『第75回高松宮記念杯競輪・第2回パールカップ(GI)レポート』 最終日編

配信日:6月16日

 岸和田競輪場を舞台に開催された令和6年能登半島地震復興支援競輪・大阪・関西万博協賛「第75回高松宮記念杯(GI)」は、6月16日に最終日が行なわれた。地元からは古性優作、南修二の2人が優出した決勝は、前団に構えた神奈川勢が近畿勢を出させずに、そのまま主導権。番手からまくりに転じた北井佑季が優勝。デビューからおよそ3年と1カ月でGI初制覇を遂げて、優勝賞金4790万円(副賞含む)を獲得。年末に静岡競輪場で行われる「KEIRINグランプリ2024(GP)」の出場権も手に入れた。

決勝出場選手特別紹介
決勝出場選手特別紹介
決勝1番車、南修二選手
決勝1番車、南修二選手
決勝2番車、新山響平選手
決勝2番車、新山響平選手
決勝3番車、郡司浩平選手
決勝3番車、郡司浩平選手
決勝4番車、小林泰正選手
決勝4番車、小林泰正選手
決勝5番車、脇本雄太選手
決勝5番車、脇本雄太選手
決勝6番車、桑原大志選手
決勝6番車、桑原大志選手
決勝7番車、古性優作選手
決勝7番車、古性優作選手
決勝8番車、和田真久留選手
決勝8番車、和田真久留選手
決勝9番車、北井祐季選手
決勝9番車、北井祐季選手

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると郡司浩平が誘導員の後ろに付き、郡司-北井佑季-和田真久留の神奈川勢が前を固めた。中団は新山響平-桑原大志が占め、単騎の小林泰正がこの後ろ。脇本雄太-古性優作-南修二の近畿勢は後攻め。
 赤板で郡司が誘導員を交わして先行態勢に入る。7番手の脇本が赤板過ぎから一気に踏み上げていくも、郡司のカカリがいい。脇本は4番手外併走までで後退し、小林、古性が、新山ラインの内に入って神奈川勢の後位に切り替える。最終ホーム付近からは新山がスパートするも、北井が外にけん制しながら1センターから番手まくりに出る。北井のスピードが良く、2センターでは北井-和田-小林-古性-南の態勢で4コーナーを回る。直線では古性が内に入って後位はモツれるも、北井が振り切ってGI初制覇。2着は和田でワンツーが決まった。小林、北井と接触して落車滑入しながらも古性が微差で小林を押さえて3着に入った。





<4R>

小原太樹選手
小原太樹選手
 赤板過ぎに高橋晋也が押さえて出る。皿屋豊が切りに出るが、高橋も踏み上げて結果的に両者の叩き合い。椎木尾拓哉と息が合わず、打鐘3コーナーで出た皿屋の後ろには高橋が入る。6番手で車間を空けていた伊藤旭がタイミングを取り、根田空史は8番手に置かれる。追い上げた椎木尾を目標にするように、最終ホームから伊藤がまくる。あおりを受けながらも根田が、その上を襲い掛かる。まくり切った伊藤を根田がスピードの違いでのみ込む。根田マークから小原太樹(写真)がきっちり追い込んだ。
 「みんな積極的なタイプなので、根田君の持ち味を出せるようにと思っていました。(打鐘でペースが上がり)みんな2車(のライン)なのに、あんなに踏むんだって感じでした。根田君も連日、調子は良さそうだったので安心して付いていました。(自分の状態は)日に日に良くなってきましたね。正直、まだ(落車の怪我の)痛みはあるんですけど、練習ではそこそこタイムが出ていたので(久々に1着が取れて)うれしいです」
 8番手から豪快にまくった根田空史が力を見せて、ラインでのワンツー決着。
 「(打鐘付近は)かなりキツかったですね。完全に踏み遅れました。平面からのダッシュだったので。かなり車間が空いてしまって、ようやく詰まったなっていうところで伊藤君が仕掛けていったので乗っていけた。タイミング的にバックを踏まずに行けたのが良かったですね。(あとから伸びるのは)このフレーム(新車)の長所だと思う。まくりが2回出ているんで、パーツを変えたりしたら良くなるかもしれないので、もう少し煮詰めたい」

