『第59回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 3日目編
 
配信日:6月2日


 昨日とは一転して雨模様となった大津びわこ競輪場。3日目を迎えた第59回高松宮記念杯は大詰めの準決勝でファイナリストの座をかけた最後の勝ち上がり戦が展開された。小嶋敬二の脱落はあったが、平原康多、山崎芳仁の4回転コンビに武田豊樹が決勝に進出。いよいよ明日第59代の覇者が誕生する。
  明日はLOVE9によるお出迎えに始まり、6R発売中には内林久徳氏によるトークショー、8R発売中には大木こだま・ひびきによる爆笑ステージなど様々なイベントが予定されています。引き続き東西解説者による予想対決も(明日のみ2、7、10R発売中)開催されます。そして注目の決勝戦、シリーズの頂点をかけた熱いレースをぜひ大津びわこ競輪場でご観戦ください。


<1R>
 1Rは三宅達也のまくりに乗った石丸寛之が中バンクを鋭く伸びてシリーズ初勝利を挙げた。
  「達也のおかげですよ。あれだけ行ってくれたら、外を踏んでも楽だった。あれだけ脚が余ってればいくらでも伸びますよ」。三宅の頑張りに上機嫌でレースを振り返った。


<2R>
 2Rは松田優一と飯野祐太でやり合うところを吉田敏洋がまくり、山内卓也が追い込んで愛知ワン・ツー。1番人気の決着で落ち着いた。山内卓也はシリーズ3日目にしてようやく1勝。強制帰郷(7~9着)を逃れホッとした様子。
  「吉田君は飯野君の番手が離れているのを確認してから行ったし落ち着いていましたね。(離れた)高谷(雅彦)さんが下りてくる気配もなかったし、あとは落ち着いていくことに集中していました」
  吉田敏洋は2着に入ったが。
  「三日間、自分が予想したとおりの展開になっているんだけどね。スピードが伸びていかないんです。ずっとレース間隔が詰まっていて脚が回らない。調整失敗ですね」と不満が残る。


<3R>
金山栄治選手
金山栄治選手
   3Rはここまで9着9着と大敗続きだった海老根恵太がまくりを決める。
  「今日はあれ以上引けないし、外併走だったけど脚的には余裕があった。前回から中4日で体にも疲れがあるし、特に集中力に欠けてますね。でも大敗したのは今の自分の実力。とりあえず勝てて良かった」
  逃げた補充の金山栄治(写真)は海老根の番手にはまる好展開にも助けられて2着に粘った。
  「本当だったらここへ調整して来たかったけど、前回から中1日だったからね。後ろの競りも気になったし、山田(敦也)君が外に差してたから上にも上がれず後ろが見えなかった。海老根君の巻き返しが怖かったけど、何とか2着で良かった。1Rで(中井)護が5着(7着以降は帰郷予定)だったし、僕だけ帰るのはイヤだった。2着の結果も嬉しいけど、明日も走れるのが一番大きい」


<4R>
岩見潤選手
岩見潤選手
   4Rは岩見潤(写真)が昨日の落車の影響を感じさせない鋭い伸びで混戦を制した。
  「落車の影響はあるし、アップ中なんか身体を動かすと痛かった。でも、その分レースでは余計な力が入らなくて良かったですね。菅原(晃)や西川(親幸)さんには申し訳なかったけど、落車明けでカマシやまくりには付いて行けそうになかったので切り替えさせてもらった。それがあって気持ち良い1着ではないですね」


<5R>
海野敦男選手
海野敦男選手
   5Rは金子貴志のホームガマシに乗った濱口高彰が敗者戦を連勝。
 「金子くんのカマシはもう少し遅めの予定だったんだけど、連日納得できない走りだったのか早かったね。長塚(智広)くんの勢いが良かったけど、ちょっとけん制したら止めてくれた。敗者戦の連勝だけど、これもすごく大事ですから」と勝ち上がりに失敗しても一走入魂のスタンスは変わらない。
  2着にはインコースを強襲して海野敦男(写真)が食い込んだ。
  「昨日、選抜戦に繰り上がれて流れが来たね。途中までは何人拾えるかみたいな位置だったけど、冷静に走れました。最近はギアを毎日くらい変えてるけど、これ(3.71)は良い感じだった。明日もこの流れを生かしたいね」


