『第58回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:6月5日


 びわこ競輪場で行われた第58回高松宮記念杯競輪は本日がいよいよ最終日。
 決勝戦に駒を進めた9名のファイナリストが、栄冠と栄誉、そしてGP出場権を賭けて熱い戦いを繰り広げた。二車が落車する波乱もあったが、激戦を小嶋敬二が制した。


決勝戦ダイジェスト

 号砲が鳴っても、各車見合って出渋るが、岡部芳幸、小嶋敬二が出てレースが始まる。岡部の前に中部コンビが入り、小嶋-山田裕仁-岡部-佐藤友和-山崎芳仁-斎藤登志信-北津留翼-荒井崇博-合志正臣で隊列はすぐにまとまる。しかし、並びは落ち着いたものの、斎藤が直後の北津留を牽制するように車を微妙に内、外に蛇行させて周回は進む。
 一本棒のまま赤板を通過するが、斎藤の後続への牽制はますます激しくなる。2コーナーまで来てそれでも北津留は発進しようとするが、佐藤も上昇を開始。打鐘手前で小嶋ラインを押さえて先頭に立った佐藤は、中団外で仕掛けるタイミングを窺う北津留を突っ張るようにペースを一気に上げる。突っ張られた北津留は車を下げるが、2センター付近で斎藤と接触して落車してしまう。これに山田も乗り上げて、レースは7人に。佐藤-山崎-斎藤-小嶋-荒井-合志-岡部で最終ホームを通過も、すかさず岡部が追い上げ、小嶋後位を奪いに出る。岡部は2コーナーで荒井をキメるが、体勢を立て直す前に2コーナー立ち直りで小嶋が仕掛けたために追い切れない。一方、グングンと加速して行った小嶋は山崎の牽制もモノともせず、3コーナーでは佐藤をまくり切って先頭に立つ。すかさず山崎が小嶋に切り替えるが、踏み出しでややモタついて小嶋との車間は空いてしまう。結局、小嶋は後続の追撃を許さず、平成15年以来2度目の宮杯Vを飾った。山崎も直線は伸びたが、小嶋は捕らえられず2着。3着には内を突いて山崎に続いた岡部が入る。

表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ
ゴール
ゴール




<3R>
菊地圭尚選手
菊地 圭尚選手
   3レースは最終1センターから仕掛けた菊地圭尚(写真)が、まくりきって今開催初勝利を挙げた。「バック向かい風できつかったけど、うまく仕掛けられました。今回は勝てないんじゃないかと思っていただけに、1勝挙げられて本当に良かった。気持ちが切れずにキープできる次につながる1勝です」とひと安心の様子。


<4R>
坂本英一選手
坂本 英一選手
   4レースはホームからカマした小林大介に乗った坂本英一(写真)が直線で抜け出した。「小林のおかげですよ。彼は初日も駆けてくれたしね、ありがたいですよ。もっと自分の状態が良ければ残せたかもしれないけどね。初日こそ1着を取れたけど落車もあったし、今回は気持ちが上手く乗り切れなかったですね」。


<5R>
加倉正義選手
加倉 正義選手
   5レースは主導権を握った渡部哲男を、加倉正義(写真)がゴール寸前で交わした。「哲男君のおかげですよ。彼はスピードのある選手だし、レース前は好きに走ってくれと話していました。地区は違うけど、何度も連係しているし相性も悪くないですよ。僕自身は、ここに入る前から調子は上向きで良い感じだったけど、流れが悪かった。この1勝で変わるか? 変わるといいですけど」。


<6R>
佐藤慎太郎選手
佐藤 慎太郎選手
   6レースは佐藤慎太郎(写真)が、先行した渡辺一成を直線で交わして1着。渡辺も2着に逃げ粘り、3着には平沼由充が続き、福島トリオで上位を独占した。「ラインで決まって良かったですよ。渡辺がうまく駆けてくれたしね。信用できますよ。昨日の落車の影響? 今日走った限りでは大丈夫でしょう」。
  渡辺一成は「今日は海老根さんの動きをずっと気にしていたので、紫原さんのイン斬りは全く考えていなかった。でも、海老根さんも来なかったので、2車を出させてあとは自分のペースで踏めればと思っていました。タイミングも良かったですよ」とレース運びに納得。 


