『第59回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:6月3日


  大津びわこ競輪場で開催された第59回高松宮記念杯は今日が最終日。注目の決勝戦では4回転を駆使する山崎芳仁、平原康多に復調、武田豊樹ら豪華自力型が激突した。レースは平原の先行に武田が好位置三番手をキープ。2センターから武田や新田康仁がまくり上げると、空いたインコースを鋭く伸びた渡邉晴智が鮮やかに突き抜けた。これで渡邉はダービーに続いてG1連覇。獲得賞金も1億円の大台に乗せた。


決勝戦ダイジェスト
 スタートで伏見俊昭と渡邉晴智が飛び出すも、内枠の利を生かして伏見が誘導後位に入る。山崎芳仁を受けて福島コンビが前団。新田康仁―渡辺の静岡両者が続き、単騎の小倉竜二が五番手で様子見。武田豊樹―神山雄一郎、平原康多―手島慶介で周回が進んでいく。
  長走路だけに、赤板を過ぎても動きはなく、打鐘手前の2コーナーから武田がゆっくりと上昇を開始する。打鐘過ぎの4コーナーで武田が山崎を押さえたところで誘導員が退避。武田ラインに切り替えてきた平原が最終ホーム線を目指して、一気にスパート。武田が三番手キープ。平原ラインを追い掛けた新田は山崎が踏み遅れたのを見て、神山後位の五番手に付け直した。最終バックでは平原が全開で逃げて、以下手島―武田―新田―渡辺―小倉―山崎―伏見で一本棒。3コーナーに入ると新田がまくり上げる。これを見た武田も合わせて外に車を外すと、四角では内が空き、渡邉が凄い勢いで伸びてくる。平原が外帯線を外したのを確認した渡邉が最内を突き抜け、ダービーに続き、G1連覇を達成。外強襲の新田が2着で結果静岡ワンツーが決まる。武田を僅差交わした山崎が3着に強襲した。

ゴール
ゴール
渡邉晴智選手
胴上げ
渡邉晴智選手
胴上げ


<1R>
伊藤正樹選手
伊藤正樹選手
   1Rは伊藤正樹(写真)が連日のうっ憤を晴らす鮮やかなまくりでシリーズを白星で締めくくった。
  「もっと上のレースだったら良かったけどね。今回は連日2コーナーで仕掛けを迷って失敗してたから、今日はタイミングが来たら出し切ることだけ考えてた。富永(益生)さんに抜かれると思ったけど、近道できたのも大きかったですね」


<2R>
坂本英一選手
坂本英一選手
   2Rは叩かれた小林大介が新田祐大の番手に飛び付き、バックでは金子貴志がまくりと自力型同士で激しくやり合った。そんな中、中団を確保した坂本英一(写真)が間隙を縫って直線で追い込み、シリーズ最終日を勝利で締めくくった。
  「バックで(小林)大ちゃんを入れようかと思ったけど前に踏んでいたんでね。でも、もし引いてきたら車を外に持ち出して、大ちゃんを入れてからコースを探そうと。昨日、突っ込めなかったんで今日は先に踏もうと思っていた。最後はスピードが合ってしまったので、誰かが内を来るのを待って押してもらおうと。そうしたら木村(貴宏)君が来て押してくれた。凄く伸びたね。でも、今日はすごく苦しかった」


<3R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
   3Rは吉田敏洋が白戸淳太郎を押さえて先頭に立ち、流した所を狙い澄ましたかのように石丸寛之(写真)がカマシまくりを敢行。4回転の大ギアの特性を生かしてそのまま押し切った。
  「4倍を試してみたかったので今日はギアを変えました。皆、中団狙いだろうと思っていたんで、中部ラインが押さえたところでドカンと一発狙っていました。負け戦といっても大事ですからね。いまひとつ踏み切れなかった感じもしたけど、逆にスピードを上げ過ぎると最後にキツくなるので、余裕を持って踏みました。これからも4倍を試してみようかと思うけど、このフレームだと硬すぎて合わないので、どうしようか考えてみます」


<4R>
 4Rはバック七番手からまくった熊本コンビがワンツー。2着に続いた合志正臣は、「(中川)誠一郎は1着だろうけど、内がいたし自分が2着に入れるかどうかでしたね。でも、まあ何とかワンツーできた。今回は初日(4着で敗退)が全てだったし、この成績は調子うんぬんじゃなく力だと思う。練習が足りないですね」。今後の巻き返しを口にした。


<5R>
廣川貞治選手
廣川貞治選手
   5Rは中団からまくった後閑信一に続いた廣川貞治(写真)がシリーズ2勝目を挙げた。
  「後閑がいなければ自分でやっても良かったけど、彼にはいつもお世話になってるし、今日は何も言うことはなかった。仕掛けてくれて嬉しかったね。昨日、一昨日と悔しかったけど、最終日に勝てて自信が付いてきた。今日は良かった、本当に嬉しいです」