<6R>
 6Rは濱田浩司が逃げ切って2連勝。一旦は中団で内側に詰まったものの、伊藤正樹の内を巧くすくって主導権を奪った。
  「一瞬、石毛さんに行かれたと思ったけど、伊藤さんがフカしていたんで大丈夫だと。飛び付く感じで伊藤さんは踏んでいたから、絶対に内が開くと思ったので狙っていました」
  石毛克幸(4着)は伊藤に突っ張られたことが誤算だった。
  「伊藤さんは先行型ではないし、突っ張るとは思わなかった。前に出たかったんですけどね。でも、伊藤さんが内を開けて、濱田君がすくって行ったんで面白くなるかなと。3着に入りたかったけど、自分の実力からしてこんなもんじゃないですか」


<7R>
武井大介選手
武井大介選手
   7Rでは今大会のシンデレラボーイ・坂本亮馬が率いる九州ラインが人気を集めたが、南関勢が混戦を演出し村本大輔が鋭く伸びて特別優秀へ勝ち上がった。
  「本当に武井君のお陰ですね。昨日は仕方のない展開だったけど、今シリーズは本当に調子がいい。直前合宿の成果が出ています」
  武井大介(写真)は得意のゲリラ戦法が決まってニッコリ。
  「遅めに来るようだったら突っ張り気味に踏み込んで飛び付くつもりでした。いい感じで押さえられちゃったけど、内が空いたのですかさずシャクった。後ろの村本さんは余裕がありそうだったので、最後は何とか2着までと思いながら踏みました」


<8R>
志智俊夫選手
志智俊夫選手
   8Rは逃げる矢口啓一郎の番手に牧剛央が追い上げると、その動きに続いた岩津裕介がまくって出る。そのままモツれて4コーナーを立ち直ると、最後は外を一気に志智俊夫(写真)が伸びてシリーズ2勝目を飾った。
  「みんなが前々に行ってくれたので、僕の踏むコースができた。それだけです。でも吸い込まれるように行けましたね」
  逃げた矢口啓一郎は最後の最後に力尽き、4着で確定板を逃す。
  「出てひと呼吸おいてから踏み上げようと思ってたら、牧さんが追い上げてきて、今度は岩津くんのまくり。忙しかったですね。こんな流れになるのは想定内だったけど…」


<9R>
池尻浩一選手
池尻浩一選手
   9Rは逃げる中川誠一郎に中井達郎が好回転で襲い掛かる。単騎で出切った中井を追った加倉正義が直線抜け出すと、その加倉を池尻浩一(写真)がゴール寸前で捕らえた。
  「2勝目を挙げられてラッキーですね。調子は良かったので、あとは展開だけだと思ってたけど、今日は展開のみですよ。誠一郎も重くてホーム向かいの中、よく行ってくれました」
  梶應弘樹は「本当は(加倉、池尻の)中を行きたかったけど、入るのがちょっと遅れた。入りきれなかった分だけ差せなかったね」と3着の結果にも悔しそう。


<10R>
平原康多選手
平原康多選手
手島慶介選手
手島慶介選手
   10Rからはいよいよ準決勝。このレースはライン4車の中近勢が先行。平原康多(写真)は七番手に置かれる苦しい展開になったが、バック過ぎから猛然と前団に襲い掛かると、直線で一気に飲み込んだ。
  「バック線目がけて踏んだけど、あれをよく行ったなあ。七番手だったけど、一番今日がレース的に楽でした。渡邉さんが付いてくれた一車も大きかったし、何とかライン三人を連れ込みたかった。抜かれたのは予想外だけど、ホッとしました」
  平原に「予想外」と言わせた手島慶介(写真)の伸び。本人は勝ったことより「久々の緊張感でした」と決勝に進んだことに安堵の表情を浮かべる。
  「ダメでも心中するつもりで、康多を信頼してました。4回転の康多の番手は初めてだけど、彼はダッシュがあるから逆に僕にはありがたい。来年もS級S班になりたいので、今日は絶対に3着までに入ってやると思ってました。群馬勢は僕以外誰も準優に乗ってなかったので、本当に良かった。嬉しいです」
  目標不在で悩みに悩んだ渡邉晴智だったが、最終的には平原ライン三番手を選択した。この読みがピタリ的中。見事に決勝の切符をゲットした。
  「昨日までは何も考えてなかったんですけどね。静岡の仲間たちもそこが良いんじゃないって言ってくれたし、僕もそう思ったのであそこを選びました。僕はただ連れて行ってもらっただけ。平原は強いね」
  稲垣裕之の先行に乗って最後は番手まくりを打った村上義弘だったが、7着で決勝進出はならず。
  「稲垣のペースを見ながら、なおかつ後ろの対処も考えて走らなければならなかった。どういう形で稲垣の気持ちに応えられるかを考えると、すごく難しかったですね。バックで(平原が)見えたときにダメだと思って踏み出したけど、スピードが違いすぎた。残念です」


