『第59回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 初日編
 
配信日:5月31日



  いよいよ第59回「高松宮記念杯」が大津びわこ競輪場で開幕した。午前中は小雨の降る生憎のコンディションだったが、午後には雨も止み、それに合わせて選手の走りもどんどんヒートアップした。東西選抜は武田豊樹、村上義弘が快勝。青龍賞を制した山崎芳仁、白虎賞の荒井崇博ら豪華メンバーで明日の龍虎賞が争われる。
  明日は場内イベントとして炎神戦隊ゴーオンジャーショー(4、9R発売中)やサリバン先生によるサイクルジャグリングショー、ginoranによるミニライブ(3、6R発売中)などを開催。引き続き解説陣も東西に分かれて予想対決で火花を散らします(2、8、11R発売中)。明日もぜひ大津びわこ競輪場へご来場ください。



白虎賞・青龍賞ダイジェスト

 〈青龍賞レース経過〉
 スタートで最内の伏見俊昭が飛び出し誘導後位へ。山崎芳仁が伏見の前に入り、三番手は競りのコメントも初手は有坂直樹―岡部芳幸の順。中団に新田康仁―渡辺晴智の静岡コンビで、平原康多―神山雄一郎―手島慶介の関東軍が後攻めで周回が進む。
  平原の上昇は予想以上に早く、赤板では山崎のアウトに車を合わせた。新田は平原ラインを追走できるように車を外しながら前の動きを見る。打鐘と同時に誘導員が退避すると、山崎は六番手まで車を下げる。最終ホームで山崎が仕掛けると、平原も合わせてスパート。しかし、一瞬踏み遅れた新田の前に山崎が割り込み四番手をキープ。新田も引けずに伏見の内で粘る。平原は快調に逃げたが、山崎は最終2センターから踏み上げ前団に襲い掛かる。直線では平原を利した神山が抜け出すも、山崎が伸び切り快勝。神山が2着で、結果的に山崎を追う形となった新田が3着に入った。

 〈白虎賞レース経過〉
 スタートで勢い良く飛び出したのは村上博幸。小嶋敬二を受けて、中近勢が前受けとなる。井上昌己―荒井崇博―加倉正義の九州トリオが中団で、渡部哲男―小倉竜二―三宅伸―豊田知之の瀬戸内勢が後攻めとなった。
  赤板でも隊列は変わらず、動きが始まったのは打鐘寸前。渡部がゆっくりと上昇を開始すると、誘導との車間を空けた小嶋が一瞬突っ張る構えを見せながらも車を下げていく。最終ホームでは渡部―小倉―三宅―豊田まで出切り、中団は内に小嶋―村上、外に井上―荒井―加倉で併走状態。1センターから渡部が全開でフカし先行する。中団は併走状態のまま、井上がバックから仕掛けると、これに合わせて三宅が踏み込む。三宅に合わされながらも井上が凌いでまくり切ったが、井上後位から荒井が外を強襲しアタマまで突き抜けた。加倉が離れ気味になり、立て直して荒井を追った小嶋が更に外を踏み2着に。井上はゴール前一杯ながらも3着に踏みとどまった。
青龍賞ゴール
青龍賞ゴール

白虎賞ゴール
表彰式
白虎賞ゴール
表彰式



<1R>
廣川貞治選手
廣川貞治選手
   オープニングの1Rは先行一車の飯野祐太の番手を巡って山田敦也と宗景祐樹が競り。叩いた飯野が緩めたところを、稲村成浩が叩いて最終主導権を奪った。
  「宗景の追い上げに付いていったけど、飯野がスローペースに落としてたのでたまたま。でも、自力を持ってる人だったらみんな駆ける展開ですよ。広川さんとは同じ誕生日だし、二人で走るとどっちかが1着なんですよね」
  勝ったのは廣川貞治(写真)。稲村の先行に乗り、四角番手の絶好展開をきっちりモノにした。
  「流れが良いし、稲村とワンツーできたのでとりあえず良かった。3月休んだときに頑張った分が今出てる。平原(康多)とかも練習やってくれるし、感謝してますよ」


<2R>
藤野光吉選手
藤野光吉選手
   2Rは中川誠一郎が落ち着いて中団を確保。伊藤正樹が後方から迫ると先まくりを放って快勝した。
  「濱田(浩司)さんが押さえて流したらそこを叩こうと思っていた。その方がマイペースで駆けられるから。でも、濱田さんはそのまま駆けていたので、自分は中団を取りにいきました。競走で久々に3.71のギアを踏んだから、踏んだ感触じがいつもと違ったけど何とか回せました」
  番手の合志正臣は伸びを欠き、3番手の藤野光吉(写真)が鋭く伸びて2着に入る。
  「G1クラスになると自分は良い着が取れないからね。だから合志には悪いけど、最後は肘を引っ掛けて、直線でこじ開けていくしかなかった」


