踏み出しは軽かったですね。徐々に良くなっているなっていうのはあります。ゴールまで踏めていたと思う」
 坂口後位にいた柳原真緒は、最終3コーナー過ぎに那須萌美にスイッチして直線で追い込んだ。
 「坂口さんが思ったよりも早く来た。結果的には良かったんですけど、入れて難しい展開になりましたね。(最終2センターで)那須さんの後ろがいなかったんで、外に持ち出せて良かった。けど、バタバタしすぎて伸びていく感じはしなかったです」
 山原との踏み合いで脚力を消耗した坂口楓華だったが、3着に踏ん張って決勝に進んだ。
 「展開的に(まくられたのが児玉の)1車だけだったので粘るだけでした。もう必死だったので記憶はないですね。児玉さんが山原さんの後ろにいたんで、(山原を)出したら終わると思って腹を決めて頑張りました。(最終)ホームからは行こうと思っていた。プライドをもって走りました。(相手任せなレースではなくて)自分で勝負していくことをテーマにやっているので、自分のレースを貫くことだけ考えて頑張りました」

<12R>

久米詩選手
久米詩選手
 スタートを出た鈴木奈央が先頭で打鐘を迎える。久米詩(写真)は2番手の外まで押し上げて飯田風音と併走。スローペースのまま押し出されるように、久米が最終ホーム手前で先頭に立つ。久米の2番手、3番手が大渋滞になり、久米はマイペースで駆ける。小林莉子には4分の1輪まで詰められたが、逃げ切りで久米が人気に応えた。
 「基本的には前々にいたかったんで、そこだけでした。外併走でいて(打鐘の)4コーナーくらいまで誰も仕掛けなかったんで、1回前に出て様子を見ようと。脚の感じはすごく良くて、昨日(初日)よりスムーズに走れました。結果が出始めてからも、調子の良し悪しはある。けど、そのなかで勝ち切れているのは、自分でも成長しているからだと思います」
 最終ホーム過ぎに2番手の外まで追い上げた小林莉子が、内の鈴木奈に踏み勝ち2着。さすがの立ち回りでらしさが光った。
 「内枠に点数のある選手が2人(久米、鈴木美)がいたんで、どっちかの後ろにいたいなっていうのがありました。みなさん仕掛けが早かったので、自分も後方に置かれるよりも前々に行かなきゃって上がっていった。それでいつの間にかあの位置にいたような感じです。ちょっと自分でもビックリでした(笑)。久米さんがうまくて強い。自分も(調子は)悪くないと思って来たんですけど、久米さんがノリノリですね。昨日(初日)よりはいいかなって感じはするけど、ゴール前の伸びが悪いです」
 3車併走の一番外で3番手争いをこらえた荒牧聖未が、外を追い込んで3着。
 「しっかり前々に攻めて、あとは自分の力を出し切ろうと。内に包まれて締まったので、(外に持ち出して)レースの流れに乗って冷静にいきました。自分が一番外だったので、踏み遅れないようにと。(脚の感じは)昨日(初日)より今日の方が良くなっている」