<11R>
新田康仁選手
新田康仁選手
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   11Rはふるさと弥彦の準決勝でも対戦した石橋慎太郎-新田康仁VS山崎芳仁という組み合わせ。前回は新田の番手まくりを山崎が豪快にねじ伏せたが、今回は新田康仁(写真)が石橋と阿うんの呼吸で借りを返した。
  「まくり追い込みで、その外を行かれたんじゃしょうがないと思って自分のタイミングで行ったけど、良いところで仕掛けられた。あれで食われたらしょうがないし、頑張って踏んだら1着になれたって感じですね。今日1着が取れたし、感じは連日悪くない」
  石橋のダッシュに後方に置かれた山崎芳仁だったが、最後は上がり13秒1という驚異のタイムで2着に食い込んだ。
  「危なかったですね。石橋くんに山おろしで駆けられたし、追いかけるのに脚を使った。ギリギリでしたね。今回は脚に問題はないので、あとは展開ですね」
  3着の伏見俊昭(写真)もオリンピック前最後の実戦で決勝に進んだことでホッとした様子。
  「今日は15、6番手くらいですか? いつもだし慣れました(笑)。前回(全プロ)落車したけど、自分なりに練習してきてたので、そこそこ自信はあった。明日は納得の走りをして、締めくくりたいと思います」
  井上昌己は中団を上手く確保したが、惜しくも5着で優出を逃す。
  「中団に飛び付くのに脚を使ったのが敗因と言えば敗因。バックで車間が詰まったときに勇気を出して仕掛けてれば3着はあったかもしれませんね。最後もからまれてスピードが死んでしまった」
  逃げた石橋慎太郎は新田の勝利に貢献したことを何より喜ぶ。
  「後ろは同県の大先輩だし、今日は行くことだけ考えてました。迷惑をかけなくてよかった」


<12R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
小倉竜二選手
小倉竜二選手
   最終12Rは連日内容のある走りをしている武田豊樹(写真)が意を決しての先行勝負。神山雄一郎の援護もあって2着で、昨年オールスター以来となるG1決勝へ駒を進めた。
  「状態が良いことを証明できて嬉しい。前回の宮杯で決勝に乗ったときはまくり追い込みだったけど、今回はセコく勝ちに行ってもしょうがないと思ってた。でも雨で風向きが変わったし、重たかったですね。本来の強い走りを見せられたと思います。でも今日は決勝に乗るためのレース。これで満足してないし、明日は獲るために頑張りたい」
  まくってきた小嶋を2センターで強烈にブロックした神山雄一郎が、逃げる武田をきっちり捕らえる。
  「大事な大会だけど、前回の全プロを休んだ分だけ持ち直せたかなと思います。3日間、調子は良いですね。明日も番手のありがたみ、責任を感じながら走ります」
  中村淳とのし烈な3着争いを制したのは小倉竜二(写真)。4コーナーで渡部哲男と接触したことで審議対象となったが、セーフの結果に「良かった」とニッコリ。
  「ツイとったね。あんだけ空いて、ツキだけで乗ったような感じ。哲男と接触して後輪は潰れとったけど、中村さんだけは抜かなと思ってました」
  神山のブロックに屈した小嶋敬二は「あれだけ持って来られたらムリ」。続いた山田裕仁も「小嶋なら行くと思って外に差してた」とともに言葉少なにレースを振り返った。

   
↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.