<3R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   3Rは矢口啓一郎(写真)が堂々の逃げ切り勝ち。ジャンでカマシ気味に押さえてマイペースに持ち込むと、番手の阿部康雄、中団から迫る武井大介を振り切った。
  「1レースで稲村さんが勝ち上がっていたので、それが刺激になり気合が入りました。直前はナイター競輪だったし、自分の中では踏んだ感じは今ひとつでした。でも、明日はもう少し遅い時間のレースになると思うので、感じは良くなっているでしょう」
  2着は武井大介。中団確保から落ち着いてタイミングを見計らうと、2センターから鋭くまくり追い込んだ。
  「矢口君は早めにくれば一旦流すだろうから、そこで巧く立ち回って中団を取ろうと思っていた。矢口君の掛かりが良かったから、無理をせずにギリギリのところまで待ってから仕掛けました」


<4R>
有賀高士選手
有賀高士選手
   4Rは金子貴志のまくりに乗った志智俊夫が快勝。「金子のダッシュに離れ気味だったけど、その後は余裕がありましたね。みんな強いからちょっとでも上に行きたいし、調子も悪くないと思う」と二次予選Aへ進出に笑顔が絶えない。
  2着に入ったのは有賀高士(写真)。自らまくり気味に踏み込むと、直線に入ってからもスピードは落ちなかった。
  「あれはやけくそですよ。ラインの四番手だったし、9着でもいいわと思ってた。じゃないと追い込みの選手は踏めない。1着かと思ったけどね」


<5R>
小橋正義選手
小橋正義選手
   5Rは人気を集めた海老根恵太、望月永悟の南関ラインが不発。逃げた小林大介に乗り、小橋正義(写真)が1着を手にした。
  「小林君が巧く駆けてくれたね。後ろを見たら誰もきていなかったから、あとは(中団の)成田(和也)君のまくり追い込みを気を付けていたけど、海老根君をからんでいたから大丈夫だと。でも、内藤(宣彦)君が内から来たんでびっくりした」
  その内藤宣彦は成田に乗り、内を鋭く伸びて2着に入った。
  「海老根が早めにきたら番手の永悟を退かそうと思っていたけど、理想の展開だったし、あとは成田の仕掛けに期待するだけだった。成田が止まったので内を行くしかなかった。周りは皆(バンクが)重いと言うけど、自分は軽く感じました」


<6R>
山口富生選手
山口富生選手
   6Rは山田裕仁、山口富生の岐阜コンビが内、外を伸びて、現地集合のワンツー決着。内を踏んで1着の山口富生(写真)は「あと3連勝で300勝だね」と満面の笑みを浮かべる。
  「僕も勝ちたいので最後はイチかバチか内に行った。外に山田さんが見えて2着かと思ったけど、勝ってて嬉しかったですね。明日はメンバーがキツいけど頑張りたい」
  山田裕仁は僅かに届かなかったが、直線外を伸びた脚勢は光った。
  「周回中でレースの流れがある程度見えたし、やりやすかった。でも、石丸(寛之)が僕のラインの三番手にいることを忘れてて、気付いたときにはかぶってしまった。ちょっと焦ったね」


<7R>
山口貴弘選手
山口貴弘選手
   7レースは村本大輔、石橋慎太郎の藁科ラインが人気に応えてきっちりワンツー。勝った村本大輔は「(渡邉)晴智さんにアドバイスしてもらったとおりのレースになった。合宿の成果が出てるし、藁科でワンツーできて最高。慎太郎が強かった」と石橋の頑張りを称える。
  今日も強いレースを見せた石橋慎太郎だが、「貯金を使い果たしたかな。前回の疲れがちょっと残ってて、キツイです。今日が2日目、3日目って感じ。これからケアしてどれだけ取れるかですね」と連戦の疲労を不安視する。
  山口貴弘(写真)は予想外の展開で後手を踏まされたが、何とか3着で二次予選Bに進んだ。
  「最悪な展開になって後手後手を踏んだけど、石橋の先行で3着ならデキは良いほうだと思う。高谷(雅彦)さんに誘導を使われたのも痛かった」