<6R>
山田裕仁選手
山田裕仁選手
   6Rは逃げる中四国ラインの三番手を回った山田裕仁(写真)が直線一気に突き抜けた。
  「濱田(浩司)君が先手を取るだろうと思ってたし、誰かがまくって来て、もしかぶっても500だからどこかコースは入れるだろうと思ってた。今回は決勝に乗っても戦えるデキだと思ってたし、これからも良い状態を維持していきたい」
  2着に強襲した兵藤一也だが、今シリーズ初の連対にもホッとした様子はない。
  「今回は何を言うんじゃなく結果が出てない。準優まで行けてないのは恥ずかしいよね。明らかに弱い。昨日の落車は平気だし、地元のG1もあるから、また練習して頑張るだけです」


<7R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   7Rは矢口啓一郎の先行に乗り、阿部康雄が1着を手にした。
  「矢口君は今日は4回転のギアだったし掛かっていたので、後ろから誰も来ないと思った。最後は後ろから抜かれたと思ったけど何とか1着が取れましたね。最終日に勝てて嬉しい」
  矢口啓一郎(写真)は4日間先行に徹し、力を出し切り満足げ。
  「全ての力を出し切りました。これだけやれば十分でしょう? 今日は4回転を試してみたけどやっぱり重たいですね」
  矢口と同じく4回転で挑んだ稲垣裕之は、渡部哲男の先まくりを喰らって9着に沈んだ。
  「普段のギアなら突っ張るタイミングだし、今日も突っ張るべきでしたね。向こうも自分が大ギアということを意識して、ギリギリの所で押さえてきた。今日は大ギアの弱点が出てしまったし、明らかに失敗でした」と悔しがる。


<8R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   8Rは準決勝敗退の小嶋敬二(写真)が豪快なまくりでシリーズを締めくくった。
  「最終ホームで前が中井(達郎)だったから駆けないだろうから、自分のタイミングで仕掛けられたし、落ち着いていけた。あれが岡部(芳幸)だったら1周くらい駆けてしまうから厳しくなったと思うけどね。準決勝で負けてモヤモヤしていたので、今日は先行で力を出し切るレースがしたかった。最終日にしっかり勝てて良かったですよ」


<9R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   9Rは荒井崇博―加倉正義の九州勢がワンツー。最終ホームで志智俊夫に突っ張られた荒井崇博だったが立て直すと、すかさずまくり上げた。
  「先にまくってた諸橋(愛)さんが目標になったし、行けるところまで行けば正義さんが何とかしてくれるだろうと思ってた。前回(全プロ)落車の影響もあって100%の調子ではなかったけど、落車も自分の責任だし走りながら戻していくしかないですね」
  勝った加倉正義(写真)は「突っ張られるのは想定外だったけど、荒井が調子の悪い中でも頑張ってくれた。今回は絶好調ではないけど、調子は悪くなかっただけに白虎賞スタートのチャンスを生かしきれなかった。そこはガッカリだけど、とりあえず弟子(坂本亮馬)より下のレースを走らずすんで良かった」


<10R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   10Rは逃げる中近ラインをバックから井上昌己がひとまくり。ゴール前で紫原政文(写真)が抜け出すと、そのまま九州3車で上位を独占した。
  「今回はえらい成績が悪かったので、とりあえず最後は1着が取れて良かった。今日は付いててもキツかったですよ。初日から悪い感じはなかったし、今日は何とか1着が取れて次につながったと思う」
  最後は末を欠いた井上昌己だったが、何とか2着に粘った。
  「踏み出しであおりを受けたし、タイミングが上手く取れなかったですね。最後は完全にタレてました。航続距離は200メートルですね。帰ってからは400モガキから始めます(苦笑)」


<11R>
新田康仁選手
新田康仁選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   11Rは決勝戦。平原康多が先行すると武田豊樹が三番手に。武田、さらに新田康仁が2センターからまくると空いた内を強襲した渡邉晴智がG1連覇。新田康仁(写真)はあと一歩で初タイトルを逃したが、静岡ワンツーの結果に表情は晴れやかだ。
  「先まくりを打ってもザキ(山崎)を引き出すだけだし、仕掛けを5回我慢しました。出ないところを行ったけど、意外に伸びたし全部飲み込んだと思ったら内にいてアレ?って。でもワンツーが決まって良かったし、次は(表彰台の)真ん中を狙いたい」
  武田豊樹は絶好の三番手回りの展開を生かせなかったが、収穫の多かった4日間に気落ちする様子は見られない。
  「準決も先行してるし、今日は疲労感で一杯だった。もう少し車間を切ってれば良かったけど悔いはない。しっかり勝ち上がって今度は勝つ。だいぶ強さも戻ってきてるし、あとはもう少し勝負強さを磨いてね」
  八番手から大外を強襲した山崎芳仁(写真)だったが、3着までが精一杯。
  「平原が2コーナーから踏んでマイペースで駆けてたので、そこから無理やりまくって行っても3コーナーで浮いて終わりだから仕掛けを待った。逆に休む形になって踏み遅れてしまった。最後は(アタマまで)届かないと思ってました」
  平原の番手絶好だった手島慶介だったが、小倉竜二との接触もあってチャンスを逃す。
  「最高の展開だったし、勝てないのは自分の実力がないだけ。悔しいけど、しょうがない」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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