<6R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 森田優弥にフタしてから踏み込んだ取鳥雄吾が、赤板2コーナー手前で先頭に出る。森田もすかさず巻き返すが、先行態勢の取鳥がペースを上げて駆ける。森田は、取鳥ラインに切り替えた単騎の佐藤友和の横で併走。2センターから再度仕掛けるが、取鳥は出させない。取鳥、森田で踏み合いになり、三谷竜生(写真)が満を持して最終1センター過ぎからまくりを打つ。が、佐藤も合わせて出る。2センターのあおりもあって、あっさりとはいかずも三谷がねじ伏せた。
 「取鳥君が(森田に)フタをするのも想定内だった。取鳥君も森田君に負けられないっていうのがあるでしょうし。それで自分は誘導を残して引いた。森田君が(4番手の)あそこで止まってくれたら、それはそれでと準備はしていた。前が掛っていたので、無理やり仕掛けたら(まくりの)出が悪かった。もうちょっとすんなり出切れれば良かった。(シリーズを通しては)調子は悪くなかった。ただ、昨日(5日目)でいえば叩けなかったら、番手にいかなきゃダメでした。岸和田はタイムが出るんで、もう一つ、スピードを上げたい」
 取鳥に合わされて出切れずも、森田優弥は番手の香川雄介と併走で我慢。最終2センターから追い込んで2着に入った。
 「(佐藤)友和さんがいたんで、(外併走から仕掛ける)タイミングがかなりズレた。前に出られなかったのは反省点ですね。香川さんのところは冷静に見られてました。そこで動きを少なくして、リカバリーができた。(シリーズを通しては)かなり疲れがあって、練習不足を感じました」

<7R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 4車の松井宏佑ラインが、前団に構える。佐々木悠葵の上昇に合わせて松井が突っ張り、主導権を渡さない。徳島コンビは中団をキープして、佐々木が7番手に戻り一本棒の隊列で打鐘を迎える。突っ張り先行でレースを支配した松井のペースに、別線は動けない。最終2コーナーからまくった小川真太郎は、番手の和田健太郎(写真)を脅かすまでには至らない。和田がゴール寸前で松井の逃げを交わした。
 「(北日本勢がいて)車番的にも松井君にとっては走りやすくなりましたね。前が取れたら全部突っ張るっていう感じだったので。(最終)ホームぐらいから踏み上げていった。これなら佐々木君も小川君も来られても自分のところくらいだと思った。差せたかは微妙でしたけど、ギリギリの勝負はできた」
 北日本勢が3、4番手を固めてラインの厚みを増した松井宏佑は、その意をくんで別線に一度も先頭を譲らない先行策。
 「今日(最終日)は体的にもキツかったんですけど、主導権を握ってラインで決まるようにと思っていました。もう全ツッパしか考えていなかったですね。(突っ張ったあとは)佐々木君も小川君も先行しないわけではないと思うので、いつきても反応できるようにしていた。徐々に踏み上げていって、掛かり切ったと思います」

<9R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 赤板過ぎに犬伏湧也が先頭に立ち、新田祐大(写真)との併走で3番手でタイミングを取った眞杉が2コーナー過ぎに出る。関東勢に単騎の内藤秀久が続き、新田は4番手に追い上げる。後方の寺崎浩平が、打鐘過ぎに巻き返す。眞杉もペースを上げて逃げて最終周回へ。三谷将太は連結を外して、1人で前団にせまった寺崎は、武藤龍生のブロックでスピードが鈍る。5番手になった新田がまくって、3コーナー過ぎに逃げる眞杉をとらえて1着。
 「眞杉君のスピードが良くて、(打鐘)4コーナーから駆け始めた。これで来られるのかなっていうタイミングで寺崎君が来て、寺崎君を追いかけようと思ったけど。(最終1、2)コーナーで武藤君のあおりもあるだろうから。落ち着くまで様子を見ていました。寺崎君の動きを見ていて、まだ踏みやめてなかった。寺崎君の間を(まくって)行きたくて悩んだ。その時間が掛かった。今日(最終日)は場所が良かっただけで、感触がどうこうではなくタイミングですね。(シリーズを通しては)中日(3走目)の成績が良くなかった。準決はしっかりと走りたいっていう気持ちがカラ回りしてゴール勝負になった。展開が読めていなかった。(佐藤)慎太郎さんに悪いことをしました」
 犬伏マークの荒井崇博は最後方も、最終2センターから中のコースを進出。直線でシャープに伸びて2着に届いた。
 「最後はコースが空いてたんで踏みました。自分がすごく伸びたっていうよりは、前が止まっていた感じだったので2着までくることができたんだと思います」

