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レース展望
新旧世代のスター選手が激突!
 
  昨年の高松宮記念杯では山崎芳仁がGⅠ競輪初優勝を飾って新時代の幕を開いたが、今年の競輪界は有坂直樹、山田裕仁らのベテラン勢が元気一杯で、今回も新旧のスター選手の激突が一番の見どころになるだろう。
昨年の高松宮記念杯ゴール
昨年の高松宮記念杯ゴール
山崎芳仁が逃げ切り優勝
 
絶好調の有坂直樹が世代交代の波をはねとばす
 
 昨年の競輪界は、新世代の旗手・山崎芳仁が高松宮記念杯で堂々の逃げ切り優勝を飾って世代交代が一気に加速したが、締めくくりのグランプリ06では最年長の有坂直樹が初タイトルを獲得して時計を逆戻りさせた。
 今年も1月の競輪祭では山崎芳仁がまたもやの逃げ切り優勝を飾ったが、2月の東西王座戦では佐藤友和と小嶋敬二の新旧の選手がそれぞれ優勝。3月の日本選手権競輪では有坂直樹がGⅠ競輪初優勝を飾り、4月のふるさとダービー観音寺では山田裕仁が復活優勝を遂げている。
 今大会も新旧世代の真っ向からの激突が見どころになるが、近況の勢いからすると旧世代がやや優勢だ。
 そして、世代交代の波に対する旧世代の反撃の象徴的存在といえるのが有坂直樹だ。
 有坂は絶好調という言葉だけでは言い足りないぐらいの活躍ぶりで、ふるさとダービー観音寺で今年初めて優出を逃したが、2日目優秀は豪快な捲りで圧勝。日本選手権競輪の決勝戦も単騎の戦いではあったが、落車をうまく回避して、豪快な捲りで優勝をしている。
 今の有坂には目標不問、展開不問で1着に突き抜けてくる強さがあり、有坂の頑張りに刺激されて、位置取りよりも自力勝負を重視するベテラン勢が増えてきそうだ。
有坂直樹
有坂直樹(秋田・64期)
 
 山田裕仁もふるさとダービー観音寺の決勝戦では初手は山崎芳仁ラインの4番手だったが、最後は捲り追い込み気味に仕掛けて優勝をもぎとっている。初日特選では9着に敗れているが山崎芳仁とのもがき合いを演じており、今回も自力含みの直線強襲が期待
できるだろう。 
山田裕仁
山田裕仁(岐阜・61期)
 
主導権争いでびわこが熱く燃える!
復活なった村上義弘が地元ファンの期待に応える
 
  地元・近畿のファンが、いや、全国の競輪ファンが待ち望んでいた村上義弘の復活がようやく実現した。
 今年の村上は競輪祭では優出を逃したが、その後は2月の静岡記念が決勝8着、西王座戦が決勝3着、3月の大垣FⅠが優勝と安定した成績を残し、日本選手権競輪の準決勝では山崎芳仁を相手に逃げて3着に粘り、2年ぶりのGⅠ競輪優出を果たしている。
 4月の西武園記念では優出を逃しているが、初日特選を捲りで勝ったときの勝利者インタビューで、「勝ち方がよくなかったから……」と浮かない顔をしていたのが印象的で、今も先行へのこだわりは変わっていない。今大会でも連日の先行押し切りを狙って地元ファンの期待に応えてくれるはずだ。
村上義弘
村上義弘(京都・73期)
 
  その村上と因縁の対決を続けているのが平原康多だ。日本選手権競輪の決勝戦では平原が先行、村上は6番手からカマす展開になったが、平原の人一倍強い勝利への執念が裏目に出て、平原は自ら村上を牽制して落車させてしまい、失格となっている。
 その後の直接対決が実現した西武園記念の2日目優秀では、主導権争いで両者が激しくもがき合って村上が3着、平原が5着。4日目順位決定Aでは平原が4番手、村上が8番手の展開になり、村上が鮮やかに捲り切って1着、平原は落車棄権となっている。今回も新旧の徹底先行型の対決が実現すれば、決して見逃せないレースとなるだろう。
平原康多
平原康多(埼玉・87期)
 
  先行・捲りのパワーならやはり小嶋敬二が一番だ。近況の小嶋は先行に対してはこだわりはなく、レースを見過ぎての仕掛け遅れで不発というケースがたまにあり、3月の玉野記念や日本選手権競輪で優出を逃している。
  だが、高松宮記念杯は03年にGⅠ競輪初優勝を飾ったゲンのいい大会だし、小嶋のツボにはまったときの破壊力はまちがいなく輪界ナンバーワンで、500バンクの大津びわこなら8番手になっても巻き返しが効くだろうし、今の小嶋の状態なら西王座戦のときのような圧勝劇が十分に狙える。
小嶋敬二
小嶋敬二(石川・74期)
 
  本大会の前哨戦である東西王座戦でGⅡ競輪初優勝を飾ったのが佐藤友和だ。
  佐藤は昨年の高松宮記念杯は補充出走だったが、3日目選抜で捲って1着、4日目特選で逃げて4着とバンクとの相性は悪くない。その後はサマーナイトフェスティバルで準優勝、ふるさとダービー防府で決勝3着、そして東王座戦で優勝とこの1年で格段にパワーアップしてきており、今回も大活躍が期待できる。
佐藤友和
佐藤友和(岩手・88期)
 