<7R>
伏見俊昭選手
伏見 俊昭選手
   7レースは後方8番手から伏見俊昭(写真)が豪快にまくりきったが、レースの組み立てを悔やみながら振り返る。「今日はできる限り先行しようと思っていたけど…。初日からドカンと攻めていれば、展開も流れもこっちに向いたかもしれない。だけど4日間とも7~8番手に置かれてしまったからね」。
  先行した新田康仁は2着に粘るも「今日の競走だけではないけど、4日間力を出し切れかった。また練習してきます」と全体的に消化不良の様子。


<8R>
濱口高彰選手
濱口 高彰選手
   8レースは村上義弘をゴール直前で交わした濱口高彰(写真)が1着。「バックで風がきつかったから、村上君はきつそうでしたね。僕は踏み出しに気をつけて、しっかり付いていくだけでした。この先も大きいレースが続くしね、しっかり頑張ります」と気を引き締める。
  村上義弘は積極的にな先行で『らしさ』を見せた。「今日はバック風が凄いし、誘導のペースも急に上がったりしていたからみんなも苦しがっていましたよ。僕は駆けられたといえば駆けられたと思うけど、えらいきつかった…」。


<9R>
平原康多選手
平原 康多選手
   9レースは機動型がそろい激戦となったが、中部ラインを追走した平原康多が前団を捕らえて差しきった。
  平原康多(写真)は「昨日の競走も悔しかったですし、このままでは終われないですからね。色々とセッティングをいじって、最終日になってようやく車と身体のバランスが取れた感じです」。
  最終4コーナーを先頭で通過した吉田敏洋ラインの3番手の山口幸二が直線を突いて2着に。「後ろに平原がいたからね、踏むタイミングを図っていた。伸びが良い? まずまずだよ」。


<10R>
稲垣裕之選手
稲垣 裕之選手
   10レースは後方から稲垣裕之(写真)がきっちりとまくりきった。
  「3人できっちり決まって良かった。4日間で脚はもうパンパンですよ(笑)今日はとにかく風向きを意識していたので、仕掛けたところも良かったし、それに結果も伴ったわけだから満足しています。2勝挙げられてホッとしましたよ。後半戦に向けて良いきっかけになればいいですね」と笑顔を見せる。
  稲垣を追走した前田拓也は「デキが良くここに望んだだけに、今回は残念でしたね。次の開催でまた頑張りますよ」。今後へ向けて仕切り直しを誓う。


<11R>
山崎芳仁選手
山崎 芳仁選手
佐藤友和選手
佐藤 友和選手
   11レースの決勝戦は、打鐘後の3角で北津留翼と山田裕仁が落車するアクシデントが発生。レースは、先制した佐藤友和を小嶋敬二がバック過ぎから豪快にまくり切った。
  小嶋のまくりに切り替え、直線で小嶋に激しく詰め寄った山崎芳仁(写真)は「せっかく佐藤が頑張ってくれたのに、最後は交わさないといけない。自分で踏み出したとき、ちょうど小嶋さんが降りてきていて、少し小嶋さんと接触してしまった。その分スピードが落ちて届かなかった。めっちゃ、悔しい!」と絶好のチャンスを逃したことを悔やむ。
  積極的に駆ける先行勝負でレースを作った佐藤友和(写真)は「今日は押さえながら先行したかったんですけどね。落ち着いて駆けられたとは思うけど、完全な力負けですね。僕の力量不足です。自分より若い北津留君に先にG1を獲らせる訳にはいかないからね。もっと自分の掛かりが良ければ山崎さんの優勝だったと思う」。
  3着の岡部芳幸は「最終ホームで追い上げたのは身体が自然に反応してしまった。後ろで落車があったので、荒井は小嶋さんの後ろになったら動かないだろうし、最後は小嶋さんが踏めば山崎も合わせて出るだろうから、内が空いたら突っ込もうと思った。道中は極力ムダな脚を使いたくなかったけど仕方ない」と冷静に競走を振り返った。
  佐藤-山崎ラインの3番手を追走した斉藤登志信は「若い二人に任せたレースだったからね、二人の判断に任せていましたよ。佐藤も良く行ったとは思ったけど、少し山崎の車の出が悪かったかな?」。
  荒井崇博は「北津留が行けるところまで行けば、合わせて佐藤も踏むだろうと思った。そうすれば山崎も口が空く様ならキメようと…。あの展開になってしまっては仕方ないね」と無念の表情で振り返る。

↑ページTOPへ

 
 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JAPAN KEIRIN ASSOCIATION, All Rights Reserved.