<11R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板過ぎに窓場千加頼が押さえて出て、3番手には単騎の宿口陽一が続く。深谷知広(写真)は俊敏に4番手に入って、前受けの嘉永泰斗は7番手まで引いて打鐘を迎える。先行態勢の窓場が徐々にペースを上げるが、嘉永が4コーナーから仕掛ける。最終1コーナーで宿口が、嘉永に合わせて出てもつれる。内に降りた浅井康太を張りながら、深谷が2コーナーまくり。スピードの違いであっさりのみ込んで、深谷が後続をちぎった。
 「(窓場が)押さえたところをどうするかでしたけど、入れたので、落ち着いた。(嘉永が仕掛けてかぶったところは)反省です。そのあとに空いてから行きました。(出脚は良く見えたが)前を向いていたし、中団で脚をためられていたので。(3走目の青龍賞1着含めてシリーズ4勝だが)重要なところ(準決)で失敗している。(準決の走りが)結果的にダメだった」
 佐藤慎太郎は深谷の加速に遅れ気味で、逃げた窓場の番手の山本伸一に張られる。なんとか近畿勢の抵抗を退けた佐藤が、6車身離れての2着。
 「深谷が強かった。(最終)3コーナーの登りで、口が空いてしまった。自分が弱いだけ。(今回は)展開という部分もあるけど、昔といまの競輪は変わっているし、いまは上がりタイムもだけど、赤板からのスピードもすごいんでね」

<12R>

北井佑季選手
北井佑季選手
 郡司浩平がスタートを出て、神奈川トリオが前団に構える。新山響平が4番手で周回を重ねて、単騎の小林泰正は6番手。7番手の脇本雄太が、赤板から踏み込む。それを察知して郡司は誘導を降ろしてペースを上げて駆ける。脇本は5番手付近で浮いて打鐘。2センターで新山が脇本を外にけん制して、空いた内を小林が押し上げる。脇本は力尽き後退。すくわれた新山は最終ホームから仕掛ける。新山を1コーナーで張った北井佑季(写真)が、2コーナー手前で番手発進。北井に和田真久留、小林になり、新山は不発。切り替えた古性優作が、3コーナーでは4番手。直線は北井と追い込む和田の間で、小林と古性がからみ、北井が押し切ってGI初制覇を飾った。
 「同県の仲間に支えられての優勝だと思います。(郡司の)後ろに付かせてもらうのは初めてなんですけど、背中から熱い思いっていうのが感じられる走りでした。その郡司さんの気持ちを受け止めながら、後ろに付いていただいた(和田)真久留さんの気持ちを考えながらでした。自分のできる精いっぱいの走りをしようとゴールまで踏み切りました。今シリーズは準決で松井宏佑さん、決勝では郡司さんの番手で、(2走続けて)番手の走りになった。そういう熱い走りをしてもらったので、今後はいままで通りに自分が前で熱い走りで頑張りたい」
 北井の後ろの和田真久留は、直線で外を追い込む。わずかにできたスペースで小林と古性がもつれる。和田も小林に押し込まれながらも2着。神奈川ワンツーを結実させた。
 「北井さんが(新山を)張った。あの張りに付き合うと(小林)泰正が内を狙っていたので、締めていてキツかった。ただ、迷惑を掛けないで良かったです。要所、要所で内を狙っている選手が多かった。(2度目のGI決勝は)良かったです。前回は単騎だったけど、神奈川3車で(郡司)浩平が駆けているのを後ろで見ていて泣きそうになりました。泰正と古性が来ていたのはわかっていたし、2人に割られないようにでした」
 脇本が後退して、切り替えざるを得なかった古性優作は、最終ホームで7番手。懸命にコースを探して、4コーナーでは4番手。高松宮記念杯3連覇をかけて、中割りを試みたが小林とからんで落滑入で態勢を崩しながらのゴールで3着。
 「脇本さんがすごいレースをしてくれた。自分の力不足でした。脚が整わなかったですね。新山君がいなくなったら、外を踏みたかったが、脚にアタリがなかった。前に3人いて外は間に合わないと思って、優勝するならって思いっ切り内の厳しいコースをいきました。南(修二)さんのコースだし、北井さんにも申し訳なかった。走る前も力を出し切ることに集中できていて、3連覇を意識せずに走れた。自分のパフォーマンスを最大限出せた。郡司君、北井さんラインに力で負けた」

次回のグレードレースは、久留米競輪場開設75周年記念「第30回 中野カップレース」GIIIが、6月22日~25日の日程で開催されます。
古性優作、松浦悠士、新山響平のSS班3名をはじめとして、北井佑季、岩本俊介、犬伏湧也らの快速レーサーが参戦。九州勢は地元の北津留翼を中心に、嘉永泰斗らが一丸となって強豪を迎え撃ちます。
4日間に渡るスピードバトルから目が離せません。

6月7日時点の出場予定選手データを分析した、久留米競輪「中野カップレース」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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