  かつて先行日本一の座を争った村上義弘と小嶋敬二の対決だけでも十分に見応えがあるのに、そこに平原康多や佐藤友和らのヤングパワーが絡んでくるのだから主導権争いは壮絶なものとなるだろう。もちろん、彼らの前には現王者の山崎芳仁が立ちふさがっているわけで、今回の高松宮記念杯はかつてない熱戦の連続になりそうだ。
 
注目の新田康仁が中団確保から捲りで決着をつける
90期の2人が徹底先行で旋風を巻き起こす
 
 新田康仁がようやく初タイトルに手が届くところまで登ってきた。
  競輪祭では準決勝を捲りの1着で通過して決勝3着、2月の地元・静岡記念では完全優勝を達成し、その後はやや疲れが出たのか調子落ちになってしまったが、ふるさとダービー観音寺では再び準決勝を捲りの1着で通過して復活を果たした。
  中2日で挑んだ西武園記念の準決勝Aでも、結果は2着だったが、鷲田佳史―村上義弘の3番手を奪い、番手捲りの村上をきっちり追い込んでいる。
  近況の新田は中団取りが格段に上達したのが成績安定の一番の理由で、今回も前へ前へと踏んでいく積極的な仕掛けから好位置を奪取しての捲りが炸裂するだろう。
  新田が積極的な走りを見せれば、同県の渡邉晴智にも大きなチャンスが巡ってくる。
新田康仁
新田康仁(静岡・74期)
 
  渡邉は2月の四日市記念が決勝2着、東王座戦も決勝2着、3月の玉野記念が決勝6着と高い位置で安定した成績を残しており、日本選手権競輪の準決勝では小嶋敬二の先行を捲って1着で勝ち上がっている。
  4月の川崎記念でも決勝は3着だったが、2日目優秀では五十嵐力の先行を目標に山崎芳仁、有坂直樹、小嶋敬二の3強を破って1着と、今回も渡邉の一発は侮れない。
 
  ふるさとダービー観音寺で新人らしい連日の積極的な走りを見せてくれた90期の2人、志村太賀と北津留翼のさらなる活躍も期待できる。
  志村は観音寺がビッグレース初出場だったが、大舞台の雰囲気に呑まれることもなく、いつもどおりの徹底先行で一次予選が逃げ切り、二次予選が逃げて3着で準決勝まで勝ち上がり、準決勝も結果は9着だったが、しっかり主導権は取り切っている。
  北津留は日本選手権競輪でも準決勝まで勝ち上がっているが、観音寺も一次予選が逃げて2着。二次予選も逃げて2着で、準決勝は逃げて7着に敗れているが、4日目優秀では金子貴志、岡部芳幸らを相手に逃げ切って森内章之と九州ワンツーを決めている。
志村太賀
志村太賀(山梨・90期)
 
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史上2組目の兄弟チャンピオンが誕生!
 第53回大会は、競輪祭、日本選手権に続いてのGⅠ競輪3連覇を目指す山田裕仁に注目が集まったが、山田の捲りを差した山口富生がGⅠ初Vを達成した。兄・幸二も98年のオールスターでGⅠ競輪を制しており、兄弟によるGⅠ競輪制覇は76年に達成した藤巻昇、清志以来の2組目となった。
  号砲とともに山田裕仁―山口富生―松本整が飛びだし、その後ろに小川圭二が続き、5番手が伏見俊昭で、伏見の後ろは岡部芳幸―佐藤慎太郎と後閑信一―鈴木誠で並走。最終ホームで岡部がイン斬りして伏見の上昇を待つが、今度は後閑がインを斬り返して北日本ラインは分断されてしまう。すかさず山田が1センターからスパートして、最終バックで伏見をとらえてハナに立つ。絶好の展開になった山口がゴール寸前で山田をとらえてGⅠ競輪初優勝、山田が2着に粘り、3着には小川が入った。


追い込み有利だが、先行も善戦できる
勝ち上がりのレースでは捲りのラインが優勢

 大津びわこはカントがやや緩やかな1周500mのお皿バンクで、先行・捲りの自力型には不利とされてきたが、02年5月のバンク改修によってカントが約1度きつくなり、直線の長さが約20㎝短くなって、捲りや捲り追い込みでの直線強襲が決まりやすくなった。
  同時に「びわこ道」と呼ばれていた直線で伸びるコースがなくなり、ゴール前が混戦になるケースが少なくなって先行も粘りやすくなっている。 昨年の高松宮記念杯の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが6回、捲りが10回、差しが31回、2着は逃げが9回、捲りが9回、差しが15回、マークが14回となっている。さらに先手ラインの選手が1着になったのが全体の4割の19回で、スジ決着は21回だった。
  こうして見ると先行がかなり善戦しているが、逃げ切りや逃げ残りの2着が多いのは敗者戦などの前半戦のレースに多く、二次予選や準決などの勝ち上がりのレースではやはり捲りのラインが優勢になっている。
  また500バンクらしく、最終バックで8番手の選手が直線強襲で連絡みを果たしたケースが5回あった。

走路はクセがなく走りやすい

  周長は500m、最大カントは25度00分14秒、見なし直線は63.3m。バンクレコードは03年6月2日に高松宮記念杯の4日目特選で岡部芳幸がマークした13秒1。風は6月頃にはバック追い風が多く、先手ラインが有利となる。長走路だがクセのない走りやすいバンクで逃げ切りの出現率も高く、96年の吉岡稔真、99年の太田真一、06年の山崎芳仁が決勝戦で逃げ切って優勝している。

大津びわこ競輪場


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