<8R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
   8Rは最終ホームから大ガマシを決めた福岡コンビがワンツー。池尻浩一は宮杯では4年ぶりの勝ち星を挙げた。
  「作戦どおりだけど、それ以上に良い流れになった。後ろが離れてるのは分かったし、亮馬もそのまま踏んでくれたので。あとは3着までに残さないとと思ったけど、ワンツーで良かった。二次予選Aに上がれたのは大きいね」
  2着に粘った坂本亮馬(写真)は初のG1で最高のパフォーマンスを見せた。
  「池尻さんにはホームでどっちが出ても緩むから、そこを全力で駆けろと言われてました。2着で勝ち上がれて言うことないし、もうお腹一杯です(笑)。明日からの自信になりましたね」


<9R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
   9Rは武田豊樹が力強いまくりで明日の龍虎賞行きを一番乗りで決めた。
  「宇都宮記念でも2日間先行してるし、先行まくりを上手く使い分けられた。今日は菊地(圭尚)くんが先行で挑んでくるのを受けて立つレースだったし、どこからまくるかだけだった。自分で仕上がってる印象があるし、良いですね。今は脚に自信があるから、良い戦いができてます」
  武田のまくりに兵藤一也が飛び付くと、その内から飯嶋則之(写真)が伸びて2着に食い込む。
  「武田さんの踏み出しに置いていかれたのがショック。(3.86の)ギアで対応するつもりだったのに残念ですね。伸びは良かったし、危ないところを突っ込めたけど、プラスマイナスゼロって感じですね」


<10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   10Rは西の選抜戦。自力型同士で並んだ京都コンビに、大塚健一郎が競りかけたが、村上義弘が意地で番手を死守。さらにまくってきた紫原政文をブロックすると、ラインで上位独占を決めた。
  「任された位置で自分の力を出したい。そんなレースができたし、今日はラインに感謝しています。僕もラインに助けられてきたし、稲垣が前で頑張っている以上は僕もそんなレースがしたかった。今はまだ興奮しています」
  山口幸二も「稲垣が逃げて、村上も仕事して、僕も内を締める。みんなが頑張ったし、結果オーライですね。今日は村上だけは上位にってレースだったから」と2着の結果に満足げ。
  稲垣裕之(写真)も充実した表情でレースを振り返る。
  「今まで村上さんと4回連係したのに、村上さんの1着が1回しかない。ずっと村上さんが前のほうが良かったんじゃ? って気持ちがあった。ラインで決めるのが目標だったので、最高の結果が残せて良かった。この緊張感を乗り越えたのが大きいし、体調も良いと思う」


<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   11Rは青龍賞。平原康多が先行すると、上手く四番手に追い上げを決めた山崎芳仁が最後はまくりで快勝。明日の龍虎賞へきっちり勝ち進んだ。
  「四番手が空いてなかったら、たぶんそのまま平原とやり合って共倒れでしたね。空いてたのが見えたし、冷静でした。後ろには迷惑をかけちゃったけど。500バンクは得意だし、脚的にも大丈夫ですね」
  逃げる平原の番手を回った神山雄一郎(写真)が2着に。
  「平原も上手く駆けたけど、山崎が良いスピードで来たからしょうがないね。宇都宮記念で3.69の感覚が良かったし、少し軽いけど脚に負担もない。自分の調子も良い感じです」
  逃げた平原康多は「山崎さんが四番手に入ってなかったら面白かったと思う。気落ちする負け方じゃない」と早々と気持ちを切り替え、明日以降のレースに目を向けた。


<12R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   12Rの白虎賞は中団外併走から井上昌己が鮮やかなまくりを決めると、番手の荒井崇博(写真)が鋭く抜け出した。
  「外併走でも昌己はここが得意みたいだし安心しきってた。僕は離れないことだけ考えてたけど、昌己が強かったね。あそこまで連れて行ってもらったら勝たないとと思って真剣に抜きに行きました」 
  まくった井上昌己は3着で龍虎賞行きを決めたが、「とりあえず小嶋さんの4連勝宣言を破ったので。でもあの展開で小嶋さんに交わされるのはショックです。ヤバイですね。あれは化け物ですよ」と小嶋の強さに舌を巻く。
  小嶋敬二は終始内に詰まる最悪の展開に。井上がまくってようやくコースが空くと、直線だけで2着まで伸びて見せた。
  「2センターではどうなるかと思ったけどね。九州も三人いるし、もう少し早く行くだろうと思ってました。加倉君が付いて来てたら間に合わなかったと思う。1着までは行けなかったけど、今日は展開も味方した。これで緊張もほぐれたし、あとは1日1日、1着を狙う競走をしたい」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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